読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

総火造り鋏:手仕事 伝統の技と心/VHS

2010年04月02日 07時50分00秒 | ■見る
昔々、母が手縫いで縫い物をしているのを、ずっと見つめていました。ある時、布の一端を挟んで固定するもの(バネで布を挟む物です)が壊れてしまいました。バネが壊れたのだと思います。母が困っているので、ふと思いついて、輪ゴムをバネの代わりにすれば良いと言うと、みごとに上手く行き、母がひどく歓び私を褒めてくれました。余りしかられた記憶がありませんが、思い返すと、母に面と向かって褒められたのはその時だけだったのではないかと思います。
さてある時、母が布を切る時に使っている裁ちバサミを、無断で使いました。何を切ったのか、今となっては覚えていませんが、後で、珍しく母にしかられた(というよりも悲しそうに愚痴った、というのが本当かもしれません)ことを思い出します。裁ちバサミは、切れ味が良くないと本当に使いづらい。だから母は困ったのだと思います。
つい2,3年前、リサイクル市で、刃こぼれして切れなくなった裁ちバサミを買い求め、時分で刃を研いで使っています。真っ直ぐ切るのが苦手ですが、非常に切れ味が良く、今は亡き母を思いながら切れ味を楽しんでいます。
さて、本作品は、千葉県成田市の鍛冶職人が、すべて手作りの裁ちバサミ(総火造り鋏)を製造する過程を詳しく紹介しています。軟鉄を寸法に切断して、熱して叩く、その繰り返しは数千回に及ぶそうです。何より驚くのは、あの複雑な形を、型を使うことなく、すべて手で叩きあげて作るのでした。殆ど形が出来上がってからヤスリで擦って仕上げる程度です。手仕事との素晴らしさを、またしても実感しました。
評価は4です。

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