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2017.1.1.第197号
「生き生きくらぶ」事務局
http://ikiikiclub.sakura.ne.jp/
編集発行人:「生き生きくらぶ」代表 上田 亨
明けましておめでとうございます!
生き生きくらぶも沢山の方のお力添えで17年目を迎えることが出来ました。
感謝の限りです。本年もよろしくお願い致します。子供の頃は楽しみも少なか
ったので「もういくつ寝ると」の熱い思いで正月を待ち兼ねていました。
娯楽があふれ、メールで連絡が取り合える現代では、季節・人との付き合い
のメリハリが薄れてきました。我が家では正月に息子達の家族と一緒に近隣の
ホテルに一泊し、ご馳走、お年玉、ゲームをみんなで楽しみ、生活のリズムに
節目をつけることにしています。
そこで最近の話題として二つ取り上げます。第一は日ロ首脳会談についてで
す。鳴り物入りだっただけに進展を期待していましたが、成果に乏しくがっか
りと言ったところです。
まず、北方領土の帰属を含む平和条約締結については殆どふれておらず、協
議はゼロでした。北方4島の共同経済活動に向けた合意では主権問題を先送り
したものの、協議開始は日本にとってわずかにプラスと言えそうです。8項目
の経済協力については民間を含め、総額3000億円規模の事業が具体化し、日ロ
経済関係が新たな段階を迎えたことは意義深いと考えられます。
今回の首脳会談では、ロシアのかたくなな態度が印象に残りました。来年1
月、米国ではロシアに融和的なトランプ政権が生まれます。原油価格が底打ち
し、制裁を受けるロシアの財政悪化にも歯止めがかかる兆しが見えます。
プーチン氏から見れば、もはや、領土問題で譲歩してまで日ロ関係の修復を
急ぐ理由は薄れています。安倍総理が70年来の懸案を片づけ、レガシーとした
い気持ちは分かりますが、焦ることなく世界全体を見据えた情勢分析を行い、
戦略の立て直しが必要です。「急がば回れ」です。
領土交渉が動かないまま、経済協力だけが「先食い」されてしまうことだけ
は避けるべきです。経済協力にあたっては事業の採算性重視が肝心です。
第二の話題は構造改革なき予算案です。このほど一般会計の歳出・歳入総額
が97兆4547億円と過去最大を更新する2017年度予算案が決まりました。税収は
景気の足踏み、消費税増税の延期で頭打ちなのに、高齢化で医療や介護などに
使う社会保障費は膨らみ、借金残高は1000兆円を超えました。
これは安倍政権が目先の選挙に勝つことだけを目指し、国民負担増や規制緩
和など痛みを伴う構造改革を避け、ひたすらに円安と超低金利の追い風に頼っ
た結果であり、アベノミクスの綻びを示すものです。2020年度に基礎的財政収
支を黒字化する政府目標の達成は殆ど不可能になりました。
更に、2025年には団塊の世代がすべて75才以上になります。放置すれば、年
金、医療、介護の費用は急増しかねず,今から思い切った対策を与野党で検討
する必要があります。
参考迄に日本の2015年と2030年の統計を比較すると人口:1.3億人/1.0億人
65才以上人口比率:21%/40% 社会保障給付費:120兆円/180兆円 になります。
スゥェーデン、ドイツ、日本の社会保障給付比率(対国民所得)、消費税率、
年金支給開始年齢を比較すると、社会保障給付比率:41.9%/37.6%/26.2%、消
費税率:25%/17%/8% 年金支給開始年齢:61才/65才/61才 です。
今後、日本は高齢化社会に向かいます。社会保障の費用負担を若い人たちに
押し付けるのではなく、全世代で公平に負担し合う制度に抜本改革すべきです。
その際、欧州の実例等を参考にしながら、与野党で長期的な視点に立って、建
設的な解決策の策定を期待するものです。
第197号の目次
■1 平成28年、私の所感
■2 気ままに自己流川柳
■3 カジノ法案成立を憂慮する
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◆1 平成28年、私の所感
( 神奈川県横浜市 山尾正斌 )
昨年を振り返ると私は元日に入院し、4日に手術を受けたのをはじめとして、
1月末、5月中旬、9月中旬と合計四度入院し、その間三度の手術を受けた。退
院後も毎回8週間ほどの養生生活を強いられ、やっといつもの生活に戻ったのは
10月末だった。だから平成28年は私にとって、まさに臥薪嘗胆、雌伏の一年だっ
