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なでしこが咲く季節となりました!

2024-10-01 09:21:29 | エッセイ

        

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               2024.10.1.第290号
                  「生き生きくらぶ」事務局

               なでしこが咲く季節となりました!  
  秋の七草の一つでもある撫子(なでしこ)は多年草で、日本各地の山野や河
原に自生する美しい花です。赤やピンク、白、黄色などの花を咲かせます。花 
びらが糸状に細かく分かれたり、繊細な切れ込みが入っているのが特徴です。
 わが国最古の歌集である万葉集にも撫子の花は登場します。「大和撫子」は
淑(しと)やかで美しい日本人女性を指す言葉です。古くから日本で女性に求め
られてきた美徳を表します。

 最近の話題として「自民党再生」を取り上げます。9月27日、自民党総裁選
で新総裁に石破氏が選出されました。最大の課題は安倍長期政権によってゆが
められた政治を清算し、新しい時代をどう切り開くかです。

■ 民主主義をゆがめた安倍政権
 党内政治
 ・選挙に勝つため、カルト集団統一教会と手を組み、幾多の家庭崩壊を招く
 ・安倍氏の考えが唯一正しく、異論や批判に耳を傾けず、独裁政治を貫く
 ・官邸への権力集中と派閥政治の仕組みが独裁を支えた
 失敗だったアベノミクス
  ・財政出動の続いた2018年までは景気は拡大したが、その後は景気低迷
 ・赤字国債を財源とするバラマキを拡大し、国債残高は1100兆円に上る
 ・市場が値引き合戦に走り、賃金も物価も上がらず、経済成長はストップ
■ スピード改革を進めた菅政権 
 重点施策推進:時代の流れで必須のことは先駆けでやっていこう
  ・2050年のカーボンニュートラル  ・原発処理水の海洋放出決定
  ・東京オリンピック開催          ・デジタル庁創設
 行政の迅速化:省庁間の縦割りや官僚の抵抗打破
  ・携帯料金の大幅値下げ      ・不妊治療の保険適用
  ・行政の脱ハンコ         ・40年ぶり35人学級の実現
  ・ワクチン1日100万回実施     ・ダムの事前放流で洪水防止

■ 安倍政治の清算と経済再生を進めた岸田政権 
   党内政治改革
 ・統一教会との決別、統一教会の解散命令を東京地裁に請求 
 ・派閥の解散 ⇒ 政治資金、閣僚人事は党が一括管理することになり、
    派閥集団は政策グループ化し、党内議論が活発化し、党全体が活性化
  経済再生
 ・市場モデルを付加価値競争型とし、賃上げと物価上昇が好循環を始める、
  30年ぶりに賃金と物価が上昇し、経済規模の拡大、金利の復活、財政の健
  全化等が進む
 ・資産所得倍増プランの実現 個人のお金を貯蓄から投資信託へ向けさせる

■ 総裁選における論点
論点1: 裏金問題の処分はこのままとするのか、追加処分をするのか
 裏金とは自民党議員が政治資金パーティ券を売りさばいて稼いだ金額を、正
しく報告せず、ちょろまかしていたお金のことです。対象者は安倍派と二階派
の88人で一人当たりの裏金は100万円~4200万円で、総額は約6億円です。
 自民党本部は8月、党紀委員会を開いて39人の処分を決定しました。処分内
容は幹部10人のうち、2人は離党勧告、3人は半年~1年間の党員資格停止、5人
は1年間の党の役職停止です。裏金が500万円~1000万円の人は戒告です。

 これに対し、国民から「処分が甘すぎる」という怒りの声が広がり、岸田総
理も退陣せざるを得なくなりました。新たな追加処分として裏金の使途明示、
裏金の国庫納付、裏金議員全員の公認取り消しを求める声が強まっています。

論点2: 皇位継承者を男系男子とするのか、女性天皇を認めるのか 

 参考:日本国憲法の関係条文
  第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この
     地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
  第2条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定める
     ところにより、これを継承する。
  第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、
     ・・・・において、差別されない。 ⇒ 男女同権を規定

