前回、ブログの字数制限で説明しきれていませんでした、原子力についての基礎的なことを
経済産業省 資源エネルギー庁編集、(財)日本原子力文化振興財団発行の「原子力2008」から引き続き学んでおきます。
原子力発電では、運転に伴い、熱エネルギーだけでなく様々な放射線が発生します。放射線とは、原子炉内等で作り出される不安定な原子核の崩壊や核分裂のときに放出される粒子や電磁波のことです。よく似た言葉として「放射能」がありますが、これは放射線を発生させる能力のことをいいます。ただし、放射能を持つ物質(放射能物質)のことを指して用いられる場合もあります。
・放射線の種類と性質
放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線等があります。
アルファ線は陽子2個と中性子2個が結び付いたヘリウムの原子核と同じもので、プラスの電気を帯びています。物質に吸収されてエネルギーを失うと周囲にある電子と結び付いてヘリウム原子になります。なお、アルファ線を出した原子は、それだけ陽子と中性子の数が減るので、別の原子に変わります。
ベータ線は原子核から高速で飛び出す電子であり、これに伴い原子核の中では中性子1個が陽子に変わります。このため、ベータ線を出した原子は、陽子の数が増えることになり、別の原子に変わります。
ガンマ線は原子核からアルファ線やベータ線が飛び出した直後等に、余ったエネルギーが電磁波の形で放出されるものです。電磁波は電波や光やガンマ線等の総称です。エックス線も電磁波であり、一般にガンマ線に比べれば波長は長くなりますが、ガンマ線と同じような性質を持っています。
中性子線は核分裂等に伴い放出される中性子であり、電気的に中性です。このため、 非常に強い透過力(物質を通り抜ける力)があります。
強い透過力を持つ放射線も適切な材料を使えばさえぎること(放射線の遮蔽)ができます。また、材料によっては放射線が当たると蛍光を発したり、写真が感光したりしますが、これは放射線が物質に当たったときの原子や分子の励起あるいは電離作用の結果です。この性質を利用して放射線のエネルギーや強度を正確に計ることができます。
・日常生活と放射線
放射線や放射線物質は、人間が原子力の利用を開始したことによって初めて生まれたものではありません。人間は、有史以前から様々な放射線や放射性物質の中で生活してきており、放射線や放射能物質はもともと私たちにとってきわめて身近な存在でありました。
地殻を構成している岩石や土砂等の中には、ウラン系列、トリウム系列、カリウム系列等の放射性物質が含まれていて、これらは絶え間なく放射線を出しています。また、ウラン系列、トリウム系列から生じたラドンは気体上の放射性物質であり、空気中に混じっていて、呼吸することによって体内に取り込まれ、体の内部で放射線を受けることになります。さらに、宇宙のかなたから飛来した宇宙線と呼ばれる放射線も人間に降り注いでいます。これら自然界に存在する放射線は、自然放射線と呼ばれています。
放射線が人体に与える影響を表す単位としてシーベルトがありますが、人間は、1人当たり平均して1年間で約2.4ミリシーベルトの自然放射線を受けています。その内訳は、宇宙船から飛来してくるもの0.39ミリシーベルト、土壌から放出されるもの0.48ミリシーベルト、日常摂取する食物を通じ体内で照射されるもの0.29ミリシーベルト、それに空気中のラドン等の吸収により1.26ミリシーベルトです。
また、自然放射線からの線量は場所によりその大きさが異なります。これは地質等により、その場所ごとの自然放射性核種濃度がことなるためで、例えば、我が国では最も少ない神奈川県と最も多い岐阜県とは年間約0.38ミリシーベルトもの開きがあります。
また、ブラジルのガラパリという地方では、年間約10ミリシーベルトの自然放射線を受けています。
我が国の原子力発電所が周辺地域に与える影響は、法令で定められている線量(年間1ミリシーベルト)に比べ十分低い値になるよう管理されています。この目標値は、1年間で0.05ミリシーベルトであり、実際にはこれよりも低い値に抑えされています。
