健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

カスカラサグラダ

2012年05月16日 | 健康
○カスカラサグラダ

 北アメリカ西部、ワシントン州やカリフォルニア州を原産とするクロウメモドキ科の落葉低木カスカラサグラダ(Thamnus purshiana)の樹皮を用いる。現在では北アメリカ各地で栽培もされている。アメリカに移住したスペイン系メキシコ人修道士がこの木を「聖なる木(カスカラ・サグラダ)」と呼んだのが名前の由来である。

 樹皮にはアントロン類のカスカロシドA~D、バルバロイン、クリサロイン、アントラキノン類のエモジンなどが含まれ、瀉下作用が認められる。新鮮な樹皮にはアントラノールが含まれ、飲むと嘔吐などの副作用がある。このアントラノールは次第に酸化されてアントラキノンに変化するため、薬材としては半年から1年以上乾燥し貯蔵したものを用いる。

 19世紀後半からアメリカやヨーロッパで瀉下薬として広く用いられるようになった。現在、日本でも便秘薬として市販されている家庭薬にしばしば配合されている。

花蕊石

2012年05月14日 | 健康
○花蕊石(かずいせき)

 変成岩類の岩石、比較的普通に見られる大理石の一種である蛇灰岩の塊を用いる。おもに方解石の顆粒からなり、蛇紋岩を含むものである。不規則な灰白色の塊状で、淡黄あるいは緑黄色の暈が交互にある。

 成分はカルシウムとマグネシウムの炭酸塩のほか、鉄塩やアルミニウム塩なども含む。一般に焼いた後に水飛し、細かく砕いて用いる。漢方では止血・活血の効能があり、肺結核の喀血や内出血、外傷による出血などに用いる。肺結核による喀血や不正子宮出血に単独で服用する(花蕊石散)。また乳香・没薬・蘇木などと細末にして内出血の部位に塗布すると虚瘀止痛の効果がある。

花椒

2012年05月12日 | 健康
花椒

 中国の各地に自生し、栽培されているミカン科の落葉低木カホクザンショウ(Zanthoxylum bungeanum)の果皮を用いる。果実の中の種子は椒目という。日本のサンショウと同属植物であるが、カホクザンショウの果実はサンショウの果実よりも粒が大きくて果皮が赤い。四川省で多く取れるため蜀椒、川椒ともいわれるが、河北省渉県のものが最高品質とされている。

中華料理では花椒塩や醤油と混ぜた花椒油などの調味料としても利用されている。日本にも食品として多く輸入されているが、日本薬局方では医薬品として山椒と規定しており、花椒を除外している。現在中国では蜀椒、泰椒、青椒などを区別せずに基原植物を花椒としている。一説によると神農本草経や金匱要略の蜀椒および川椒カホクザンショウ、泰椒はフユザンショウ、青椒(青花椒)はイヌザンショウと推定されている。

花椒にはリモネン、ゲラニオール、クミンアルコールなど、青花椒にはエストラゴール、ベルカプテンなどが含まれる。薬理的には抗菌・殺虫作用、鎮痛作用などが認められている。漢方では温裏・止痛・駆虫の効能があり、消化不良、胃内停水、腹痛、嘔吐、咳嗽、関節の痛み、下痢、歯痛、回中症、陰部掻痒症などに用いる。とくに花椒は脾胃虚寒、つまり胃腸が冷えて生じる腹痛や下痢の常用薬である。冷えによる下痢には陳皮・厚朴などと配合する。

莪朮

2012年05月11日 | 健康
○莪朮(がじゅつ)

 マレーシア、インド、ヒマラヤを原産とするショウガ科のガジュツ(Curcuma zedoaria)の根茎を用いる。中国では広西・四川省を主産地とし、また同属の蓬莪朮、広西莪朮、温郁金などの根茎が用いられる。日本では屋久島種子島、沖縄県などで栽培されている。

 ウコンと同属でよく似ているが、根茎の切断面が淡紫色をしていることから紫ウコンとも呼ばれ、健康食品などにも用いられている。一方、中国ではガジュツの塊茎を欝金(緑糸欝金)あるいは川玉金として扱うこともある。ただし、ガジュツには欝金の主成分とされているクルクミンはほとんど含まれていない。

 主成分にはセスキテルペノイドのクルゼレノン、クルクメノン、クルジオン、ゼデロンのほか、モノテルペノイドのシネオール、ボルネオールからなる精油が含まれ、芳香性の健胃作用、胆汁分泌促進作用、抗菌作用などが知られている。近年、消化性潰瘍の原因とされるピロリ菌に対する抗菌作用も報告されている。

