心の旅

やわらぎ住宅(株)の社長によるブログ。

シンガポールへ行ってきました

2012年11月02日 | 海外視察
 シンガポール(10月15日から一週間)へ行ってきました。

今年6月にしがぎんさんの経済講演会で寺島実郎さんが講演され、今世界の中で一番見ておかないといけない国として紹介されました。

この講演を聞いたことがきっかけで、いけたらいいなと漠然と思っていたところ、たまたま、大阪中小企業投資育成株式会社の経営者の集まりである年輪会のトップセミナー(経済・産業視察)で、シンガポールを中心に一部マレーシア、インドネシアを視察するという機会を得ました。

これ幸いとアジアのダイナミズムを肌で感じるために、そして、成熟化した国が更にどのようにして発展していけばよいかを知るために参加しました。

 まず、かつての日本のように非常に熱気にあふれているということです。シンガポールは、じっとしていられない中学生か高校生のような若者のイメージ。日本は、少し年を取りすぎて動きがにぶい感が否めませんでした。

 文化的な側面を見ましても、多民族(中華系、マレー系、インド系+外国人)、多宗教(回教、ヒンドゥ教、仏教など)、高い教育、そしてなによりも、国民の幸せを願い、国民から高い支持を獲得しているクリーンな安定政権(国民が政治を信頼し、国民に対して国のコントロールが効いている)。

 海外から質の良い投資を呼び込むためにできるだけのことを国を挙げてやっていることに強く感銘しました。

 シンガポール政府の海外政策は明確で、われわれにどれだけ利益をもたらしてくれるのかで外資などの受け入れ判断をしているようです。お金持ちは非常に優遇されます。といいますか、家賃も非常に高いので、お金がなかったら外国人が住むことはできません。

 マラッカ海峡に面して地の利を活かし、世界の物流拠点(現在コンテナ取扱高世界第2位)としての港湾、空港の整備はもちろんのこと、マリーナベイサンズ(建設は韓国企業)やセントーサ島に大きなカジノを誘致したりして遊興・観光施設を充実させたり、F1グランプリを街の中で開催したりして国民や訪問者をワクワクさせるようなことを積極的に展開しています。

 



 また、ビジネスや暮らしが快適になるように、地下鉄を整備(現在2本のものを7本にする)、車も台数を意図的に制限しています。渋滞がおこらず、ストレスフリーです。

 街もきれいで、緑が多く、色とりどりの花が植えこんであり、車も古いものはほとんどなく、きれいな車ばかりです。日本の車よりも、欧州車特にドイツのBMW、ベンツ、ポルシェなどが目につきました。ちなみに一人あたりのGDPでは日本を抜いているそうです。韓国のヒュンダイ(現代自動車)もタクシーなどでよく使われています。

 

 参考までに、シンガポールでカムリ(日本で約250万円)に乗ろうと思えば、車代が450万円、車を乗る権利代が650万円、計1,100万円いるそうです。現地ではカムリ以上の車がごろごろ走っています。

 もちろん、税制(日本:40%、シンガポール:17%)、金融の自由化、行政手続きの簡素化されている点も魅力的です。われわれがチャンギ空港で飛行機をおりてから少し歩きますが、入国審査での待ち時間はありませんし、荷物の受け取りも時間はかかりませんし、税関に至っては、あったのかなかったのかわからないくらいで2人の係員の前を素通りするだけです。



 今一つ、素晴らしいと思ったことは、マレーシアのイスカンダル開発計画やシンガポール・インドネシアのBBK:成長のトライアングル計画に見られるように、アセアン諸国を巻き込み地域全体を活性化させ、それを還流させて自国の成長・発展を促そうとしている視野の広さと慧眼です。

 私たち、日本人も年をとったといって、ひと休みしている場合ではありません。まだまだ、日本には、お金も技術もあります。国が自国の成長・発展のために音頭を取って対外的に交渉をしていけば、日本も復活するような気がします。そのためには、他国人たちが、ビジネス、観光、永住の地として選ばれるように日本の国の文化面、社会面でのインフラ整備をしなければならないと思います。

 