・放射線が人体に与える影響
放射線が人体に与える影響は、放射線の種類や量によって異なります。放射線は、それ自身の持つ電離作用等の性質により、生体に影響を与えます。
放射線の生体への作用には、放射線が細胞のDNA(遺伝子を構成する高分子化合物)等に直接当たることによって生ずる「直接作用」と放射線が細胞内の水や有機物質等を電離することにより化学反応性の強い物質(フリーラジカル)を発生させ、このフリーラジカルがDNA等を傷つける「間接作用」とがあります。
これからのDNA損傷の程度は放射線を受ける部分や放射線の量で変わってきます。一般に細胞分裂の盛んな部位ほど、放射線の影響をより多く受けることになります。
私達は、自然放射線を受けているわけであり、つねに放射線によりDNAや細胞内の分子が損傷を受けていることになります。
しかしながら、生態にはDNAや細胞レベルでの自己修復作用があり、少々の損傷は修復されます。この自己修復作用の能力を超える損傷をうけたとき、放斜線による影響が症状として現れます。
大量の放射線が外部から当たると、多少の個人差はあっても、皮膚が赤くなったり、もっと強く照射されると、潰瘍を起こしたりします。これは、放射線をうけた部分の細胞がある程度破壊されるためです。
また、一度の大量の放射線を受けると急性放射線症の症状として、吐き気、おう吐、下痢、発熱等が現れ、この後にも様々な症状が発生することがあります。非常に大量の放射線を受けると死にいたります。
これらの症状は、医学・生物学の立場から、発生する時期により早期影響と晩期影響に分けられます。早期影響とは、白血球の減少等のように放射線を受けた後、数十日以内に現れる影響のことです。
これに対して晩発影響とは、白内障、白血病やがん等のように放射線を受けた後数年以上たって現れる影響のことです。
このほか放射線を受けた人の子孫に対し、遺伝的影響が証する可能性も考えられますが、これまでの疫学調査では検出されていません。
放射線防護の立場からは、放射線による影響は、確定的な影響と確率的な影響に分けられます。
確定的影響とは、一定の放射線量以下では医学的検地できるほどには現れないとされている影響で、早期影響として現れる症状は全て確定的影響に含まれます。
この境界の放射線量を「しきい値」と呼んでいます。
これに対し、確率的影響とは、放射線の量に比例して影響が発生する確率が高くなると考えられている影響のことで、晩発影響のがんや白血病等がこの確立的影響に含まれます。
確率的影響の発生には放射線量の「しきい値」がないものとして、放射線の被ばくによる影響が評価されます。
このへんで、原子力についての基礎的な話を終わります。
さて、六ヶ所村の原子力施設見学の続きですが、核分裂による原子力エネルギーをいうのは、今学びましたように、質量の重い原子の原子核に中性子を当てて物質の最小単位ともいえる原子核を破壊し、そのときに生ずる質量欠損分の主に熱エネルギーを利用するというものですが、私は、エネルギーを得るために人為的に自然を破壊(原子核を破壊する)することが、人間と自然の関係でどうなのかということに一番疑問を感じました。
それと、核分裂する過程において放射線でDNAや細胞内の分子が損傷を受けることは、たいへん恐ろしいことですが、現代のエネルギー事情を考えますと、他国にみられますように電気を得るために脱硫装置が不十分なまま石炭をもくもくと燃やしているような状態と比べますと、はるかに地球保護につながります。
(原子力発電は、発電の過程において、大気汚染・酸性雨の原因となる硫黄酸化物、窒素酸化物も出しません。二酸化炭素排出量も原料の採掘や輸送、発電所の建設や運転などに消費するエネルギーを含めて算出した場合においても、1キロワットアワーあたりの発生する二酸化炭素の量は、石炭975.2グラム、原子力21.6~24.7グラム、水力11.3グラム、太陽光53.4グラム、風力29.5グラム)
