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2023.1.1.第269号
「生き生きくらぶ」事務局
http://ikiikiclub.sakura.ne.jp/
明けましておめでとうございます!
生き生きくらぶは第269号となり、発刊から23年目を迎えることができ
ました。これもひとえに皆様方のご支援の賜物であり、冒頭心より御礼申し上
げます。
新しく迎える令和5年が明るく、幸多い年であることを祈ります。昨年2月
に始まったウクライナ戦争の終結を心より願うものです。コロナ感染は続いて
いるものの、日本を訪れる観光客が増え始めたことは明るい話題です。
最近の話題として「日本再生プラン」を取り上げます。まずプラン説明に
先立ち、最近登場した3つの政権の業績を総括します。
◆ 安倍政権の光と影
成果の第一は安全保障政策です。「自由で開かれたインド太平洋」政策を提
唱し、中国の強引な海洋進出抑止に世界の目を向けさせました。
成果の第二は経済政策です。アジア太平洋地域においてモノだけでなく、サ
ービス、投資、知的財産、その他幅広い分野で21世紀型のルールを構築する
経済連携協定TPPを日本主導の下に2017年に締結しました。
成果の第三は政治の安定です。過去6回の国政選挙で勝利し、「自民一強」、
「安倍一強」の体制を作り上げました。
外交では成果があったものの、内政では問題が目立ちます。
問題の第一は異次元の金融緩和です。政権発足直後は、行き過ぎた円高が是
正され、株高、貿易黒字で経常黒字が拡大しました。然し、米国の金利上昇、
製造業の海外移転で物価高、貿易赤字が進み、今では経常黒字なしです。
問題の第二は借金である赤字国債を無制限に発行しています。選挙対策とし
て、赤字国債がゾンビ企業の延命や社会保障費バラマキの財源となり、大半が
ムダに使われている感じがします。
問題の第三は成長戦略が描けず、経済が成長していません。経済の成長が期
待出来なければ、企業は賃金を上げません。今、国民は給料が上がらない中で、
物価高が進み、苦しんでいます。
問題の第四は森友問題、加計学園、桜を見る会、統一教会などの不祥事の続
発です。これは安倍氏の国政私物化を象徴しています。
◆ 菅政権の光と影
菅義偉政権は1年余りで短命でしたが、その間に残した永続的な功績は目を
"見張るものがあります。その具体例をいくつか列挙します。
"
・ワクチン接種率は世界トップクラスの水準/「1日百万回」実施
・大手携帯電話会社3社の電話料金の引き下げ
・不妊治療への保険適用
・デジタル改革の司令塔となるデジタル庁の創設断行
・2050年脱炭素社会の実現に向け、温室効果ガスの野心的な削減目標設定
・福島第一原発処理水の海洋放出に結論
・洪水防止/ダムの一元管理と貯水量調整、台風情報活用と事前放流
菅義偉前首相は「人を動かす秘訣は弁舌ではなく、客観的な事実だ」と述べ
ています。改革の原動力は意見や事実は「聴いて」、縦割りや前例主義には屈
しない「聞かない力」だそうです。
先の横浜市長選では自民党推薦候補がいるのに反対候補を立て、自民党は共
倒れとなりました。この結果に首脳部が怒り、菅氏は首相を更迭されました。
◆ 岸田政権の光と影
成果の第一は賃上げです。30年近く、日本の賃金は上がっていません。来春
闘では物価上昇の波が押し寄せ、3~7%近い賃上げが実現しそうです。
成果の第二は新安保政策です。相手のミサイル発射拠点を叩く「反撃能力」
を保有し、防衛費をGDP比で2%と倍増します。北朝鮮や台湾の有事に際しては
米国と一丸で対処する統合抑止を掲げています。
成果の第三は赤字国債発行ゼロ・脱アベノミクスへの動きです。防衛費の増
額財源は増税で対応しました。高齢者の医療費増分も本人の窓口負担増で対応
しています。政府は2025年度財政健全化達成を掲げています。
問題は岸田政権の経済ビジョン:新しい資本主義が一向に見えないことです。
◆ 日本再生プラン
日本の2021年の1人当たりGDPは3.9万ドルで世界28位です。1990年は8位で、
2000年に過去最高の2位でしたがそこから下落を続け、先進7カ国では最下位
です。一方、米国、西欧、北欧は躍進を続けており、日本の一人敗けです。
一体、日本は何を間違えているのか、謙虚にこれらの国から学ぶべきです。
