■フランスの脳生理学者ミッシェル・ジュヴェは『睡眠と夢』という本のなかで、一卵性双生児の性格などの心的個別性が遺伝的に規定されているきわめて特殊な例を、アメリカの科学雑誌サイエンスに掲載された論文から紹介しています。
《一卵性双生児で同名の兄弟ジムとジムは生まれてすぐに離ればなれになり、それぞれアメリカ中西部の家庭で育てられ、三十九年たってこのミネソタ大学での検査を機会にはじめて面会することになりました。身体的特徴や病歴、つまり、心拍数、血圧、睡眠脳波を含むポリグラフ検査の結果はまったく同一で痔疾があるのも同じでしたが、これは当然のことです。ある時期、理由はわかりませんが、五キロ太った時期も、十八歳から頭痛もちとなったのも同じでした。しかし、驚くべきことは、彼らの結婚暦が同じ経過を辿ったことです。つまり、リンダという名の妻と別れたあと、ベティという女性と再婚し、子供の名前をジェームス・アラン(James AllanとJames Alanの一字綴り違い)と名づけ、犬をトーイと呼んでいたのです。両者とも趣味は日曜大工で癖は爪を噛むことでした。》
――訳者は訳注で、このテストを疑問視する批判があることを付記しています。しかし一卵性双生児の身体的遺伝率はきわめて高く、無意識行動や外界に基準のない行動は遺伝によって強く支配されるのは確かなようです。
この一卵性双生児の兄弟のエピソードはきわめて有名で、例証としてたびたび持ち出される場面に遭遇しますが、なにがさて人生の多くのことが奇跡のように一致していることに、ひどく驚かされます。
――ここではいったい何が起こっているのでしょうか。
〈一卵性双生児の運命〉_1
〈一卵性双生児の運命〉_2
〈一卵性双生児の運命〉_3
〈一卵性双生児の運命〉_4
《一卵性双生児で同名の兄弟ジムとジムは生まれてすぐに離ればなれになり、それぞれアメリカ中西部の家庭で育てられ、三十九年たってこのミネソタ大学での検査を機会にはじめて面会することになりました。身体的特徴や病歴、つまり、心拍数、血圧、睡眠脳波を含むポリグラフ検査の結果はまったく同一で痔疾があるのも同じでしたが、これは当然のことです。ある時期、理由はわかりませんが、五キロ太った時期も、十八歳から頭痛もちとなったのも同じでした。しかし、驚くべきことは、彼らの結婚暦が同じ経過を辿ったことです。つまり、リンダという名の妻と別れたあと、ベティという女性と再婚し、子供の名前をジェームス・アラン(James AllanとJames Alanの一字綴り違い)と名づけ、犬をトーイと呼んでいたのです。両者とも趣味は日曜大工で癖は爪を噛むことでした。》
――訳者は訳注で、このテストを疑問視する批判があることを付記しています。しかし一卵性双生児の身体的遺伝率はきわめて高く、無意識行動や外界に基準のない行動は遺伝によって強く支配されるのは確かなようです。
この一卵性双生児の兄弟のエピソードはきわめて有名で、例証としてたびたび持ち出される場面に遭遇しますが、なにがさて人生の多くのことが奇跡のように一致していることに、ひどく驚かされます。
――ここではいったい何が起こっているのでしょうか。
〈一卵性双生児の運命〉_1
〈一卵性双生児の運命〉_2
〈一卵性双生児の運命〉_3
〈一卵性双生児の運命〉_4