それは台湾、台北市の地下街、午後の喧騒の中で起こる奇跡…。
行き交う人波の中を、異邦人のわたしは疲れきってうつむきながら独り歩いている。
お腹が減った。
そろそろ何か食べたい。
どこか1人でも入りやすそうな店はないだろうか。
顔を上げて店を探すわたしは、地下街の向こう側から大股で歩いてくる帽子にTシャツ、ジーンズ姿の、背の高い青年の姿を認める。
なんとスタイルがいいのだろうか。
これは素人離れしている。
ひょっとすると、Peterよりスタイルがいいかもしれない。
でも、Peterよりハンサムってことはないだろう。
どれどれどんな顔をしているのか、よ~く見てみよう。
ん?んん?んんん?ん~~!?
ま、ま、まさか!?
それって、そのまんま(東)Peterじゃん!
うそだろ~!?
完全に凍りついたわたしは、持っている鞄を落とし、イエス・キリストのように両手を上にかかげる。
S「え~~~~っ!?どうして、“あなた”がここにいるのよ!?」
相手もびっくり、
P「どうして、きみがここにいるの?」
わたしは地下街のど真ん中だということなどすっかり忘れ、ただPeterの顔を見つめるのみ。
P「え~、どこ行くの?」
S「わたしはご飯を食べようと…Peterはどこへ行くの?今から仕事?」
P「うん、そうだよ。何を食べたいの?」
S「わたし、マンゴーが大好きなんだ、マンゴーカキ氷が食べたいの。」
P「ん?マ…?」
ここまで日本語でうまく会話していたのに、あれま、肝心の話のときに日本語が通じないよ。
一生懸命説明しても、Peterはわからないらしく首をひねっている。
まあいいや。
S「Peter、“週間えみいSHOW”のインタビュー、最後のせりふ、最高に面白かったよ。」
Peterは、そうか、そうかという顔で聞いている。
おちびのわたしは、うんと顔を上げないと彼の顔が見えない。
帽子を目深にかぶっているけど、間近で見る彼の顔は写真やドラマで見る顔そのまんま(東)、なんとカッコいいのだろうか。
瞳の中に、星が輝いている。
睫毛、長~~い!
話す時、ちょっと右の口角が上がるプックリとした唇もそのまんま(東)だ。
見とれていて、はっと気づく。
このチャンスをみすみす見逃す手はない!
S「Peter、お願い、一緒に写真を撮って?」
Peterは無言で頷く。
存在そのものを忘れていたけど、そばにずっといたマネージャーさんにあわててカメラを渡してPeterと並ぶ。
顔がこわばって、うまく笑顔を作れない。
マネージャーさんは一度シャッターを押して、もう一度と指を立て、わたしたちはまた笑顔を作る。
写真を撮ると、Peterは、
「じゃ、仕事があるから。」
そう言って別れていく。
わたしは、感動のあまり、深々と頭を下げ(ここが日本人だぜ)、そして思いっきり大声で、
「バイバ~~イ!ありがと~~!」
と地下街のど真ん中、消えていくPeterの背に向かって叫ぶ。
後姿が見えなくなるまで見送ったわたしは、今しがた起こった奇跡を反芻しながら、地下街の店で、念願のマンゴーカキ氷をもりもり食べるのだ。
ん?そう、きょうは4月1日…エイプリル・フールだよ…。
祝!愚人節! 祝!Peter地上波出演!
行き交う人波の中を、異邦人のわたしは疲れきってうつむきながら独り歩いている。
お腹が減った。
そろそろ何か食べたい。
どこか1人でも入りやすそうな店はないだろうか。
顔を上げて店を探すわたしは、地下街の向こう側から大股で歩いてくる帽子にTシャツ、ジーンズ姿の、背の高い青年の姿を認める。
なんとスタイルがいいのだろうか。
これは素人離れしている。
ひょっとすると、Peterよりスタイルがいいかもしれない。
でも、Peterよりハンサムってことはないだろう。
どれどれどんな顔をしているのか、よ~く見てみよう。
ん?んん?んんん?ん~~!?
ま、ま、まさか!?
それって、そのまんま(東)Peterじゃん!
うそだろ~!?
完全に凍りついたわたしは、持っている鞄を落とし、イエス・キリストのように両手を上にかかげる。
S「え~~~~っ!?どうして、“あなた”がここにいるのよ!?」
相手もびっくり、
P「どうして、きみがここにいるの?」
わたしは地下街のど真ん中だということなどすっかり忘れ、ただPeterの顔を見つめるのみ。
P「え~、どこ行くの?」
S「わたしはご飯を食べようと…Peterはどこへ行くの?今から仕事?」
P「うん、そうだよ。何を食べたいの?」
S「わたし、マンゴーが大好きなんだ、マンゴーカキ氷が食べたいの。」
P「ん?マ…?」
ここまで日本語でうまく会話していたのに、あれま、肝心の話のときに日本語が通じないよ。
一生懸命説明しても、Peterはわからないらしく首をひねっている。
まあいいや。
S「Peter、“週間えみいSHOW”のインタビュー、最後のせりふ、最高に面白かったよ。」
Peterは、そうか、そうかという顔で聞いている。
おちびのわたしは、うんと顔を上げないと彼の顔が見えない。
帽子を目深にかぶっているけど、間近で見る彼の顔は写真やドラマで見る顔そのまんま(東)、なんとカッコいいのだろうか。
瞳の中に、星が輝いている。
睫毛、長~~い!
話す時、ちょっと右の口角が上がるプックリとした唇もそのまんま(東)だ。
見とれていて、はっと気づく。
このチャンスをみすみす見逃す手はない!
S「Peter、お願い、一緒に写真を撮って?」
Peterは無言で頷く。
存在そのものを忘れていたけど、そばにずっといたマネージャーさんにあわててカメラを渡してPeterと並ぶ。
顔がこわばって、うまく笑顔を作れない。
マネージャーさんは一度シャッターを押して、もう一度と指を立て、わたしたちはまた笑顔を作る。
写真を撮ると、Peterは、
「じゃ、仕事があるから。」
そう言って別れていく。
わたしは、感動のあまり、深々と頭を下げ(ここが日本人だぜ)、そして思いっきり大声で、
「バイバ~~イ!ありがと~~!」
と地下街のど真ん中、消えていくPeterの背に向かって叫ぶ。
後姿が見えなくなるまで見送ったわたしは、今しがた起こった奇跡を反芻しながら、地下街の店で、念願のマンゴーカキ氷をもりもり食べるのだ。
ん?そう、きょうは4月1日…エイプリル・フールだよ…。
祝!愚人節! 祝!Peter地上波出演!