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風 信(かぜのたより)

海風に乗せて

テリハからオオバキへ

2013-05-03 | スミレ

テリハタチツボスミレ 13.5.3 敦賀市

私の懸案だったテリハタチツボスミレ、
花は終わっていましたが見ることができました。
一目瞭然という言葉であってるのでしょうか?

鳥取で「ひょっとしたらテリハかも・・・」
なんて想いは一蹴されてしまいました。

全く別物、やっぱり本物を見なくちゃだめですね。


そして、午後から山上がり。
ほぼ西限のオオバキスミレを見てきました。

う~・・・、確かにオオバキなんでしょうが、
素人目にはダイセンキスミレやナエバキスミレに近いような・・・。
もう少し帰ってから報告したいと思います。


ということで、「福井の若狭なう!」です。



赤坂山 13.5.3 明王ノ禿


オオバキスミレ 13.5.3 黒河峠

黒河峠の黒河、
「くろかわ」って読むと思ってたんですが、
「くろこ」ってよむらしいです。

地名って難しいですね。

岡山、広島の・・・(4)

2013-04-21 | スミレ
続いては異形のスミレです。

不明種(1)、(2)とも山道の山側法面で見た有茎種のスミレ。
すぐ隣り合ってタチツボスミレとともに咲いていました。

不明種(1)の花はタチツボスミレより一回り小さく、
写真では分かりにくいですが、側弁に疎らな毛があります。
萼片の先端は鋭く尖り、付属体には切れ込みが見られる。
ただ切れ込みはすべてに見られるわけではなく半円を描くものも認められる。

花柱の先端は下向きに曲がっているようにも見えるが、
観察漏れ、おまけに写真もピンボケ??


不明種(1) 13.4.9 広島県

現地では気がつかなかったのですが、
上の蕾には本来の距の他に2本の角のような距が見えます。
ときたま鳥取でも見ますね。
種の同定に直接関係するものではないですが、
本当に私の眼は節穴ですね(笑)。


不明種(1) 13.4.9 広島県

複数の株がマット状に広がっています。
花は少なく写真の花を含めてわずかです。
葉の形状は円形~心形で、基部も心形、葉質はやや硬く厚いようです。


不明種(1) 13.4.9 広島県

葉の両面、茎、托葉に毛が密生します。
パッとこれだけ見たらアオイスミレですが、
托葉にはやや切れ込みがはいっているようで、
全縁のアオイスミレとは異なります。

異形の不明種(1)は以上ですが、
改めて、現地での観察の大切さを思い知らされました。
それとカメラの撮影技術、ピンボケ、手ぶればっかりです。
三脚使ってみようか。


不明種(1) 13.4.9 広島県


次に不明種(2)。
ろくな写真がないのですが、
見ての通り花弁が矮小化しとっても小さいのですが、
萼片は普通の大きさなので、ちょっと見にはスミレの花には見えません。
比較のために1円玉を置いてあります。


不明種(2) 13.4.9 広島県

萼片の形状は不明種(1)とほぼ同じ。
葉や茎に毛は目立ちません。
というかありません。
托葉はよくいう櫛の歯状の切れ込みが顕著です。

葉の形状等は不明種(1)と同様ですが、
不明種(1)で顕著だった毛は認められません。

 
不明種(2) 13.4.9 広島県            不明種(2) 13.4.9 広島県


 
不明種(2) 13.4.9 広島県            不明種(2) 13.4.9 広島県

不明種(2)もけったいなスミレですね。
初見は単にタチツボスミレの異常花と思っていたのですが・・・。

どうも隣り合って花を咲かせている不明種(1)と(2)は、
兄弟(姉妹)のような気がします。

ただの感ですが・・・。
ただの感じをそのままいえる素人は楽でいいですね(笑)。

見た目の違いは沢山あるのですが、
雰囲気というかそんな感じが良く似てるんですよね。

近かったらもう一度写真撮りに行きたいんですが、
一応隣県でも広島って遠いんです。



さすが広島は分水嶺を越えた南側、
上記のスミレのほか、鳥取では見たことのない有毛のタチツボなど、
変わったスミレも多かったですね。

もちろん普通のノジスミレやコスミレ、ヒメスミレ、シハイスミレ、
オオタチツボスミレ、ナガバノタチツボスミレなどとも出会ったのですが、
今回は割愛とします。

あ~、やっと終わった、終わった。
1週間連日の更新です。
でもなんか、スミレオタク見たいで、複雑な気分です。

岡山、広島の・・・(3)