 男系男子派は現行の皇室典範の規定を維持すべきと主張しています。皇室典
範は不磨の大典ではありません。国会が男女同権に反する現行皇室典範の改正
に合意すれば、憲法第2条により改正できます。
 現在、皇位継承有識者会議では女性天皇容認論が広がりつつあります。第一
の理由は男系男子継承では皇統断絶の確率が高いからです。女性天皇容認、女
性宮家創設で皇族数確保に努めるべきです。
 第二は世論調査で愛子天皇支持率は90%であり、国民の総意は女性天皇容認で
す。憲法第1条に従うべきです。

■  新総裁に期待する三大改革
 新総裁に日本再生に向けた三大改革を期待するものです。

<政治改革>
・選挙制度を改正し、候補者は小選挙区か比例代表のどちらかを選ぶ方式とす
 べきです。小選挙区で落選した人を比例区で当選させるのは憲法違反です。
・女性の国会議員比率は日本が10%で、欧米は30%~50%です。日本が女性国会
 議員比率をあげるには比例区で女性比率をあげるのが手っ取り早いです。

・選挙方式を街頭演説とSNS選挙にすれば、選挙に金はかかりません。国会議
 員向け助成金は「調査研究広報滞在費」のみとし、政党交付金やパーテイ券
 は廃止すべきです。

<外国人の受け入れ拡大>
・人口減・人手不足が進んでいます。今後20年間で全国1741の自治体のうち、
 744の自治体が消滅する見込みです。殆どの産業で人手不足が深刻です。
・政府はこれまで出生率向上に37兆円を投じてきましたが、人口は減る一方で
 す。欧米のように移民け入れ拡大を進めることが正道と考えます。

・移民政策を成功させるには移民の社会的統合が不可欠です。公平な雇用、夢
 を与える自由、住宅の計画・建設、リスキングと教育が重要です。幸い、日
 本には900万戸の空き家と北海道規模の空き地があり、利用できそうです。
 
<生産性の向上>
・賃上げを定着させるためには生産性の向上が不可欠です。第一弾はデジタル化
 や省力化に向け積極投資すべきです。
・第二弾は働き方改革です。定時退社励行と在宅勤務を拡大し、男女が協力して
 子育てをすべきです。北欧で実証済です。長時間労働を廃止する時です。

・第三弾は労働市場の整備です。同一労働・同一賃金、専門職人材の育成、労働
 市場の流動性を高め、成長分野に労働者を移りやすくすることです。
・第四弾は企業の新陳代謝です。日本では雇用を守ることを重視し、生産性の低
 い企業にゼロゼロ融資してきました。今後は融資を生産性の高い企業に絞り、
 国全体の生産性向上を期すべきです。

         第290号の目次
    ■1 科学は暴走する
    ■2  海外出張の思い出  エルサルバドル 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

◆ 1              科学は暴走する

          ( 千葉県流山市  中楯健二 )
  いま、地球上で自然破壊による気候変動が進んでいる。地球温暖化、海洋汚
染、大気汚染など、取り上げたらきりがない。なかでも、地球温暖化は際立っ
て我々の生活に影響を与えている。
 今年7月以降の猛暑は観測史上最高だと気象庁が発表している。このままで
いけば日本の四季は失われ、春と秋が短くなって二季になると言われている。
温暖化の影響は日本だけではない。

 世界のいたるところで、豪雨・洪水・干ばつなどの異常気候が観測されてい
る。そこで、地球温暖化対策として、気候現象を人工的に操作しようという研
究が世界的に進められているという。
 その一つが、「人工降雨」の研究だ。その仕組みは、飛行機で雲の上にドラ
イアイスなどの小さな粉をまき、水分を集めた粉を核とする氷を作り落下させ
ると、氷は地上で雨や雪に変わる。
 
 すでに、欧米や中東など50カ国以上で研究が行われている。日本も、塩の微
粒子をヘリコプターで雲に撒き、雨の元になる水滴を成長させる実験をしてい
る。世界で人工降雨に一番力を入れているのが、観測史上最悪の熱波に見舞わ
れている中国だ。
  中でも最も深刻な打撃を受けているのが中部と南部を流れる長江流域だ。そ
の地域は、中国最大の穀倉地帯である。