そう考えますと、放射能という人体に危険なものでも、安全対策を十分にすれば、そこで働く人たちや周辺地域にもほとんど問題ないと施設を見学して感じました。
ただ、輸送過程は何が起こるかわからない、すなわち不安定要素、不確実要素が増えるのでそこには十分注意をしなければいけないとも感じました。
今後、自然エネルギーに移行する過程では、我々がどうしても必要な電気をつくるのには、原子力発電は人類がもっている手段の一つとしては、有効ではないかと思いました。
使用済み核燃料の廃棄場所の問題など、まだ解決しなければならない問題は残りますが、他の地球環境や戦争や病原菌や貧困などとは切実さのレベルが違うと思われました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12月9日(水)哲学学習会を会社で実施しました。参加人数は、5名でした。教材は、「自然の哲学」(下)田中 一著で「第二十話 カテゴリー」です。
雑感
この時期は、いつも経営指針書づくりをしています。
新しい期の基本的な行動指針は、「柔軟」です。2008年9月15日のリーマンショック以来、北米で起こったことが、すぐさまわれわれにこれだけ大きく直接影響したことはなかったです。
株価が下がり、円高になり、北米でモノが売れなくなり、自動車や電気、工作機械など輸出に頼っていた日本の経済は急激に落ち込みました。
わが滋賀県も製造業の比率が日本一高い県ですので、昨年の今頃は、中小の企業はピーク時の2割~5割程度にまで受注が下がりました。あれから一年経ってやっと6割~8割程度戻ってきてはいますが、本格回復にはいたっておりません。
住宅の着工件数も前年比70%の水準で推移しております。
それどころか、今回の一件で、世界の先進国の消費構造、生産構造が大きく変化したり、アメリカ中心だったものが、中国中心にシフトしております。まさに、弁証法的にいいますと産業革命以来、今までの経済が量的変化を重ねてきた結果、質的変化を起こそうとしているのかも知れません。今回の変化を質的変化と捉えると、今までの価値観がごろっと変わるぐらい変化するということです。ですから、私たちも今までの経営をしていてはもう時代遅れということです。ですから、今期に関しましては、変化の質を観察しながら「柔軟」に経営の舵取りをしていくことが決定的に重要だと考えております。
本日の学び
カテゴリーとは、矛盾、運動、形式、内容、必然性、偶然性、物質、意識、観念、真理、対象物、矛盾、統一、否定、質及び量、時間、空間、対立物、否定、因果関係、本質と現象、可能性と現実性、個別と普遍、具体的と抽象的などをひとまとめにしたものを指すようです。もう少し著者の言葉を借りて説明を試みてみます。
「どのような個々の領域にたいしても、その領域に関係した重要な概念を見出すことが、対象を深く認識する第一歩である。これらの概念は、細胞、固体、原子、分子、商品、貨幣など、実在物の名前であることもあれば、温度、景気、進化、古代、近代のようにそれぞれの分野における客観的実在の状態やその変化に関するもの、すなわち客観的実在の運動に関するものであることもある。これらはそれぞれの領域における客観的実在の重要な基本的部分や、その運動に関する本質的なものをあらわしていることである。実際、細胞はそれ自身生命の単位であってかつ多細胞生物の基本的な単位である。また温度は物質の状態をしめす一般的な概念である。温度の概念が導入されてはじめて熱現象の科学的研究が行われるようになったのである。すなわち客観的実在の変化発展における一般的で本質的なものを映し出した概念である。」
これで私も少し理解できたような気がします。花の名前のように個々のものを区別するだけのものではなく、その概念からどんどん広がりを見せたり、深く考えることができたり、概念同士のつながりを考えていく過程の中でさらに世界をよく認識できるものだということです。