2013-04-20 | スミレ
昨日今日と急に寒くなりましたね。
昨夜の県境の峠は軒並み氷点下で、辰巳峠では-2.4℃まで下がったようです。
さっき県の雪道ナビを見たら奥大山の笠良原や笹ヶ平は真っ白でしたよ。


ところで、この前行った広島で見たスミレの続きです。

理由は分からないのですが、
スミレ類には葉が黒っぽく色づくというか変色するものがあります。
シハイスミレやヒカゲスミレはよく知られていて、
それぞれハグロシハイスミレ、タカオスミレという名もあり、
市民権を得ているようです。

今回の旅ではヒカゲスミレとヒナスミレの「葉黒」を見ることができました。
ただ、花期を外していたようで十分に花は見れませんでした。

下は唯一咲いていたヒカゲスミレ。
花期にはちょっと早かったようです。

少しですが葉がこげ茶に染まっていますね。


ヒカゲスミレ 13.4.9 広島県


ヒカゲスミレ 13.4.9 広島県

左のヒカゲスミレは全体が黒紫色に染まっているので、
ヒカゲスミレの葉黒タイプに名付けられたタカオスミレでよいのではないでしょうか。
ちなみにタカオスミレのタカオは高尾山の高尾です。

右手の葉はヒナスミレの葉黒タイプでハグロヒナスミレと呼ばれています。
そのまんまですね(笑)。

 
ヒカゲスミレ(タカオスミレ) 13.4.9 広島県   ハグロヒナスミレ 13.4.9 広島県

葉黒タイプではありませんがヒナスミレの花です。
こちらはヒカゲスミレと逆で、
花期はすでに過ぎて、わずかに咲き残っていたものです。


ヒナスミレ 13.4.9 広島県

岡山、広島の・・・(2)

2013-04-19 | スミレ
「百聞は一見にしかず」という言葉があるが、
このケイリュウタチツボスミレを見たとき、
「百読は一見にしかず」という言葉が浮かんだ。

これまで何度も図鑑や本を見ても、
タチツボスミレや山陰型タチツボスミレとの違いがわからず、
極端だが本当に変種として分類できるのか疑問にすら思っていた。

だが、実際に自生地で見ることによって疑問は氷解した。
確かにタチツボスミレや山陰型タチツボスミレと違う。

残念ながら花はまだ先のようで、
一部の株に小さな蕾が確認できたぐらい。
基本種とは花期が異なりずいぶんと遅れるようだ。
こんなところも分類のポイントかもしれない。

     
     ケイリュウタチツボスミレ 13.4.9 広島県

ケイリュウタチツボスミレは、
河川の上、中流域の河原や川岸に自生するタチツボスミレの渓流型変種として、
1970年代に認識されるようになった新しい種類である。

一番の特徴は葉の基部が切形~ごく浅い心形になることで、
花後には長三角形や基部が楔形になって全体が菱形に近くなるそうだ。
葉の表面にはやや光沢があり、葉の厚みも基本種よりありそうだ。

そして、私には確かめるすべもないが、
基本種のタチツボスミレに比べて種子の発芽率がよく、
加えて発芽までの期間が早いといわれている。


ケイリュウタチツボスミレ 13.4.9 広島県


ケイリュウタチツボスミレ 13.4.9 広島県

これまで鳥取県ではケイリュウタチツボスミレの自生地は知られていないが、
今後見つかる可能性もありそうだ。

ただ、鳥取は河川改修が進んでいること、
そしてなによりも流程が短く急傾斜の河川が多いため、
生育適地の河川環境はそんなに多くないような気がするが・・・。



花が全然無いのもなんなんで、
ケイリュウタチツボスミレの近くに咲いていたシロバナネコノメ。


シロバナネコノメ 13.4.9 広島県

もうひとつ、スハマソウ。
正確にはケスハマソウと呼ばれているタイプ。


ケスハマソウ 13.4.9 広島県 


カルスト地形 13.4.9 広島県

岡山、広島の・・・(1)

2013-04-18 | スミレ
岡山、広島の石灰岩地帯へ行ったんでしょ?

