心の旅

やわらぎ住宅(株)の社長によるブログ。

産業資本主義の変化

2012年11月30日 | 朝礼
朝礼 平成24年11月30日(金)

テーマ:産業資本主義の変化

フランス革命以降、市民が自由を獲得したことと産業革命とが相互に作用しあって爆発的な経済発展を遂げました。

人々の欲望を無限大にすることで経済は爆発的に拡大しましたが、人類全体にかかわる地球環境問題や国家間の利益の調整、特に市場原理主義、競争至上主義を施策として推進してきたアメリカ、日本、ロシア、中国、ヨーロッパなどでは、拝金主義、自由主義、個人主義などに特徴づけられるように、一人ひとりの考え方や自由を尊重するあまり、統制が取れないほど秩序が乱れ、一人一人の幸せの追及が、全体の幸せとは逆行してしまっているのが現代です。

われわれは、資本主義を前提としながら、片方で他人のことや公共のことを考える道徳などの秩序維持機能で、人々の欲望を制御し、人にやさしい競争をしなければならないのではないでしょうか。

人にやさしい競争とは、努力して競争に勝ってもその利益の一部を社会に還元して、社会的弱者や競争に負けたものを救うようなシステムをイメージします。

地域に根差す中小企業では、しっかり努力してよい商品、よいサービスで社会に貢献することとともに、地域社会全体、特に人と人とのつながりの部分にも力を入れなければなりません。

この点が、大企業と中小企業の根本的な違いです。

このような世相においては、ますます中小企業の地域社会や経済に対する役割が大きいことをわれわれは認識しなけばなりません。

市民革命と資本主義

2012年11月29日 | 仕事
朝礼 平成24年11月29日(木)

テーマ:産業資本主義の飛躍的発展

近代社会の前提は、1789年のフランス革命にあります。

近代社会の人間の定義は、「自分以外の何物にも支配されない自立した存在」、「ヒトはヒトに支配されない」、「ヒトはモノを支配できるが、ヒトを支配することはできない」です。ということは、ヒトは、このときに自由と平等という概念を獲得したということです。

近代社会が成立しなければ、これほど急激に資本主義経済は発展しなかったということです。

近代以前は、モノを買えるのは、お金を一般市民から吸い上げていた王侯のみでした。その数は、一国に占める割合としては非常に少数でした。ところが、近代化によって市民が自由になったということは、市民の一人ひとりが、その欲望により、何をつくって儲けようが、その儲けたお金で何を買おうが自由となりました。人々は、自由を既得概念としながら、こぞって物質的な豊かさ、すなわち便利、楽、安全、飢えからの脱却を図るために一生懸命になりました。

それと産業革命(1760年ごろ)とが相互に作用しあって爆発的な経済発展に進展したということは、容易に想像することができます。

ということで、資本主義の爆発的な進展と市民革命(自由と平等)とが密接な関係があることがわかります。

そして、そこには人間の特徴、すなわち自分の欲望を満たすことや、便利になるためには、人間はすごいエネルギーを発揮するというのも一つの学びです。

そしてまた、われわれ自身も、現在、資本主義の中にいることを認識し、その欠点である、他人を阻害したり、自己中心的になるなど、行き過ぎた悪い面がでないように節度を保って、競争していかなければならないことも学んでおかなければなりません。

資本主義

2012年11月28日 | 朝礼
朝礼 平成24年11月28日(水)

テーマ:資本主義の始まり

資本主義の原理は、「差異」から利潤を生むことです。
もう一つの原理は、「拡大再生産」です。

資本主義は、紀元前から商業資本主義というものが存在しました。これは、二つの市場(場所)の間の差異を媒介して利潤を生み出す方法です。
たとえば、当時後進国であったインドで綿花や香辛料などを安く仕入れ、イギリスなどの文明国で高く売りますと、商人は大きな利潤を得ることができます。
これが、資本主義の始まりです。

でも、これには限界がありました。高いものを買えるのは文明国の王侯(王様と貴族)など一部の特権階級に限られていたからです。
また、ものを運ぶにも現代のように交通手段が発達していたわけではありませんでしたので、その広がりには限りがありました。

また、生産したもので利潤を手にし、その得た利潤を投資に回し、さらに工場を増やしたり、研究開発したり、マーケットを拡大してさらに利潤を上げようというのが拡大再生産です。

われわれもこの原理の延長線上にいることは、認識しておかなくてはなりません。

時代を知る

2012年11月27日 | 朝礼
朝礼 平成24年11月27日(火)

テーマ:時代を知る

経営にとってその目的とする理念(社会をよくすること)はもちろん重要なのですが、理念は遥か遠くにあり、その道程がどのような状況になっているか知っておかないと、理念とは全く逆さまの方向へ向かっていたり、タイタニックのように嵐の中や氷山(障害物のひとつ)がある場所へ突っ込んで行ったりしますと、めざすこととは違った結果となりかねません。

