あの日 鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の想い - blog -

てんかん無申告で運転免許を不正取得したクレーン車の運転手により、登校中の児童6人が歩道上で轢き殺された事故【遺族ブログ】

民事裁判判決の意味するもの・・・

2013-04-29 | 日記

遺族、控訴見送る方針 母親の責任認定を評価 鹿沼6児童死亡事故訴訟 

(4月28日 朝刊 下野新聞)

 鹿沼市の国道で2011年4月、登校児童の列にクレーン車が突っ込み小学生6人が死亡した事故で、クレーン車を運転していた日光市大沢町、無職柴田将人受刑者(28)=自動車運転過失致死罪で懲役7年確定=や同居していた母親、勤務先だった鹿沼市の重機会社に計約1億2500万円の支払いを命じた24日の宇都宮地裁判決について、原告側遺族が控訴を見送る方針を固めたことが27日、分かった。6児童の遺族が同日、宇都宮市内で代理人弁護士と協議して決めた。

 地裁判決は、争点となった母親の法的責任について「会社に(発作の危険性を)通報しなかったのは違法」と認定。さらに「柴田受刑者の自動車運転の開始および継続に加担したことに加え、第三者にそのことが発覚する機会を柴田受刑者と一緒になって消滅させてきた。事故は回避できた」などと判示した。

 一方、賠償範囲は児童の父母11人にとどまり、祖父母と兄弟計23人の請求は棄却されたため、原告側は「不満が残る」として控訴の有無を検討。しかし総合的に判断して控訴を見送ったという。

 犠牲となった大森卓馬君=当時(11)=の父利夫さん(48)は「刑事裁判で問えなかった母親の法的責任を認めてもらったのは大きな成果。1番ほしい判決がもらえた」と評価し、「判決が同種事故の抑止効果につながることを期待したい」とした。【下野新聞】

 

 

宇都宮地方裁判所は、刑事裁判では、判決後に私たちに向け裁判官が 「皆さんの悲しみが広く社会に伝わり、今後の事故防止につながることを願ってこの裁判を終えます」と異例の発言をしてくださり、単なる判決ではない事故防止への思いを社会へ示してくれました。

そして、今回の民事裁判でも、車の運転に積極的に関わった受刑者の母親の法的責任を認め、「母親の取るべき行動とは何だったのか・・・」、ということを、社会に明確に示してくれました。

 

私達がずっと言い続けてきた ”事故原因の本質” に目を向ける事の必要性・・・

事故後の二年間・・・ 様々なおかしな事との、長くて辛い、そして苦しい闘いでしたが、今は、「”おかしい” ものは ”おかしい”」 と信念を持ち闘い、訴え続けてきてよかったと実感しています。   

 

判決が同種事故の抑止効果につながることを願ってやみません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


平成25年4月24日(水) 民事裁判 判決

2013-04-24 | 日記

鹿沼クレーン車事故 民事訴訟きょう判決 母親の法的責任どう判断 栃木

産経新聞 4月24日(水)7時55分配信   

 平成23年4月の鹿沼クレーン車事故で犠牲になった児童6人の遺族ら34人が、クレーン車を運転していた柴田将人受刑者(28)と母親(50)、当時勤めていた重機リース会社を相手に計約3億8千万円の損害賠償を求めている民事訴訟の判決が24日、宇都宮地裁で言い渡される。てんかんの持病がある柴田受刑者の薬を管理し、免許取得を助けた母親の法的責任をどう判断するかなどが争点となっている。(野々山暢)

 「可能ならば刑事裁判で母親の責任を問いたかった。過去の裁判で嘘の証言をしてまで運転を続けさせた責任は重い」。事故で大森卓馬君=当時(11)=を亡くした父、利夫さん(48)は語気を強める。

 訴状によると、母親はクレーン車事故の約3年前に柴田受刑者が発作を起こして男子児童に重傷を負わせた事故の刑事裁判に出廷。証人尋問で「居眠りが原因」と述べ、持病に関して言及しなかった。また、医師から病気の影響で運転免許取得が制限されることを忠告されていながら教習所や車の費用を負担。過去に事故を何度も起こしたにもかかわらず、クレーン車免許取得の学科試験の際も駅まで車で送り、受験を手助けしたとされる。

