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コスモスが咲く季節となりました!

2024-09-01 10:44:46 | エッセイ

       

                       
                       
    □□□□□‐‐‐ikiikiclub mail magazine‐‐‐□□□□□
 
               2024.9.1.第289号
                  「生き生きくらぶ」事務局
 
                コスモスが咲く季節となりました!
 爽やかな秋の季節、風にゆらゆら揺れるコスモスは、情緒があり、日本人の
原風景とも言える一コマです。ピンクの花姿は柔らかさを、白い花姿は何とも
言えない美しさを、赤い花姿は燃えるような愛を醸し出します。
 その一輪一輪の可憐な美しさはもちろん、無数のコスモスが群生する一面の
花畑は、夢のような光景です。近くの小金井公園の丘にはコスモスの花畑が広
がっています。
 
 最近の話題として「米大統領選の行方」を取り上げます。米民主党は8月、 
民主党大統領候補者をカマラ・デビ・ハリス副大統領とすることを正式に決定
しました。
 そして副大統領候補にミネソタ州知事のティム・ワルツ氏を指名しました。
民主党はトランプ氏優勢の絶望から一転、アメリカ初の女性大統領の可能性に
沸き、支持率調査ではハリス氏がトランプ氏を上回っています。
 
■ 二人の大統領候補者
 共和党候補者はドナルド・ジョン・トランプ氏です。1946年6月14日、ニュ
ーヨークのドイツ系の家庭に生まれました。ペンシルベニア大学で経済学の学
士号を取得した後、父親の不動産事業を引き継ぎました。
 不動産業の富豪となり、リアリテイ番組の司会などタレント業も行った後、
2016年の大統領選に共和党から出馬して当選し、合衆国大統領を一期務めまし
た。2024年5月、有罪判決を受けた最初の米国大統領経験者となりました。
 
 民主党候補者はカマラ・デビ・ハリス氏です。1964年10月20日ジャマイカ系
の経済学者の父とインド系のがん研究者の母との間に誕生しました。ハワード
大学とカリフォルニア大学・ロー・スクールを経て地方検事に着任しました。
 2010年カリフォルニア州司法長官に当選し、2016年カリフォルニア州上院議
員に当選しました。2021年1月、米国副大統領に就任し、2024年8月、民主党か
ら大統領候補に指名されました。
 
■ 当選したら何をするか
 トランプ氏は財を成しましたが、殆どが違法行為に基づくものです。大統領
になっても違法行為は止まず、2020年の大統領選挙結果を認めず、暴力をあお
りました。4件の刑事事件と2件の民事事件で起訴されています。
 行動原理は国のためではなく、自分のためです。大統領に選出されれば、独
裁権力を強め、自分に逆らった人々に復讐するとしています。
 
 ハリス氏は「当選した暁には全ての国民のため、自由と思いやり、法の支配
がある国づくりを目指します。私たちが苦労して勝ち取ってきた自由と権利、
民主主義制度といった『法の支配』をトランプ氏は破壊しようとしています。
 検察官という立場で見るとトランプは典型的な犯罪者です。私たちは後戻り
しません。みんなで団結し、犯罪者トランプとの戦いに勝利し、『法の支配』
を守り抜き、銃規制、中絶権を勝ち取るのです。」と述べています。
 
■ 国家的課題の解決
 ラストベルト地帯の製造業復活や不法移民問題、税制改革は米国にとって重
要な課題です。取り組み方はトランプ氏とハリス氏では全く違っています。
 
◇ ラストベルト地帯の製造業復活
 トランプ氏は中国製品に高額関税をかけ、輸入制限をすれば、製造業復活は
米国企業の手で簡単にできると考えました。
 
 古い歴史を持つUSスチール社は何度も経営再建に取り組みますが、すべて失
敗し、倒産寸前に追い込まれました。自立再建は不可能と考えた経営陣は日鉄
と協議し、日鉄がUSスチール買収することで合意しました。
 ところが全米鉄鋼労組(USW)とトランプ陣営が買収に異論を唱え、政治
問題化しています。トランプ政権の国務長官であったポンペオ氏が日鉄の相談
役となり、日鉄の買収は米国の利益になるとし、計画を進めています。
 
