昨年からの学びで、中谷 巌氏の「日本の復元力」のおさらいをしておきましょう。
この本は、世の中をよくするために行動したいと思っている人に対して、我々日本人のルーツは何なのか、世界の中でどのような位置にあるのかを明快に示していますので、自分を見直す意味でも大変役に立ちますので私見もまじえまして、復習していきたいと思います。
まえがき 歴史的閉塞感
人口減少、政治、政府の債務、年金、就職、失業、低学力、低教養、せつな的、自己中心主義、歪んだ自由などがその要因である。
世界の余ったお金は、どこに行くのでしょうか?少しでも多く儲かるところ、世界中どこでも何でもとどまるところを知らず、移動し続ける。
そこには、根本的なことや長期的にものごとを考える習慣は存在しない。目の前の利益をどう確保するか、目の前の危機をせつな的に回避するのかという価値観が大勢を占めている。
その結果
「デフレ」、「自分さえよければ」、「誰も止められない、金融をはじめとする大企業」
など、人間の幸せとは反対の方向へ合法のもと世界は進んでいる。
巨大企業が、自由の名のもとに世界を征服するのではないだろうか。巨大企業が、裏で戦争を仕掛けているような気がする。
日本は、縄文以来、1万2000年の長きにわたって、一度も異民族に征服されなかった。ただし、日本民族のルーツが単一かというとそうではないが。
序章 「根なし草」になった?日本人
原因
1.「薩長史観」 江戸時代は暗黒の時代としてそれまでの文化を否定した
2.第2次世界大戦後の「自虐史観」
戦前の軍国主義は道徳的に邪悪な思想と喧伝(世間に言いはやし伝えること)した
「日本辺境論」 日本は世界の中心ではない、何が世界標準か見定め、すなおにそこから学んでしく国民である
すぐれた「日本化能力」 漢字、産業(自動車、家電、半導体など)
第1章 日本はなぜ“成功”したのか
日本がなぜ世界有数の経済大国になれたのか
答1.庶民中心、中間層中心の社会だったからです。すなわち、階級、階層、エリート社会ではなかったから。
答2.幕末期における日本の識字率は世界でも最高クラス 国語力は重要
答3.国全体が一体化していたから。考え方(価値観)が似ていたから
「支配者階級における被支配者階級の搾取」が日本ではおこらなかった
「信頼関係」の基づく、安心・安全社会が築かれていた
大陸では、「信頼」という徳が育ちにくい風土があった
・ 年がら年中、同じ仲間と過ごすしかない空間では、自分の利益だけを追求していく生き方をする人は歓迎されない
・ 反省力が高い (663年白村江の戦い)
・ 漢字を日本語化した能力 (韓国はできなかった)
・ 多神教 あらゆるものを畏敬し、感謝できる精神を有していた→調和を保つことができる
・ 主客合一 自分と宇宙は一体の考え方
・自他合一 全体のおかげで自分が存在している
第2章 日本はなぜ“失敗”したのか
1. 権威と権力を明治天皇に集中させたから
2. 神道の国教化 → 仏教を排撃
3. 日本の組織に合う「中空構造」に明治以降ならなかった
組織の中心に強力な権力者を据えた → 調整型リーダーではなく絶対型リーダー
絶えずコンセンサスをとりながら組織運営をしなかった
→「積極的な承認」「報・連・相」もされなかった
4.マッカーサーによって骨抜きにされた
(1)謀略放送 → 日本人は戦争を仕掛けた如何に悪い民族か
(2)3教科停止命令 「歴史」「修身」「地理」
5. なんでもアメリカのものをそのまま取り入れた
(1)4半期決算制度
(2)内部監査システム → 人間不信
(3)時価会計基準
6.自分自身を語れない
自分が何者であるかを断ち切られた
第3章 グローバル資本主義に翻弄される日本
日本は、歴史を重ねて、庶民中心の一体感あふれる安定的な社会を築き上げてきた
市場原理主義は、個人の自由と欲望の実現を最大限に保証してくれるイデオロギー
近代合理主義 神、共同体、自然の呪縛から逃れることによって自由を獲得した個人が、自己の欲望を最大化するために、近代西洋が達したイデオロギー(個人の欲望を認める強烈な思想)
それと反対の考え方が、釈迦の思想
個人の欲望を抑えることこそ人間の生きる道
(リーマンショックは何を意味しているのか?)