まさか温泉入って美味いもん食って、
大万木山に登っただけってことないよね?

いや、はい、スミレも見てきましたよ。

計画どおりとはいかなかったけど、
初の訪問なんでこんなもんでしょう、ってぐらいはね。

何回かに分けてちゃんと報告しますよ。

まずはイブキスミレ。


石灰岩の山、伊吹山の伊吹を名前にもつだけあって、
好んで石灰岩地帯や火山灰地に自生するスミレ。
西日本では伊吹山と中国地方中央部に広がる石灰岩地帯にそれぞれ隔離して分布する。


イブキスミレ 13.4.8 岡山県

訪問した岡山と広島の自生地は、ともにイブキスミレの盛期であった。
想像していたより花付きの良いスミレのようだ。


イブキスミレ 13.4.8 岡山県

花色は淡く淡紫色から白っぽいものまで見られたが、
透明感がなく、くすんでいるような感じをうけた。

もっとも目立つ特徴は側弁基部の毛で、
細く毛足の長い毛が密生している。
距は白く太い。


イブキスミレ 13.4.8 岡山県


イブキスミレ 13.4.9 広島県

イブキスミレは花期には無茎で、花後に茎を延ばす。
下の写真で株の下に髭のように垂れ下がっているものは、
根ではなく昨年延びて枯れたイブキスミレの茎。


イブキスミレ 13.4.8 岡山県


イブキスミレ 13.4.8 岡山県

ところで、最初にイブキスミレは石灰岩地帯に自生すると記したが、
必ずしも石灰岩地帯に普遍的に自生するわけではないようで、
よく知られている自生地周辺を少し回ってみたが、
イブキスミレを見出すことはできなかった。

今回の訪問の目的の一つとして、
鳥取県下でのイブキスミレ自生地発見の可能性は如何に、
というようなこともあったのだが、かなり可能性は低いような気がした。

出かける前は距離的に近い日南、日野のあたりならとも考えていたが・・・、
難しそうだ。

そういえば、東部の若桜町内に石灰岩の露頭があるらしい。
今度機会があれば行ってみよう。

谷川岳で出会ったスミレ

2012-07-20 | スミレ
谷川岳で出会ったスミレのうち、
ナエバキスミレとジョウエツキバナノコマノツメをアップします。


ナエバキスミレ 12.6.14 谷川岳

上越地方を中心とした亜高山に自生するナエバキスミレは、
オオバキスミレが小型化した変種とされていて、
谷川岳では灌木帯上部から稜線上の礫地によく見られます。

ダイセンキスミレに良く似ているといわれますが、
たしかに生育環境も良く似ていますし、
形態的にも稜線の礫地に生えている小型のものなどはそっくりですね。

ただ、ナエバキスミレが根茎を延ばして増えるのに対して、
ダイセンキスミレは実生で増える傾向が強いといわれ、
生態的に違いがあるようです。


ナエバキスミレ 12.6.14 谷川岳


ナエバキスミレ 12.6.14 谷川岳

 
ナエバキスミレ 12.6.14 谷川岳        ナエバキスミレ 12.6.14 谷川岳


ナエバキスミレ 12.6.14 谷川岳

茎は紅紫色を帯びていて、
葉の縁も同じように紅紫色を帯びるものもみられます。


ナエバキスミレ 12.6.14 谷川岳


ナエバキスミレ 12.6.14 谷川岳

標高の低い灌木帯に自生しているナエバキスミレの中には、
葉も大きくなり形態的には母種のオオバキスミレに近い個体も見られます。


ナエバキスミレ 12.6.14 谷川岳


次は咲き初めていたジョウエツキバナノコマノツメです。

超塩基性岩の影響を受けたキバナノコマノツメの変種といわれ、
葉が厚くがっしりしているのが特徴のようです。
主稜線で見かけましたが、個体数は少ないように感じました。


