健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

竹瀝

2013年12月10日 | 健康
○竹瀝(ちくれき)

 イネ科ハチク(Phyllostachys nigra)の茎を火であぶって流れ出た液汁を竹瀝という。新鮮な竹棹を縦に割って火であぶると両端から液が流れ出る。竹瀝はこれを集めたもので、青黄色ないし黄褐色の透明な液体で焦げた臭いがある。

 漢方では清熱化瘀・定驚・通竅の効能があり、痰家の聖薬といわれ、脳卒中や癲癇、ひきつけ、熱病、肺炎などで咽に痰の音がして胸が苦しいときに用いる。単独で服用させたり、生姜汁などと混ぜて服用する。また丸剤や膏剤として用いることが多い。

 熱病で粘調稠のあるときや意識状態が混濁しているときに生姜汁・青礞石などと配合する(竹瀝達痰丸)。竹瀝は入手が困難なため、天竺黄で代用することもある。しかし竹瀝は天竺黄よりも痰を除く作用が強い。

竹葉

2013年12月09日 | 健康
○竹葉(ちくよう)

 イネ科ハチク(Phyllostachys nigra)の葉のことを竹葉という。イネ科のササクサ(Lophatherum gracile)り全草を淡竹葉といいう。しかし竹葉と淡竹葉とはしばしば混同され、日本ではハチクの葉を和淡竹葉ということもある。

 ハチクは中国原産であるが西日本にも野生化しており、モウソウチクやマダケとともに日本三大竹のひとつで、呉竹とも呼ばれる。上下の太さが一様で、硬くて細割れしやすいので茶筌や菓子の容器などにも利用される。ハチクの内皮は竹筎、あぶって流れ出た液を竹瀝、巻いて開かない幼葉を竹巻心という。

 葉の成分にはトリテルペンのグリチノール、グルチノンなどのほかペントーザン、リグニンなどが含まれ、解熱・利尿作用が知られている。漢方では淡竹葉の効能とほぼ同じで、清熱・除煩・利水の効能がある。一般に心熱を清する作用は竹葉のほうが強いといわれる。このため煩熱、口渇の症状には竹葉を用いるのがよい。

 熱性疾患後の余熱の治療に石膏などと配合する(竹葉石膏湯)。糖尿病などによる口渇の症状には麦門冬・人参などと配合する(麦門冬飲子)。

竹節人参

2013年12月07日 | 健康
○竹節人参(ちくせつにんじん)

 北海道から九州までの山地に自生するウコギ科の多年草トチバニンジン(Panax japonicus)の根茎を用いる。竹節人参は竹参、土参ともいう。葉がトチノキの葉に似ているところからトチバニンジンといわれ、根は竹の根に似て節くれだっているため竹節人参という。また幼年期の根は小さな直根のため直根人参と称されている。

 江戸時代の初期に中国から亡命して帰化した何欽吉が日向(宮崎県)にてこれを発見し、人参の代用として用いたのが始まりと伝えられている。古方派の吉益東洞が竹節人参を好んで用い、心下痞硬には人参よりも効果があると述べている。

 成分にはサポニンやステロールなどが知られており、オレアノール酸のサポニンであるチクセツサポニンには去痰作用が認められている。そのほかエキスには、抗炎症、抗潰瘍、抗腫瘍、血糖降下、中枢抑制、育毛などの作用が報告されている。

 漢方では去痰・解熱・健胃の効能があり、咳嗽や心下部の痞えを伴う場合の処方で人参の代用として用いる。ただし人参のような滋養・強壮効果はあまり期待できない。ちなみに毛乳頭細胞を活性化し、発毛促進効果があるとして、育毛剤に配合されている(カロヤン)。

竹じょ

2013年12月05日 | 健康
○竹筎(ちくじょ)

 イネ科のハチク(Phyllostachys nigra)の茎の中間層を用いる。まず第一層の緑色の外皮を薄く削り取り、つぎに中間層を削って帯状にする。黄緑色ないし淡黄白色で、ざらざらしており、よい香りがする。