市場原理主義、近代合理主義の問題点
1. 地球環境問題
2. 生物種絶滅
3. 世界各地での紛争や争い
4. 歴史・伝統・文化だけでなく子孫をも切り捨てる(一体感の破壊)
民主主義:個人の欲望を集計してそれを政策実行に移すシステム
格差拡大:一部の大金持ちと多数のワーキングプア
人間味というのは、神、歴史、伝統、文化、家族、共同体などの絆やしがらみから生じる
20年間、日本化プログラムが機能していない
第4章 西洋的価値観の何が問題なのか
1. 西洋による非西洋の征服
1492年、コロンブスのアメリカ大陸発見から1853年のペリーの浦賀来航まで
2. なぜ西洋が発展したのか
ヘブライズム(キリスト教)=秩序(同じ価値観) 調和力
ヘレニズム(ギリシャ・ローマ)=知(高度な学問)仕事力
ヘブライズムとヘレニズムの融合によって西洋は発展した
3. スチュワードシップ
キリスト教においては、人間が自然を管理運営するのは神によって委託された仕事である。
4. デカルトの「方法序説」の中の「自然機械論」
自然は恐れるに足りない。自然は機械と同じである。機械には人間との相互の意思疎通などあり得ないし精神的な意味での交流もない。人間が働きかけても彼らは何も返答しない。あるいは、それらがわれわれに何か働きかけてくれることもない。その限りで、完全にわれわれが「主」であり、自然は「客」である・・・。
デカルトは主客合一どころか、人間と自然を完全に分離して、人間は自然を機械とみなして、道具としてそれを利用すればよい、と断言したのである。
デカルトの先輩格に当たるフランシス・ベーコンも「自然は物質にすぎないのだから、人間の都合のいいように料理してよいし、征服すべき対象だ」と言っている。これがフランシス・ベーコンの「自然征服論」である。
5. 近代合理主義がもたらしたもの
地球上のあらゆる自然資源を活用することで人間の生活水準を大幅に引き上げた
西洋:自然は敵、畏怖心をなくしてしまった
非西洋:自然崇拝
西洋が非西洋を工業力で屈服させた
6. 自然を人間の生活を向上させるために利用し、搾取するのが「進歩」とする西洋的価値観
↓
人間の利己心の強烈さ(強欲)こそ、問題の核心
↓
その結果、「心の空白」に悩み始めた現代人
いま、自然から、コミュニティから、組織から、家族から感じる「疎外感」
日本人の特徴 京都大学 佐伯啓思氏
(1)仏教的な無常観
(2)武士道的な義務感
(3)儒教的な「分」の思想
(4)神道的な清明心
いずれも個人的な幸福を追求に背馳する境地をよしとする
西洋の企業観→株主、経営者のために利益の最大化
日本の企業観→社会に役に立てることを最大の目標
従業員、取引先、顧客、地域、株主がバランスよく潤うようにする
日本人は日常の生活の中で人様から後指をさされない、関係者からみて「素晴らしい」と感じる経営を実践
仕事自体に心の充実を覚え、富を独占しすぎず、周囲の人たちと仲良く生活している人
→ その存在自体が、社会貢献
アメリカでは、抽象論やロジックしか通じない
なぜなら、アメリカが移民で成り立っている国だから
ロジック + イロジック
不条理の世界を同時に包含しないことには、本当の力は出てこない
→今までは科学で「不確実性」を排除してきた
第5章 日本は世界に対して何ができるのか
20世紀はどんな時代だっただろうか
20世紀前半(1914年~1945年)の31年間はまさに破壊と恐怖、そして狂気が世界を覆っていた。全部で5,000万人を超える人が死んだ。
20世紀前半は人類にとって史上最大の危機であった。
EUが成立した理由
もう戦争はごめんだ。ヨーロッパは一つにならなければならない。
ヨーロッパ統合を最初に提唱したのはオーストリアの政治家、クーデンホーフ=カレルギー伯爵であるが、その著『人間に敵対する全体主義国家』の中でフランス革命のスローガン「自由・平等・博愛」を取り上げ、この3つのうち、一番大事なのは博愛であると主張している。自由こそが人間にとって最も価値のあるものと考えていたカレルギーは、自由を担保とするものとして私有財産制度を擁護する一方、資本主義が深刻な社会的不平等をつくり、その結果として共産主義を生み出し、さらに資本主義と共産主義の双方に対抗するものとして全体主義を生み出したことを憂いていた。自由は尊い。しかし、自由ばかりを追求すると放縦に堕し、歪んだ不平等社会になってしまう。平等も尊い。だが、平等ばかり追い求めると、自由のない共産主義、全体主義になってしまう。どちらに転んでも人間の尊厳を損なう。だからこそ、自由と平等の均衡を図ることが必要で、それを実現するのが博愛の精神なのだ、というのが彼の主張であった。