ジョウエツキバナノコマノツメ 12.6.14 谷川岳


ジョウエツキバナノコマノツメ 12.6.14 谷川岳


ジョウエツキバナノコマノツメ 12.6.14 谷川岳

この2種のほかミヤマスミレやタチツボスミレ類なども咲いていましたが、
尾瀬とも重複するので今回は省略です。

尾瀬で出会ったスミレ

2012-07-17 | スミレ
尾瀬で出会ったスミレたちです。

オオバキスミレは、
鳩待峠から歩きだして川上川の谷沿いまで下ると見ることができました。


オオバキスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原


オオバキスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

山の鼻近くまでくるとミヤマスミレ。
さすがに早咲きのスミレサイシンは花も終わり、
ミヤマスミレのそばでのびのびと葉を広げています。


ミヤマスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

山の鼻から水芭蕉やリュウキンカの咲く湿原を進んでいくと、
紫色の大柄なスミレの花が見えてきました。
オオバタチツボスミレです。

まだ開花初期のせいでしょう、
昨年北海道の原生花園で見たものよりだいぶ背丈が低いようです。


オオバタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原


オオバタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

 
オオバタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原    オオバタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

もちろん林縁にはタチツボスミレやオオタチツボスミレ、
湿った所にはニョイスミレも咲いています。

 
タチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原        オオタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原


ニョイスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

昨年知床で見たチシマウスバスミレに再会です。

急ぎ足で歩いていて息が切れていたこと、
そして木道から下りられないのでピントが合っていません(泣)。
きれいに撮ってあげられなかった言訳でした。


チシマウスバスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

以上、これまで見たことのあるスミレたち。

さて、今回初めて出会ったミヤマツボスミレですが、
尾瀬ではムラサキコマノツメとして紹介されることが多いようです。

ちょっと気になったので、
ムラサキコマノツメとミヤマツボスミレについて手もとの図鑑を見てみました。

いがりまさしさんの『増補改訂日本のスミレ』では、
ムラサキノコマノツメの記述そのものがありません。
ミヤマツボスミレについては、ニョイスミレの高山型とし、
分布は白山から八甲田山まで、
生育環境は東北では湿原、北アルプスでは林縁の草地としています。

そして、特徴としは葉が円形で、表面に微毛があること、
花が淡紫色を帯びること、
茎が地表をはい途中から根を出すことなどを挙げられています。

浜栄助さんの『増補原色日本のスミレ』では、
花が淡紫色をしているニョイスミレをムラサキコマノツメとし、
生育地に関係なくあくまで花色が変化した一品種という分類です。

そして、変種とされたミヤマツボミレについては、
白山から東北(八甲田山)の亜高山から高山に分布し、
葉は薄く表面には微毛が密に見られ円形、
花は淡紫色を帯びるものが多く、
花を除く外観はキバナノコマノツメ状と記述されています。
また併せて、
低く倒伏して匍匐茎を出して途中から発根し増殖する性質があるとあります。

私なりに理解すると、
葉や性質は変わらないけど花だけが淡紫色になるものがムラサキコマノツメ。
葉には微毛があり、先端はニョイスミレのように尖らず円形で、
匍匐茎から発根して増殖するものがミヤマツボスミレということになります。

さて、尾瀬でみた淡紫色の花を咲かせるニョイスミレに似たスミレは?
木道からの観察という制約もあり、
匍匐茎を延ばして発根というところまでは見ていないですが、
葉の形状や花の数が少ないなど、
明らかに典型的なニョイスミレとは雰囲気が異なっていました。

私としては浜栄助さんの説にしたがって、
ミヤマツボスミレとしたいですね。
尾瀬には尾瀬の分類の仕方ががあるのかもしれませんが・・・。

もうひとつ余分なことですが、
浜栄助さんのお膝元長野で発行されている
『信州のスミレ』のミヤマツボスミレの項には、
「…葉は円状心形で先端が尖る…」とあって、
浜栄助さんの記述とは異なっています。
えっ~、ですね。