ここでは著者は、「どんな現象にもその必然性と偶然性がそなわっていて、両者はたがいに他方の存在を前提として存在していることを認めたうえで、現象における両者の関係、すなわち相互に相手の存在を前提としてはじめて自分の存在があるという相互依存の関係と相互否定関係を認識することができた」といっています。
これも本質的な概念です。私たちの世界は、宇宙が誕生したとき正物質と反物質があったようにすべてのものにたいして正・反、プラス・マイナス、否定・肯定、好き・嫌いなどの相反する概念が入り混じっているのが世界の本質ではなかろうかという気がします。そうしますと、その矛盾こそが、世界の進化発展のすなわち運動(内部矛盾)のもととなっているというように考えられます。
ですから、組織内でも国家間でも内部矛盾があってこそ進化・発展していくものだということがわかります。ただし、人間には意識があります。物質相手の科学的なことは、まったくさかさまの方向から考えたり、常識を否定したりすることによって世界は広まっていきます。しかし、人間や社会の問題は、意識的に対立して争うこともできますし、意識的に協調しあうこともできます。でも、世界を見ていますと自分にとって生きるか死ぬかということを目の前に突きつけられないと人間は協調して生きることは難しいようです。
ただ、今、地球環境問題とか、戦争、紛争の問題など人類全体でしか捉えられない問題が発生してきています。そういった意味では、現代は人類にとって大きな転機に直面しているのだと思います。100年に一度の経済危機というようないわれ方をしていますが、このことは、自然の問題であり、人類の進化発展過程における必然的かつ質的な変化をもたらす問題だというようにみることもできます。
今は、世界をどのように捉え、どのようにしていくのかが一番重要なことだと思います。そうしないと、ヘーゲルが言うように、すべてのものは内部矛盾によって崩壊する、言い換えれば、人類は人類の持つ自己矛盾によって、自己崩壊するのかもしれません。
私たちのすべきことは、人間の本質である真理、すなわち真・善・美に目覚め、目の前の欲にとらわれずに行動していくことが求められているようです。
経済産業省 資源エネルギー庁編集、(財)日本原子力文化振興財団発行の「原子力2008」から引き続き学んでおきます。
原子力発電では、運転に伴い、熱エネルギーだけでなく様々な放射線が発生します。放射線とは、原子炉内等で作り出される不安定な原子核の崩壊や核分裂のときに放出される粒子や電磁波のことです。よく似た言葉として「放射能」がありますが、これは放射線を発生させる能力のことをいいます。ただし、放射能を持つ物質(放射能物質)のことを指して用いられる場合もあります。
・放射線の種類と性質
放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線等があります。
アルファ線は陽子2個と中性子2個が結び付いたヘリウムの原子核と同じもので、プラスの電気を帯びています。物質に吸収されてエネルギーを失うと周囲にある電子と結び付いてヘリウム原子になります。なお、アルファ線を出した原子は、それだけ陽子と中性子の数が減るので、別の原子に変わります。
ベータ線は原子核から高速で飛び出す電子であり、これに伴い原子核の中では中性子1個が陽子に変わります。このため、ベータ線を出した原子は、陽子の数が増えることになり、別の原子に変わります。
ガンマ線は原子核からアルファ線やベータ線が飛び出した直後等に、余ったエネルギーが電磁波の形で放出されるものです。電磁波は電波や光やガンマ線等の総称です。エックス線も電磁波であり、一般にガンマ線に比べれば波長は長くなりますが、ガンマ線と同じような性質を持っています。
中性子線は核分裂等に伴い放出される中性子であり、電気的に中性です。このため、 非常に強い透過力(物質を通り抜ける力)があります。
強い透過力を持つ放射線も適切な材料を使えばさえぎること(放射線の遮蔽)ができます。また、材料によっては放射線が当たると蛍光を発したり、写真が感光したりしますが、これは放射線が物質に当たったときの原子や分子の励起あるいは電離作用の結果です。この性質を利用して放射線のエネルギーや強度を正確に計ることができます。