そして経済面では、大恐慌(1929年)以前では、レッセ・フェール(自由放任主義)、「夜警国家思想」で、政府は市場に対してよけいな口出しをするな、自由なマーケットにまかせればいいとする
↓
そうすると、貧富の差がどんどん広がり、挙句の果てバブルが崩壊して大恐慌となった
それを補うためにケインズがでてきた。国家は社会の安定のために積極的に関与しなければいけない。失業者が増えたら公共投資で雇用をつくり出し、所得の再配分を行って貧困をなくさなければならない。(1930~1970年代)
1945年から1970年代半ばの30年間、自由主義世界はそれ以前とは打って変って「黄金の時代」を享受する。国家がコントロールした。
筆者は、国家が関与するようになったからこそ豊かになったとしか考えられない、と言っている
1980年頃から、サッチャー、レーガン、中曽根→新自由主義を採用
→アメリカの相対的な衰退、1973年頃の石油ショック
主要な製造業で、日本・ドイツが勝る
↓
ケインズはだめ、規制を撤廃。「自由なマーケットにする」
↓
新自由主義
国家主権を超えたグローバル資本の力
↓
正直、美徳、まじめさなどは、軽視、無視されていった
↓
1991年のソ連の崩壊(社会主義の崩壊)→社会主義国が自由主義市場に参入してきた
↓
そして「デフレ」になり、「自分さえよければ」という考え方が世界中で当たり前となり、金融を中心にますます競争が激化していった
↓
その結果、サブプライムローンのようなペテン師まがいの錬金術が、金融工学という名の下に正当化され、2008.9.15 リーマンショックを契機に世界中が被害を蒙り、混乱した
先進国では、市民の生活まで大きく影響した
↓
その後処理として、ドルやユーロをどんどん供給して、実質破綻している金融機関を助け、秩序を維持しようとした(目の前の危機を回避して、時間を稼ぎその間に経済を立て直そうという目論見であったがそう簡単にはいかなかった)
↓
2009年 アメリカ、日本で 民主党政権の誕生←新自由主義の偏重を正すため
国家の役割や公平性・平等性をより重視する民主党政権の誕生
↓
公平・平等・秩序を重視すると社会が不活性化し、活力がそぎ取られ、経済・産業重視ではないため、働かなくても国が社会保障をするということから、働かない市民または働きたくても仕事のない状況がより深刻化してくる
日本のような先進国の単純労働者は、賃金が著しく低い途上国の労働者との激しい賃金競争に巻き込まれ、急速な所得水準の低下を感受せざるを得なくなった。
グローバル化の中では、ファンドマネージャーの所得は、天文学的、片方で労働者の賃金はどんどん下がり続けている←これがグローバル化で起こっていること
またこのような状況では、国家単位では対応できない
「グローバル企業」が求めているものと、一般国民(市民・生活者)が求めているものがあまりにも違う
この世界的危機を乗り越えるためには、人間が事故の欲望を抑制することを知り、利他的な存在に生まれ変わるしかない
日本はどうする
まず、世界はどうなっているかのかを知る←知らないと動けない
そして、自分たちは、「もともと何者であったか」を知る←ルーツを探る
↓
そこで排他的になるのではなく、自分を知ることによって相手と融和していく
調和・自然を大事にする
↓
「学ぶこと」そして「教育しかない」
終章 若い人たちへの提言 ~日本は変えられる
日本人は、日本人を取り戻そう
バランス感覚が優れ、広く意見を認め、他人を尊重し、やるときには、一丸となってことを押し進める
権力者が、権力を振りかざさない
バンパーの裏まで磨く「裏勝り」 ← 日本人の美意識
部分最適ではなく、全体最適をとる
短期的なコスト削減よりも長期的な信頼感の獲得
日本人のよさは、粘り強くものと精神を磨き上げる