  その実験の先鞭をつけたのが四川省で、例年に比べ50%以上も降水量が減っ
た昨年8月に、大型ドローン2機を使ってヨウ化銀を雨雲の中に散布した。とこ
ろが、「恵みの雨」は降ったが、皮肉なことに今度は連日の豪雨で洪水が発生
し、自然は人間の思い通りにならないことを証明した。
 国連の予測によると、2025年までに世界人口の3分の2が水不足に陥る危険性
があるという。そのため、人工降雨技術はますます注目の的になっている。
  
 しかし、この技術はトータルの降水量を変えることはできないことから、あ
る地域に人工的に雨を降らせると、それによって周辺地域で降水量が減るとい
う問題が発生する。
  実際、中国の大規模な気象制御計画にインドが反発し、イランはイスラエル
の人工降雨計画に対して「雨雲を盗んでいる」と非難した。日本も近い将来、
中国非難の輪に加わることになるかも知れない。

  もう一つの試みは、「海上の雲の白色化」と呼ばれるプロジェクトだ。米国
ワシトン大学とゼロックスのパロアルト研究所が進めている。ノズルの先から
噴き出す白い霧を使って地球温暖化の予防をしようとするものだ。
 地上20キロほどの成層圏に微粒子をまき、太陽光を反射して気温上昇を食い
止めようとする構想だ。これは英国の研究者が初めて1990年代に発想し、提唱
した理論だという。

  火山の噴火後に放出される微粒子で気温が下がるのと同じ状況を作り出す技
術だ。要するに地球に「日傘」をさす効果を狙っているのだ。21世紀に入り、
世界で異常気象が多発しているが、その共通の原因は偏西風 (北半球の上空
を西から東へ吹くジェット気流)の蛇行だ。
  高気圧や低気圧の移動に大きな影響を与える偏西風が大きく蛇行することで
世界各地に異常気象が発生している。偏西風の蛇行の原因は解明されていない
が、中国の気候改変技術が影響している可能性があると指摘されている。

  その導入の規模があまりにも巨大だからだ。中国政府は2012年から大量の資
金を投入して気候改変プログラムの開発に取り組み、「2025年までに対象地域
を550万平方キロメートルに拡大する」との方針を明らかにしている。
  550万平方キメートルという規模は中国の国土面積の5割以上に当たる。こう
した人間による気象介入について、気候や宇宙の専門家ら約6万人の会員を抱
えるアメリカ地球物理学連合(AGU)は、昨年6月「緊急を要する事態」だとし
て、倫理面での議論を促し、「危険性への理解が不十分なまま技術を導入する
動き」に最大限の懸念を示した。

 それにしても、大変な時代になったものである。これまで、こうした気候改
変プログラムはマスコミであまり議論されたことがなかっただけに驚きを禁じ
得ない。
 地球温暖化が背景にあるとは言え、自然のバランスを崩す恐れのある気象現
象にまで、人間が人工的に介入するとは素人考えでも恐ろしい。異常気象の根
本原因が人間の営みにあることを考えれば、まず最初に取り組むべきは身の回
りの生活環境の改善ではないだろうか。

 それなくしていきなり「人工降雨」や「雲作り」に向かうのは、神の領域を
犯す「禁じ手」だと言わざるを得ない。自分の興味の対象をどこまでも追求し
ようとする習性を持つ科学者は、暴走することがあるから、外部の批判に対し
て謙虚に耳を傾けなければならない。
 我々はすでに「核」という凶器を持っている。それも人類を30回以上滅亡さ
せることができるだけの量を保有している。日本はその被害国である。

 いま起きているウクライナ戦争でも、それを脅しの対象にしている「人物」
がロシアを指揮している。人間の無謀な行動に自然が牙をむいて怒れば、人間
などひとたまりもない。
 それだけに、気象への介入は人類に不幸をもたらす危険性をはらんでいるこ
とを十分肝に銘じるべきである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