 民主党の副大統領候補に指名されたミネソタ州知事のワルツ氏は2018年から
6年間、知事を務め、50社にのぼる日本企業を誘致しました。現在、製造業が
復活し、州経済は大きく発展しました。
 ワルツ氏は製造業復活には日本企業との協業がベストと述べています。ハリ
ス氏が米国大統領に就任した暁には、恐らく日鉄のUSスチール買収も実現する
ことと思われます。
 
◇ 不法移民急増問題
 政権で移民問題への対処を担うハリス氏は「米国の移民制度は壊れており、
修復には強力な国境警備や市民権獲得への道を含む包括的改革が必要だ」と指
摘しております。今年初めに議会超党派グループが対策案をまとめたものの、
トランプ氏はこの合意は彼の選挙運動を損なうと考え、廃案にしました。
  この7月、不法入国者数は前年同月比で43%減少しました。前年より減少する
のは5カ月連続です。これはメキシコ側が取り締まりを強化したのに加え、バ
イデン政権が不法入国者の亡命申請を事実上禁止したからです。トランプ氏か
ら「国境管理の不備」を批判されているハリス氏にとって好材料です。
 
◇ 税制改革
  2017年、トランプ政権はクリスマスプレゼントと称して税制改革を断行し、
その内容はバイデン政権にも引き継がれました。その概要は以下の通りです。
 ・対中関税を20%引き上げました。目的は貿易赤字の縮減です。
 ・個人所得税を軽減し、最高税率を39.6%から37%に引き下げました。
 ・法人税を35%から21%に引き下げました。目的は製造業国内回帰です。
 結果的に見ると大失敗です。対中関税を引き上げても貿易赤字は増え続け、
物価上昇で家計の負担が増えただけです。大幅減税しても製造業は国内回帰
してません。経営者は自社株買いで自分の利益を確保しただけです。
 
 両陣営の税制改革公約
[トランプ陣営]・・・富裕層(1%)、企業、自分のため
 ・関税・・・対中関税は60% に 対先進諸国関税は10%に引き上げる
 ・税制・・・所得税、法人税の減税恒久化
[ハリス陣営]・・・・中間層(60%)支援のため 
 ・関税・・・関税見直し推進 関税で物価が上昇し、中間層の負担大
 ・税制・・・富裕層や企業に増税 中間層には減税
 
■ 外れたトランプ陣営の思惑
 トランプ陣営はバイデン氏は選挙から撤退しないと確信し、選挙戦略をたて
ていましたが、59歳のハリス氏の登場で不意打ちを喰らいました。トランプ氏
の高齢や認知能力が攻撃されるのは避けられません。
 もう一つは共和党内に広がる「反トランプ」の動きです。「トランプは保守
主義とは全く関係がない。保守主義者は憲法を信じているのであって、一人の
男のエゴを信じているわけではない」と反トランプを鮮明にしています。
 ハリス氏は自由のために戦い、民主主議を守り、世界の舞台で名誉と尊厳を
もってアメリカを代表しています。 ハリス氏支持を表明している共和党員の
多くは、共和党の再生は共和党の敗北から始まるとしています。
 
■ 支持率の調査結果  いずれもハリス氏がリード 
<ロイター/イプソス>・・・8月8日 全国を対象とした世論調査
 支持率は ハリス氏:42%  トランプ氏:37%
<ニューヨーク・タイムズ>・・・8月17日 激戦7州を対象とした世論調査
 ハリス氏はアリゾナ、ミシガン、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィ
スコンシンの5つの州でわずかに先行し、ジョージアでは同率です。トランプ
氏はネバダで唯一優位に立っています。
 
         第289号の目次
    ■1 熱中症対策(水分補給) 
    ■2  豊かで貧しく、自由で不自由 
 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
◆ 1       熱中症対策(水分補給) 
 
         ( 神奈川県横浜市 山尾 正斌 )
 今年の夏は格別暑い。歳のせいかとも思ったがどうもそうではないようだ。
私がこの地に居を構えたのは半世紀前の昭和44年、以来我が家は特に夏、風通
しが抜群に良い。
 旧住宅公団が分譲したマンションは間取りが昔流にできていて、南北両面に
大きな窓や引き戸があり、両方を開け放すと机の上の紙が吹き飛ぶほどの風が
家の中を吹き抜ける。
 