シンガポールの基本情報 セムコープ資料より抜粋
・国名:シンガポール共和国
・大統領:トニー・タン(2011年9月就任、任期6年)
・首相:リー・シェンロン
・議会:1院制(定数87)
・主要政党:人民行動党
・建国:1965年、マレーシアから分離独立
・面積:約712.4㎢、淡路島より少し大きい
・人口:約518万人(2011年6月)
    内国民326万人(63%)、永住者53万人(10%)、外国人139万人(27%)
・失業率:2.2%(2010年)
・民族:中華系(74%)、マレー系(13%)、インド系(9%)、その他
・宗教:仏教、イスラム教、ヒンドゥ教、キリスト教
・在留邦人:(2011年10月)26,032人
・通貨:シンガポールドル 1シンガポールドル=約64円(2012年10月)
・名目GDP(2011年):2,599億USD(世界38位、千葉、兵庫県と同程度、サービス65%、工業:25%、その他)
・実質GDP成長率:2011年 4.9%
・一人当たりの名目GDP(2011年)49,271USD(世界13位)
・主要都市の生活費比較:2012年、世界第6位
・コンテナ取扱量:28,430千TEU(2010年世界第2位)

イスカンダル開発計画(マレーシア)
・2006年に発表 2025年までの20カ年計画
・対象地域:ジョホール州南部
・東アジアのハブ的なロケーション
・5つの地域を開発
 ①金融ハブセンター、ダンガベイ総合ウォーターフロントシティ
 ②新行政地区、大学ハブ、医療ハブ、国際テーマパーク、物流ハブなど、住居環境地域
 ③PTP(タンジュンプルパス港)、発電所、マレーシア。シンガポール第2架橋
 ④パシルグダン地域 工業地帯60~70社
 ⑤セナイ空港周辺、ハイテクパーク、ジョホール高級ショッピング街

BBK開発=インドネシアとシンガポールが共同開発した産業基地、バタム、ビンタン、カリムン島の頭文字をとっている。シンガポールを含めた成長の三角形と位置づけ、シンガポールでは、セムコープ社が活動している。
セムコープ社
・10社ほどある政府系企業(GLC)で、政府の政策に従い、シンガポールの経済政策を
推進する会社
・直接国会の管轄下にはなく、会社法に基づいて設立された「株式会社」
・経営者の大半は、元政治家、元官僚、元軍人などの、いわゆる「天下り」
・独立後、工業化を進める過程で、国内の投資環境を整える上で設立。
・民間企業の力が相対的に弱い。GLCと多国籍企業が、同国経済を牽引。
・国内のみならず周辺国に対しても投資活動を展開。

北イタリア経済・産業視察~完結編~

2006年10月28日 | 海外視察
北イタリア視察は今回が最後です。

「マルコム」

MARCONのMARCOMショピングセンター(カルフール)、
CASTRORAMA(ホームセンター)は、
高速道路のインターチェンジのすぐそばにあり、
広大な敷地の中に複合施設(ショッピングセンター、ホームセンター、映画館など)が
入っていてまさに、アメリカを思わせる雰囲気でした。

イタリアらしさというよりも、少し残念ですが世界(アメリカ)の
スタンダードを見たような気がします。


「ヴェネツィア」



ヴェネツィアは、水の都でどこへ行くのにも歩くか、
水上タクシー(ボート)で行きます。



ムラーノ島で、ヴェネチアンガラスメーカーを
二ケ所見学しましたが、
1100℃~1300℃の窯の周りで熟練した職人がチームで
一つの商品(作品)をつくる様は、まさに芸術です。



イタリアのすぐれたものは、職人の卓越した技術と
デザイン性に見つけることができました。



フェラーリも芸術です。
大量生産のラインからはこのようなものは生まれません。

イタリアの食は、私には味が濃く、パスタ類も堅めでした。
日本でピザやパスタに使うタバスコや、パンにつけるバターは
通常はおいていません。
アメリカやイギリスに比べるとはるかに美味ですが、
やはり日本食が一番ですね。


“メイド・イン・イタリー”

メイド・イン・イタリーについては、
ジェトロレポートが詳細を報告しています。

イタリアの得意とする産地を生かした繊維、アパレル、皮革、
製靴、インテリア、家具、照明器具、陶器、電化製品、眼鏡、
貴金属・宝石、船舶、農産食品などは、
新興工業国(中国、ロシア、トルコ、インド)の方が
コスト面で有利であることは否めません。