↓
それが、日本の文化であり文明
また、それが日本のものの品質である
この本は、世の中をよくするために行動したいと思っている人に対して、我々日本人のルーツは何なのか、世界の中でどのような位置にあるのかを明快に示していますので、自分を見直す意味でも大変役に立ちますので私見もまじえまして、復習していきたいと思います。
まえがき 歴史的閉塞感
人口減少、政治、政府の債務、年金、就職、失業、低学力、低教養、せつな的、自己中心主義、歪んだ自由などがその要因である。
世界の余ったお金は、どこに行くのでしょうか?少しでも多く儲かるところ、世界中どこでも何でもとどまるところを知らず、移動し続ける。
そこには、根本的なことや長期的にものごとを考える習慣は存在しない。目の前の利益をどう確保するか、目の前の危機をせつな的に回避するのかという価値観が大勢を占めている。
その結果
「デフレ」、「自分さえよければ」、「誰も止められない、金融をはじめとする大企業」
など、人間の幸せとは反対の方向へ合法のもと世界は進んでいる。
巨大企業が、自由の名のもとに世界を征服するのではないだろうか。巨大企業が、裏で戦争を仕掛けているような気がする。
日本は、縄文以来、1万2000年の長きにわたって、一度も異民族に征服されなかった。ただし、日本民族のルーツが単一かというとそうではないが。
序章 「根なし草」になった?日本人
原因
1.「薩長史観」 江戸時代は暗黒の時代としてそれまでの文化を否定した
2.第2次世界大戦後の「自虐史観」
戦前の軍国主義は道徳的に邪悪な思想と喧伝(世間に言いはやし伝えること)した
「日本辺境論」 日本は世界の中心ではない、何が世界標準か見定め、すなおにそこから学んでしく国民である
すぐれた「日本化能力」 漢字、産業(自動車、家電、半導体など)
第1章 日本はなぜ“成功”したのか
日本がなぜ世界有数の経済大国になれたのか
答1.庶民中心、中間層中心の社会だったからです。すなわち、階級、階層、エリート社会ではなかったから。
答2.幕末期における日本の識字率は世界でも最高クラス 国語力は重要
答3.国全体が一体化していたから。考え方(価値観)が似ていたから
「支配者階級における被支配者階級の搾取」が日本ではおこらなかった
「信頼関係」の基づく、安心・安全社会が築かれていた
大陸では、「信頼」という徳が育ちにくい風土があった
・ 年がら年中、同じ仲間と過ごすしかない空間では、自分の利益だけを追求していく生き方をする人は歓迎されない
・ 反省力が高い (663年白村江の戦い)
・ 漢字を日本語化した能力 (韓国はできなかった)
・ 多神教 あらゆるものを畏敬し、感謝できる精神を有していた→調和を保つことができる
・ 主客合一 自分と宇宙は一体の考え方
・自他合一 全体のおかげで自分が存在している
第2章 日本はなぜ“失敗”したのか
1. 権威と権力を明治天皇に集中させたから
2. 神道の国教化 → 仏教を排撃
3. 日本の組織に合う「中空構造」に明治以降ならなかった
組織の中心に強力な権力者を据えた → 調整型リーダーではなく絶対型リーダー
絶えずコンセンサスをとりながら組織運営をしなかった
→「積極的な承認」「報・連・相」もされなかった
4.マッカーサーによって骨抜きにされた
(1)謀略放送 → 日本人は戦争を仕掛けた如何に悪い民族か
(2)3教科停止命令 「歴史」「修身」「地理」
5. なんでもアメリカのものをそのまま取り入れた
(1)4半期決算制度
(2)内部監査システム → 人間不信
(3)時価会計基準
6.自分自身を語れない
自分が何者であるかを断ち切られた
第3章 グローバル資本主義に翻弄される日本
日本は、歴史を重ねて、庶民中心の一体感あふれる安定的な社会を築き上げてきた
市場原理主義は、個人の自由と欲望の実現を最大限に保証してくれるイデオロギー
近代合理主義 神、共同体、自然の呪縛から逃れることによって自由を獲得した個人が、自己の欲望を最大化するために、近代西洋が達したイデオロギー(個人の欲望を認める強烈な思想)
それと反対の考え方が、釈迦の思想
個人の欲望を抑えることこそ人間の生きる道
(リーマンショックは何を意味しているのか?)