◆ 2    海外出張の思い出  エルサルバドル  

         ( 神奈川県横浜市 山尾 正斌 )
 私の人生にとって得がたい貴重な見聞と体験になった海外出張、これまでフィリ
ピンとイタリアを紹介したが、今回からエルサルバドルでの体験を語ろうと思う。

 多くの日本人にとってエルサルバドルは必ずしも馴染み深い国とは言えない。位
置的には日本からみてほぼ地球のま裏にあたり、グアテマラとオンドゥラス(ホン
ジュラス)とに国境を接し、太平洋に面している。
 環太平洋火山帯に沿う火山国で面積は四国を一回り大きくした程度だが、そこに
20を超える火山がある。各所に自噴する温泉があり、地震も多い。気候的には熱帯
モンスーン地域に属し、一年が乾期と雨期とに分かれている。

 赤道に近い割に過ごしやすいのは、国土の大半が標高500~1000mのテラス状の
台地にあるから。ちなみに、海抜の低い太平洋岸の港町アカフトラでは、10月・11
月でも海水浴ができるほど暑い。
 人口およそ650万、人種的には肌の色からだけ観察すると陽焼け色のインディオ
ィオ系1割、色白のスペイン系1割、大半は両者の混血と思われる。人種的分け隔て
は感じなかったが、富裕層やインテリには肌の白い人が多いように思えた。
 言語はスペイン語、カトリック信者が多い。主な産業は繊維関連の軽工業とコー
ヒー・砂糖などの農産物・・・と言ったところである。

 このエルサルバドルに、私が現役時代の我が社が地熱発電所を建設することにな
った。顧客はエルサルバドル国営電力公社Comision Ejectiva Hidroelectrica del 
Rio Lempa(CEL=レンパ川水力発電実行委員会)。
 創業時は水力発電による電力供給機構であったが、私が関わった当時同社の電源
構成は他国同様、典型的な火力依存型であった。しかし、貿易収支上の理由や地質
的特性から、純国産エネルギーである豊富な地熱を活用することへの注目・注力度
が年々高まっていた。

 建設地点はエルサルバドル西部のアウアチャパン、グアテマラとの国境に近い高
原地帯で、山肌や川筋では随所に温泉が自噴し、辺りにはコーヒー農園とそれを製
品化するための工場が散在する。
 そこに当時の地熱としては規模の大きい発電所があり、日本のM社が納入した30,
000kW二機が稼働中、この時我が社が受注したのは増設の3号機35,000kWであった。

 受注までの経緯(いきさつ)を語ると二回分以上のページを要するから、さわりだ
け紹介すると・・・私が「初めての海外出張」として紹介したフィリピンバターン
火力発電所に遡る。
 フィリッピンの時の顧客側コンサルタントがイタリアのE社だったことはイタリ
ア出張を紹介した前稿にも述べたが、アウアチャパン地熱発電所建設の顧客側コン
サルタントがこのE社だったのである。

  当時イタリアは世界的に地熱発電の先進国であったから、地熱発電に経験豊かな
E社が顧客の眼鏡に適ったのであろう。
  競争入札に於いて一番札の要件を満たしていたことに併せて、フィリッピンの火
力発電所建設過程で当社が示した誠意を多として、E社が今回の契約に一も二もなく
当社を推薦してくれた、とはこの地熱発電所が完成し顧客へ引き渡した後で聞かさ
れた話である。

 当時、日本国内の本格的地熱発電(特に事業用発電)の建設は、九州を中心とし
たM社、東北を中心としたT社が先進企業で、当社は二社の後塵を拝していた。我が
社の地熱発電実績は箱根温泉K苑向け30kW自家発電設備など小規模設備が多かった。
 アウアチャパン地熱発電所35,000kWは当社にとって事業用地熱発電への橋頭堡(き
ょうとうほ)であり、幾多の新規開発技術を必要とする一大プロジェクトであった。