まだまだスミレの分類は百家百説ですね。
そんなところが面白く、人を引き付けるのかもしれませんが・・・。

長くなりました。ごめんなさい。


ミヤマツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

 
ミヤマツボスミレ(葉) 12.6.13 尾瀬ヶ原 ミヤマツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原


ミヤマツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原


尾瀬ヶ原 12.6.13 

タチスミレ

2012-07-13 | スミレ
もう1ヶ月前のことになって気が引けるのですが、
一休みしたので、信州、上州行きの後半をはじめます。

まずはタチスミレです。
このスミレの見学も今回の目的の一つでした。

このスミレにも苦労させられました。
1日目は栃木県の渡良瀬遊水地で探したのですが見つけられず、
予定を変更して次の日に茨城県の自生地を訪ねました。

ところで、渡良瀬遊水地は足尾鉱毒事件で有名な
足尾銅山の鉱毒を沈殿させることを目的に計画され、
旧谷中村全村民の強制移転という犠牲のうえに造られました。
足尾の反公害闘争に生涯をかけた田中正造も、
晩年はこの谷中村に移り住み住民とともに闘ったそうです。

遊水地の背丈を超えるアシ原を歩くというか泳いでいると、
昔の田んぼの畦の跡なども残っていて、
ふっと明治の谷中村にタイムスリップしたような感覚になります。


渡良瀬遊水地 12.6.11 栃木県


タチスミレ 12.6.12 茨城県


タチスミレ 12.6.12 茨城県

タチスミレは、ニョイスミレ(ツボスミレ)に近いスミレですが、
湿地などのアシ原に自生し草丈が1m近くにもなるかなり変わったスミレです。

花は腋生で、小さめの花を順次咲かせていき花期は長いようです。
花色はごく薄い紫色から白色で、側弁基部には短毛が認められます。
花の大きさなどはニョイスミレによく似ているのですが、
雰囲気はニョイスミレと違っておとなしく優しい感じがします。

 
タチスミレ 12.6.12 茨城県           タチスミレ 12.6.12 茨城県

左下の剣先状の小さな葉に見えるのが托葉で、
元に近い方に少数の鋸歯があります。


タチスミレ(葉・托葉) 12.6.12 茨城県

見学したときの草丈は4、50cmぐらいで、まだまだ伸びそうです。
葦原の中、こんな感じで生えているので、
他の草が邪魔して上手に写真が撮れません。


タチスミレ 12.6.12 茨城県


タチスミレ 12.6.12 茨城県

タチスミレは、浜栄助著『増補原色日本のスミレ』によれば仙台付近、
濃尾平野、奈良県などにも自生していたようですが、
現在は、北関東及び九州のごく限られた地域にのみ自生し、
国の絶滅危惧リストでⅡ類(VU)にランクされています。

タチスミレの減少は、自生するヨシ原の埋め立てなど開発はもちろんですが、
生活や生産活動の変化によるアシ原の管理放棄も大きな原因になっているようです。
このため、北関東各地の自生地ではタチスミレの生育環境維持のため、
アシ原の火入れや刈り取りなどが行われています。

クモツキを待ちながら(スミレ編)

2012-07-09 | スミレ
続いてスミレ編です。

周辺にはタチツボスミレ、オオタチツボスミレ、ニョイスミレ、
ミヤマスミレが咲いていました。

その中に変なというか、
あれっと思うようなスミレがあったのでアップしておきます。

まずはコレ。

特に珍しくない葉脈に沿って濃赤色の斑が入るタツツボスミレ、
いわゆるアカフタチツボスミレかと思いきや、
花を見るとえらく太く白い距。

オオタチツボスミレの群落中にあり、
葉の葉脈もへこんでいる感じなので、
オオタチツボスミレとの交雑種(ムラカミタチツボスミレ)かも・・・。

で、よく見ると花茎や葉にけっこう密に微毛が・・・。
え~、こんなの見たことない。
タチツボスミレで毛のあるタイプは関東で前に見てはいるのですが、
こんなに生えてたかな・・・。

とにかく変なスミレです。

交雑種の可能性もおおいにあると思うのですが、
ま、複雑に考えずにタチツボスミレにはこんなタイプもあるんだ、
ぐらいに思っていた方がいいのかも知れませんね。
でも、鳥取にはまず無いタイプですね。