 郵便局や宅配便の配達員が訪れて玄関を開けると、伝票が吹き飛ぶほど風が
通る。猛暑の中を訪れた配達員はこの風にホッとして「あぁ天国です。ちょっ
と涼ませて下さい」等と言う人さえ居る。
 夜など窓を開けて就寝すると、夜中に寒さで目が覚めて、肌掛け布団を纏っ
たり、窓を閉めねばならぬほどである。ところが今年は、夜も気温が下がらな
いばかりか昼も夜も風がソヨとも吹かないのだ。
 
 風が無いから窓を開けても涼がとれず、不本意ながら窓を閉め切ってエアコ
ンに頼る。例年だとそのエアコンも夜間は止めるのだが、今年に限ってはここ
ひと月ほど昼夜ぶっ通しの連続運転である。今年の気象はどこか例年と違う。
 家内は「たまにはエアコンも休ませないと故障するのでは・・」と心配する
が、私の感覚ではエアコンは連続運転に耐えるべき製品であって休ませねば故
障するのは、設計が稚拙なのか品質が粗悪だと断定せざるを得ない。冷蔵庫と
同じだ。
 
 横浜地方気象台によれば、今年は7月29日に最高気温37.1℃を記録し、7月ひ
と月だけでも最高気温が35℃以上のいわゆる「猛暑日」が10日あった。明治23
(1890)年に記録を取り始めて以来、猛暑日の日数が一番多かったのは令和5
(2023)年で、7~8月合計で9日だった。
 それが今年は7月ひと月だけで過去の記録を更新し、8月に入っても日々記録
を更新し続けている。今年の気象が例年と違うことはデータ的にも確かである。
 
 我が家は高台に位置する430戸の中層階団地の一画にあり、一番南側の棟の
3階だから街の音がよく聞こえる。前記のように去年まではいつも窓を開けてい
たから、この時期には救急車のピーポーピーポーという警報音がひっきりなし
に聞こえたものだ。
 その殆どが熱中症で救急搬送される人だったのだろう。団地の中にも何度か
救急車が来た。ところが、今年はその救急車の音を滅多に聞かない。
 メディアが伝えるところでは、消防レスキュー隊の出動頻度が今年は過去最
多だとのこと。加齢のため自分の聴覚が衰えているのは間違いないが、エアコ
ン運転中は窓を閉め切るから、おそらくそのせいだろう。
 
 年寄りは喉の渇きの感じ方も鈍ると周りから注意を受けて、今年は意識的に
水分の補給に気を遣っている。家内が毎朝薬缶一杯の焙じ茶を沸かして冷蔵庫
で冷やし、寝るまでの間に二人でそれをほぼ飲み尽くす。
  ここまでは例年のことだが、今年は保冷ポットに氷水を詰めておいて折ある
ごとにそれを飲用するし、夜間の水分補給はこれが頼りだ。そのほか、緊急事
態に備えて薬用の経口補水液「OS-1」も数本冷蔵庫に買い置きしている。
 
 加えて、団地自治会がAEDと抱き合わせで導入した自販機でペットボトル
入り清涼飲料水を買う事も増えたし、スーパーの売り場で新しい清涼飲料水を
見つけると、好奇心にそそのかされて、買って飲んでみることもしばしばであ
る。
 そのほか「充実野菜」の人参ジュースをリンゴジュースで割って飲みもする。
これはカリウム補給が目的である。炎天下でスポーツをした日の夜中に脚が攣
って痛い思いをする事がよくあり、スポーツ前後に人参ジュースを飲んでおく
とその頻度が著しく下がる経験から、私にとって夏には欠かせない飲み物のひ
とつである。
 
 わが笹下連合町内会では、毎年夏休みに港南消防署の協力を得て「子供防災
体験イベント」を実施、地域にある3校区の小学生100人余りに防災体験をさせ
る。盛夏の行事なので、熱中症予防対策には気を配り、特に水分補給は欠かせ
ない。
 毎年大きな給水ジャグに氷水をたっぷり準備して小学生が各自持参する水筒
に随時自由に補給できるように配慮する。ペットボトルのナチュラルウォータ
ーをカートンで何箱も買って氷塊とともに給水ジャグに入れて待機させる。
 
 最近はその氷水の評判が芳しくない。子供たちが「美味しくない」「味が無
い」と言うのだ。それを承けて数年前から水に替えて氷を入れた給水ジャグで
麦茶を提供することにした。それでも満足出来ずに公園に設置された自販機で
ペットボトル入りの清涼飲料水を買う小学生が増えた。
 災害時に真っ先に必要になるのが飲料水だ。衛生的で無味無臭の水は命の綱
である。その水が嫌い・・・で済むわけがないのに、親のなかには子供の声し
か聞こえない人が増えた。主催者としては、麦茶がギリギリの妥協点である。
 
