心の旅

やわらぎ住宅(株)の社長によるブログ。

意識の誕生

2010年12月27日 | 哲学
11月24日(水)哲学学習会を会社で実施しました。
参加人数は、7名でした。教材は、「自然の哲学」(上)田中 一著で第八話「意識の誕生」です。




雑感
 よい心と悪い心
 
 私たちは、何によって心を動かされているでしょうか。
 動物や植物などを含む自然によって心を動かされることももちろんあります。
 例えば、台風、地震や津波などによって恐怖を感じたり、美しい花を見て心が穏やかになったりすることです。
 しかしよく考えて見ますと、自分の心が一番反応するのは、自分が生きていくことや暮らしをしていく上において直接関係のある人や社会から受ける影響が一番大きいと思います。
 そして私たちは、人から受ける情報によって、自分の心が「よい心」になったり「悪い心」になったりします。

 ここでいう「よい心」とは、感謝、喜び、尊敬、信頼、愉快など前向きの明るい心のことで、表情は穏やかで微笑んで、誰かに何かをしてあげたい、人を幸せにしたい、社会のためになることをやりたい、幸福感で満たされている、愛されていることを実感している、頼りにされている、というような心の動きです。

 次に「悪い心」とは、恨み、悲しみ、疑い、憎しみ、悔しさ、無気力、無関心、不愉快など後ろ向きの暗い心のことで、表情は硬くこわばり、人を寄付けず、他人を批判し、人から必要とされていない、騙されている、嫌がられている、怖い、やる気が起こらない、コンプレックスにさいなまれている、バカだと思われている、というような心の動きです。





 よく考えて見ますと、私たちはいかに周りの人たちから影響を受けて心を動かされているかがわかります。
 それは心を動かされているだけですむものではなく、自分の人生まで支配されてしまします。

 私や私の仲間たちは、世の中をよくしましょうをいう目的をもって生きています。
 とすれば、どうすればよいのでしょうか。釈迦のように一切は無常と修行をして割り切っていくのも一つの方法ですが、われわれ凡人にはなかなか険しい道のりです。



 そこで、自分が気持ちよくなるためには、まず、自分から「よい心」をもっていつも笑顔で明るく親切に振る舞えば、よいのではないでしょうか。
 但し、注意することがあります。それは、まず、自分が社会の役割分担をしっかり果たすということです。社会人であれば、仕事はきっちりすること、主婦であれば家事や育児をしっかりすることです。
 それと、他人を不愉快にさせないようにモラル・マナー・礼儀をよく学んで実践することです。


 このように、自分が笑顔で明るく振る舞えば、相手の心は、それに反応して「快」になり、相手もハッピーになります。その循環を永久にすれば、世の中は、よくなるのではないでしょうか。そんな世の中ももうすぐ来そうですね。





本日の学び
本話より抜粋
 

 すすんだ知恵をはたらかすようにみえるチンパンジーにくらべても、人間の意識は一段とすすんだものである。
 それでは意識のすすんでいるのはどの点で、またこのような意識はいかなる事実にささえられて発達してきたのであろうか。
 大きな予測はとにかく、小規模の予測は、日常生活でたえず行っていることである。
 慣れのためあまり気にとめないが、意識のなかみが世界の現実よりも先行しうるというのは考えてみると不思議なことである。どうしてこのようなことが可能なのであろうか。


 動物の個体の反射活動は、個体が直面している現実の現象局面にかぎられている。
 したがって、意識の先行性は、まったく人間に特有な心のはたらきと考えてよい。

 



 意識の発達は、なにによってもたらされたのであろうか。
 それは、社会生活のなかでたがいに協同したこと、言語を用いるようになったことや道具を製作しこれを使用するようになったことなどである。

 とくに協同作業の発達は人びとの心にヒューマニズムをそだてていった。

 しかしながらこれらの発達成長のみならず生物の進化一般は、けっして個々の人や一頭一匹一本の生物個体の遺伝子が、道具の製作、協同作業、言語の使用によって直接変化していくのではないのである。
 生物の遺伝子は不変ではなくたえず変わっていくものであるが、その変化は個々の生物の生活とは関係なく生ずる。
 このような遺伝子の変化すなわち生活に関係なく生じる遺伝子の変化にもとづいて生物はどうして進化することができるのであろうか。これこそが進化論の中心課題である。

 


 人は現在も進化している生物であるが、とくに最近における進化のテンポは極めて著しい。
 いま人の進化の時間的な間隔をわかりやすくするため、人としての特徴を帯び始めた生物として、かりに人と高等猿類の共通の祖先が生存していた時期を二〇〇〇万年前としてこの時期を午前零時、現在を午後一二時としよう。
 なんとアウストラロピテクス、すなわち文化を持った最初の人類があらわれたのは、ようやく午後八時三十分である。午後十一時三十分に原人と呼ぶ原始的人類が、また、午後十一時五十九分に現生人類がはじめてあらわれ、最後の一分間に旧石器時代から新石器時代となり、現代人の型があらわれたのは午後十一時五十九分五十五秒である。
 
 他の多くの生物では、午後八時三十分から三時間三十分の間には、そうたいして進化することもない。ところが、人間の脳にかんしていえば、午後八時三十分で五〇〇グラムから午後十一時三十分には一〇〇〇グラムとなって、このあと三十分で一四〇〇グラムになっている。
 
 この極めて急速な進化は、他の生物に見られないところであって、道具の製作、社会的協同作業と言語の発生がもたらしたいちじるしい影響である。
 おそらく現在のこの瞬間にも人はきわめてすみやかに進化しているのであろう。人類の進化のテンポが現在に近づくほど大きいことをみれば、現在の瞬間の進化のテンポがもっともはやいのではないかとさえ考えられる。






と著者はいっています。
 
 宇宙が誕生(137億年前)してから気の遠くなるようなときが過ぎています。
 私たちは今の時代であくせくしていますが、私たちがそこそこ認識できるのは、今から1万年前ほどです。
 
 この間に、人類はものすごい進化をしました。
 
 1万年前には、農耕・牧畜がおこなわれ、集団で定住することでコミュニティがうまれてきました。
 
 そして、文字が生まれさらに人間は進化しました。

 しかし、社会が成熟して格差がでてきますと、社会では争いがおこります。
 
 そこで、人々を導くいろいろな宗教がでてきました。
 
 そして17世紀ごろになりますと、唯物論という哲学も後押しし、世界は科学技術を発展させることになります。
 
 そして産業革命が起こり、市民革命が起こり、人びとが自由に生産したり、消費したりすることのできる資本主義と共に、爆発的に社会は進化していきました。
 
 しかし、気がついてみると、進化・発展しすぎてわれわれの土台である地球が環境汚染や資源の争奪により、恵みを受けている自然そのものが破壊されてきたのを認識せざるを得なくなってきました。
 
 著者が言っていますようにこれからますます速度を上げて進化していくものと思われますが、この先どうなるのでしょうか。人間自体もこの環境の変化に合わせて、突然かわるかもしれませんね。
 そんなことを考えながら、未来になるべく負を残さないように一生懸命に生きていこうと思います。


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