 地熱発電は再生可能エネルギー源のなかで、大規模な設備を実現できるSDG’sの
ベストソリューションと言える発電方式である。当時はまだ脱炭素という目的意識
は現在ほど高くなかったが、発電の新しい分野として国内でも海外でも注目されは
じめていた。
 だから、私たちは、新規開発設計は勿論、材料の耐久試験や設計の実証実験を何
度も行って試行錯誤を繰り返した。当時、会社の組織をあげての昼夜を分かたぬ努
力を積み重ねた思い出はその一端を担った私にとって、生涯忘れ得ぬ経験である。
 今日、当社が地熱発電で世界のトップシェアを握るまでに成長したことは、その
黎明期に関与した私としては「技術屋冥利に尽きる」経験であり、その機会を得た
ことを心から有り難く感じている。

 ともあれ、社内での一連の開発や設計審査と実証試験を経て実機設計・製造が終
り、1979年には現地での据え付け・試運転・性能試験の段階を迎えた。
試運転期間中には新規開発した機器の現地実機試験を予定していたので、事前に半
年ほど、隔週に一回終業後に東京まで出向き、スペイン語の日常会話と簡単な文章
の解読ができる程度の講習を受講したりもした。

 私自身が開発設計した機器が幾つかあり、社内での実証試験で安定性や性能は検
証できていたが、実機での再現性を確認するため自ら現地へ出張することになった
のが1979年10月中旬のことである。

 当時のエルサルバドルには甚(はなは)だしい貧富の差があり、国土の農地のうち
約半分をスペイン系富豪14家族が独占所有し、コーヒー園や工場をはじめとして、
銀行や不動産など国の経済全般をも牛耳っていた。
 そんな富の偏りを不満とする複数の左翼ゲリラ組織が各地 でテロ行為を繰り返し
ており、またそれに対抗する極右系団体のテロもあって、国内情勢は騒然としてい
た。

 前年の1978年5月には首都サンサルバドルで日系企業インシンカ社の松本不二雄
社長が誘拐される事件が発生していた。誘拐目的は、逮捕拘留されていた多数の左
翼ゲリラの同志を釈放させるための人質だったとされる。
 現実には松本さんは誘拐直後に殺害されていた。これ以外にも身代金目的などを
含めて、殊に外国人を誘拐する事件が頻発し、私も出発に際して外務省から、入国
・滞在には厳重に注意するよう助言を受けた。

 組織的なテロ活動だけでなく、所謂(いわゆる)群盗・追剥ぎも多発して犠牲者も
多く、治安は最悪であった。エルサルバドルだけでなく、当時は隣国のグアテマラ
やニカラグアでも程度の差はあったがしばしばテロが発生して治安が憂慮すべき状
態にあった。
 どこかで何か起これば、その騒擾(そうじょう)が連鎖反応的に隣接する国々に伝
播(でんぱ)する心配があった。まさに一触即発の状況であった。

 サンサルバドルの日本大使館では大使はじめ日本人幹部はコスタリカに一時退避
しており、大使館には現地人女性を妻とする日本人職員一人のほかは現地人職員し
か残っていないという惨状だった。
 担当商社のS商事とて状況は同様であった。幹部の日本人スタッフは同じくコス
タリカに退避していて、商談など所用がある時だけ戻ってくる状況にあり、サンサ
ルバドル支店事務所に常駐しているのは現地人スタッフだけだった。

 エルサルバドル入国に際し、私は、グアテマラのS商事所長の推奨に従って、サ
ンサルバドル郊外のイロパンゴ国際空港ではなく、隣国のグアテマラ・シティまで
空路を利用し、そこから陸路アウアチャパンに向かう行程を採用することにした。
 エルサルバドルでは全土の幹線道路で高級車を狙う追剥ぎ被害が多発していた。
イロパンゴ空港は首都サンサルバドル市街地を外れた辺鄙(へんぴ)な場所にあり、
ことに空港周辺道路の往来は、平素から安全が危惧される状態にあった。
  アウアチャパンはサンサルバドルからよりも、グアテマラからの方がエルサルバ
ドル国内の移動距離・時間が短くて済み、リスクが少ないと判断した結果である。

 前置きが長くなったが、日本からアウアチャパンまでの道程(みちのり)と現地で
の様子は、次回以降順次ご紹介することにする。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


コスモスが咲く季節となりました!

