健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

半辺蓮

2014年07月10日 | 健康
○半辺蓮(はんぺんれん)

 日本の各地、朝鮮半島、中国、東南アジアなどに分布するキキョウ科の多年草ミゾカクシ(Lobelia chinensis)の全草を用いる。中国では花が下方だけに広がるために半辺蓮と呼ばれ、日本では田んぼの畦道などで溝が隠れるほど繁殖するのでミゾカクシ、あるいはアゼムシロと呼ばれている。

 日本にも普通に分布するが、一般にミゾカクシ属は有毒植物として知られ、薬用としてはほとんど利用されていなかった。中国で住血吸虫病による肝硬変の腹水に有効であることが報告されて以来、非常に注目されている。

 成分にはアルカロイドのロベリン、ロベラニン、ロベラニジンなどが含まれ、利尿作用や呼吸興奮作用、循環系に対する作用を有する。漢方では利水・消腫・解毒の効能があり、下痢や浮腫、腹水、皮膚化膿症、毒蛇咬傷などに用いる。とくに住血吸虫による腹水と毒蛇咬傷の治療は有名である。

 毒蛇に咬まれた時には生汁あるいは煎液を内服すると同時に生汁を患部に貼付する。同属の薬用植物としては北米に分布するロベリア草(L.inflata)がある。

反鼻

2014年07月09日 | 健康
○反鼻(はんび)

 クサリヘビ科マムシ属のマムシ(Agkistrodon halys)の内臓を除去した全体を用いる。マムシは体長50cm前後で、全体は褐色で黒褐色の円形の斑紋が少しずれて並び、頭は小さく三角形である。日本全土に生息する唯一の毒蛇で、水辺に近い草むらに生息し、夜行性でネズミやカエルなどを捕食する。卵を体内で孵化する卵胎生である。

 中国、韓国にも分布しているが、反鼻と称されるものの中にはハブ、アオハブ、ヒメハブなども含まれている。日本では滋賀県や九州南部が産地として有名であるが、現在ではほとんどが韓国産のマムシである。

 薬材ではマムシを皮を剥いで棒状にしたものを反鼻あるいは五八霜といい、皮付きのまま蒸して円盤状にしたものをマムシの蒸し焼きと呼んでいる。五八霜の名は、五十八本で1斤(600g)になることに由来する。マムシの蛇毒は血液毒成分と神経毒成分が含まれ、血液循環障害や出血、壊死、浮腫などが出現する。

 漢方では性味は甘温、有毒で、解毒・攻毒・強壮の効能があり、ハンセン病や腫れ物、皮膚のしびれ、腹痛、痔疾などに用いる。健忘症やうつ病などによる放心状態には茯苓・香附子などと配合する(反鼻交感丹)。夜尿症には丁子と配合する(香竜散)。

 日本では古くからマムシの黒焼きも有名で、おもに伯州散などの解毒剤に配合されて用いられている。マムシは明治以後には滋養強壮剤として用いられることが多く、今日でも栄養剤やドリンク剤などにハンビチンキの名前で配合されている。また民間療法ではマムシの生き血や生胆、生きたまま漬けたマムシ酒などが疲労回復や冷え性などの治療に用いられている。

胖大海

2014年07月07日 | 健康
胖大海(はんたいかい)

 インドから東南アジアにかけての熱帯に分布するアオギリ科の落葉高木ハンタイカイ(Sterculia scaphigera)の種子を用いる。ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアなどで産するが、ベトナム産の品質が最もよいとされている。

 乾燥した種子は長さ2~3cm、直径1~1.5cmの楕円形で表面には細かい不規則なしわがある。水に浸けると大きく膨らんで海綿状となるので胖大海の名がある。このような種子として同属植物のハクジュ(S.lychnophora)の種子は莫大海と呼ばれ、水に入れると寒天質のゼリーをつくるため、中国では薬膳料理などに利用され、日本でも刺身のつまとして利用されている。

 種子の外層には多量の粘液質のバッソリン、果皮にはガラクトース、アラビノース、ペントースなどの糖類が含まれる。食べると腸の内容物を増大させるので緩下作用があり、また降圧、利尿、鎮痛作用などが知られている。漢方では利咽・潤肺・通便の効能があり、扁桃炎などによる咽の痛みや嗄声、乾燥性の咳嗽、歯痛、便秘などに用いる。煎じるほか、お茶に浸して服用する。インドネシアでは喘息の治療に利用している。

蕃石榴

2014年07月03日 | 健康
○蕃石榴(ばんせきりゅう)

 熱帯アメリカ原産で、熱帯および亜熱帯の世界各地で栽培されているフトモモ科の常緑小高木バンジロウ(Psidium guajava)の果実や葉を用いる。生薬では未成熟の果実を番石榴乾といい、葉を番石榴葉という。

 バンジロウは紀元前から古代いんかインカ族によって栽培されていたといわれ、16世紀にスペイン人によってフィリピンに伝えられた。17世紀ごろには台湾や沖縄県にも伝えられ、現在、琉球諸島で野生化している。果実がザクロに似ていることから中国では番石榴といい、その漢字を日本でバンザクロ、バンジロウと呼んでいる。

 日本では、グァバとしても知られているが、グァバとはスペイン語の果実という意味に由来する。また、学名をシジュウム・グァバというが、近年、南米産の葉をシジュウムとも呼んでいる。グァバの果実はビタミンに富み、そのまま食用にしたり、ジュースやジャムに利用される。台湾では葉をパーラ茶と呼んで飲用する習慣がある。

 果実にはビタミンC、カロテン、シトステロール、ケルセチンなどが含まれ、葉には多量のタンニンなどのポリフェノール(グァバ葉ポリフェノール)が含まれている。中国やインド、東南アジアでは果実や葉を収斂性の止瀉薬として下痢に用いている。台湾では古くから糖尿病の治療や肥満防止の効果が知られている。

 グァバはポリフェノールにはαアミラーゼ、αグルコシダーゼなどの糖質分解酵素の働きを阻害し、糖分の吸収を抑制して、血糖上昇を抑える効果が確かめられており、血糖が高い人のための特定保健用食品の機能性成分として認められている(蕃爽麗茶)。また、グァバの一種と考えられているシジュウムの葉には、ヒスタミンやロイコトリエンの遊離抑制効果が報告されており、花粉症やアトピーなどのアレルギー症状に効果があるといわれている。

半枝蓮

2014年07月02日 | 健康
○半枝蓮(はんしれん)

 中国の各地、台湾などに分布し、湿地に生えるシソ科の植物スクテラリア・バルバータ(Scutellaria barbata)の全草を用いる。コガネバナ(生薬名:黄芩)やタツナミソウと近縁植物である。中国の江蘇省地域の民間薬で、古い本草書には収載されていない。

 成分にはアルカロイド、フラボノイド配糖体などが含まれるが、詳細は明らかではない。水製エキスにて白血病細胞に対する軽度の抑制作用が認められている。民間薬として止血・止痛・清熱・解毒の効能があり、外傷や鼻血、吐血、下血、肝炎、咽頭腫痛、皮膚化膿症、肺化膿症などに用いる。

 乾燥したものを煎じて用いたり、新鮮な絞った汁を服用する。また皮膚病や打撲傷、毒蛇咬傷などに新鮮な汁を外用する。近年、中国で白花蛇舌草と併用し、胃癌、大腸癌、肝癌などの消化器系癌や肺癌、子宮癌、乳癌に対してある程度の効果があることが報じられている。