 クレーン車事故当日も柴田受刑者が前日夜の分の薬を適切に飲んでいないことを知っており、遺族側は「運転に積極的に加担し、当日も母親が運転を止めていれば事故は発生しなかった」と訴える。

 これに対し、母親側は「柴田受刑者は成人しており、母親が親子の情愛として薬の管理をしていても(薬を管理する)義務があったことにはならない」と反論し、「情愛によって成人の薬を管理しているてんかん患者の親が、管理していない親より重い責任を負わされることになるのは不当」と主張する。昨年11月の第5回口頭弁論で母親は「あの日、どう止めても息子は運転していた。それだけは分かってほしい」と述べ、改めて法的責任について争う姿勢を示した。

 重機リース会社について遺族側は「柴田受刑者はクレーン車事故以前に2回、作業中に意識を失ったことがあった」と指摘。「従業員が重機を操作する適格性があるか(検査をして)確認する義務を怠った」として使用者責任だけでなく、監督上の過失を追及している。

 判決を前に、伊原大芽君=当時(9)=の父、高弘さん(41)は「亡くなった子供はもう帰ってこないが、事故撲滅に向けて闘ってきた。事故原因の本質に目を向けて、母親と会社がいかに行動すべきだったか、明確に示してもらいたい」と話した。【産経新聞】

 

 

 

 本日24日、クレーン車事故の民事裁判の判決がありましたので、ご報告させていただきます。

 13:15、宇都宮地方裁判所にて民事裁判の判決があり、裁判所は、「母親の責任」を明確に認めてくれました。

 

【要点】

・被告将人による自動車の運転行為により歩行者等生命、身体及び財産に対する重大な事故が発生することを予見できた。

・被告将人が免許の欠格事由に該当していることを認識していながら、自動車等を買い与え、運転免許が必要な車両を運転する契機を作出した。 

・自動車を買い与え、運転免許が必要な車両を継続することに積極的に加担してきた。移動式クレーン車免許の取得についても、その取得に加担した。 

・被告将人が免許の取り消し事由に該当することが第三者に発覚し、免許が取り消されることの無いように振る舞うことによって、第三者をして被告将人に運転を断念させる機会をも喪失させてきた。 

・医者など第三者に対してそのことが露見する機会を被告将人と一緒になって消滅させてきたことにより、処方された抗てんかん薬を処方どおりに服用していない状態での柴田被告による運転行為により生じる危険を被告将人とともに引き受けた。 

・会社に通報することは容易であった事からすれば、本件事故の発生を回避することができた。 

被告会社に対する通報義務を負っていたにもかかわらず、これを果たさなかったがために本件事故が発生したのであるから、本件事故により生じた損害を賠償する責任を負うべきである。

 

 

 第5回口頭弁論で母親は、「あの日、どう止めても息子は運転していた。それだけは分かってほしい」と我々に向け述べていましたが、自分の子供を犯罪者にしないためにも、そして、他人の大切な命を奪ってしまわないためにも、あの日・・・だけでなく、あの日以外にやるべきこと、すべきことはなんだったのか・・・今回の判決の主文を読んで、自分で気付いてほしいと願っています

 

 

 その他、今回の判決では、会社の責任も、715条(709条は回避)ではありますが、認めました。

 これについては、裁判の性質上、715条で責任は認められているのだから、709条を審議するまでもない・・・ということなのだと理解しましたが、単に「雇っていたのだから仕方がないでしょっ」みたいな結果を訴えた裁判ではないので、その点については残念な思いでいます。

 

 

 兄弟や祖父母の訴えについては、あまり判例がなかったとしても、せめて、仲の良かった兄弟が血だらけで倒れている姿を目撃せざるを得なかった兄弟、その子たちが心に受けた精神的な衝撃というもの認め、事故の悲惨さというものを社会に示してほしかったという思いがあり、これについては、残念な思いがします。

 

 本来、この事故により受けた悲しみや心に受けた衝撃は、被害者はもとより父母、兄弟、親戚、子供たちの仲間・・・地域の皆さん・・・その他たくさんの仲間の悲しみであったわけで、「たくさんの人がこんなにも残酷な事故によって、大切な人を亡くし、心に深い悲しみを受けたんですよ・・・」 そして、 「この深い深い悲しみを一生背負って生きていかなくてはならないんですよ・・・」

