風 信(かぜのたより)

海風に乗せて

V字の右

2009-02-27 | Weblog
   
    谷川岳幽ノ沢V字状岩壁右ルート 68.08.01 (H君撮影)

1970年2月7日、Hは一人で彼岸へと旅立って行った。
まだ二十歳にもなっていなかった。

Hは山岳部の一年後輩で、夏や春の合宿だけではなく12月の阿弥陀岳南稜や谷川岳などの山行も一緒だった。物静かな少年で、傍にいると何となく安心できるような奴だった。

写真は谷川岳の幽ノ沢V字状岩壁右ルートの1ピッチ目辺り、Hに撮ってもらったものだ。この時も登攀の終了点では、はにかむように小さく微笑んでいたような気がする。

三国山(3)

2009-02-20 | Weblog
山頂からは、山王谷をはさんだ対岸の高鉢山や1176m峰が良く見えました。
1176m峰もボリュームがあって、意外と立派な山容をしています。
三角点のある北嶺は、1時間もあれば往復できそうな感じです。
またいつか足を延ばしてみよう。


(左)高鉢山、(右)1176m峰 09.2.15


三国山北嶺 09.2.15

三国山山頂で北嶺を往復してきたというスキーヤーにお会いしました。
スキーのできない私は、スキーヤーの颯爽とした姿がなんだか眩しくて
「目を伏せて、そっと我がワカンを見る」という気分になってしまいます。

昼食を摂り、山頂を辞します。
1200m峰東斜面に自分のワカンの跡が続いているのを見ると、
歩いて来たんだという実感が湧いてきます。
目を上げて左を見ると午後の光を受けたギラガ仙や
恩原牧場、その後にはシルエットになった花知ヶ山が見えます。


1200m峰東斜面 09.2.15


ギラガ仙 09.2.15


花知ヶ山方面 09.2.15

林道近くまで下りてきた時、タムシバ(?)の花芽に気づきました。
この2、3日の陽気で心なしかふっくらとしてきているような気が・・

   
   タムシバ?花芽 09.2.15 鏡野町中津河

三国山(2)

2009-02-17 | Weblog
前日の土曜日にはお約束の畑仕事もこなし、
朝も最近にしては早く出たのですが、失敗です。
途中、おにぎりを買おうとコンビニに入ったのはいいのですが、
支払いの段になって財布の中を見たところ、お金がありません。
商品を棚に返して、すごすごと出てきました。
ちょっとというか、かなり恥ずかしい。
昼飯は家から持ってでた棒ラーメンだけとなりました。

今回の三国山は岡山県(美作国)側の中津河からのコースを取りました。
岩井滝から中津河川を詰め、春のような陽射しに汗をかきながら、
県境の1200m峰から派生する支尾根をたどって行きます。
新しいシュプールもあるので、よく登られているコースのようです。


1200m峰 09.2.15

しばらく登ると尾根は緩斜面の台地となり、1200m峰も見えてきます。
台地の中によく目立つ一本の大杉がありました。
枯れかけているようですが、樹齢数百年という感じです。
風格があります。
現在、この台地は桧の植林地となっていますが、
かつては、このようなスギやブナの自然林だったのでしょう。
肝心の植林された桧は、枯死したのか疎らで、
残っている桧もネマガリダケに押されてあまり元気ではないようだ。
気候などの自然条件や植生を無視した伐採や植林の
見本のような気がするのですが・・・

大杉の上部をよく見ると、何箇所か丸い穴が開いている。
今は、鳥たちに巣穴を提供し余生を送っているといったところか。


大杉 09.2.15

1200m峰まで上がると、
三国山、三国山北嶺の大きくどっしりとした山容が眼前に広がり圧巻です。

ちなみに、三国山の左側が鳥取県、右側が岡山県です。


三国山 09.2.15


三国山北嶺 09.2.15 

大きなスギとブナに被われた三国山の山頂は、予想よりだいぶ広く、
木立の間から周辺の山々も望むことができます。


三国山山頂 09.2.15

三国山(1)

2009-02-16 | Weblog

三国山 09.2.15

このところの陽気も嘘のように、今日から冬に戻ったようです。
今も時折、風と一緒にみぞれが窓を打ち、海鳴りも聴こえてきます。

さて、日曜日に三国山(みくにがせん)に上がってきました。
一等三角点のある三国山北嶺には登山道があるのですが、
因幡、伯耆、美作三国の境界にある本当の意味での三国山には道がなく、
おまけにネマガリダケが密生しているため、
雪に覆われる冬から春の時期が登山の適期となります。

天測点の山

2009-02-11 | 三角点など
 日曜日の午前中に新聞を見ていて、“今年の但馬は鳥取より雪が少ない”
という記事をみつけた。
 「そうか、少ないか。」
 つれあいは、テレビで得た俄知識だろうか「“寒起こし”をすると野菜の
出来が良くなるんだって・・・、だから今日は・・・」というようなことを
言っている。「ああ」「うん」と生返事をしながら、頭の中は「雪が少ない!
少ないんだったら、あそこかな・・」と別のことを考えている。