 私の経験だが、世界には先進国でさえ水道水がそのまま飲める国は少ない。
日本の水道水は衛生的で申し分ないし、何しろ旨い。なかでも横浜の水道水は
その筆頭である。
 昔、冷房・冷蔵設備が充分でなかった時代、遠洋航路の船が赤道を越えても
タンクの水が変質しないのは横浜と神戸の水だと言われたが、その伝統は今も
健在である。
 
 今の上水道水は、そんな時代の水道とは比べものにならぬ程高度な浄水技術
で処理され、透明で衛生的で異臭が無く美味しくなっている。ただし法律に基
づいて蛇口の残留塩素が規定値以上になるよう調整維持されるから、僅かなカ
ルキ臭は避けることができない。
 特に団地や大規模ビルなどの集合給水設備では、次亜塩素酸ソーダを追加注
入するから、その傾向が顕著である。
 そのまま飲むとカルキ臭を感じることがあるし、残留塩素が有機物と結合す
るとトリハロメタンが発生し、お茶や出し汁の悪臭の原因にもなる。上水道水
は使用直前にイオン交換樹脂の浄水器などで濾過するのが、美味しく飲むコツ
である。
 
 常用飲料水にペットボトル入りの水を購入するのは、車を手放した老人には
大きな負担であるが水道なら蛇口を捻れば出る。
 だから私は、熱中症予防のための水分補給は蛇口浄水器で濾過した横浜の上
水道水を専らとし、定期的に清涼飲料水でミネラル補給をする・・・残り短い
余生を私はこのモットーで行きたいと思っている。
 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
◆ 2           豊かで貧しく、自由で不自由 
 
          ( 千葉県流山市  中楯健二 )
 厚生労働省(厚労省)が最近発表した統計によると、2023年の出生数は約72
万人で前年より5.8%減少した。75歳以上は2千万人を超え、労働人口は約7400
万人と昨年より25万人減った。
 この傾向が続けば、労働人口は縮小し、それをカバーするために外国人労働
者をより多く受け入れざるを得なくなる。実際、海外からの労働者は年々増え
続けている。
 
 厚労省によると、外国人労働者数は約204万人で、前年より約22万人増え、
過去最高を更新した。これを見ると日本はすでに事実上の「移民受け入れ国」
になっている。
 日本人の働き手が減っているわけだから、外国人は「どうも」などと言って
いられない。移民が増えれば人種間の摩擦も増え、社会が不安定になる心配も
あるが、彼らがいなければ、今の生活水準を維持することができないのだから
否応なしの選択だ。
 
 欧州の状況を見ればわかる。昔は単身で日本に来て稼いで帰国するだけだっ
たが、今は家族で日本に定着しているわけだから言葉や子どもの教育、法律、
宗教など様々な問題が生じる。
 人種・人権問題もそれに加わることになる。今後も外国人労働者が増えてい
けば、2030年に420万人、2040年には670万人になるとの予測もある。中国はま
だ移民を受け入れるまでにはなっていないが、韓国はすでに日本と同じような
状況にある。
 
 今後、外国からの移民に頼る国が増えていけば、移民の争奪戦が始まること
も予想される。そんな中、これから日本が目指すべきは、より優秀な人材を、
より良い制度を作って迎え入れることだ。
 「同一賃金同一労働」もその一つだ。仕送り金額が目減りすることになる円
安も是正しなければならない。海外労働者はいま「売り手市場」だから、「受
け入れてあげる」といった態度は許されない。
 
 なによりも「選ばれる国」であるためにはどうしたらいいか、といった視点
が欠かせない。外国人が安心して働ける国にするために、社会の制度と人々の
意識を変えていく取り組みが必要だ。
 そのために、政府も、地方自治体も、受け入れる企業も、いかに知恵を絞る
かだ。結論的に言えば、日本の将来をどう描くかが問われているということに
なる。
 