・日常生活と放射線
放射線や放射線物質は、人間が原子力の利用を開始したことによって初めて生まれたものではありません。人間は、有史以前から様々な放射線や放射性物質の中で生活してきており、放射線や放射能物質はもともと私たちにとってきわめて身近な存在でありました。
地殻を構成している岩石や土砂等の中には、ウラン系列、トリウム系列、カリウム系列等の放射性物質が含まれていて、これらは絶え間なく放射線を出しています。また、ウラン系列、トリウム系列から生じたラドンは気体上の放射性物質であり、空気中に混じっていて、呼吸することによって体内に取り込まれ、体の内部で放射線を受けることになります。さらに、宇宙のかなたから飛来した宇宙線と呼ばれる放射線も人間に降り注いでいます。これら自然界に存在する放射線は、自然放射線と呼ばれています。
放射線が人体に与える影響を表す単位としてシーベルトがありますが、人間は、1人当たり平均して1年間で約2.4ミリシーベルトの自然放射線を受けています。その内訳は、宇宙船から飛来してくるもの0.39ミリシーベルト、土壌から放出されるもの0.48ミリシーベルト、日常摂取する食物を通じ体内で照射されるもの0.29ミリシーベルト、それに空気中のラドン等の吸収により1.26ミリシーベルトです。
また、自然放射線からの線量は場所によりその大きさが異なります。これは地質等により、その場所ごとの自然放射性核種濃度がことなるためで、例えば、我が国では最も少ない神奈川県と最も多い岐阜県とは年間約0.38ミリシーベルトもの開きがあります。
また、ブラジルのガラパリという地方では、年間約10ミリシーベルトの自然放射線を受けています。
我が国の原子力発電所が周辺地域に与える影響は、法令で定められている線量(年間1ミリシーベルト)に比べ十分低い値になるよう管理されています。この目標値は、1年間で0.05ミリシーベルトであり、実際にはこれよりも低い値に抑えされています。
・放射線が人体に与える影響
放射線が人体に与える影響は、放射線の種類や量によって異なります。放射線は、それ自身の持つ電離作用等の性質により、生体に影響を与えます。
放射線の生体への作用には、放射線が細胞のDNA(遺伝子を構成する高分子化合物)等に直接当たることによって生ずる「直接作用」と放射線が細胞内の水や有機物質等を電離することにより化学反応性の強い物質(フリーラジカル)を発生させ、このフリーラジカルがDNA等を傷つける「間接作用」とがあります。
これからのDNA損傷の程度は放射線を受ける部分や放射線の量で変わってきます。一般に細胞分裂の盛んな部位ほど、放射線の影響をより多く受けることになります。
私達は、自然放射線を受けているわけであり、つねに放射線によりDNAや細胞内の分子が損傷を受けていることになります。
しかしながら、生態にはDNAや細胞レベルでの自己修復作用があり、少々の損傷は修復されます。この自己修復作用の能力を超える損傷をうけたとき、放斜線による影響が症状として現れます。
大量の放射線が外部から当たると、多少の個人差はあっても、皮膚が赤くなったり、もっと強く照射されると、潰瘍を起こしたりします。これは、放射線をうけた部分の細胞がある程度破壊されるためです。
また、一度の大量の放射線を受けると急性放射線症の症状として、吐き気、おう吐、下痢、発熱等が現れ、この後にも様々な症状が発生することがあります。非常に大量の放射線を受けると死にいたります。
これらの症状は、医学・生物学の立場から、発生する時期により早期影響と晩期影響に分けられます。早期影響とは、白血球の減少等のように放射線を受けた後、数十日以内に現れる影響のことです。
これに対して晩発影響とは、白内障、白血病やがん等のように放射線を受けた後数年以上たって現れる影響のことです。
このほか放射線を受けた人の子孫に対し、遺伝的影響が証する可能性も考えられますが、これまでの疫学調査では検出されていません。