 漢方では活血・利気・消癥・止痛の効能があり、腹部の膨満感や疼痛、腹部腫瘤、消化不良に寄る食積、瘀血による月経閉止、打撲傷などに用いる。消癥とは腫塊状のものを除くことで、莪朮はとくに腹部腫瘤に効果があるといわれている。

 中国では莪朮を子宮癌などの癌治療に応用してその臨床成果を報じている。日本では俗に「弘法の石芋」と呼ばれ、民間の健胃薬としてよく知られ、莪朮を主原料とする胃腸薬もいくつか市販されている(恵命我神散)。莪朮と薬効の似た生薬に三棱があり、両者はしばしば配合されるが、莪朮は破気り作用が強く、三棱は破血の作用が強いとされている。経験的に月経過多や妊婦には用いない。

何首烏

2012年05月10日 | 健康
○何首烏(かしゅう)

 中国が原産であるが、江戸時代に日本に帰化して、日本各地に野生化しているタデ科の多年草ツルドクダミ(Poiygonum multiflorum)の塊茎を用いる。ツルドクダミの蔓茎は夜交藤あるいは首烏藤という。

 何首烏は唐時代の中国では不老長寿の薬として有名であった。日本では八大将軍・徳川吉宗が中国から苗を取り寄せて全国に栽培させたのが伝来の経緯といわれるが、いつしか忘れられて雑草と化した。名前の由来は、何首烏というものの祖父が見つけた根を粉にして飲んで親子三代が長生きしたという伝説や、何公という王が服用したところ頭(首)の白髪が烏の羽のように黒くなったという説がある。日本では葉がドクダミに似ているためツルドクダミと呼ばれている。

 根にはアントラキノン類のクリソファノール、エモジン、レシチンなどが含まれ、コレステロール降下作用や降圧作用、抗菌作用、腸蠕動促進作用がある。漢方では補陰・補血・強壮の効能があり、眩暈、足腰の虚弱、筋骨のだるさ、子宮出血、遣精・下痢、痔などに用いる。

 一般に肝腎の精血を補う抗老薬であり、陰虚による皮膚搔痒感や便秘に用いられるほか、黒髪を生じる代表的な生薬として有名である。製剤では何首烏単独の首烏片(首烏延寿片)、薬酒の何首烏酒、養毛剤アポジカ)に配合されている。

 近年、海外において何首烏の製剤を服用して急性肝炎を発症した事例が報告されている。ちなみに白首烏とは、ガガイモ科の植物、大根牛皮消(Cynanchum bungei)の塊茎のことで、何首烏と同様に滋養・強壮作用があり、泰山何首烏とも呼ばれている。

詞子

2012年05月09日 | 健康
○詞子(かし)

 インド・ビルマを原産とし、中国では雲南・広西・広東省、チベット自治区などで植栽されているシクンシ科の落葉高木ミロバラン(Terminalia chebula)の果実を用いる。新修本草や金匱要略には訶梨勒とあるが、現在では詞子と呼ばれている。ミロバランの樹高は20~30mにも達するが、果実は3~4cmの卵型をしたもので中に大きな核がある。核を除いたものは詞子肉といわれる。詞子は担任の含有量が多く、インドの代表的な褐色染料であり、また皮なめしなどに用いられてきた。

 タンニンの成分としてケブリン酸など、関連ポリフェノールとしてエラグ酸などが含まれている。ケブリンの平滑筋に対する鎮痙作用のほか、詞子の煎液には強い抗菌作用が知られている。本来はインドの伝承医学アユルヴェーダの主要な薬物であった。

 漢方では止咳・止瀉・利咽の効能があり、咳嗽や下痢、嗄声、脱肛、血便、性器出血、帯下、遣精、頻尿などに用いる。とくに収斂・固渋薬の一つとして慢性の下痢や咳嗽に対して常用され、利咽薬として声が嗄れたときに効果がある。近年、詞子と藤瘤・菱実・薏苡仁とを配合したものに抗癌作用があると報告されたことがある。

夏枯草

2012年05月08日 | 健康
○夏枯草(かごそう)

 日本各地を始め、東アジアの寒帯から温帯にかけて広く分布するシソ科の多年草ウツボグサ(Prunella vulgaris)の花穂のみ、あるいは開花期の全草を用いる。花穂が半分くらい枯れたころに採取する。日当たりのよい路傍などに見られ、初夏に咲いた紫色の花が真夏に褐色に変化することから夏枯草といわれ、また花穂の形が靱という矢を入れる道具に似ているためウツボグサと名付けられた。