◇ 市場競争モデルは付加価値競争型とし、成長経済にすべきです。
具体策:為替は円高、経済の拡大均衡(賃金、物価、GDPの同時伸長)
日本型:汎用品の薄利多売の安値競争型。人件費を抑え、為替レートも円安に
して米国での販売価格低下・販路拡大を目指す。
米国型:新商品・新市場開拓の付加価値競争型。科学技術駆使、スタートアッ
プ企業育成で、新市場開拓・市場独占で巨利獲得を目指す。
理由:1990年~2020年の期間に米国方式は大成功を収める。
日本: 賃金:1.04 倍 GDP: 1.54 倍 物価:0.96倍
米国: 賃金:1.48 〃 GDP: 4.35 〃 物価:2.0 〃
◇ 租税負担率の高い欧州は発展し、租税負担率の低い日本は停滞
具体策:社会保障財源は消費税、赤字国債撤廃、研究・教育に重点投資
日本では増税に猛反対ですが、西欧や北欧は租税高負担の下で、高福祉、
高賃金、高度成長、国債圧縮を達成しています。
日本:税負担率/40% 、中福祉、賃金/3.9万$、成長率/1.7% 国債比率/263%
独 : 〃 /55% 、 中福祉、〃 /5.4 〃 、 〃 / 2.7% 〃 / 69%
北欧: 〃 /65% 、 高福祉、〃 /5.0 〃 、 〃 / 4.2% 〃 / 46%
◇ 生産性向上
具体策:デジタル化、企業の新陳代謝、女性・高齢者活用、定時退社
◇ 非合理的な制度廃止
具体策:前例主義・縦割り行政、女性差別、非正規職員、先送り
第269号の目次
■1 「人と事業」を後世に残す
■2 ロコモ症候群の予防
■3 庶民の夢、人類の夢
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◆ 1 「人と事業」を後世に残す
( 千葉県流山市 中楯健二 )
医師の中村哲(73)さんが2019年12月4日にアフガニスタンで殺害されてか
ら3年が経つ。捜査は今も続けられているがいまだに犯人は捕まっていない。
ただ、事件の背景にはパキスタンとアフガニスタンにおける長年の水争いが
あるのではないかと言われている。地元の政治家や関係者の発言などから、こ
れはほぼ確かなようだ。
アフガニスタンは中央アジアの水源に位置しており、地表を流れる水のうち
30~35%が国内で使用され、残りは近隣諸国、多くは東側のパキスタンと西側
のイランへ流れる。
「中村さんの灌漑事業が下流域にどの程度の影響を及ぼしたかは定かでない
が、気候変動など別の要因による水量の変化が、『中村さんの仕事のせいだ』
と結びつけられてしまった可能性はある」と地元の関係者は証言している。
中村さんが地元で英雄視されているのは、荒れ果てた土地を潤したことにあ
る。東部を流れるクナール川から用水路を築き、不毛の地とされたガンベリ砂
漠の緑化に成功した。
高温・少雨の影響で、アフガニスタンで水の重要さは年々増している。かつ
てアフガンは水が豊富で中央アジアの農業の中心地だったが、100万人が餓死
の危機に瀕した2000年の大干ばつで国土はやせ細ってしまった」とアフガン外
務省関係者は言う。
水争いは世界の各地でも起きている。現在では、エチオピアとエジプトが水
の利権を巡って一触即発の関係にある。エチオピアがナイル川上流に巨大ダム
を建設して、今年2月から発電を開始したからだ。
これには、水資源の9割以上をナイル川に頼るエジプトが猛反発している。
「食べ物の恨み」は怖いというが、「水の恨み」はそれ以上と言えるかもしれ
ない。
こうみると、パキスタンとアフガニスタン両国の反目の中で灌漑事業を行う
ことが、中村さんにとっていかに命懸けであったかが分かる。テレビに映し出
される用水路周辺の青々と生い茂った樹木の風景が、昔は全くの荒涼地だった
ことは想像することすらできない。
それを成し遂げた中村さんの業績は、現地の人の暮らしを豊かにしただけで
なく、人々が生み出す努力の結晶の尊さを我々に教えてくれる。
中村さんは常々言っていたことがあるという。「アフガニスタンにいると
『軍事力があれば我が身を守れる』というのが迷信だと分かる。敵を作らず
平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だと肌身で感じる。
日本人ということで命拾いをしたことが何度もあった。憲法9条は日本に暮
らす人々が思っている以上に、リアルで大きな力となって、僕たちを守ってく
れている」と語っていたという。