 成分にはトリテルペノイドのアルンドイン、シリンドリンなどが含まれ、抗炎症作用などが知られている。漢方では清熱・化痰・除煩・止嘔の効能があり、肺熱を清して痰を除き、胃熱を清して嘔吐を止める。また熱痰による煩躁、不眠、動悸などの症状や鼻血、不正性器出血、妊娠悪阻、胎動不安などにも用いる。

 気管支炎などで咳嗽とともに黄色の粘稠痰がみられるときには桑白皮・貝母などと配合する(清肺湯)。大病の後に痰が欝結して眠れずに煩躁するときには半夏・麦門冬などと配合する(竹筎温胆湯)。産後に胸が煩躁して嘔吐やからえずきのみられるときには石膏・白薇などと配合する(竹皮大丸)。気の上逆によるしゃっくりには橘皮・生姜などと配合する(橘皮竹筎湯)。

 一般に痰熱を治療するときには生を用い、嘔吐を治療するときには生姜汁で炒して用いる。

竹巻心

2013年12月04日 | 健康
○竹巻心(ちくけんしん)

 イネ科ハチク(Phyllostachys nigra)のまだ開いていない幼葉を用いる。マダケ(P.bambusoides)などの幼葉も用いられる。通常は明け方に摘み取った新鮮なものを用いる。

 ハチクは葉を竹葉、内皮を竹筎といい、薬用にする。竹巻心の効能は竹葉とほぼ同じであるが、清心除煩の効能は竹葉よりも強いといわれている。熱入心包の証で高熱とともに意識の混濁や譫語などのみられるときには犀角・連翹などと配合する(清営湯)。

胆礬

2013年12月03日 | 健康
○胆礬(たんぱん)

 銅の鉱石中に含まれる藍色の結晶、天然の硫酸銅を胆礬という。また硫酸と銅を反応させて人工的に硫酸銅をつくることもできる。不規則な塊状の結晶体で藍色であり、ガラス様の光沢がある。

 成分は硫酸第二銅の5水塩(CuSO4・5H2O)であり、加熱すると結晶水を失い白色粉末の無水塩になる。工業用には木材の防腐剤、染料や顔料に使用されるほか、農薬のボルドー液の原料でもある。皮膚や結膜に刺激性があり、飲むと反射的に嘔吐を催す。

 漢方では有毒で、催嘔・去腐・解毒の効能があり、おもに口内炎や歯槽膿漏、痔、結膜炎、腫れ物などに外用薬として用いる。歯槽膿漏には麝香・竜骨などと粉末にして塗布する(麝香雄礬散)。疔、瘡などの化膿性皮膚疾患の排膿薬として用いる(青膏)。また、脳卒中や癲癇などで咽に痰が詰まる喉痺状態に催嘔剤として内服させる。

タンニン

2013年12月02日 | 健康
○タンニン

 18世紀末、動物の皮をなめす作用のある植物の水溶性の成分にタンニンという名がつけられた。また、その味から渋ともいわれている。

 「鞣す」とは動物の皮の腐敗を防ぎ、通気性、柔軟性、耐久性を持たせることをいい、紀元前から植物の根や樹皮を利用して行われていた。その成分はポリフェノールに属しており、このため近年では鞣皮性の有無にかかわらず植物起源の水溶性ポリフェノールをタンニンと称するようになった。

 タンニンはタンパク質と結合して難溶性の沈殿物を作るほか、金属や塩基性物質とも強い親和性がみられる。タンニンは酸によって加水分解を受け、糖を生じる加水分解型タンニンと、それ以外の縮合型タンニンとに区別される。さらに縮合型タンニンはプロアントシアニジンと呼ばれる酸でアントシアニジン系色素を作るものと、酸で分解されるが糖を生じない中間型のタンニンに分けられる。

 薬用植物には加水分解型タンニンが多く五倍子、没食子、現之証拠、赤芽柏、石榴皮、訶子などに含まれる。一方、渋柿や茶葉、大黄、虎耳草などは、中間型のタンニンを含む。一般にタンニンを含む生薬には収斂作用があり、健胃薬、止瀉薬、止血薬として応用されている。