したがいまして、歴史を振り返り、事象をを本質的に捉え、深く考えることが最優先事項となります。

ここを誤るとそれ以降の戦略や戦術や知識や技能がどんなに優れていても、すべて意味がなくなるぐらいの価値をもっています。

今は、何もしなくても人口が増え経済が成長し、みんなの暮らしがよくなるという時代ではなくなりました。すなわち、時代を知って、正しいかじ取りをしないと存続していけないということです。

このことは、個人も経営も同じです。

今の時代や社会を知ろうとしたら、歴史をしらなければならない。

自分を知ろうとしたら、他人のことや世の中のしくみやなぜそのようになってきたのかを知らなければならない。

時代を知り、自分を知って、社会の中で活躍(お役に立てる)の場所をみつけ、自己実現を果たしましょう。

国語力

2012年11月26日 | 朝礼
朝礼 平成24年11月26日

テーマ:国語力(言葉の力)

言葉は武器です。

自分を守ることも、相手を傷つけることもできます。

大胆な言い方をすれば、この世は言葉で動くといってもよいでしょう。

ものごとを考えるのも、聞くのも、伝えるのも、言葉の意味を知らないとできません。

人として生きる目的を達成しにくいということです。

現代は、自分のまわりに起きている事象の意味を知らないと、生きていくことはたいへん難しい時代になってきています。

それは、戦後の高度成長期のように仕事、教育、家庭などが矛盾もなく格差も少なく、あまり考えなくても、自分も自分のまわりもよくなっていった時代は終わったからです。

そういう意味では、より人間らしく生きられる時代になってきたのではないかと思います。

理性と感性

2012年11月25日 | 仕事
朝礼 11月24日(土)

テーマ:理性と感性

理性で物事を判断し行動するのは「男性」が多いようです。
感性で物事を判断し行動するのは「女性」が多いようです。

世の中全体で見ましても「感性」の優位性が見られます。

ただ人間は、両方を併せ持っています。

例えば、仕事をするときには、「理性」を働かし、消費活動や人間関係には「感性」がその力を発揮します。

今の日本では、消費は女性が握っているので、作り手であるわれわれは、女性の感性に訴えるべく商品やサービスを提供しなければなりません。

その特徴は、カワイイ、キレイ、ワクワク、ベンリ、ラク、スキ、ステキなどです。特に自分を引き立ててくれるモノへの選別眼は、非常に優れたものがあります。
「感性」に訴えないとモノが売れない時代です。

哲学の世界でも普遍論争(神が絶対普遍)があり、啓蒙思想(事実、科学=理性重視)があり、ロマン主義(感性重視)に至ったように、現在は、「感性」が
重視されています。

ただし、「感性」も小さいころの学びや体験や教育などの「理性」を潜在意識の中に蓄積してきたことが、大人になってごく自然に出てきているものと思われます。
だから、「感性」も「理性」を土台としているところもあるのではないかということです。

また、「自由」が、戦後六〇年以上経ち、日本の社会にいきわたったことも影響していて、「理性」で自分を制御するよりも、「感性」で自由に生きることが肯定されるようになったことも「感性」が力を伸ばしてきた理由の一つかなと考えられます。

道徳の衰退も「感性」に拍車をかける要因となっていると思われます。

先ほども申しましたように、われわれ経営者も多くの案件をその都度判断する場合、ほとんど「感性」に頼っています。

ですから、「理性」をきっちり積み上げ、世の中の道理や人の心の動きを正しく潜在意識の中に入れて、その人固有の「感性」と合わせて用いるのがよかろうと思っています。

今の日本では、その反動として「理性」をもう少し重視したほうが、みんなが幸せに暮らせるのではないかと思います。








シンガポールへ行ってきました

2012年11月02日 | 海外視察
 シンガポール(10月15日から一週間)へ行ってきました。

今年6月にしがぎんさんの経済講演会で寺島実郎さんが講演され、今世界の中で一番見ておかないといけない国として紹介されました。

この講演を聞いたことがきっかけで、いけたらいいなと漠然と思っていたところ、たまたま、大阪中小企業投資育成株式会社の経営者の集まりである年輪会のトップセミナー(経済・産業視察)で、シンガポールを中心に一部マレーシア、インドネシアを視察するという機会を得ました。

これ幸いとアジアのダイナミズムを肌で感じるために、そして、成熟化した国が更にどのようにして発展していけばよいかを知るために参加しました。

 まず、かつての日本のように非常に熱気にあふれているということです。シンガポールは、じっとしていられない中学生か高校生のような若者のイメージ。日本は、少し年を取りすぎて動きがにぶい感が否めませんでした。

 文化的な側面を見ましても、多民族(中華系、マレー系、インド系+外国人)、多宗教(回教、ヒンドゥ教、仏教など)、高い教育、そしてなによりも、国民の幸せを願い、国民から高い支持を獲得しているクリーンな安定政権(国民が政治を信頼し、国民に対して国のコントロールが効いている)。

 海外から質の良い投資を呼び込むためにできるだけのことを国を挙げてやっていることに強く感銘しました。

 シンガポール政府の海外政策は明確で、われわれにどれだけ利益をもたらしてくれるのかで外資などの受け入れ判断をしているようです。お金持ちは非常に優遇されます。といいますか、家賃も非常に高いので、お金がなかったら外国人が住むことはできません。