平和憲法の恩恵はこんなところにもあったのだ。ところが、その平和憲法が
今や危うい。最近、政府が行っている議論は、「敵基地攻撃能力」が専らで、
専守防衛の精神は薄らいでしまっている。
今回の「サッカーワールドカップ」の一次リーグで日本が対戦したコスタリ
カは、軍隊を持たず、戦争をしないことを謳う「平和憲法」を持っていること
で知られている。
その点は、従来の日本と同じと言えるが、両国はいま違う道を歩もうとして
いる。一方は、軍事費をGDPの2% に増やして更なる軍事大国を目指し、もう一
方は、すべての軍事費を教育に充てようとしている。何たる違いだろうか。
恐ろしくなる。
中村さんが、パキスタンとアフガニスタンの国境にあるヒンドゥークシ山脈
に初めて登ったのは1978年のことである。その時に中村さんは、医療が届かな
い山村の人々の暮らしに触れて、彼らの苦境を肌身に感じたと言う。
そんなこともあり、中村さんは1984年に自ら希望してパキスタン北西部に赴
任し、医療支援活動を始めた。そして、戦乱が続くアフガニスタンにも活動の
場を広げていった。
アフガニスタンが大干ばつに襲われた2000年以降は、水を確保しようと、同
国東部で約1600本の井戸を掘った。クナール川などに取水堰(せき)を10カ所
つくり、住民とともに計約39キロの水路を掘り進めた。
いまでは約1万6500ヘクタールの農地に緑が蘇り、約65万人の暮らしを支え
ている。事件後、中村さんを「カカ・ムラド(中村のおじさん)」と慕ってき
たアフガニスタンの人々は、各地で追悼集会を開いた。
事件の2日後、首都カブールで生まれた男の子は「ナカムラ」と名付けられ
た。父親は「ドクター・ナカムラの人助けの心を受け継がせたい」との思いか
ら付けたという。
中村さんの功績を讃えて記念切手も発行された。中村さん亡き後も、現地で
は取水堰の建設作業が続いている。その作業を、中村さんに共鳴する多くの日
本人の寄付が支えている。
アフガン政府は中村さんのやり方をモデルにした灌漑事業を各地に広げる構
想を練っている。これが実現すれば、さらに何十万、何百万の住民が救われる
ことになる。
これは中村さんが殺害された当時の新聞報道を拾い読みしたものであるが彼
の遺志は今も引き継がれている。中村さんを支えてきたNGO「ペシャワール会」
は、現地NGO「平和医療団(PMS)」と協力して、医療や食糧配給、用水路の事
業などを継続している。
日本で土木の専門家による技術支援チームをつくり、現地NGOとオンライン
で協議を重ねて今年2月に新たな堰(せき)を完成させた。10月には小規模な
用水路工事にも着手している。
現在の会員・支援者は2万6千人。この3年間で1万人増えた。中村さんが蒔い
た「種」は、確実に成長して実をつけている。これは、開発途上国に政府が提
供する、ODA(政府開発援助)やJICA(海外協力隊)のよき手本となりえる。
「金を残して死ぬ者は下、仕事を残して死ぬ者は中、人を残して死ぬ者は上」
という言葉がある。まさに、中村さんは「人と事業」を後世に残した稀有な人
と言える。それも異国で。心から冥福を祈りたいと思います。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◆ 2 ロコモ症候群の予防
( 神奈川県横浜市 山尾 正斌 )
一年の計は元旦にあり、と言う。例年同様、暮れには早々と手作り予定帳を
準備し、そこに定例行事や分かっているイベントを書き込んだ。それを眺めな
がら考えた。
この一年を有意義に過ごすには・・・、五年後も心身ともに健全で居られる
には何をすべきか・・・。
それより、85歳を目前にした私にとっては、今日を無事生ききること、明日
も健康に過ごせることの方が切実である。そう感じながら、私なりの一年の計
に思いを馳せてみた。
「日本人は椅子に座りたがり過ぎる」とは故大島渚監督の弁である。日本人
は長い間の畳生活から椅子生活に変わって以来まだ日が浅いので、立っている
ことに慣れていない、というのが論旨と思われる。
或る資料に依れば、日本人が座って過ごす時間は統計対象とした世界20カ国
中最長、一日当たり400分を超えてアメリカや中国の二倍である。一日7時間も
座っているということは、7時間の睡眠時間を考慮すると、日本人は一日の半
分以上を体を動かさずに過ごしていることになる。