放射線防護の立場からは、放射線による影響は、確定的な影響と確率的な影響に分けられます。
確定的影響とは、一定の放射線量以下では医学的検地できるほどには現れないとされている影響で、早期影響として現れる症状は全て確定的影響に含まれます。
この境界の放射線量を「しきい値」と呼んでいます。
これに対し、確率的影響とは、放射線の量に比例して影響が発生する確率が高くなると考えられている影響のことで、晩発影響のがんや白血病等がこの確立的影響に含まれます。
確率的影響の発生には放射線量の「しきい値」がないものとして、放射線の被ばくによる影響が評価されます。
このへんで、原子力についての基礎的な話を終わります。
さて、六ヶ所村の原子力施設見学の続きですが、核分裂による原子力エネルギーをいうのは、今学びましたように、質量の重い原子の原子核に中性子を当てて物質の最小単位ともいえる原子核を破壊し、そのときに生ずる質量欠損分の主に熱エネルギーを利用するというものですが、私は、エネルギーを得るために人為的に自然を破壊(原子核を破壊する)することが、人間と自然の関係でどうなのかということに一番疑問を感じました。
それと、核分裂する過程において放射線でDNAや細胞内の分子が損傷を受けることは、たいへん恐ろしいことですが、現代のエネルギー事情を考えますと、他国にみられますように電気を得るために脱硫装置が不十分なまま石炭をもくもくと燃やしているような状態と比べますと、はるかに地球保護につながります。
(原子力発電は、発電の過程において、大気汚染・酸性雨の原因となる硫黄酸化物、窒素酸化物も出しません。二酸化炭素排出量も原料の採掘や輸送、発電所の建設や運転などに消費するエネルギーを含めて算出した場合においても、1キロワットアワーあたりの発生する二酸化炭素の量は、石炭975.2グラム、原子力21.6~24.7グラム、水力11.3グラム、太陽光53.4グラム、風力29.5グラム)
そう考えますと、放射能という人体に危険なものでも、安全対策を十分にすれば、そこで働く人たちや周辺地域にもほとんど問題ないと施設を見学して感じました。
ただ、輸送過程は何が起こるかわからない、すなわち不安定要素、不確実要素が増えるのでそこには十分注意をしなければいけないとも感じました。
今後、自然エネルギーに移行する過程では、我々がどうしても必要な電気をつくるのには、原子力発電は人類がもっている手段の一つとしては、有効ではないかと思いました。
使用済み核燃料の廃棄場所の問題など、まだ解決しなければならない問題は残りますが、他の地球環境や戦争や病原菌や貧困などとは切実さのレベルが違うと思われました。
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12月9日(水)哲学学習会を会社で実施しました。参加人数は、5名でした。教材は、「自然の哲学」(下)田中 一著で「第二十話 カテゴリー」です。
雑感
この時期は、いつも経営指針書づくりをしています。
新しい期の基本的な行動指針は、「柔軟」です。2008年9月15日のリーマンショック以来、北米で起こったことが、すぐさまわれわれにこれだけ大きく直接影響したことはなかったです。
株価が下がり、円高になり、北米でモノが売れなくなり、自動車や電気、工作機械など輸出に頼っていた日本の経済は急激に落ち込みました。
わが滋賀県も製造業の比率が日本一高い県ですので、昨年の今頃は、中小の企業はピーク時の2割~5割程度にまで受注が下がりました。あれから一年経ってやっと6割~8割程度戻ってきてはいますが、本格回復にはいたっておりません。
住宅の着工件数も前年比70%の水準で推移しております。
それどころか、今回の一件で、世界の先進国の消費構造、生産構造が大きく変化したり、アメリカ中心だったものが、中国中心にシフトしております。まさに、弁証法的にいいますと産業革命以来、今までの経済が量的変化を重ねてきた結果、質的変化を起こそうとしているのかも知れません。今回の変化を質的変化と捉えると、今までの価値観がごろっと変わるぐらい変化するということです。ですから、私たちも今までの経営をしていてはもう時代遅れということです。ですから、今期に関しましては、変化の質を観察しながら「柔軟」に経営の舵取りをしていくことが決定的に重要だと考えております。