 マラッカ海峡に面して地の利を活かし、世界の物流拠点(現在コンテナ取扱高世界第2位)としての港湾、空港の整備はもちろんのこと、マリーナベイサンズ(建設は韓国企業)やセントーサ島に大きなカジノを誘致したりして遊興・観光施設を充実させたり、F1グランプリを街の中で開催したりして国民や訪問者をワクワクさせるようなことを積極的に展開しています。

 



 また、ビジネスや暮らしが快適になるように、地下鉄を整備(現在2本のものを7本にする)、車も台数を意図的に制限しています。渋滞がおこらず、ストレスフリーです。

 街もきれいで、緑が多く、色とりどりの花が植えこんであり、車も古いものはほとんどなく、きれいな車ばかりです。日本の車よりも、欧州車特にドイツのBMW、ベンツ、ポルシェなどが目につきました。ちなみに一人あたりのGDPでは日本を抜いているそうです。韓国のヒュンダイ(現代自動車)もタクシーなどでよく使われています。

 

 参考までに、シンガポールでカムリ(日本で約250万円)に乗ろうと思えば、車代が450万円、車を乗る権利代が650万円、計1,100万円いるそうです。現地ではカムリ以上の車がごろごろ走っています。

 もちろん、税制(日本:40%、シンガポール:17%)、金融の自由化、行政手続きの簡素化されている点も魅力的です。われわれがチャンギ空港で飛行機をおりてから少し歩きますが、入国審査での待ち時間はありませんし、荷物の受け取りも時間はかかりませんし、税関に至っては、あったのかなかったのかわからないくらいで2人の係員の前を素通りするだけです。



 今一つ、素晴らしいと思ったことは、マレーシアのイスカンダル開発計画やシンガポール・インドネシアのBBK:成長のトライアングル計画に見られるように、アセアン諸国を巻き込み地域全体を活性化させ、それを還流させて自国の成長・発展を促そうとしている視野の広さと慧眼です。

 私たち、日本人も年をとったといって、ひと休みしている場合ではありません。まだまだ、日本には、お金も技術もあります。国が自国の成長・発展のために音頭を取って対外的に交渉をしていけば、日本も復活するような気がします。そのためには、他国人たちが、ビジネス、観光、永住の地として選ばれるように日本の国の文化面、社会面でのインフラ整備をしなければならないと思います。

 


シンガポールの基本情報 セムコープ資料より抜粋
・国名:シンガポール共和国
・大統領:トニー・タン(2011年9月就任、任期6年)
・首相:リー・シェンロン
・議会:1院制(定数87)
・主要政党:人民行動党
・建国:1965年、マレーシアから分離独立
・面積:約712.4㎢、淡路島より少し大きい
・人口:約518万人(2011年6月)
    内国民326万人(63%)、永住者53万人(10%)、外国人139万人(27%)
・失業率:2.2%(2010年)
・民族:中華系(74%)、マレー系(13%)、インド系(9%)、その他
・宗教:仏教、イスラム教、ヒンドゥ教、キリスト教
・在留邦人:(2011年10月)26,032人
・通貨:シンガポールドル 1シンガポールドル=約64円(2012年10月)
・名目GDP(2011年):2,599億USD(世界38位、千葉、兵庫県と同程度、サービス65%、工業:25%、その他)
・実質GDP成長率:2011年 4.9%
・一人当たりの名目GDP(2011年)49,271USD(世界13位)
・主要都市の生活費比較:2012年、世界第6位
・コンテナ取扱量:28,430千TEU(2010年世界第2位)

イスカンダル開発計画(マレーシア)
・2006年に発表 2025年までの20カ年計画
・対象地域:ジョホール州南部
・東アジアのハブ的なロケーション
・5つの地域を開発
 ①金融ハブセンター、ダンガベイ総合ウォーターフロントシティ
 ②新行政地区、大学ハブ、医療ハブ、国際テーマパーク、物流ハブなど、住居環境地域
 ③PTP(タンジュンプルパス港)、発電所、マレーシア。シンガポール第2架橋
 ④パシルグダン地域 工業地帯60~70社
 ⑤セナイ空港周辺、ハイテクパーク、ジョホール高級ショッピング街

BBK開発=インドネシアとシンガポールが共同開発した産業基地、バタム、ビンタン、カリムン島の頭文字をとっている。シンガポールを含めた成長の三角形と位置づけ、シンガポールでは、セムコープ社が活動している。
セムコープ社
・10社ほどある政府系企業(GLC)で、政府の政策に従い、シンガポールの経済政策を
推進する会社
・直接国会の管轄下にはなく、会社法に基づいて設立された「株式会社」
・経営者の大半は、元政治家、元官僚、元軍人などの、いわゆる「天下り」
・独立後、工業化を進める過程で、国内の投資環境を整える上で設立。
・民間企業の力が相対的に弱い。GLCと多国籍企業が、同国経済を牽引。
・国内のみならず周辺国に対しても投資活動を展開。