 海外労働者に頼らざるを得なくなった背景には、労働人口の中核をなすべき
若者世代の生き方に対する考え方の変化がある。今の社会は「豊かで貧しく、
自由で不自由」といった矛盾を抱えている。
 満腹でいて空腹を感じ、群衆の中でより孤独を感じるようなところがある。
多分に心理的な面が影響しているが、そんな社会での暮らしには苦痛が伴う。
とりわけ若者はその対応に戸惑いを感じ、屈折した気持ちに囚われているよう
に見える。
 
 昔からそんなことはあったはずなのに、人間関係が希薄な現代だからこそ、
それが強く感じられるのかもしれない。今は「隣は何をする人ぞ」の世の中だ
から、当然と言えば当然なのかもしれない。
 いずれにせよ、新陳代謝は必要だ。それがなければ、身体の健康も維持でき
ないし、社会も目詰まりして淀んでしまう。働き手が減少し続ければ、年金や
介護サービス、生活保護などの社会保障がどんどん削られることになる。
 
 身寄りのない一人暮らしの老人は生活に困窮し、孤独死も増える。原資を生
み出す力が弱まり、「人の生存を保証する社会システム」が機能しなくなるか
らだ。今の「少子高齢化」はその前触れと言える。
 一方、結婚しない若者も増えている。4人に1人が「一人暮らし」を選んでい
るというから、一つのトレンドになっている。
 
 理由はいろいろあるのだろうが、結婚したい気持ちはあっても、「きっかけ
がない」あるいは「経済的な理由」から今はとりあえず一人でいるといった人
が多いという。
 「一人がいい」という若者の言葉の裏には、選択肢や夢の少ない社会で生き
なければならないことからくる、一種あきらめにも似た気持ちが隠されている
ように思える。
 
 彼らは、父親世代のわれわれを見て「いい時代に生まれてうらやましい」と
思っているかもしれない。実際、私も娘(40代)から「私たちは自分たちの老
後がどうなるかわからないのに、お父さんの世代が年金をもらえるように働い
ているようなものなのよ」と冗談めかして言われることがある。
 実際そうなのだ。だから、80代の親が50代の子どもの生活を支える「8050
(はちまる・ごうまる)」のような問題が起きる。年金暮らしの親のほうが、
それを支える現役の子どもよりも豊かだということから生じる現象だ。
 物事は順繰りがいいはずなのに、経済的に「親子の立場」が逆転するとは、
なんとも悲しい現実と言わなければならない。
 
 生きる上で若者の選択肢が少ないのには理由がある。それは、自民党政権が
代々支持基盤である高齢者層に対する政策に重きを置き、若者世代にはあまり
目を向けてこなかったことがある。
 政府は今になって、「異次元の少子化」対策として子育て支援に力を入れて
いるが、これはあくまで子持ち世帯向けの政策で、独身の若者が結婚したくな
るような、社会的環境の整備や経済的インセンティブが考慮されているとは思
えない。票につながらないと思われているからかもしれない。
 
 そうであれば、自分達に目を向けさせるために若者たちは行動を起こさなけ
ればならない。政治に対して異議申し立てをして、自分たちの生活を豊かにす
る政策に誘導する必要がある。
 だが、若者はそれに気づいていないかのように、政治に無関心だ。どんな選
挙でも若者の投票率は低い。裏金にうつつを抜かす政治家が支配する日本で、
「投票する政治家がいない」などと呑気なことを言っている若者を見ると、後
期高齢者(82歳)の私でさえ歯がゆくなる。
 
 かつて、森喜朗元首相は衆院選の投票日直前に「無党派層は寝ていてくれれ
ばいい」などと発言して批判を浴びたことがあるが、これが本音なのだ。
 投票率が下がれば固定票を持つ自民党が有利になると思っているからだ。だ
から、若者はその逆を行けばいい。若者が選挙で投票するようになれば、10年
で政治は変わる。
 
 10年の間には、参議院の選挙が3回、衆議院選挙も最低2回、合計5回はある。
投票して、政権与党の支持率を引き下げるだけで、自民党は変わらざるを得な
くなる、と私は信じている。
 今は利害が複雑に絡み合った社会である。国家予算の分捕り合戦の一面もあ
る。自分たちのための予算を獲得しようと若者が意識すれば、投票は有効な手
段になる。それによって「聞く耳」を持たない政治家に揺さぶりをかけること
ができる。
 
 「若者よ、眠っている場合ではない、今こそ目を覚ませ!」と檄を飛ばした
くなる。少し熱くなってしまったようなのでここらでやめておくことにする。
 
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