あの日 鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の想い - blog -

てんかん無申告で運転免許を不正取得したクレーン車の運転手により、登校中の児童6人が歩道上で轢き殺された事故【遺族ブログ】

言葉にならない感情と思い

2017-05-27 | シンガーソングライター半崎美子
4月30日、メジャーデビュー後初の宇都宮ベルモールでの半崎さんのライブ・・・
今回の宇都宮ベルモールは、昨年のベルモールとは全く違う光景で、人、人、人・・・人であふれかえっていた。
苦労の末夢を掴んだ半崎さん、その目の前に広がるこの光景に涙がぽろぽろとあふれた。

サイン会では、「おめでとうございます」と言おうと思ったけど、いざ自分たちの順番が来て、半崎さんの前に来たときは、涙があふれただけで、かみさんも自分も言葉にならなかった。
「言葉にならない思い」「言葉にしなくても伝わる思い」そんな素敵な感情を体験した日でした。
生きる意味を見失っていた自分に、生きる意味を教えてくれた半崎さん・・・彼女が今いる現状は、誰かの幸せを願い、誰かの悲しみにそっと寄り添うことが出来るそのやさしさがそうさせているのだと思うし、そんな人こそが幸せになるべきだと心の底から願っている。

大芽たち6人は、歩道上でてんかんの持病無申告で不正に免許を取得したクレーン車の運転手に轢かれ亡くなりました。
僕は、裁判で、被告の言動や、大人である被告のあまりにも無責任で自己中心的な生き方や、自分だけの命が命であって、奪ってしまった大切な命へは何の思いも感じることのないその姿に触れ、心底人間という生き物が嫌いになり、そんな大人に轢き殺される子供たちを助けてくれなかった神様さえも恨んで今まで過ごしてきました。
だけど、今回、半崎さんが報われたことで、「この乾いた世の中であっても、誰かの悲しみに寄り添い、誰かの幸せを願う思いを真実の言葉でその歌詞やその楽曲に込めている素敵な生き方をしている歌手、そんなを歌手さんをちゃんと見てくれている人がいたのだと・・・」、嫌いになっていた人間という生き物や世の中、人の運命や人生というもの、そして神様の存在にも、希望や光みたいなものを感じることが出来ました。

また、このライブでの半崎さんとの再会については、下野新聞の記者さんが記事にしてくれました。
記事にしてくれた記者さんは、クレーン車暴走事故発生当初から裁判、判決、真冬の署名活動や国会での法改正の署名提出、参考人招致、法制審議会、各種記者会見、改正道路交通法成立、自動車運転死傷行為処罰法成立の瞬間など、全ての場面で僕たち6家族を、記事を通じて共に戦い、共に涙してきてくれた記者さんでした。
法改正を成し遂げることが出来たのも、彼が絶えず記事にし、残された家族や亡くなった子どもたちの思いを世の中に訴え続けてきてくれたからこそ、出来たことだと思っています。
そんな彼が、今回の記事を通じて、「これまで幾度となく記事にしてきたような悲しい表情だけでなく、笑顔で前を向く伊原さんの表情を、大芽くんとともに写真におさめ、記事に出来たことが嬉しかった」と言ってくれました。
そんな記者さんだからこそ、僕たち家族もそうですが、この記事のその先にある「どこかの誰かの心を救いたい」という記者として、そして人としての思いを感じました。

「明日へ向かう人」という曲・・・
苦しみや悲しみを心に閉じ込めて生きている多くの人の心に届くことを願っています。

感謝…

【2017年5月1日付 下野新聞】