2024-09-01 10:44:46 | エッセイ

       

                       
                       
    □□□□□‐‐‐ikiikiclub mail magazine‐‐‐□□□□□
 
               2024.9.1.第289号
                  「生き生きくらぶ」事務局
 
                コスモスが咲く季節となりました!
 爽やかな秋の季節、風にゆらゆら揺れるコスモスは、情緒があり、日本人の
原風景とも言える一コマです。ピンクの花姿は柔らかさを、白い花姿は何とも
言えない美しさを、赤い花姿は燃えるような愛を醸し出します。
 その一輪一輪の可憐な美しさはもちろん、無数のコスモスが群生する一面の
花畑は、夢のような光景です。近くの小金井公園の丘にはコスモスの花畑が広
がっています。
 
 最近の話題として「米大統領選の行方」を取り上げます。米民主党は8月、 
民主党大統領候補者をカマラ・デビ・ハリス副大統領とすることを正式に決定
しました。
 そして副大統領候補にミネソタ州知事のティム・ワルツ氏を指名しました。
民主党はトランプ氏優勢の絶望から一転、アメリカ初の女性大統領の可能性に
沸き、支持率調査ではハリス氏がトランプ氏を上回っています。
 
■ 二人の大統領候補者
 共和党候補者はドナルド・ジョン・トランプ氏です。1946年6月14日、ニュ
ーヨークのドイツ系の家庭に生まれました。ペンシルベニア大学で経済学の学
士号を取得した後、父親の不動産事業を引き継ぎました。
 不動産業の富豪となり、リアリテイ番組の司会などタレント業も行った後、
2016年の大統領選に共和党から出馬して当選し、合衆国大統領を一期務めまし
た。2024年5月、有罪判決を受けた最初の米国大統領経験者となりました。
 
 民主党候補者はカマラ・デビ・ハリス氏です。1964年10月20日ジャマイカ系
の経済学者の父とインド系のがん研究者の母との間に誕生しました。ハワード
大学とカリフォルニア大学・ロー・スクールを経て地方検事に着任しました。
 2010年カリフォルニア州司法長官に当選し、2016年カリフォルニア州上院議
員に当選しました。2021年1月、米国副大統領に就任し、2024年8月、民主党か
ら大統領候補に指名されました。
 
■ 当選したら何をするか
 トランプ氏は財を成しましたが、殆どが違法行為に基づくものです。大統領
になっても違法行為は止まず、2020年の大統領選挙結果を認めず、暴力をあお
りました。4件の刑事事件と2件の民事事件で起訴されています。
 行動原理は国のためではなく、自分のためです。大統領に選出されれば、独
裁権力を強め、自分に逆らった人々に復讐するとしています。
 
 ハリス氏は「当選した暁には全ての国民のため、自由と思いやり、法の支配
がある国づくりを目指します。私たちが苦労して勝ち取ってきた自由と権利、
民主主義制度といった『法の支配』をトランプ氏は破壊しようとしています。
 検察官という立場で見るとトランプは典型的な犯罪者です。私たちは後戻り
しません。みんなで団結し、犯罪者トランプとの戦いに勝利し、『法の支配』
を守り抜き、銃規制、中絶権を勝ち取るのです。」と述べています。
 
■ 国家的課題の解決
 ラストベルト地帯の製造業復活や不法移民問題、税制改革は米国にとって重
要な課題です。取り組み方はトランプ氏とハリス氏では全く違っています。
 
◇ ラストベルト地帯の製造業復活
 トランプ氏は中国製品に高額関税をかけ、輸入制限をすれば、製造業復活は
米国企業の手で簡単にできると考えました。
 
 古い歴史を持つUSスチール社は何度も経営再建に取り組みますが、すべて失
敗し、倒産寸前に追い込まれました。自立再建は不可能と考えた経営陣は日鉄
と協議し、日鉄がUSスチール買収することで合意しました。
 ところが全米鉄鋼労組(USW)とトランプ陣営が買収に異論を唱え、政治
問題化しています。トランプ政権の国務長官であったポンペオ氏が日鉄の相談
役となり、日鉄の買収は米国の利益になるとし、計画を進めています。
 