座り過ぎは健康に害があり、肥満・糖尿病・脳血管疾患・認知症などに罹患
するリスクが高いと言われる。近年はデスクワークや座位で働く仕事が増え、
長時間じっとしていることが筋肉の代謝や血流の悪化を招き、健康を害すると
危惧する向きが多い。
人体の筋肉中最大の大腿四頭筋は、座っていると殆ど稼働しない。その状態
が習慣化するとブドウ糖消化に関与するインシュリンの分泌が弱まって血糖値
制御が不十分となり、糖尿病リスクに繋がる・・と言うことらしい。
私自身、雨の日以外は毎日午前中2時間ほどの散歩を継続しているほか、週
に数回夕方早い時間に台所に立ってその日の晩酌の肴をしつらえる。
座らずに立っている時間を確保しているつもりだが、それ以外の時間は結構
な時をパソコンと対座して過ごす。特に、外出しない雨の日などは、パソコン
の前で過ごす時間が数時間にも及ぶ。要注意である。
11月中旬のある日、団地のシルバークラブ「笹寿会」の呼びかけで自治会館
に30人ほどの高齢者が集い、「ロコモ予防講座、ひざ痛・腰痛の予防と改善体
操」と銘打った講習会が開催されて私も参加した。
ロコモとはロコモティブシンドロームの略、和名は「運動器症候群」と言う
そうだ。人の基本動作「立つ」「座る」「歩く」ために必要な運動器に障碍が
あって自立生活に支障をきたす状態を言う。
講師はケア・ウォーキング普及会代表理事、東海大学医学部客員教授、健康
運動指導士の肩書きをもつ黒田恵美子さん。
第8波とも言われるコロナ禍の現状に鑑みて、講師は地域ケアプラザの多目
的室で30人ほどの高齢者を前に対面で講義、私たち笹下台団地自治会館と南が
丘町内会館とはZOOMを使った三元中継で聴講した。1時間ほどの軽い講習会だ
ったが、講義の合間に体操実技を織り交ぜた大変わかりやすく有意義なもので
最後に質疑応答や受講の感想などの交換もあった。
最初に、高齢者の多くにひざ痛と腰痛に悩む人が多いけれど、その大半が日
常生活での姿勢や立ち居振る舞いに起因するところが多い旨の指摘があり、そ
れを改善して楽しく立つ・座る・歩くことを目指すものであった。
私自身の備忘録とするために講義の要点を以下に書き留めてみた。
正しい姿勢の作り方:良くない姿勢はひざや腰に負担がかかり、筋肉が弱
り、内臓の働きまで阻害する。顔を正面に向け、胸郭と骨盤を平行にする。言
い換えると、鼻・みぞおち・へその向かう線が上向きでも下向きでもなく、水
平・平行して前を向くように立つ、と講師は説明した。
不自然に腹を引っ込めるのではなく、お尻を引き気味にして骨盤底筋をひき
締めながら試みると要領を感じ取りやすいとの助言もあった。立っていて、か
かとに重心を乗せ、足指で地面をつかむ感覚を覚える、殊に親指と小指でしっ
かり地面を踏ん張ることで、体勢が左右にぐらつくのを防ぐことができる。
ひざの正しい曲げ方:足を、握りこぶし一つ入る間隔で平行に揃えて立ち、
ひざの内側に握りこぶしを挟む。その状態でひざを屈伸して、握りこぶしに圧
力がかかったり、隙間ができるのは、正しく屈伸していない証拠。ひざは構
造上「捩り」には耐えられない。
上手な立ち方・座り方:「こんにちは、どっこいしょ」の要領を体得する
とよい。椅子に座って両膝を揃え、脚と胴の付け根(骨盤)に手を当てて、そ
こを軸として背筋を伸ばしたまま上体を前傾させる(こんにちは)。
その姿勢でゆっくり膝を伸ばし、お尻を高く持ち上げる(どっこい・・)。
上体を垂直に起こす(・・しょ)。足を平行にそろえ、ひざの動きは上記の
「ひざの正しい曲げ方」の要領で動かすのがコツ。
座るときは背筋をのばしたまま上体を前傾し(こんにちは)、膝を曲げてゆ
っくり腰をおろし(どっこい・・)、椅子の上で上体を起こす(・・しょ)。
固いものの上にドスンと尻餅を搗くように座るのは、腰椎圧迫骨折のリスクを
高める。
歩行機能維持(その1) ・ひざのゆるゆる屈伸:両足を平行に軽く開き、
つま先を正面に向けて立つ。足先よりもひざが前に出ない程度にひざを軽く屈
伸する。1秒間に2回くらいのペースで2分間程度。上記「ひざの正しい曲げ方」
を意識して行う。
歩行機能維持(その2) ・背伸び運動: 椅子の背もたれなどに掴まっ
て体の安定をはかりながら足を閉じて立ち、骨盤底筋を引き締めながら、かか
かとをゆっくり上下する。
ゆっくりやる方が効果的。10~20回くらい継続する。この際、足の親指と小