 全草にはトリテルペノイドのウルソール酸やその配糖体のプルネリン、カリウム塩などが含まれ、弱い降圧作用、利尿促進、抗菌、子宮収縮作用などが知られている。漢方では肝熱を清し、硬結を散じる効能があり、高血圧や結膜炎、羞明、眩暈、瘰癧(頸部リンパ節腫大)、癭瘤(甲状腺腫)、乳腺炎、乳癌、肺結核、帯下などに用いる。特に高血圧や目の炎症など肝熱症状や、瘰癧や癭瘤などの腫瘤の治療薬としてよく知られている。

 日本の民間では利尿薬として膀胱炎(淋疾)や浮腫、腎炎などに用いる。現在では家庭薬の利尿剤には夏枯草がしばしば配合されている。ヨーロッパではセイヨウツボグサ(セルフヒール:Self-heal)の生薬が切り傷の止血薬として、また褐色の花穂が健康茶として利用されてきた。

鶴虱

2012年05月07日 | 健康
○鶴虱(かくしつ)

 日本各地、朝鮮半島、中国、台湾などに分布するキク科の越年草ヤブタバコ(Carpesium abrotanoides)の果実を用いる。ヤブタバコの葉や茎は生薬名を天名精という。ヤブタバコはタバコの葉に似ていることからその名がある。果実は細長く、独特の臭気があり、粘着性があり、衣服に付着する。中国の地方ではセリ科のノラニンジン(Daucus carota)の果実やヤブジラミ(Torillis japonica)の果実なども鶴虱として用いている。このためヤブタバコの果実を北鶴虱、ノラニンジンの果実は南鶴虱あるいは鶴虱風、ヤブジラミの果実は華南鶴虱と呼んでいる。

 ヤブタバコの果実にはカルペシアラクトン、セリルアルコールなどが含まれ、回虫や蟯虫などに対する駆虫作用がある。漢方にも駆虫の効能があり、回虫による腹痛や蟯虫症などに呉茱萸・檳椰子などと配合する(鶴虱丸)、なお日本ではヤブジラミの果実を一般に蛇床子と称しているが、中国産の蛇床子(オカゼリの果実)と異なるため和蛇床子とも呼ばれる。

蝸牛

2012年05月04日 | 健康
○蝸牛(かぎゅう)

 軟体動物に属する陸生の巻き貝カタツムリの全体を用いる。学術上ではマイマイといい、別名をデンデンムシ、マイマイツブロという。マイマイとは「巻き巻き」、ツムリやツブロとはツブリ(巻き貝)のことである。

 日本には600種類以上のマイマイ類が知られ、殻に黒いすじのあるミスジマイマイ属が一般的である。中国でおもに薬用にされるオナジマイマイ属は日本でも熱帯から渡来し、全国に分布している。フランスでは食用にエスカルゴを養殖している。日本でも戦時中にタンパク源としてアフリカマイマイを移入したが、食用にされずに現在では農作物に大きな被害を与えている。

 薬用には夏に採取して、熱湯で殺した後、天日乾燥し、炒って粉末にする。漢方では清熱解毒・利水消腫の効能があり、小児の熱性痙攣や糖尿病、咽頭炎、耳下腺炎、腫れ物などに用いる。日本の民間療法では腎臓病の特効薬といわれ、焼いて粉末にしたものを服用する。黒焼きの粉末は喘息、扁桃炎などにも用いる。身を焼いて食べると虚弱体質や疳の虫に効果がある。また痔や腫れ物、打ち身、ムカデ刺されなどに外用する方法もある。

 なおアフリカマイマイなどには病原性の寄生虫もいるため、あまり食べないほうが良い。ちなみに福島県の郡山地方では、桑畑に生息する陸生の貝類であるキセルガイの一種(カンニャボ)が古くから肝臓の薬として利用されている。

柿葉

2012年05月02日 | 健康
○柿葉

 東アジア温帯に分布するカキノキ科のカキ(Diospyros kaki)の葉を用いる。カキは生薬として色々に利用され、柿のヘタは柿蒂、果実の干したものを柿餅、柿のしぶを柿漆という。

 柿葉にはビタミンCが多く含まれるほか、フラボノイド配糖体のアストラガリン、ミリシトリン、そのほかカロテン、パントテン酸、タンニンなどが含まれる。中国では止咳・止血薬として咳嗽や喀血、消化性潰瘍、血小板減少症などに応用されている。日本の民間療法では血圧降下作用のある健康茶として愛飲されている。

 近年、アストラガリンにヒスタミン分泌抑制作用のあることが認められ、花粉症に対する効果が期待されている。西式健康法では柿茶を常用して微熱や虚弱体質の治療に用いている。柿茶の製法は若い芽を摘み取って葉脈を除き、3分ほど熱湯に通し、小さく刻んで陰干しにし、十分に乾燥する。ただし柿茶を長く服用していると便秘になることがあるので注意を要する。