 民主党の副大統領候補に指名されたミネソタ州知事のワルツ氏は2018年から
6年間、知事を務め、50社にのぼる日本企業を誘致しました。現在、製造業が
復活し、州経済は大きく発展しました。
 ワルツ氏は製造業復活には日本企業との協業がベストと述べています。ハリ
ス氏が米国大統領に就任した暁には、恐らく日鉄のUSスチール買収も実現する
ことと思われます。
 
◇ 不法移民急増問題
 政権で移民問題への対処を担うハリス氏は「米国の移民制度は壊れており、
修復には強力な国境警備や市民権獲得への道を含む包括的改革が必要だ」と指
摘しております。今年初めに議会超党派グループが対策案をまとめたものの、
トランプ氏はこの合意は彼の選挙運動を損なうと考え、廃案にしました。
  この7月、不法入国者数は前年同月比で43%減少しました。前年より減少する
のは5カ月連続です。これはメキシコ側が取り締まりを強化したのに加え、バ
イデン政権が不法入国者の亡命申請を事実上禁止したからです。トランプ氏か
ら「国境管理の不備」を批判されているハリス氏にとって好材料です。
 
◇ 税制改革
  2017年、トランプ政権はクリスマスプレゼントと称して税制改革を断行し、
その内容はバイデン政権にも引き継がれました。その概要は以下の通りです。
 ・対中関税を20%引き上げました。目的は貿易赤字の縮減です。
 ・個人所得税を軽減し、最高税率を39.6%から37%に引き下げました。
 ・法人税を35%から21%に引き下げました。目的は製造業国内回帰です。
 結果的に見ると大失敗です。対中関税を引き上げても貿易赤字は増え続け、
物価上昇で家計の負担が増えただけです。大幅減税しても製造業は国内回帰
してません。経営者は自社株買いで自分の利益を確保しただけです。
 
 両陣営の税制改革公約
[トランプ陣営]・・・富裕層(1%)、企業、自分のため
 ・関税・・・対中関税は60% に 対先進諸国関税は10%に引き上げる
 ・税制・・・所得税、法人税の減税恒久化
[ハリス陣営]・・・・中間層(60%)支援のため 
 ・関税・・・関税見直し推進 関税で物価が上昇し、中間層の負担大
 ・税制・・・富裕層や企業に増税 中間層には減税
 
■ 外れたトランプ陣営の思惑
 トランプ陣営はバイデン氏は選挙から撤退しないと確信し、選挙戦略をたて
ていましたが、59歳のハリス氏の登場で不意打ちを喰らいました。トランプ氏
の高齢や認知能力が攻撃されるのは避けられません。
 もう一つは共和党内に広がる「反トランプ」の動きです。「トランプは保守
主義とは全く関係がない。保守主義者は憲法を信じているのであって、一人の
男のエゴを信じているわけではない」と反トランプを鮮明にしています。
 ハリス氏は自由のために戦い、民主主議を守り、世界の舞台で名誉と尊厳を
もってアメリカを代表しています。 ハリス氏支持を表明している共和党員の
多くは、共和党の再生は共和党の敗北から始まるとしています。
 
■ 支持率の調査結果  いずれもハリス氏がリード 
<ロイター/イプソス>・・・8月8日 全国を対象とした世論調査
 支持率は ハリス氏:42%  トランプ氏:37%
<ニューヨーク・タイムズ>・・・8月17日 激戦7州を対象とした世論調査
 ハリス氏はアリゾナ、ミシガン、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィ
スコンシンの5つの州でわずかに先行し、ジョージアでは同率です。トランプ
氏はネバダで唯一優位に立っています。
 
         第289号の目次
    ■1 熱中症対策(水分補給) 
    ■2  豊かで貧しく、自由で不自由 
 
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◆ 1       熱中症対策(水分補給) 
 