 そういう遺族や仲間たちの思いや現実を判決で社会に示してほしかったと思っています・・・

 

 しかしながら、我々は、今まで、皆様のお力添えの下、警察・・・警察庁・・・法務省・・・と、一つ一つ”おかしい”ものは”おかしい”と訴てきたわけですが、、今回の最後の闘い(受刑者の母親の責任、会社の責任)においても、皆様や20万人の署名、6人の子ども達に導かれ、おおむね納得のいく判決とすることが出来ました。 

 

 

 いずれにしても、上記兄弟、祖父母の慰謝料の件を除けば、宇都宮地方裁判所が 2011.12.19の刑事裁判の判決に続き、今回の民事裁判でも行った意義のある判決が、単なる判決の報道にとどまらず、今後の事故防止に向けた社会へのメッセージとなることを願っています

 

 

 

 

 

 

 

 


6人の子供たちが残したもの

2013-04-21 | 日記

鹿沼6児童死亡事故から2年、700人が天国の6人に献花

(4月18日 朝刊   下野新聞)

 鹿沼6児童死亡事故は、きょう18日で発生から丸2年を迎える。被害児童が通っていた鹿沼市北押原小では17日、体育館に献花台が設けられ、同級生や保護者ら関係者約700人が追悼の祈りを天国の6人にささげた。

 献花台には、六つの笑顔の写真が並んだ。予定の午後5時を待たずに、手をつないだ親子連れや制服姿の中学生らが次々と花束を持って訪れ、目を閉じて手を合わせた後、6人へのメッセージをカードにしたためた。

 献花台はカーネーションなどカラフルな花束や菓子、ぬいぐるみなどで埋め尽くされ、写真の横にはサッカーや野球ボールも飾られた。午後8時まで訪れる人は絶えなかった。【下野新聞】

 

 

18日、仕事から家に帰ると、皆様から頂いたたくさんの献花やメッセージが届けられていた。

また、忙しい中たくさんの方々が訪れ、大芽に手を合わせてくださっていました・・・

2年たった今も、変わらず6人の子供たちの死を自分のことのように悲しみ、そして、ずっと我々を支えていてくださっている皆様の優しさに対し、どのようにこの感謝の気持ちを皆さんに伝えたらいいのか・・・

言葉もみつかりません。

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子供たちや皆様からの大芽へのメッセージや手紙には、あふれるほどの優しさや皆様の思いが込められていました・・・

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本来、これらの手紙は大芽に渡されたものであり、読んではいけないのかもしれませんが、メッセージや手紙には、子供たちの優しい気持ちがあふれていました・・・

一生懸命書いてくれた文字一つ一つには、命の大切さ、失った友達への ”命への思い” が込められていました・・・ 

 

私たちの子供たち6人は、残念ながらルールを守らない大人によって 一人に一つしかない大切な大切な命を奪われてしまいました。

だから、北押原小学校の仲間たちや、大芽たち6人のことを知っているみんなには、その小さい胸でそれぞれに感じたこれらの手紙にこめられた ”命への思い” をこれからも持ち続け、また、我が子を想う私たちの姿を見て、「自分はどれだけ親に愛されているのか・・・」 「今、自分が生きていることがどれほど幸せなことか・・・」 とか、そういう気持ちを大切に、社会のルールを守れる優しい大人になっていってほしいと願っています。

 

それが、6人が仲間たちに残したものかもしれないから・・・

 

 

4月24日は、民事裁判の判決です。

北押原小学校の子供たちは、この事故を通じ、”ルールを守って生きることの大切さ” ”命の大切さ” を知りました・・・  

しかし、子供たちがどんなにルールを守っても、どんなに命の大切さを知っても、大人がルールを守らず、命の大切さを知ろうとしないのでは、同様の悲しい事故は無くなりません。

受刑者の母親や受刑者の勤務先の取るべき行動は何だったのか・・・・

車を買い与えることでも、裁判で嘘の証言をすることでもなかったはずです。

何をすべきだったのか・・・・

どうすれば自分の子供を犯罪者にしなくてすんだのか・・・

どうすれば未来ある6人の子供たちを殺さずにすんだのか・・・

 

