平成24年5月16日(水) 17:00~ 衆議院第一議員会館 多目的ホールにて、「民主党法務・内閣・厚生労働合同部門会議」 という会議に参加してきました。
会議は、遺族会、てんかん協会からそれぞれ意見を聞くというもので、発言時間は、遺族、てんかん協会ともに15分でした。
15分という短い時間では、到底、我々の想いを伝えることは難しいのですが、遺族で話し合った結果、4月9日に大臣に提出した「請願書」読み上げることが一番伝わると思い、「請願書」の読み上げをメインに説明いたしました。
発言は下記のとおり行いました。
【代表挨拶】
【請願書読み上げ】
【請願書読み上げの後、説明】
【大臣の発言に感謝】
「17万の署名簿を重く受け止め、真正面から取り組む」の発言には、本当に感謝いたします。
【だけど遅かった】
4月9日に我々が署名簿を提出するまで、国は動かなかった・・・
署名提出後の3日後、京都・祇園で、同様の事故により7名もの命が奪われてしまいました。
運転手も命を落としてしまいました。
防げた事故であり、救えた命です・・・ 残念でなりません。
【そして・・・】
我々のクレーン車事故の後、警察庁が打ち出した対策、「相談窓口の設置」、「申告の工夫」
「ポスターの掲示」、「居眠りと不自然な供述をする者への捜査の徹底」、「関係団体への協力依頼」、これらの対策では、事故は減らすことはできても、防ぐことはできないことが証明されました。
【私達が言いたいこと】
事故の本質に目を向けてください!
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【柴田の事故歴・・・】
これについては、過去10年間で12回もの事故を起こしていることを時系列でみていただけるように、資料として作成しました。一つ一つ説明している時間はありませんでしたので、特筆すべき点について述べました。
・過去10年間で12回もの尋常でない事故件数
・小学生でてんかんと診断されていても、高校生で原動機付自転車の免許を取得し、その後、普通自動車免許取得、更新、そして、移動式クレーンの免許まで取得出来てしまうこと。
・我々の事故の3年前に、鹿沼市御成橋町というところで、普通車を運転中にてんかん発作を起こし、歩行者(当時10歳)に衝突させる人身事故を起こしていながら、「居眠り」で裁判が終了してしまったこと。
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【柴田受刑者の裁判での発言】
これについても、時間がありませんでしたので、作成資料の中で、一つだけ紹介しました。
検察 Q)過去12回の事故は、何が原因で起こったと思いますか?
柴田受刑者 A)運が悪かったからです。
※上記、事故歴の一部と裁判での発言の一部を説明した上で
昨年のクレーン車事故以降に警察庁が打ち出した対策、「相談窓口の設置」や「ポスターの掲示」等では、事故を防ぐことができたでしょうか? と問いかけました。
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【過失とは何なのでしょうか・・・】
こんなにも反社会的で悪質な事故であっても、”刑法に当てはまる条文がない”ため、”過失”となってしまいます。
過失とは何なのでしょうか。と問いかけました。
【あの日・・・】
上記、発表させていただきましたが、15分というではありましたが、我々の想いは、お集まりの議員さんたちに伝えることはできたのではないかと思います。
【てんかん協会さんの発言について】
てんかん協会さんの主張は、我々の法改正の内容(2点)に対する意見というような形で発言されていました。
厳罰化については、このような違法行為による事故の加害者は危険運転致死傷罪で処罰されるべきだということで、我々の主張に賛同はするが、病名による差別が助長されかねないため、てんかんだけに特定しないでほしいということでした。
そして、不正取得のできない免許制度の構築については、自己申告こそが、成熟した社会の最良の方法・・・とのことでありました。
【出席議員等の質問等について】
出席されていた議員さんたちは、この問題を真剣に考えてくださっていることが、質問の内容からも伝わってきて、とてもありがたかったです。