「所変わればタチツボ変わる」 ってことにしておきましょうか(笑)。


タチツボスミレ(?) 12.6.7 長野県


タチツボスミレ(?) 12.6.7 長野県

 
タチツボスミレ(?)花茎 12.6.7 長野県    タチツボスミレ(?)葉 12.6.7 長野県

近くに咲いていたタチツボスミレとオオタチツボスミレです。


タチツボスミレ 12.6.7 長野県


オオタチツボスミレ 12.6.7 長野県

もう1種は、河原に近い角礫~粗い砂で造られた工事用の道路脇で見つけたもの。

通常のタチツボスミレとは違って葉の表面に光沢があり、
特に陽が差すと光を反射してよく目立ちます。

花は花弁の発達が悪いというか小さくて花全体としても小さく見えます。
ただこれは、この個体だけの特徴かもしれません。
葉は全体の形、基部とも心形で、
大きさも典型的なタチツボスミレと変わらない感じです。

葉に光沢のある山地のタチツボスミレ類には、
ケイリュウタチツボスミレ、テリハタチツボスミレがありますが、
関連があるのでしょうか。

実物を見たことがなく図鑑の受け売りですが、
自生環境が似ているケイリュウタチツボスミレの葉は、
タチツボスミレより小さく基部は切形~浅い心形、
花後の茎葉は長三角形や基部が楔形の菱形に近い形になるそうです。
そして、ケイリュウタチツボスミレは、
『信州のスミレ』によれば長野県でも南部に分布するようで、
北部では知られていないようです。

このスミレの葉だけを見れば、
光沢以外にタチツボスミレの葉と違いがないようなので、
とりあえず、これもタチツボスミレの一つのタイプと考えておきましょう。
でも、花もちょっと変わった感じで、
なんか不思議なタチツボスミレですね。


タチツボスミレ(?) 12.6.7 長野県

 
タチツボスミレ(?) 12.6.7 長野県       タチツボスミレ(?) 12.6.7 長野県

最後にもう一枚、北信で典型的と思われるタチツボスミレです。


タチツボスミレ 12.6.7 長野県

エゾノタチツボスミレなど

2012-06-21 | スミレ
1日に二つか三つくらいアップしないと追いつきませんね(笑)。

タデスミレを探して山道を上がったり下りたりした時に見たスミレです。

エゾノタチツボスミレは北海道で昨年見ているのですが、
時期が遅かったため、十分観察することができませんでした。
こちらでは落葉樹林の林縁にあちらこちらと小群落を作っていました。


エゾノタチツボスミレ 12.6.6 長野県

花期を過ぎると大きくなるのかもしれませんが、
こちら(長野)のエゾノタチツボスミレは、
北海道のものに比べるとちょっときゃしゃな感じがします。

白花に近い個体の方が多いような気がしました。


エゾノタチツボスミレ 12.6.6 長野県

お尻(距)が可愛いですね。
(三脚を持っていないのでブレた写真が多いです。泣)

 
エゾノタチツボスミレ(側弁) 12.6.6 長野県  エゾノタチツボスミレ(距) 12.6.6 長野県

タデスミレに似ているとはいっても並べてみれば一目瞭然です。


エゾノタチツボスミレ 12.6.6 長野県


エゾノタチツボスミレ 12.6.6 長野県

この日はタデスミレ、エゾノタチツボスミレのほか、
ミヤマスミレ、タチツボスミレ、ニョイスミレ、
スミレ(マンジュリカ)などが咲いていました。

 
ミヤマスミレ 12.6.6 長野県           タチツボスミレ 12.6.6 長野県

 
ニョイスミレ 12.6.6 長野県           スミレ(マンジュリカ) 12.6.6 長野県

タデスミレ

2012-06-21 | スミレ
長野県のごく限られた地域に自生するタデスミレ。
朝早くから山道を行ったり来たり、
運よく2往復目に出会うことができました。


タデスミレ 12.6.6 長野県

浅い谷筋のやや湿った落葉樹林下に咲いていました。
スミレらしくないスミレといわれ、
確かに葉や草丈だけをとってみればそのとおりなのですが、
花は間違いなくスミレそのものです。

