道端鈴成

エッセイと書評など

乗数効果を知らなかった菅氏を上回る野田首相のISD条項に関する無知ぶり

2011年11月13日 | 時事
TPPに関する11月11日の参議院予算委員会での議論を聴いて驚いた。乗数効果を知らずに奇妙な発言を繰り返した菅氏の無知ぶりは酷かったが、野田首相の無知はさらに問題で、害はより大きい。菅氏の居直りと逆ギレの醜悪さがなく、低姿勢な態度をとりつつ、しかしまともな説明もなく、重大な決定をしれっとしてしまうだけに、かえってしまつに悪い。ISD条項の問題点をまともに知らず、普通の大学生でも言えそうな一般論しか言えず、まともな応答ができない。もうすこしは勉強しているだろうと思っていたが、想像以上の不勉強と無知だ。そして、それを補うスタッフも政権内にいないのだろう。出鱈目な政権だとは思っていたが、想像外の無知ぶりに愕然とした。こんな無能なトップと政権にまともな判断や交渉は無理だ。

日本にとって自由貿易は大切で、農協に縛られた補助金付けの農業は変えなくてはならない。狂牛病や遺伝子組み換え食品などに関するリスク管理感覚も合理性を欠いていると考えている。ヒステリックなTPP反対には与したくはない。政策決定はトレードオフのなかでの総合判断で、やむをえない決断も必要だ。しかし、真に重要な問題にまともな考慮が払われておらず、政策担当者にその前提となる知識もないありさまを見ると、こんな無知で無能な人間の政治決断とやらに国を託したくはない。

民主党政権は、自主外交には独立国としての力の確保と狡知が必要な事を分からず、鳩山氏の夢想と普天間のデタラメで米国との関係をこじらせ、菅内閣における尖閣へのちぐはぐな対応で中国につけいられ、ルーピー、空き缶が招いた厳しい国際環境のなかで、この泥鰌は米国追従の穴へと逃げ込もうとしているらしい。(鳩山内閣時代からの貿易交渉に関する民主党内閣の失敗の積み重ねが、現在の苦境を生み出した経緯については11月11日の林芳正氏による参議院予算委員会での質疑応答で明らかにされている。)しかし、そういう甘い相手ではない。経済力はあるのでリップサービス程度はするだろうが、無知で無能な政権は徹底的に利用されるだけだ。そして、その被害者は国民である。

小泉氏は郵政問題では、芝居がかっていたとは言え、アジェンダを明確に提示し、ちゃんと国民に信を問うている。民主党政権も自民党政権のときにさんざん言っていた政権のたらい回し批判や直近の国民の意思の重視を、あれこれ言い逃れや誤魔化しをせずに、自らに当てはめるべきだ。そして出来るだけ早く国民の信を問うて欲しい。


佐藤ゆかり質疑(全) この後 どじょう頭は"ドヤ顔"でTPP参加表明(11月11日参議院予算委員会)

《佐藤ゆかり議員》
貿易協定におけるISD条項について説明、
国内法がISD条項によって曲げられる可能性について首相に質問
《野田首相》
国内法で対応できるよう交渉をしていく
(一時中断)
国内法よりも、条約のほうが上位にあり、それに対応しなければいけない現実の中で、どう対応するか考える
《野次》
何を言ってるんだ!
どうやって対応できるんだよ!
条約が上だから対応できないんだよ、国内法では!

《野田首相》
ISDS(ISD条項)は、あまりよく寡聞にして詳しく知らなかった
条約と国内法との上位関係だったら、条約が上
だからこそ、条約を結ぶために(国内法を)殺したり、壊したりはしない
《佐藤ゆかり議員》
既に日本は中身の条約・交渉は手遅れ
(中略)
憲法に記載してあることを首相が即座に答えられなかったことは非常に驚愕
この件を理解せず、TPPへの参加を表明するのは国民軽視

naverまとめ 問題となった内容(要約)