心の旅

やわらぎ住宅(株)の社長によるブログ。

東日本大震災について思うこと3(経済について)

2011年08月27日 | 哲学

 今回の地震と津波で東北地方特に沿岸部は、壊滅的な打撃を受けました。

 そこに暮らす住民、そしてその人たちの家や車なども流されましたが、道路、水道・下水、電気、ガス、などインフラに関するもののほかに学校、病院、役場、消防、交番、港湾施設、商業施設、牧畜、農業、倉庫、企業、船、トラック、鉄道、線路、橋、文化財、景観などありとあらゆるものが流されて瓦礫の山と化してしまいました。

 今残っているものは、人から受け継がれた伝統や文化、そしてものの考え方など、人間の精神の働きによるものだけです。
 でも、その精神も身内の死や行方不明によって大きく傷ついていることと思います。



 

 経済活動も停止状態になり、自力では対処できずに、政府や行政の支援や民間からの義援金、義援物資の提供などが行われています。

 それでも、何十年、何百年とかけてきた街づくりや企業づくりが、簡単に数ヶ月で回復できるわけがありません。
 今まで慣れ親しんできた被害にあった場所をどうするのか?地震や津波がまたいつ来るかわかりません。



 2004年のマグニチュード9以上のスマトラ沖地震でも数ヶ月先にはマグニチュード8.6の大きな余震がやってきています。

 それらのことも盛り込んだうえで、歴史的にみてもこのような災害がおきても、大丈夫なような街づくりを叡智を集めてしなければなりません。

 前回でも述べましたが、特に日本は地震や津波がいつ起きてもおかしくないような動的な環境にあります。
 それを踏まえて人びとの安全・安心を考えなくてはいけない時が来ています。

 そう考えますと、大正12年に起きた関東大震災での教訓は東京の街づくりにきちんと反映されているのでしょうか?





 被災地の経済は、壊滅的になり援助がなければ動きません。
 経済活動を供給する側から見てみますと、まず、お酒などを作っている地場産業などは、その技術やノウハウを持っている人でしかできません。

 漁業や農業、牧畜もそうでしょう。代々、その仕事に携わっていた人に、生活ができないからといって違う仕事ができるほど単純ではありません。

 また、事業にはお金が要ります。
 今までの借金に加えて、また新たに借金して事業を始められるほど儲かっている商売はあまりありません。

 われわれのように会社を経営していますと、借金の返済がいかに重荷になるかがわかります。
 利益を出すだけでは足りません。月々の返済分までキャッシュとして稼いでこないといけません。
 
 たとえば、月の利益が200万円で月の返済が300万円としますと、利益は200万でますが、お金は100万円足りません。おまけに利益がでれば税金を納めなければなりません。そうしますと、経営は完全に行き詰まります。



 

 このあたりを思い切って国のほうでリスクを取り除くことが一番の策だと思います。
 現在の制度の中では、永久に援助し続けることはできませんから、自立をうながすことが大切です。
 企業が存続すること自体が、そこに働く人たちの給料その他の援助ができ、地域活動もできるようになるので、社会貢献そのものになります。
 今は、あらゆる援助を政府や民間、諸外国を問わずすることが急務だと思います。



 今回感じましたのは、日本のものづくりは、世界に影響を及ぼすということです。
 産業の近代化及び効率の追求で飛躍的に延びてきましたが、そのひとつの方式が分業ということでした。
 皮肉にも、この分業という現代当たり前になっている生産方式が、国内外を問わず影響を与えました。

 日本のものづくりで特徴的なのは、一つひとつの部品、部材、素材の品質が非常に高くて、他の国ではまねのできないものをもっていることです。


 日本の自動車メーカーもアメリカの自動車メーカーも、日本製のこの工場でしか作っていない部材や部品を使用していたため、それが供給されなくなると完成品自体の生産がストップするという事態が起きました。

 東北地方で生産されていた、部材、部品、素材、もちろん完成品も含めて国内外に大きな影響を及ぼしました。





 ジャスト・イン・タイムのような在庫を持たない生産方式、効率化を極限まで追求した分業生産など近代経営手法は、インフラ整備が万全であるという前提のもとに成り立っていることを改めて感じました。


 われわれの住宅業界でも、部材が一部遅れたり、できなかったりしたために代替品に変更したり、ある部材は値が高騰したりしました。おかげさまで、なんとかお客様には、お引き渡しができているという状態です。

 他の業界でも販売活動が円滑にいかなかったり、コストが上がり利益を圧迫したり支障が出ていると思いますが、われわれは、さきほど申しましたように企業は存在して商品や製品やサービスを提供するだけで社会貢献といいますか、社会自体がそれで成り立っています。

 

 このような時期に必要なことは、元気を出して、明るく、積極的に行動するマインドがとても重要になってきます。




哲学からの学びにつきましては、「自然の哲学 上・下」とも一通り、網羅いたしましたので、唯物論や弁証法を学ばれる方は、過去のブログを参考にしてください。