指でしっかり床をつかむよう心がける。
ふくらはぎストレッチ: 椅子に浅く腰掛け、片足を前に伸ばしてかかと
をつけ、つま先を目一杯持ち上げる。骨盤を起点に背筋をのばしたまま上体を
前傾して、ふくらはぎとももの裏側を伸ばしたまま20秒キープする。
左右の脚それぞれ2回ずつ行う。上体の前傾角度は、ふくらはぎとももの裏
側の痛さが我慢できる程度でよい、無理はしないこと。
座位で行う付加的運動: 両手で隣り合う足の指を上下互いに反対に拡げ
る。10回。これを足指全部について行う。足指の働きを促し、重心を安定させ
る効果がある。
右手で右足首を掴み、左手で足先を持ってグルグル回す。内廻し・外廻し
それぞれ10回。左足も同様に行う。足のむくみを改善し、全身の血流も促す。
この一年、これらの示唆を念頭において、健全なひざと腰を維持しながら、
快適な散歩を続けたいと思う。そして願わくは今年も来年も、好きな時に行き
たい所に行ける健脚でありたい。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◆ 3 庶民の夢、人類の夢
(東京都小金井市 上田 亨)
◆ ウナギの完全養殖
ウナギ養殖の山田水産(大分県佐伯市)はこのほど、人工授精で誕生させたウ
ナギの幼生をシラスウナギと呼ばれる稚魚に成長させることに成功した。人工
的に誕生させたウナギに次世代を生ませる「完全養殖」に一歩近づいた。
天然物に依存してきたシラスウナギの安定生産に道を開く可能性がある。完
全養殖は水産総合センターが2010年に世界で初めて成功した。山田水産は20年
11月に人工授精による受精卵のふ化に成功し、22年春に「仔魚(しぎょ)」と呼
ばれる幼生からシラスウナギへの変態を確認した。
変態に成功した十数尾のシラスウナギが順調に育てば、23年中に成魚になる
見込みだ。一部は人工授精に使う親ウナギに活用し、技術の確立を目指す。
日本のウナギ養殖はシラスウナギの全量を天然物に依存している。シラスウ
ナギの漁獲量は1960年代に年間200トンを超えたが、80年代には20~30トンに
減少し、2019年は3.7トンまで落ち込んだ。
水産庁によると人工シラスウナギの1尾当たりの生産コストは16年度は約2
万7千円から20年度は3千円に下がった。天然ウナギの取引価格(180~600円)と
の価格差は未だ大きい。
人工ウナギは生産量が少なく、1年間に必要とされる1億尾に遠く及ばない。
ふ化率のばらつき、幼生から稚魚への変態の難しさが壁となっている。「まず
は育ったウナギをかば焼きで食べられるようにするのが目標」と言う。
◆ 「地上の太陽」実用化へ一歩
米エネルギー省は12月13日、次世代のエネルギー技術となる核融合の研究で
大きな進展があったと発表した。投入したエネルギーを上回る量を実験で取り
出したとする成果は核融合による電力供給に近づく一歩だ。
米ローレンス・リバモア国立研究所内にある点火施設で、強力なレーザーを
全方位から均等に水素燃料に当てて力を凝縮させる実験で、投入ネルキーの
1.5倍の出力を得たという。これまでは出力は70%どまりだった。
核融合の原理(今回の実験)は水素の仲間である軽い重水素と三重水素の原子
核に1億度超の高温、高圧を加えると原子核どうしが融合してより重いヘリウ
ムの原子核と中性子に変わり、質量の減少分が大きなエネルギーに変わる。
これが有名なアインシユタインの原理だ。理論上は1グラムの物質から石油
8トン分のエネルギーが得られる。温暖化ガスは出さず、燃料の重水素などは
海水から採取できるので無尽蔵に近い。
だが、実用化に向けて解決すべき問題も多く残っている。まず、エネルギー
の発生量を100倍以上に増やす必要がある。実験で核融合が起きたのは一瞬で
長時間維持させるメドは立っていない。
核融合は大きなエネルギーを生むが燃料の供給をやめれば、反応は止まる。
現在の原子力発電所が核分裂反応の制御が難しいのとは対照的だ。核融合も放
射性廃棄物を出すものの、かなり少なくなる見通しだ。
今回の実験に成功した装置はサッカー場3面分を占める。商用化するとして
も課題は多く、商用化は数十年先になるだろうと言われる。しかし、地球温暖
化やエネルギー調達の問題を一挙に解決する可能性を秘め、期待は大きい。
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