側弁に毛があることなど、
近くに咲いているエゾノタチツボスミレの花に似ているところもありますが、
花弁が細長く先端が尖り気味になるので印象はずいぶん違います。


タデスミレ 12.6.6 長野県


タデスミレ 12.6.6 長野県

すでに小さな果をつけている株もありました。

 
タデスミレ(果) 12.6.6 長野県        タデスミレ(托葉) 12.6.6 長野県

ピンボケ写真で申し訳ありませんが、
距を見ると浅いですがエゾノタチツボスミレのような筋が見えます。
花柄には疎らな微毛も・・・。


タデスミレ 12.6.6 長野県


タデスミレ 12.6.6 長野県

黒岩高原で・・・

2012-05-25 | スミレ
岡山の黒岩高原といえば、
エゾノタチツボスミレの分布を伊吹山から一気に西へ延ばした所として、
スミレに興味をもっている方たちにはよく知られている高原で、
いがりまさしさんの『増補改訂日本のスミレ』や
浜栄助さんの『増補原色日本のスミレ』でも紹介されています。

そろそろ時期も良かろうということで、
鳥取のスミレ見物をお休みして行ってきました。

「黒岩高原で、エゾノタチツボスミレに、出会った~」
といきたかったのですが、
残念! 出会えませんでした。
そんなにはうまくいきませんね。


黒岩高原 12.5.22

岡山県のエゾノタチツボスミレは、
Web上で公開されている『岡山県版レッドデータブック2009』よると、
準絶滅危惧種に選定されていて、
林道の管理放棄や植生の自然遷移によって減少しているようです。

昨年北海道で見たエゾノタチツボスミレの立ち姿や生育環境を思い出しながら、
それこそ管理放棄された林道を歩いて行くのですが、
道端に咲いているのはオオタチツボスミレばかり。
すこし早かったのでしょうか?

 
ホコバスミレ 12.5.22 津山市          アリアケスミレ 12.5.22 津山市

 
シハイスミレ 12.5.22 津山市          オオタチツボスミレ 12.5.22 津山市

 
オオタチツボスミレ 12.5.22 津山市       四等三角点「大路谷」12.5.22 津山市
 
結局、黒岩高原の最高所である
四等三角点「大路谷」(標高969.76m)まで往復して戻ってきました。

エゾノタチツボスミレには出会えなかったのですが、
思いがけずにツルタチツボスミレと
その自然交雑種と考えられるスミレに出会うことができました。


ツルタチツボスミレ 12.5.22 津山市


ツルタチツボスミレ×オオタチツボスミレ 12.5.22 津山市

黒岩高原を歩くのは今回が初めてだったのですが、
思いのほか広く、そして林道や自然遊歩道も多くあるので、
すべて歩くにはそれなりの時間が必要のようです。

     
     布滝(のんだき) 12.5.22 津山市

実は、黒岩高原って鳥取県境それも鳥取市境にあるんですよね。
広域の市町村合併のせいなんだけども、
背中合わせの隣町が津山市ってのもなんか実感がないですが、
それはともかく、
地図を見る限り黒岩高原の一角は鳥取県(市)側にも広がっているようなので、
「ひょっとしたらこちら側にも自生しているかも・・・」
妄想は膨らむばかりです(笑)。

沖縄でスミレに・・・(3)

2011-04-29 | スミレ
西表島のヤエヤマスミレは簡単に見つかったのですが、
他の沖縄県の固有種は少ない情報とハブの恐怖で見つけるのが難しかったです。

まずは、エゾノタチツボスミレやアイヌタチツボスミレの近縁といわれるシマジリスミレ。
行くところ行くところ自衛隊のフェンスに阻まれ途方にくれたのですが、
午後も遅く夕方近くなってなんとか見つけることができました。

暗い森の中の石灰岩の岩場。
窪みに根を下ろしたスミレ、間違いなくシマジリスミレです。
でも、花はすでに終わっていて数株に萎れた花柄が残っているだけでした。
1週間遅かったですね・・・残念。


シマジリスミレ 11.4.8 沖縄県(沖縄本島南部)