質問としては、議員の方々も、「てんかんだけに限定されなければ、危険運転致死傷罪の適用でも構わないか?」との質問に対し、協会さんも賛同していましたので、ルールを守らない無責任な運転者に対する厳罰化、事故の抑止効果のためにも進めていってほしいと思います。
また、中には、協会さんに対し「もはや啓発活動だけでは限界なのではないか?」との質問をされている方もいて、それに対して、協会さんも、私達も無理だと思っています・・・と回答をされていましたので、やはり、我々の意見としては、自己申告の免許制度はもはや限界であり、啓発活動や警察署の相談窓口の設置、ポスターの掲示等では、事故は減らすことはできても、防ぐことはできないということを感じました。
その他も、かなり突っ込んだ議論がありましたが、この部門会議での単なる質問や意見、ということでなく、今後の法改正に向け、現行法や制度の何が問題なのか・・・という「事故の本質に目を向けた会議」を行っていってほしいと思います。
そして、必ずやり遂げてほしいと思います。
【最後にどうしても聞いておきたかったこと】
昨年のクレーン車事故直後から、栃木県警に対し、何度も質問していたことがあります。
それは、今、何人のてんかん無申告の方が運転をし続けているのか?ということです。
そのことを知らなければ、事故原因の本質を知ることはできませんし、知らないことのほうが問題であると感じましたし、何よりも、また、明日、同様の事故が起きてしまうと思ったからです。
回答としては、「個人情報だから調べることができない」 とのことでしたが、私は言い続けてきたことがあります。
「それがわからなかったら、あなたが帰りに同様の事故で死んでしまうかもしれないし、明日、私が死んでしまうかもしれない。ましてや、明日の朝、小学生の列に突っ込んでしまうかもしれないし、今、突っ込んでしまうかもしれないのですよ」
このことを言い続けてきましたが、教えていただくことはできませんでした。
しかし、今回、部門会議の質疑の中で、遺族側にも質問の機会が与えられ、上記に伴う質問をし、その答えを知ることができました。
(遺族質問)
てんかん患者さんは、100人に1人、つまりは全国に120万人くらいいると聞いております。
そこで、それほどの患者さんがいる中で、仮に、3分の1が大人であったと仮定した場合、40万人(120/3=40)が運転していることが想定されますが、警察庁さん、またはてんかん協会さんでは、今現在、何名のてんかん患者さんが運転免許の取得、更新の際に申告されているのかご存知でしょうか?
(警察庁回答)
昨年のクレーン車事故後、H23.5~H24.2 までに申請した件数は 2430 件 です。
(遺族再質問)
全国の数字を教えてください!
(警察庁)
全国の件数です。
上記については、自己申告の率を知る上でもどうしても知りたかった件数でした。
昨年から、ずっと栃木県警に「今何人の無申告者がいるのか、栃木県だけでも教えてください」と言ってきたことでした。
しかし、今回、初めて知って、愕然としました・・・・
2430件/1年 ということは、ゴールド免許であったとして、更新期間の5年、5倍したとしても 12150件(2430×5=12150件) なのです。
つまり、自己申告という免許制度では、仮に、120万人のてんかん患者さんのうち、3分の1が運転していると仮定して、40万人(あくまで仮定した数字)で割ると、
12,150/400,000 =0.03
3% の自己申告率!
100人でたとえるならば、
100人 のうち 3人しか申告していない!
ということになってしまうのではないでしょうか・・・
てんかん自己申告の免許制度の問題・・・
みなさんはどう考えるのでしょうか・・・
<法改正要望内容>
1)刑法の条文改正(法務省)
・てんかん無申告の運転免許不正取得者による死傷事故に対し、危険運転致死傷罪が適用となるよう、刑法の条文改正を要望します。
2)運転免許交付制度の改正(警察庁)
・てんかん自己申告の運転免許制度の問題に対し、確実に不正取得が出来ない運転免許交付制度の構築を要望します。
鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の会