たと言える。
昨年の大半の日々は、軽い散歩を除けば、少なからぬ時間を母校卒業60周年記
念誌編纂に費やし、またテレビや新聞・書籍と付き合って過ごした。友人が見舞
いに差し入れてくれたヴェルディの「ドン・カルロ」、R.ストラウスの「ばら
の騎士」などオペラを全曲通しで鑑賞できたのも治療のおかげといえば言える。
現役時代に買い込んでいたクラシックの古いレコードのうち目ぼしいものを鑑
賞できたことも、その間の収穫であった。今から半世紀以上前の名演奏を、スク
ラッチノイズとともに堪能できたし、聴き終えたレコードは破棄したから、書架
が随分涼しくもなった。
自宅で「辛抱」に徹した一年間、私の記憶に強く刻まれたできごとを振り返っ
てみた。東工大栄誉教授大隈良典氏がノーベル医学賞を受賞したことと、スポー
ツ界で若手が逞しく台頭してきたことは特に印象深い。
大隈氏の功績は、飢餓状態における細胞が自分の蛋白質を自食する作用(オー
トファジー)のメカニズム解明である。この応用が進めば広範囲で免疫強化が実
現し、現在難病とされるパーキンソン病・アルツハイマー病・糖尿病・癌などに
飛躍的な治療効果が期待できる。
日本人のノーベル賞受賞は湯川秀樹博士以降、今回で計25人に達し、3年連続
になる。受賞人数は米国に次いで世界第二位、欣快の至りである。日本の諸分野
における基礎研究が、レベル的に極めて高いことを示す。
しかし、近年の国公立施設や企業においては短期的な成果や経済効果を求め、
投資効率を偏重する傾向が強い。目先の競争に幻惑されて将来的波及効果・社会
貢献を見失いがちなことが気になる。
この傾向が今後も続けば、半世紀後もノーベル賞にノミネートされる日本人が
輩出し続けるだろうか、そんな懸念・憂慮が頭をよぎる。
ノーベル賞級の大きな成果は、短期的な研究環境からは生まれにくい。国も研
究機関もそこで働く若い研究者たちも、高い理想のもとに基礎研究に勤しみ、挑
戦意欲と飽くなき追求意欲を持ち続けて、後世に資する成果をあげてほしいと心
から願うものである。
スポーツ界でも、若い人たちの台頭が目立った。フィギュアスケート界では男
女とも常連の顔ぶれが入れ替わって世代交代が進んだ。また9月末の日本女子オ
ープン・ゴルフでは、高校3年生17歳の畑岡奈沙が、並み居る女子プロを退けて
アマチュアとして初めて同選手権を制した。
日本ゴルフ界の歴史を変えた、とさえ賞賛されたのも頷ける。彼女は今後プロ
に転向して研鑽を積むとのことだ。こうした若手の台頭はベテランにも後進にも
奮起の機会を与え、ファンにもワクワクするような期待感を持たせてくれる。
横浜市の病院で点滴に異物が混入され、複数の入院患者が中毒死した事件は、
私自身が入院のたびに点滴を受けていたことを思うと、身震いがするほど恐ろし
い。
事件発覚から三か月以上が過ぎた今も、犯人が特定出来ていないことは何とも
訝しく、点滴薬などに幾つかの物的証拠が残されているにも拘わらず、犯人にた
どり着けない現状は、患者にとってこの上ない脅威である。
医療の現場が善意で成り立っていることは自明の理、医療に携わる人たちを
「疑いの目」で見なければならないのは耐え難いし、「白い巨塔」や「ドクター
X」に登場するような歪(いびつ)な医療現場は想像したくもない。
「医は仁術」を旨とする医療界にとって、今はまさに一大危機と言える。事件
が一日も早く解明され決着することを祈りたい。
我が家から数キロ離れた港南区大久保の道路で、87歳の高齢者が運転する軽ト
ラックが登校途中の小学生の列に突っ込み、小学1年生の児童が死亡、運転者を
含む複数の小学生や大人が負傷した。目下急増している高齢者による重大交通事
故の典型例である。
TVや新聞の報道によれば、加害者は地元の住人で、軽トラックに「ごみ」を
積んで前夜から走り回ったのち、当日朝通学道路で事故を起こした。認知症の疑
いも指摘される。
事故現場は昔の町並みの面影を残す生活道路で片側一方通行である。正規の歩
道も無いし、ガードレールも無く、路面両側にペンキの線で歩道が示されている
だけだ。
狭いうえに所々電柱も立っているから路線バスはジグザグに走っている。通学
道路としては安全上最悪の条件と言える。そんな所で事故は起きた。
一部の新聞は当該小学校の校長談話を掲載した上で、登下校する児童の安全に
学校が無策であったとか、市の道路行政が親身に行われていなかったことなどを
報じた。