シマジリスミレ 11.4.8 沖縄県(沖縄本島南部)

岩のゴロゴロする暗い森は何が出てくるか分らず、恐怖です。
枯葉が動く小さな音に心臓がバクバク・・・ハブ?。
コイツでした。
ムラサキオカヤドカリ、人の拳ほどもある大きな陸のヤドカリです。
「ビックリさせんなよ!!」


ムラサキオカヤドカリ 11.4.8 沖縄県(沖縄本島南部)


シマジリスミレ 11.4.8 沖縄県(沖縄本島南部)

シマジリスミレと同じように石灰岩に自生するオキナワスミレ。
ただし自生地は海岸沿いにあるらしい。
那覇から高速道路を使って本島中部に向かう。
見当をつけた海岸の岩場を何度も行ったり来たり・・・。
見つかりません。
崖の下も見てみたいが、どこから降りればいいんだろう・・・。

あっ!と思ったらリュウキュウコスミレ。
お目当てのスミレと同じように石灰岩の窪みで咲いていました。

結局、時間切れで探索終了。
当たり前のことですが、
こういった自生地が限られている希少な植物を
現地で観察することは簡単じゃありませんね。


リュウキュウコスミレ 11.4.9 沖縄県(沖縄本島中部)

石垣島ではイシガキスミレを見たいと思って少し森に入ったのですが、
道もないような沢筋はどこにでもハブがいるような雰囲気。
怖くてすぐに出てきてしまいました。
ヤンバルの森は時間がなくて入らなかったのですが、
ここもハブが怖そうですね。

結局、今回の沖縄で見ることのできたスミレは、
ヤエヤマスミレ、リュウキュウコスミレ、シマジリスミレの3種だけでした。

またいつか、沖縄でスミレに出会いたいですね。

沖縄でスミレに・・・(2)

2011-04-29 | スミレ
花の時期はちょっとすぎているようですが、
リュウキュウコスミレはあちこちの道端で咲いていました。

コスミレという名がついていますが、ノジスミレの南方系の変種だそうです。


リュウキュウコスミレ 11.4.8 石垣市(石垣島)


リュウキュウコスミレ 11.4.7 石垣市(石垣島)


リュウキュウコスミレ 11.4.8 沖縄県竹富町(竹富島)


リュウキュウコスミレ 11.4.9 沖縄県恩納村(沖縄本島)

沖縄でスミレに・・・(1)

2011-04-28 | スミレ
すでに一部アップしていますが、
4月初旬に南の島に自生するスミレたちに会ってきました。

震災のこともあって躊躇したのですが、
一生に一度行けるかどうかの島々、行けるときに行かないと・・・、
都合よく考えて行ってきました。

今回は沖縄固有種のヤエヤマスミレ、オキナワスミレ、シマジリスミレ、
そしてあわよくばヤンバルの森のスミレも見てみたいという欲張り企画。

まずはヤエヤマスミレです。

思ったより簡単に見つかりました。
この調子ならとこのときは思ったのですが・・・。


ヤエヤマスミレ 11.4.6 沖縄県竹富町(西表島)


ヤエヤマスミレ 11.4.6 沖縄県竹富町(西表島)

 
ヤエヤマスミレ 11.4.6 沖縄県竹富町(西表島)


ヤエヤマスミレ 11.4.6 沖縄県竹富町(西表島)

ところで、沖縄のスミレですが、
いがりまさしさんの『増補改訂日本のスミレ』によれば、
ツクシスミレ、オキナワスミレ、オリヅルスミレ、タチツボスミレ、
シマジリスミレ、リュウキュウシロスミレ、リュウキュウコスミレ、ヤクシマスミレ、アマミスミレ、ヤエヤマスミレ(注)の10種類のスミレがあるそうです。

そのうちオキナワスミレ、オリヅルスミレ、シマジリスミレ、
ヤエヤマスミレの4種類が沖縄県の固有種。
ただ残念なことに、オリヅルスミレは自生地がダムの底に沈んでしまって、
野生では絶滅しているそうです。

(注)葉形の異なる変種にイリオモテスミレ、イシガキスミレがあります。