本日の学び
カテゴリーとは、矛盾、運動、形式、内容、必然性、偶然性、物質、意識、観念、真理、対象物、矛盾、統一、否定、質及び量、時間、空間、対立物、否定、因果関係、本質と現象、可能性と現実性、個別と普遍、具体的と抽象的などをひとまとめにしたものを指すようです。もう少し著者の言葉を借りて説明を試みてみます。
「どのような個々の領域にたいしても、その領域に関係した重要な概念を見出すことが、対象を深く認識する第一歩である。これらの概念は、細胞、固体、原子、分子、商品、貨幣など、実在物の名前であることもあれば、温度、景気、進化、古代、近代のようにそれぞれの分野における客観的実在の状態やその変化に関するもの、すなわち客観的実在の運動に関するものであることもある。これらはそれぞれの領域における客観的実在の重要な基本的部分や、その運動に関する本質的なものをあらわしていることである。実際、細胞はそれ自身生命の単位であってかつ多細胞生物の基本的な単位である。また温度は物質の状態をしめす一般的な概念である。温度の概念が導入されてはじめて熱現象の科学的研究が行われるようになったのである。すなわち客観的実在の変化発展における一般的で本質的なものを映し出した概念である。」
これで私も少し理解できたような気がします。花の名前のように個々のものを区別するだけのものではなく、その概念からどんどん広がりを見せたり、深く考えることができたり、概念同士のつながりを考えていく過程の中でさらに世界をよく認識できるものだということです。
ここでは著者は、「どんな現象にもその必然性と偶然性がそなわっていて、両者はたがいに他方の存在を前提として存在していることを認めたうえで、現象における両者の関係、すなわち相互に相手の存在を前提としてはじめて自分の存在があるという相互依存の関係と相互否定関係を認識することができた」といっています。
これも本質的な概念です。私たちの世界は、宇宙が誕生したとき正物質と反物質があったようにすべてのものにたいして正・反、プラス・マイナス、否定・肯定、好き・嫌いなどの相反する概念が入り混じっているのが世界の本質ではなかろうかという気がします。そうしますと、その矛盾こそが、世界の進化発展のすなわち運動(内部矛盾)のもととなっているというように考えられます。
ですから、組織内でも国家間でも内部矛盾があってこそ進化・発展していくものだということがわかります。ただし、人間には意識があります。物質相手の科学的なことは、まったくさかさまの方向から考えたり、常識を否定したりすることによって世界は広まっていきます。しかし、人間や社会の問題は、意識的に対立して争うこともできますし、意識的に協調しあうこともできます。でも、世界を見ていますと自分にとって生きるか死ぬかということを目の前に突きつけられないと人間は協調して生きることは難しいようです。
ただ、今、地球環境問題とか、戦争、紛争の問題など人類全体でしか捉えられない問題が発生してきています。そういった意味では、現代は人類にとって大きな転機に直面しているのだと思います。100年に一度の経済危機というようないわれ方をしていますが、このことは、自然の問題であり、人類の進化発展過程における必然的かつ質的な変化をもたらす問題だというようにみることもできます。
今は、世界をどのように捉え、どのようにしていくのかが一番重要なことだと思います。そうしないと、ヘーゲルが言うように、すべてのものは内部矛盾によって崩壊する、言い換えれば、人類は人類の持つ自己矛盾によって、自己崩壊するのかもしれません。
私たちのすべきことは、人間の本質である真理、すなわち真・善・美に目覚め、目の前の欲にとらわれずに行動していくことが求められているようです。