しかし、学校では登下校の際の心得を生徒に徹底して教えていたし、地元の高
齢者ボランティアは雨の日も風の日も毎日登下校児童の安全見守りを行っている。
行政も歩道やガードレール設置を検討したが、実現すれば、バスや宅配便のトラ
ックは通行できなくなって生活道路の機能を失う。
小学校は保護者・地元町内会や区役所の担当者を集めて、登下校の安全を議題
にした会合「地域懇談会」を年数回行っている。
私自身が自分の居住地区で、小学生(上記被害の学校とは別の小学校)登下校
の見守りボランティアをしているから分かるのだが、小学生は横二列以上にはな
らないし、信号が点滅すれば次の「青信号」を待つ躾をキッチリ身に着けている。
広報に大きな力を持つ記者諸君に期待したいのは、新鮮で広い視野に立って深
く突っ込んだ取材を行い、現状を改善する親身で具体的な提案をすることである。
批判も時には必要だが、もっと大事な事は学校や地元関係者が見落としているか
もしれない対策や解決策を(もし在るとすれば)具体的に指摘してくれることだ
と私は思う。
悲惨な事故を一件でも減らすためには、通り一遍の取材で安易な批判を並べる
だけではなく、具体的・建設的な提案をする事が大切なのである。
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◆2 気ままに自己流川柳
( 神奈川県横浜市 木戸 篤 )
明けましておめでとうございます。最近は、冬とは思えぬ暖かさの後に強烈な
寒波が来るという荒れた天気が続き、体調管理が大変です。本年もよろしくお願
いします。
<自然・風景>
赤と白 春待ちわびた つばきかな
12月初めの土曜日、日光浴を兼ねて団地内の歩道を散歩していたところ、白
いつばきと赤いつばきの花が一輪ずつ咲いていました。寒い日が続いた後、暖
かくなったので、春が来たと勘違いしたようでした。
小春日に ドングリ沢山 散歩道
近所を1時間ほど散歩していると雨に揺さぶられたドングリの実がたくさん落
ちていました。手指の感覚強化に役立つかなと思い、少し拾って帰りました。
雨降って やっと富士山 鮮明に
雨が降らないと空気が濁るようです。12月23日天皇誕生日の朝、富士山が
青空にくっきりと映えて見えました。前日の雨で大気中のゴミが洗い流された
ようです。
<原発・政治・社会>
TPP すでに難破も しがみつく
トランプ次期米大統領の離脱表明でTPP発効の可能性はなくなりましたが、
12月9日、TPP承認法案が参議院本会議で可決されました。「難破船」に
しがみついているように感じました。
場所変更 半年騒いで 元の鞘
2020年東京オリンピックのバレーボール会場は、横浜市の難色で横浜アリ
ーナの活用から有明アリーナ新設に戻りました。新任の小池都知事が問題提起
した会場変更問題はいずれも元の鞘に収まりました。
<健康・文化・スポーツ>
重かろに 酸素を背負い リハビリす
酸素ボンベを背負ってリハビリに通う女性のボンベの重さを量らせてもらった
ところ、約4キロありました。ボンベが満タンの時は倍の重さになるそうです。
まさに必死に生きているんだなと思いました。
便通に 乾布摩擦も 効果あり
乾布摩擦は便通にも効果があることを発見しました。ある日たまたま整腸剤た
るオリーブ油の摂取を忘れ、便秘が心配でしたが、乾布摩擦を行い始めるとす
ぐにもよおしてきました。
<その他>
来春は 白虎隊吟ず 中抜きで
来年4月初めに開催予定の発表会の演目を相談しました。合吟の部では長すぎ
るために諦めていた「白虎隊」につき、全20行のうち中抜きして12行(所
要時間約6分)で行うことになりました。
振り向けば 70男 バス出口
混雑していた神奈川中央交通の路線バスを降りる際、70歳位の男に背中を突
き飛ばされました。杖とバスの手摺で踏ん張り、なんとか倒れずにすみました。
頭のいかれた者による二度目の災難でした。
久しぶり 麻雀ソフトで 夜更かしす
脳の老化防止に麻雀がよいと聞き、近くのヨドバシカメラ店に行ってみました。
1230円で「100万人のための3D麻雀」という麻雀ソフトが置いてあり
ました。パソコンにインストールして試し始めたところ、すっかりはまってし
まいました。
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◆3 カジノ法案成立を憂慮する
(東京都小金井市 上田 亨 )
ギャンブル(賭博)は射幸心(しゃこうしん)を煽るものである。これは一般
