
「アレクサ VS シリ ボイスコンピューティングの未来」でディープラーニングについて概略を理解していましたが、顔認証においてもディープラーニングが働いているとのことです。
著者は、大学院からNECに入社し企業内研究者の道を歩き始め、全く新しい世界で結構重要な役割を担うことになったそうです。
以来、ひたすら顔認証の技術開発に取り組み、アメリカの公的機関によるコンテストで、何年も世界一位の栄冠を収め続けたそうです。
本書は、顔認証以前の個人識別技術の歴史を概観し、関連する技術的な変遷を辿っています。
その際、認証の肝となる識別技法を、例え話を交えて分かり易く解説しています。
また、ディープラーニングの仕組みについても、先に読んだ本とは異なり、実に分かり易く解説していて素晴らしい。
本書のハイライトは第3章の「世界との闘い」です。
認識能力を比較するコンテストへの挑戦です。
厳しい開発競争の中で一位を取った苦闘の跡を辿っています。
一方で、過酷な環境下での研究活動を、どのようにマネジメントしたのかを明らかにしています。
理屈としては分かりますが、実践できる人は希ではないかと思える状況のようで、これもアッパレです。
更に、開発した技術の応用と普及についても述べ、それらの技術が社会に受け入れられる為に必要な諸要素についても触れています。
技術だけでなく、技術と社会との関係にも目配りが行き届いており見事と思います。
熱い感動と著者への敬意を覚えた著作でした。
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○今岡仁 ○顔認証
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評価は4です。
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〇カメラまかせ 成り行きまかせ 〇カメラまかせ 成り行きまかせその2
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