しかし、産業用一般工作機械、特殊工作機械、
オートメーション機械特に生物医学、セキュリティ、
地球・宇宙探査部門、ロボット部門などは、
たいへん好調となってきているようです。

つまり、「メイド・イン・イタリー」の中での
世代交代が行われ、ファッションやハウスウエア関係は、
新興国のコスト競争力と著しい発展により衰退し、
新興国が織物、縫製、製靴、セラミック製造などを
生産するための工作機械が好調となり、
更に新興国が手を出せない生物医学、セキュリティ、
地球・宇宙探査部門、ロボット関連などの
機械オートメーション、電子などが今現在(2004年から)
「メイド・イン・イタリー」(多種・高品質機械生産が可能)
として成長し、その機能を発揮してきていると理解しました。

今回の視察は、日本も国際社会の中で地域を見据えながら
どのように進んでいくのか、「メイド・イン・イタリー」は、
非常に参考となり、今後の学ぶべき課題の
大きな布石となりました。



北イタリア経済・産業視察~ボローニャ編~

2006年10月26日 | 海外視察
前回のコモ編に引き続き北イタリア視察についてお送りします。

今回は「ボローニャ」です。

ボローニャでは、教会、大学そしてマルシェを見学。




建造物や街並みは、中世から引き継がれ
人だけが変わっているように見えました。




日本のように人や時代に合わせて
建物や街をスクラップ&ビルドするのではなく、
古いものを大切にする風潮がヨーロッパでは特徴的です。



また、ボローニャでは、包装機械メーカーのIMT社と、
オートバイメーカーのDUCATI MOTOR S.P.A社を
視察しましたが、日本に比べると
良い意味でのんびりしているように見えました。

イタリア人気質、すなわち、マイペースで
自分を失わずに仕事をしている感じでした。

北イタリア経済・産業視察~コモ編~

2006年10月19日 | 海外視察
前回に引き続き北イタリア視察についてお送りします。

今回は「コモ」です。

コモはミラノから電車で一時間半くらいの、湖のある街です。
高級別荘地で、観光地としても有名です。

高級シルクの産地(↓)でもあるコモでは、



高級リゾートの感覚で街並みが落ち着いていました。



都会のミラノとは一線を画していました。
ゼッケンをつけたフェラーリも連なって走っていました。
上質なイタリアといった雰囲気でした。

貴族の別荘、ホテル ヴィラ・デステでの昼食(ナポレオンの間)と
庭園は最高でした。



コモ湖を囲んで山の上まで家があり
景色そのものが付加価値になっていました。
雰囲気そのものが高付加価値を醸し出していました。



北イタリア経済・産業視察~ミラノ編~

2006年10月12日 | 海外視察


先月の10日~17日まで、北イタリアの経済や産業の視察に
行ってまいりましたので、その様子をご紹介致します。

まずは“ミラノ”から。


ミラノでは、街全体が中世の街並みが残っていて、
特にオペラで有名なスカラ座や、DUOMOのゴシック建築は圧巻で
市民や観光客でにぎわっている観光国であることを認識させられました。








イタリア人は、それぞれがみんなオシャレであると感じました。
何気なさそうですが、足の先から頭の先までバランス感覚よく、
それぞれの個性を発揮し全くスキがないように見えました。



車やバイクが、街にあふれている感じで国民として
車好きなのがよくわかりました。


但し、路上駐車があまりにも多すぎて
街の景観を損なっているかのように見えますが
これがイタリアなのかもしれません。


車の種類は、アメリカ車以外は、各国の車を見かけました。

あこがれのスーパーカー(フェラーリ、ランボルギーニ、
マセラティ等)は、見かけなかったのが残念でした。



イタリアでは、一度建築したものは簡単に壊すことはできません。
ですからいつまでも昔の町並みが保たれます。




サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の「最後の晩餐」は、
往路の飛行機の中で「ダ・ヴィンチコード」
(イエスの末裔が女性であることをめぐる物語)
のことを思い出しながら見ました。


次回は、“コモ”をご紹介します。