平成23年4月18日、午前7時43分、通学路の歩道を集団登校していた私の息子、大芽は、ルールを守ることのできない人間である柴田将人の運転するクレーン車に轢かれ、無惨にもわずか9歳の命を奪われてしまいました。
私にはメイという娘がいます。メイが仲良しの弟である大芽と最後のお別れをしたときに、天国の大芽へ手紙を渡しました。メイの気持ちは私の気持ちであり、また、メイの無念の気持ちをお伝えするためにも、ご紹介しようと思います。
「大好きなタイガへ・・
今までたくさんの笑顔をありがとう。
タイガは、いろいろなひとにであえたよね。
パパには、サッカーを教えてもらったり、いっぱい旅行などにつれていってもらってうれしかったよね。
ママには、いっぱいだっこや いっしょねたりしてもらったり やさしくしてもらって パパとママの子に生まれてよかったよね。
ちよこおばちゃんには、いっぱいいっぱいあそんでもらったよね。
ようさくおじちゃんには、つりにつれていってもらったりしたよね。
あきらおじちゃんには、てじなを教えてもらったよね。
とよこおばちゃんには、かわいがってもらったよね。
あきらおじちゃんと とよこおばちゃんには 何でも買ってもらってよかったよね。
ホウ、ひろとしくん あっちゃん かっちゃん てるみちゃん ひろくん まーくんやのことを知っているみんなに 遊んでもらったり、かわいがってもらったりして楽しかったよね。
だから、みんな悲しいなぁ・・・・
あと、いじわるばっかりしちゃってごめんね。いっぱいおごってあげればよかった・・・
より目もすごかったね。かた目がより目でもう片方の目がふつうの目に出来るのもすごかったね。
サッカーも、一生懸命にボールを追いかけて タイガ かっこよかったよ。
もっともっとドッジボールやサッカーであそびたかったなぁ・・・
英語の宿題もちゃんとやってえらかったね。
守ってあげられなくてごめんね。
いろいろなところに行ったの覚えてる・・・海、ディズニーリゾート、プール・・・本当にいろいろな所へ行ったんだよ。
全部4人で遊んだから楽しかったんだよね。
タイガとの思い出ずっとわすれないよ。
最後になるけど、メイは ずっとタイガのお姉ちゃんだからね。
だから、ずっと弟でいてね。
タイガの分も2倍に生きるからね。
あと、タイガは香川選手みたいになれたと思うよ。
この手紙に書ききれないほど思い出などがあるけれど、伊原家に生まれてきてくれてありがとう。
本当にありがとう。感謝しているよ。
運転手、絶対許さないから」
メイより
これが、大芽の姉、メイが、大好きだった弟に宛てた最後の手紙の内容です。
メイは、事故のことはあまり話しません。しかし、メイは、事故の時に、大芽と一緒に登校していたのです。
わずか11歳のメイが、血だらけで横たわる弟を間近に目にした衝撃はどれほど大きかったことでしょう。そのうえ、「守ってあげられなかった」などと自分を責め、苦しんでいるかと思うと、私の胸も苦しさでいっぱいになるのです。
この事故は、起こらなくて済んだはずの事故です。
柴田被告人が自分のやったことを反省できていれば事故は防げました。
医師の忠告に耳を傾けていれば事故は防げました。
3年前の事故の裁判で、被告人の母親が正直に全てを話していれば、結果は違っていたはずです。
6人の子供は死なずに済んだはずです。
3年前の裁判で、被告人には執行猶予というチャンスが与えられました。しかし、柴田被告人は、裁判官の期待に応える気持ちなど無く、自らの行動を改めることをせず、死ななくても良かった6人の子供達を重量12トンものクレーン車でひき殺しました。
だから私は、柴田被告人がこの裁判で、「反省している」とか「二度と運転しない」と言ったとしても、そういう言葉を信用できません。
裁判官にお願いしたいのは、二度と同じような犠牲者を生まないようにすること・・・悲しい思いをする人を出さないこと・・・
そのために、被告人に対し、6人の死について心の底から反省する機会を与えてください。
それは、最大の刑でしかもたらされないと思います。
今の制度で7年の懲役刑しか科すことができないのであれば、懲役7年以外の刑はあり得ないと思います。
伊原大芽 父 伊原高弘
↓
以上、大芽のために・・・
柴田被告人には何も伝わらないかもしれませんが、せめて、裁判官には、防げたはずの事故で子供を殺された我々の苦しさが伝わり、必ずや懲役7年の判決が柴田被告に科されることを信じて、本日、被害者意見陳述をしてこようと思っています。