的には良くないこととされているが、生活のスパイスみたいなもので少しあると
日常生活に潤いや楽しさを与えてくれる。
然し、深入りすると経済的に破綻するだけでなく、家庭崩壊、依存症に陥り、
働けなくなる。社会的にみても勤労によって財産を得ようとする健全な経済的風
俗を害するものだ。現在、我が国には沢山のギャンブルがあるのに、さらにカジ
ノが加わることによる弊害の拡大を憂慮するものである。
1 カジノ法案の成立
カジノを中心とする統合型リゾート(IR)整備推進法(いわゆる:カジノ法
案)が12月15日の衆議院本会議で自民党と維新の会などの賛成多数で可決、成立
した。カジノ法はカジノに併設する宿泊設備や会議場の整備を促す内容で基本法
という位置づけである。
今後、政府は1年以内に「IR実施法案」を国会に提出し、可決しないと日本
のカジノ解禁は実現しない。カジノを巡る論点は a合法性・公益性 b経済効
果 cギャンブル依存症・犯罪対策 で、この3点が整理される必要がある。
★ 合法性
・現行刑法185条は本文で賭博を禁止しつつ、但し書きで「一時の娯楽に供す
る物を賭けたにとどまるときは罰しない」と規定している。現在、パチンコ
や競馬、競輪、競艇、宝くじは例外として処罰されない。カジノを賭博の例
外とするには、根拠の明確化が必要である。
★ 公益性
・公営ギャンブルとして認められるためには収益をどう社会に還元するか。
参考例1 競馬、競輪、競艇の収益配分
お客払い戻し:59% 所得税・住民税:16% 自治体収入:25%
参考例2 宝くじ
お客払い戻し:47% みずほ銀行:13% 発売元:自治体:40%
参考例3 海外のカジノでのお客払い戻し:90%~95%
★ 国内外のギャンブル市場
・日本は現在でも世界最大のギャンブル国で年間売上高は25.4兆円に達する。
パチンコ:19.4兆円 競馬:3.3兆円 競艇、競輪、宝くじ:夫々0.9兆円
更にカジノが加われば、30兆円規模になる見込みである。
・カジノの世界市場規模は2015年実績で17.7兆円である。北米が8.0兆円、
アジアが7.8兆円、欧州その他が1.9兆円となっている。
・北米ではラスベガス(0.5兆円)、アトランティックシティ(0.3兆円)、米
国24州でカジノが解禁されている。
・アジアではマカオ(2.9兆円)、シンガポール(0.6兆円)、韓国(0.3兆円)そ
の他と続く。中国の進める反腐敗運動の影響でマカオは不振が続く。
・日本では大阪府が0.8兆円、横浜市が0.7兆円、千葉市が0.3兆円の期待効果
を掲げ、カジノ誘致に名乗りをあげている。
★ ギャンブル依存症
・2016年、厚生労働省の発表によると我が国のギャンブル依存人口は、成人
人口の4.8%で536万人に上る。因みに、海外では豪州2.1%、米国1.6%、香
港1.8%、韓国0.8%である。
・この日本の数値は世界一のギャンブル売上高に象徴されるように、ギャン
ブルが身近に沢山あることが大きく影響しているようだ。
・パチンコ屋の開店前に働き盛りの人が列をなす光景によく出くわす。この
人たちは働いていないので無収入で年金も社会保険料も納めていない。そ
の結果、終身生活保護を受けることになるようだ。
★ カジノとマネーロンダリング(資金洗浄)
・マネーロンダリングとは、犯罪行為などの不法な行為によって得られた資
金を一般の市場で自由に利用できる資金に変換(洗浄)することを指す。
・犯罪者が不法行為で得たお金をカジノで賭ける際、事前に別人と相談して
なれ合いで負ける代わりに勝った金の何割かを返金してもらう約束をする。
この場合、お金は犯罪者から一度カジノに移り、そこから別人に渡される
ことになり、「賭けに勝って得た正当な配当金」となる。
★ 暴力団の資金源
・カジノで負けた客が法外な利息で融資する「ヤミ金融」に手を出し、暴力
団の資金源になる可能性がある。
2 カジノ解禁には賛成しかねる
国民の6割が反対するに拘らず、たった6時間の審議でカジノ法案は可決し
てしまったので驚いている。カジノ誘致で経済効果や雇用創出を期待するがあ
る一方で、ギャンブル依存症や治安への影響など負の側面を懸念する意見も根
強い。
我が国が少子高齢化に向かい、労働人口の減少と人出不足が予想されるなか
ギャンブル依存症や生活保護対象者を増やす企てには到底賛同できない。
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