そういうことを・・・

「事故原因の本質」を・・・明確に示す裁判の判決であってほしいと願っています。 

 

 


「事故原因の本質」に目を向けるため、やるべき最後のこと

2013-04-13 | 日記

悪質運転の罰則強化 新法案を閣議決定

(4月13日 下野新聞 朝刊)

 鹿沼6児童死亡事故などを受け、政府は12日、悪質運転による事故の罰則を強化する新法案を閣議決定した。発作を伴う病気の影響などによる死亡事故を15年以下の懲役とする罰則の新設が柱。現行の危険運転致死傷罪(法定刑上限・懲役20年)より一段階軽い罰則規定を新たに追加した。今国会での法案成立を目指す。早ければ年内にも新法が施行される見通しだ。

 法務省によると、新法案は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」。刑法から自動車事故の関連規定である危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪を削除、新設罰則とともに新法にまとめた。

 現行の危険運転致死傷罪は、飲酒などで正常な運転が困難な状態で起こした事故に対象を限定。てんかん発作が原因とされた鹿沼の事故は対象外とされ、自動車運転過失致死罪(同・懲役7年)が適用された。量刑の開きに遺族からは不満の声が上がっていた。

 新法案は危険運転致死傷罪に、運転に支障を及ぼすおそれがある病気の影響で「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運転し、人を死傷させた」場合の条文を新たに追加。病気はてんかんや統合失調証などを政令で指定し、死亡事故で15年以下、負傷事故で12年以下の懲役とする。酒や薬物の影響による死傷事故にも同じ罰則を適用する。

 また飲酒運転で死傷事故を起こし、飲酒の発覚を免れるため事故後に酒を飲んでごまかしたり、逃走したケースを12年以下の懲役とする「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」も新設する。 従来の危険運転致死傷罪の対象に、通行禁止道路での高速走行を追加。無免許運転で死傷事故を起こした場合に刑を3~5年重くする規定も設ける。現行の自動車運転過失致死傷罪は「過失運転致死傷罪」に改称する。 【下野新聞】

 

 

12日、上記法案が閣議決定された・・・

クレーン車事故から2年・・・

皆様から頂いた20万の声、事故撲滅への思いが、ようやく実現しようとしている。

 

皆様から頂いた署名が国を動かし、

 

事故当初、相談窓口の設置や、協会、学会への通知など、小手先だけの対策で、「事故原因の本質」に目を向けようとしなかった警察(警察庁)が、自己申告という運転免許交付制度の問題に気が付いてくれた・・・

 

そして、法務省も、悪質な事故に対し、「自動車運転”過失”致死罪」という量刑(上限7年)の軽さが、命の重さや遺族の処罰感情からあまりにもかけ離れているという現実に気が付いてくれた・・・

 

 

最近の取材で、記者さんから、

「これから、何か活動される予定はありますか?」と聞かれることがありますが、

私達は、上記のように、警察庁(自己申告の免許制度)、法務省(条文が限定的で、悪質であっても該当しない)・・・と、一つ一つ、おかしな事はおかしいという事を訴えてきました。

そして、それを各省庁が原点に立ち返って、「事故原因の本質」に目を向けてくれました。

 

その他、我々がやるべき最後のことは何か・・・

母親と会社の責任を明確にし、

「私にも責任はあると思っています。ただ、事故のあの日、私がどんなふうに止めても、あの子は私をけがさせようが何だろうがでていってクレーンの運転をした。そこだけは分かってほしいと思っています」  と民事裁判で意見陳述する母親に対し、

あの日だけではなくて、それまでの生活の中で何をすべきだったのか・・・

母親や会社はどのようにすれば事故は防げたのか・・・ということを、

この民事裁判を通じ、世の中に示すことです。

それが、「事故原因の本質」 に目を向けた我々の最後の闘いだと思っています。

 

4月24日(水)の民事裁判の判決では、

母親、会社の責任を明確に示し、加害者も被害者も生まない車社会の実現に向けたメッセージとなる判決が出ることを願っている。