尾瀬で出会ったスミレたちです。
オオバキスミレは、
鳩待峠から歩きだして川上川の谷沿いまで下ると見ることができました。

オオバキスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

オオバキスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原
山の鼻近くまでくるとミヤマスミレ。
さすがに早咲きのスミレサイシンは花も終わり、
ミヤマスミレのそばでのびのびと葉を広げています。

ミヤマスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原
山の鼻から水芭蕉やリュウキンカの咲く湿原を進んでいくと、
紫色の大柄なスミレの花が見えてきました。
オオバタチツボスミレです。
まだ開花初期のせいでしょう、
昨年北海道の原生花園で見たものよりだいぶ背丈が低いようです。

オオバタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

オオバタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

オオバタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原 オオバタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原
もちろん林縁にはタチツボスミレやオオタチツボスミレ、
湿った所にはニョイスミレも咲いています。

タチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原 オオタチツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

ニョイスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原
昨年知床で見たチシマウスバスミレに再会です。
急ぎ足で歩いていて息が切れていたこと、
そして木道から下りられないのでピントが合っていません(泣)。
きれいに撮ってあげられなかった言訳でした。

チシマウスバスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原
以上、これまで見たことのあるスミレたち。
さて、今回初めて出会ったミヤマツボスミレですが、
尾瀬ではムラサキコマノツメとして紹介されることが多いようです。
ちょっと気になったので、
ムラサキコマノツメとミヤマツボスミレについて手もとの図鑑を見てみました。
いがりまさしさんの『増補改訂日本のスミレ』では、
ムラサキノコマノツメの記述そのものがありません。
ミヤマツボスミレについては、ニョイスミレの高山型とし、
分布は白山から八甲田山まで、
生育環境は東北では湿原、北アルプスでは林縁の草地としています。
そして、特徴としは葉が円形で、表面に微毛があること、
花が淡紫色を帯びること、
茎が地表をはい途中から根を出すことなどを挙げられています。
浜栄助さんの『増補原色日本のスミレ』では、
花が淡紫色をしているニョイスミレをムラサキコマノツメとし、
生育地に関係なくあくまで花色が変化した一品種という分類です。
そして、変種とされたミヤマツボミレについては、
白山から東北(八甲田山)の亜高山から高山に分布し、
葉は薄く表面には微毛が密に見られ円形、
花は淡紫色を帯びるものが多く、
花を除く外観はキバナノコマノツメ状と記述されています。
また併せて、
低く倒伏して匍匐茎を出して途中から発根し増殖する性質があるとあります。
私なりに理解すると、
葉や性質は変わらないけど花だけが淡紫色になるものがムラサキコマノツメ。
葉には微毛があり、先端はニョイスミレのように尖らず円形で、
匍匐茎から発根して増殖するものがミヤマツボスミレということになります。
さて、尾瀬でみた淡紫色の花を咲かせるニョイスミレに似たスミレは?
木道からの観察という制約もあり、
匍匐茎を延ばして発根というところまでは見ていないですが、
葉の形状や花の数が少ないなど、
明らかに典型的なニョイスミレとは雰囲気が異なっていました。
私としては浜栄助さんの説にしたがって、
ミヤマツボスミレとしたいですね。
尾瀬には尾瀬の分類の仕方ががあるのかもしれませんが・・・。
もうひとつ余分なことですが、
浜栄助さんのお膝元長野で発行されている
『信州のスミレ』のミヤマツボスミレの項には、
「…葉は円状心形で先端が尖る…」とあって、
浜栄助さんの記述とは異なっています。
えっ~、ですね。
まだまだスミレの分類は百家百説ですね。
そんなところが面白く、人を引き付けるのかもしれませんが・・・。
長くなりました。ごめんなさい。

ミヤマツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

ミヤマツボスミレ(葉) 12.6.13 尾瀬ヶ原 ミヤマツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

ミヤマツボスミレ 12.6.13 尾瀬ヶ原

尾瀬ヶ原 12.6.13