市場原理主義、近代合理主義の問題点
1. 地球環境問題
2. 生物種絶滅
3. 世界各地での紛争や争い
4. 歴史・伝統・文化だけでなく子孫をも切り捨てる(一体感の破壊)
民主主義:個人の欲望を集計してそれを政策実行に移すシステム
格差拡大:一部の大金持ちと多数のワーキングプア
人間味というのは、神、歴史、伝統、文化、家族、共同体などの絆やしがらみから生じる
20年間、日本化プログラムが機能していない
第4章 西洋的価値観の何が問題なのか
1. 西洋による非西洋の征服
1492年、コロンブスのアメリカ大陸発見から1853年のペリーの浦賀来航まで
2. なぜ西洋が発展したのか
ヘブライズム(キリスト教)=秩序(同じ価値観) 調和力
ヘレニズム(ギリシャ・ローマ)=知(高度な学問)仕事力
ヘブライズムとヘレニズムの融合によって西洋は発展した
3. スチュワードシップ
キリスト教においては、人間が自然を管理運営するのは神によって委託された仕事である。
4. デカルトの「方法序説」の中の「自然機械論」
自然は恐れるに足りない。自然は機械と同じである。機械には人間との相互の意思疎通などあり得ないし精神的な意味での交流もない。人間が働きかけても彼らは何も返答しない。あるいは、それらがわれわれに何か働きかけてくれることもない。その限りで、完全にわれわれが「主」であり、自然は「客」である・・・。
デカルトは主客合一どころか、人間と自然を完全に分離して、人間は自然を機械とみなして、道具としてそれを利用すればよい、と断言したのである。
デカルトの先輩格に当たるフランシス・ベーコンも「自然は物質にすぎないのだから、人間の都合のいいように料理してよいし、征服すべき対象だ」と言っている。これがフランシス・ベーコンの「自然征服論」である。
5. 近代合理主義がもたらしたもの
地球上のあらゆる自然資源を活用することで人間の生活水準を大幅に引き上げた
西洋:自然は敵、畏怖心をなくしてしまった
非西洋:自然崇拝
西洋が非西洋を工業力で屈服させた
6. 自然を人間の生活を向上させるために利用し、搾取するのが「進歩」とする西洋的価値観
↓
人間の利己心の強烈さ(強欲)こそ、問題の核心
↓
その結果、「心の空白」に悩み始めた現代人
いま、自然から、コミュニティから、組織から、家族から感じる「疎外感」
日本人の特徴 京都大学 佐伯啓思氏
(1)仏教的な無常観
(2)武士道的な義務感
(3)儒教的な「分」の思想
(4)神道的な清明心
いずれも個人的な幸福を追求に背馳する境地をよしとする
西洋の企業観→株主、経営者のために利益の最大化
日本の企業観→社会に役に立てることを最大の目標
従業員、取引先、顧客、地域、株主がバランスよく潤うようにする
日本人は日常の生活の中で人様から後指をさされない、関係者からみて「素晴らしい」と感じる経営を実践
仕事自体に心の充実を覚え、富を独占しすぎず、周囲の人たちと仲良く生活している人
→ その存在自体が、社会貢献
アメリカでは、抽象論やロジックしか通じない
なぜなら、アメリカが移民で成り立っている国だから
ロジック + イロジック
不条理の世界を同時に包含しないことには、本当の力は出てこない
→今までは科学で「不確実性」を排除してきた
第5章 日本は世界に対して何ができるのか
20世紀はどんな時代だっただろうか
20世紀前半(1914年~1945年)の31年間はまさに破壊と恐怖、そして狂気が世界を覆っていた。全部で5,000万人を超える人が死んだ。
20世紀前半は人類にとって史上最大の危機であった。
EUが成立した理由
もう戦争はごめんだ。ヨーロッパは一つにならなければならない。
ヨーロッパ統合を最初に提唱したのはオーストリアの政治家、クーデンホーフ=カレルギー伯爵であるが、その著『人間に敵対する全体主義国家』の中でフランス革命のスローガン「自由・平等・博愛」を取り上げ、この3つのうち、一番大事なのは博愛であると主張している。自由こそが人間にとって最も価値のあるものと考えていたカレルギーは、自由を担保とするものとして私有財産制度を擁護する一方、資本主義が深刻な社会的不平等をつくり、その結果として共産主義を生み出し、さらに資本主義と共産主義の双方に対抗するものとして全体主義を生み出したことを憂いていた。自由は尊い。しかし、自由ばかりを追求すると放縦に堕し、歪んだ不平等社会になってしまう。平等も尊い。だが、平等ばかり追い求めると、自由のない共産主義、全体主義になってしまう。どちらに転んでも人間の尊厳を損なう。だからこそ、自由と平等の均衡を図ることが必要で、それを実現するのが博愛の精神なのだ、というのが彼の主張であった。