 お昼ごはんを食べてから、冷たい視線に送られて車を東に走らせる。向う先
は但馬の浜坂。街の南にある三成山(みなるやま)頂上に天測点なるものがある
そうで、前から一度見てみたいと思っていたのだ。
 国土地理院のデータでは、三成山山頂に点名「田君谷山」の一等三角点があ
り標高536.24mとなっている。


天測点(台) 09.2.8 (三成山)


プレート 09.2.8 (三成山)

 ところで天測点とは、三角測量で求められた位置座標を天文測量によって規
正するために設置されたもので、実物は観測機械を置くコンクリートの観測台
である。この天測点を利用した天文測量は戦後の1954年から58年にかけて行わ
れ、選ばれた全国48箇所の一等三角点の傍に設置して経度、緯度などを観測し
たそうだ。ちなみに、鳥取県内には一箇所も設置されなかった。
 一般的な観測台は一辺27cmの八角柱で、太さ65cm、高さ1m前後とされるが、
三成山の観測台もほぼ同じであった。一面に鋳鉄製と考えられるプレートが埋
め込んであり「第□号 天測点 地理調査所」と読める。地理調査所というの
は国土地理院の前身で、戦後から1960年までそう呼ばれていたようだ。
 現在は、観測機器の発達やGPSの登場によって過去の遺物になっているが、山
歩きに欠かせない地形図や地図の歴史を考えると感慨深いものがある。

 さて、三成山ですが、後山集落のはずれに車を止め雪の消えた林道を上がっ
て行く。上がるにつれて雪道になり、もちろんトレースもない。ワカンを置い
てきてしまったことや、初めての山ということで不安になってくる。それでも、
久しぶりの青空や初めて見る花に励まされながら1時間半ほどの行程で山頂に
着いた。山頂は雑木林で展望は良くないが、冬枯れの梢越しに、浜坂の街や観
音山が見下ろせる。


登山道(林道) 09.2.8 (三成山)


三成山山頂 09.2.8


観音山 09.2.8 (三成山)

 山頂には、天測台が鎮座していたが、一等三角点は雪の下だ。“雪が少ない、
三角点が出ている”という単純な発想だったのだが、やっぱり山の雪は簡単に
は消えない。この辺りかと当たりをつけて雪を掻くと、ずばり大当たり。三角
点の頭が出てきた。


一等三角点「田君谷山」 09.2.8 (三成山)

 山頂からやや下った辺に東の山並みを望むポイントがあった。久斗山や三川
山、神鍋方面の山か、自信がない。

 根拠もなく「5時には帰るけぇ」と言って出てきた手前もあり、帰りはトレイ
ルラン状態で駆け下る。


久斗山? 09.2.8 (三成山)


神鍋方面? 09.2.8 (三成山)

 今回、一般的には福井県以北に分布するといわれるナニワズを見かけたが、
三成山の東麓を流れる田君川の下流にはバイカモの群生地などもあって、この
山域は植生にずいぶん特徴のある地域のようだ。加えて感心したのは、林道が
山頂近くまで延び植林もされている割には自然もよく残っていていることだ。
人と自然の営みも程よく調和しているのだろう。


バイカモ 09.2.8 田君川(新温泉町)

ナニワズ

2009-02-10 | Weblog
雪の残る里山で鮮やかな黄色い花に出会いました。
初めての出会いです。

名前はナニワズ。
ちょっと見は草のようにも見えますが、ジンチョウゲ科の低木です。
幹上部にかたまった小さな黄色い花は、
萼が花弁状に4裂したものだそうです。

一般的には福井、福島県以北の分布と言われていますが、
但馬地方にも自生しているようです。
今回見た株の中には、番号を書いたタグを付けているものもあったので、
専門家の調査も行われているのでしょう。
春を告げる花の一つとして大事にしたいものですね。

ナニワズを漢字で書くと難波津だそうです。
東北地方南部以西に分布する近縁種は、オニシバリ(鬼縛り)というそうです。
どちらもずいぶん変わった名前で、一度で覚えられそうです。

ところで、普通は雪の消える3月下旬頃からが花期のようですが、
今はまだ2月、今年の春は早くくるのでしょうか。
そういえば、土曜日の大山も3月の春山のようでした。


ナニワズ 09.2.8 新温泉町


ナニワズ 09.2.8 新温泉町


ナニワズ 09.2.8 新温泉町

土曜の大山

2009-02-09 | Weblog
7日の土曜日は大山に上がってきました。今年初めての大山です。
今年に入ってから週末は毎週雪だるまのマークで、なかなか機会がなかったのです。天気予報で週末に小さくても晴マークがついたのは、今年初めてじゃなかったかな・・。
そんな大山ですから、土曜日は待ちかねた登山者で大賑わいです。弥山尾根や八合尾根にもたくさんの人が取り付いていました。


夏山登山道六合目 09.2.7


夏山登山道七合目付近 09.2.7

午前中は良かったようですが、頂上大地に上がる頃になると濃いガスに覆われ風も強くなってきました。


頂上碑 09.2.7


八合尾根 09.2.7