あの日 鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の想い - blog -

てんかん無申告で運転免許を不正取得したクレーン車の運転手により、登校中の児童6人が歩道上で轢き殺された事故【遺族ブログ】

平成25年4月24日(水) 民事裁判 判決

2013-04-24 | 日記

鹿沼クレーン車事故 民事訴訟きょう判決 母親の法的責任どう判断 栃木

産経新聞 4月24日(水)7時55分配信   

 平成23年4月の鹿沼クレーン車事故で犠牲になった児童6人の遺族ら34人が、クレーン車を運転していた柴田将人受刑者(28)と母親(50)、当時勤めていた重機リース会社を相手に計約3億8千万円の損害賠償を求めている民事訴訟の判決が24日、宇都宮地裁で言い渡される。てんかんの持病がある柴田受刑者の薬を管理し、免許取得を助けた母親の法的責任をどう判断するかなどが争点となっている。(野々山暢)

 「可能ならば刑事裁判で母親の責任を問いたかった。過去の裁判で嘘の証言をしてまで運転を続けさせた責任は重い」。事故で大森卓馬君=当時(11)=を亡くした父、利夫さん(48)は語気を強める。

 訴状によると、母親はクレーン車事故の約3年前に柴田受刑者が発作を起こして男子児童に重傷を負わせた事故の刑事裁判に出廷。証人尋問で「居眠りが原因」と述べ、持病に関して言及しなかった。また、医師から病気の影響で運転免許取得が制限されることを忠告されていながら教習所や車の費用を負担。過去に事故を何度も起こしたにもかかわらず、クレーン車免許取得の学科試験の際も駅まで車で送り、受験を手助けしたとされる。

 クレーン車事故当日も柴田受刑者が前日夜の分の薬を適切に飲んでいないことを知っており、遺族側は「運転に積極的に加担し、当日も母親が運転を止めていれば事故は発生しなかった」と訴える。

 これに対し、母親側は「柴田受刑者は成人しており、母親が親子の情愛として薬の管理をしていても(薬を管理する)義務があったことにはならない」と反論し、「情愛によって成人の薬を管理しているてんかん患者の親が、管理していない親より重い責任を負わされることになるのは不当」と主張する。昨年11月の第5回口頭弁論で母親は「あの日、どう止めても息子は運転していた。それだけは分かってほしい」と述べ、改めて法的責任について争う姿勢を示した。

 重機リース会社について遺族側は「柴田受刑者はクレーン車事故以前に2回、作業中に意識を失ったことがあった」と指摘。「従業員が重機を操作する適格性があるか(検査をして)確認する義務を怠った」として使用者責任だけでなく、監督上の過失を追及している。

 判決を前に、伊原大芽君=当時(9)=の父、高弘さん(41)は「亡くなった子供はもう帰ってこないが、事故撲滅に向けて闘ってきた。事故原因の本質に目を向けて、母親と会社がいかに行動すべきだったか、明確に示してもらいたい」と話した。【産経新聞】

 

 

 

 本日24日、クレーン車事故の民事裁判の判決がありましたので、ご報告させていただきます。

 13:15、宇都宮地方裁判所にて民事裁判の判決があり、裁判所は、「母親の責任」を明確に認めてくれました。

 

【要点】

・被告将人による自動車の運転行為により歩行者等生命、身体及び財産に対する重大な事故が発生することを予見できた。

・被告将人が免許の欠格事由に該当していることを認識していながら、自動車等を買い与え、運転免許が必要な車両を運転する契機を作出した。 

・自動車を買い与え、運転免許が必要な車両を継続することに積極的に加担してきた。移動式クレーン車免許の取得についても、その取得に加担した。 

・被告将人が免許の取り消し事由に該当することが第三者に発覚し、免許が取り消されることの無いように振る舞うことによって、第三者をして被告将人に運転を断念させる機会をも喪失させてきた。 

・医者など第三者に対してそのことが露見する機会を被告将人と一緒になって消滅させてきたことにより、処方された抗てんかん薬を処方どおりに服用していない状態での柴田被告による運転行為により生じる危険を被告将人とともに引き受けた。 

・会社に通報することは容易であった事からすれば、本件事故の発生を回避することができた。 

被告会社に対する通報義務を負っていたにもかかわらず、これを果たさなかったがために本件事故が発生したのであるから、本件事故により生じた損害を賠償する責任を負うべきである。

 

 

 第5回口頭弁論で母親は、「あの日、どう止めても息子は運転していた。それだけは分かってほしい」と我々に向け述べていましたが、自分の子供を犯罪者にしないためにも、そして、他人の大切な命を奪ってしまわないためにも、あの日・・・だけでなく、あの日以外にやるべきこと、すべきことはなんだったのか・・・今回の判決の主文を読んで、自分で気付いてほしいと願っています

 

 

 その他、今回の判決では、会社の責任も、715条(709条は回避)ではありますが、認めました。

 これについては、裁判の性質上、715条で責任は認められているのだから、709条を審議するまでもない・・・ということなのだと理解しましたが、単に「雇っていたのだから仕方がないでしょっ」みたいな結果を訴えた裁判ではないので、その点については残念な思いでいます。

 

 

 兄弟や祖父母の訴えについては、あまり判例がなかったとしても、せめて、仲の良かった兄弟が血だらけで倒れている姿を目撃せざるを得なかった兄弟、その子たちが心に受けた精神的な衝撃というもの認め、事故の悲惨さというものを社会に示してほしかったという思いがあり、これについては、残念な思いがします。

 

 本来、この事故により受けた悲しみや心に受けた衝撃は、被害者はもとより父母、兄弟、親戚、子供たちの仲間・・・地域の皆さん・・・その他たくさんの仲間の悲しみであったわけで、「たくさんの人がこんなにも残酷な事故によって、大切な人を亡くし、心に深い悲しみを受けたんですよ・・・」 そして、 「この深い深い悲しみを一生背負って生きていかなくてはならないんですよ・・・」

 そういう遺族や仲間たちの思いや現実を判決で社会に示してほしかったと思っています・・・

 

 しかしながら、我々は、今まで、皆様のお力添えの下、警察・・・警察庁・・・法務省・・・と、一つ一つ”おかしい”ものは”おかしい”と訴てきたわけですが、、今回の最後の闘い(受刑者の母親の責任、会社の責任)においても、皆様や20万人の署名、6人の子ども達に導かれ、おおむね納得のいく判決とすることが出来ました。 

 

 

 いずれにしても、上記兄弟、祖父母の慰謝料の件を除けば、宇都宮地方裁判所が 2011.12.19の刑事裁判の判決に続き、今回の民事裁判でも行った意義のある判決が、単なる判決の報道にとどまらず、今後の事故防止に向けた社会へのメッセージとなることを願っています