そして経済面では、大恐慌(1929年)以前では、レッセ・フェール(自由放任主義)、「夜警国家思想」で、政府は市場に対してよけいな口出しをするな、自由なマーケットにまかせればいいとする
↓
そうすると、貧富の差がどんどん広がり、挙句の果てバブルが崩壊して大恐慌となった
それを補うためにケインズがでてきた。国家は社会の安定のために積極的に関与しなければいけない。失業者が増えたら公共投資で雇用をつくり出し、所得の再配分を行って貧困をなくさなければならない。(1930~1970年代)
1945年から1970年代半ばの30年間、自由主義世界はそれ以前とは打って変って「黄金の時代」を享受する。国家がコントロールした。
筆者は、国家が関与するようになったからこそ豊かになったとしか考えられない、と言っている
1980年頃から、サッチャー、レーガン、中曽根→新自由主義を採用
→アメリカの相対的な衰退、1973年頃の石油ショック
主要な製造業で、日本・ドイツが勝る
↓
ケインズはだめ、規制を撤廃。「自由なマーケットにする」
↓
新自由主義
国家主権を超えたグローバル資本の力
↓
正直、美徳、まじめさなどは、軽視、無視されていった
↓
1991年のソ連の崩壊(社会主義の崩壊)→社会主義国が自由主義市場に参入してきた
↓
そして「デフレ」になり、「自分さえよければ」という考え方が世界中で当たり前となり、金融を中心にますます競争が激化していった
↓
その結果、サブプライムローンのようなペテン師まがいの錬金術が、金融工学という名の下に正当化され、2008.9.15 リーマンショックを契機に世界中が被害を蒙り、混乱した
先進国では、市民の生活まで大きく影響した
↓
その後処理として、ドルやユーロをどんどん供給して、実質破綻している金融機関を助け、秩序を維持しようとした(目の前の危機を回避して、時間を稼ぎその間に経済を立て直そうという目論見であったがそう簡単にはいかなかった)
↓
2009年 アメリカ、日本で 民主党政権の誕生←新自由主義の偏重を正すため
国家の役割や公平性・平等性をより重視する民主党政権の誕生
↓
公平・平等・秩序を重視すると社会が不活性化し、活力がそぎ取られ、経済・産業重視ではないため、働かなくても国が社会保障をするということから、働かない市民または働きたくても仕事のない状況がより深刻化してくる
日本のような先進国の単純労働者は、賃金が著しく低い途上国の労働者との激しい賃金競争に巻き込まれ、急速な所得水準の低下を感受せざるを得なくなった。
グローバル化の中では、ファンドマネージャーの所得は、天文学的、片方で労働者の賃金はどんどん下がり続けている←これがグローバル化で起こっていること
またこのような状況では、国家単位では対応できない
「グローバル企業」が求めているものと、一般国民(市民・生活者)が求めているものがあまりにも違う
この世界的危機を乗り越えるためには、人間が事故の欲望を抑制することを知り、利他的な存在に生まれ変わるしかない
日本はどうする
まず、世界はどうなっているかのかを知る←知らないと動けない
そして、自分たちは、「もともと何者であったか」を知る←ルーツを探る
↓
そこで排他的になるのではなく、自分を知ることによって相手と融和していく
調和・自然を大事にする
↓
「学ぶこと」そして「教育しかない」
終章 若い人たちへの提言 ~日本は変えられる
日本人は、日本人を取り戻そう
バランス感覚が優れ、広く意見を認め、他人を尊重し、やるときには、一丸となってことを押し進める
権力者が、権力を振りかざさない
バンパーの裏まで磨く「裏勝り」 ← 日本人の美意識
部分最適ではなく、全体最適をとる
短期的なコスト削減よりも長期的な信頼感の獲得
日本人のよさは、粘り強くものと精神を磨き上げる
↓
それが、日本の文化であり文明
また、それが日本のものの品質である
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