読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

花まんま

2011年07月16日 20時54分42秒 | ■読む
朱川湊人(しゅかわみなと)著、文春文庫刊
6つの作品で構成されている短編集です。作者は1963年に大阪に生まれ、高校から大学は東京の学校に通った。そして、戦後の貧しい世相が高度経済成長を迎える昭和40年代に、多感な少年時代を過ごしたようです。そうした大阪の下町を舞台にした以下の短編が収録されています。
●「トカビの夜」 => 差別を受けている朝鮮人一家の病弱な次男と一時交友した主人公の少年が体験したある夜の鮮烈な印象の物語です
●「妖精生物」 => うさんくさい大人から譲り受けたクラゲのような生き物を飼っていた少女が体験した忘れがたい記憶
●「摩訶不思議」 => どうしようもない叔父さんが死んだ後に巻き起こったてんやわんやな出来事で、人生にとって大事なことを学んだ少女の物語
●「花まんま」 => 生まれ変わりの少女を妹に持った少年が体験する哀切な物語
●「送りん婆」 => 人を死出の旅路へ導く、ある呪文を巡る一族の末裔たる少女の忘れがたい物語
●「凍蝶」 => 差別されて育った少年が、ふとしたことで出会った、年上お姉さんは、病弱な弟を思い、辛い仕事に就いていた。そして、弟が死んだ時に・・・
かつての貧しく、けれども精一杯生きていた時代を背景にした哀切な六つのことなった味わいの物語を紡いでいる秀作でした。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/朱川湊人
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評価は5です。

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