         ( 神奈川県横浜市 山尾 正斌 )
 今年の夏は格別暑い。歳のせいかとも思ったがどうもそうではないようだ。
私がこの地に居を構えたのは半世紀前の昭和44年、以来我が家は特に夏、風通
しが抜群に良い。
 旧住宅公団が分譲したマンションは間取りが昔流にできていて、南北両面に
大きな窓や引き戸があり、両方を開け放すと机の上の紙が吹き飛ぶほどの風が
家の中を吹き抜ける。
 
 郵便局や宅配便の配達員が訪れて玄関を開けると、伝票が吹き飛ぶほど風が
通る。猛暑の中を訪れた配達員はこの風にホッとして「あぁ天国です。ちょっ
と涼ませて下さい」等と言う人さえ居る。
 夜など窓を開けて就寝すると、夜中に寒さで目が覚めて、肌掛け布団を纏っ
たり、窓を閉めねばならぬほどである。ところが今年は、夜も気温が下がらな
いばかりか昼も夜も風がソヨとも吹かないのだ。
 
 風が無いから窓を開けても涼がとれず、不本意ながら窓を閉め切ってエアコ
ンに頼る。例年だとそのエアコンも夜間は止めるのだが、今年に限ってはここ
ひと月ほど昼夜ぶっ通しの連続運転である。今年の気象はどこか例年と違う。
 家内は「たまにはエアコンも休ませないと故障するのでは・・」と心配する
が、私の感覚ではエアコンは連続運転に耐えるべき製品であって休ませねば故
障するのは、設計が稚拙なのか品質が粗悪だと断定せざるを得ない。冷蔵庫と
同じだ。
 
 横浜地方気象台によれば、今年は7月29日に最高気温37.1℃を記録し、7月ひ
と月だけでも最高気温が35℃以上のいわゆる「猛暑日」が10日あった。明治23
(1890)年に記録を取り始めて以来、猛暑日の日数が一番多かったのは令和5
(2023)年で、7~8月合計で9日だった。
 それが今年は7月ひと月だけで過去の記録を更新し、8月に入っても日々記録
を更新し続けている。今年の気象が例年と違うことはデータ的にも確かである。
 
 我が家は高台に位置する430戸の中層階団地の一画にあり、一番南側の棟の
3階だから街の音がよく聞こえる。前記のように去年まではいつも窓を開けてい
たから、この時期には救急車のピーポーピーポーという警報音がひっきりなし
に聞こえたものだ。
 その殆どが熱中症で救急搬送される人だったのだろう。団地の中にも何度か
救急車が来た。ところが、今年はその救急車の音を滅多に聞かない。
 メディアが伝えるところでは、消防レスキュー隊の出動頻度が今年は過去最
多だとのこと。加齢のため自分の聴覚が衰えているのは間違いないが、エアコ
ン運転中は窓を閉め切るから、おそらくそのせいだろう。
 
 年寄りは喉の渇きの感じ方も鈍ると周りから注意を受けて、今年は意識的に
水分の補給に気を遣っている。家内が毎朝薬缶一杯の焙じ茶を沸かして冷蔵庫
で冷やし、寝るまでの間に二人でそれをほぼ飲み尽くす。
  ここまでは例年のことだが、今年は保冷ポットに氷水を詰めておいて折ある
ごとにそれを飲用するし、夜間の水分補給はこれが頼りだ。そのほか、緊急事
態に備えて薬用の経口補水液「OS-1」も数本冷蔵庫に買い置きしている。
 
 加えて、団地自治会がAEDと抱き合わせで導入した自販機でペットボトル
入り清涼飲料水を買う事も増えたし、スーパーの売り場で新しい清涼飲料水を
見つけると、好奇心にそそのかされて、買って飲んでみることもしばしばであ
る。
 そのほか「充実野菜」の人参ジュースをリンゴジュースで割って飲みもする。
これはカリウム補給が目的である。炎天下でスポーツをした日の夜中に脚が攣
って痛い思いをする事がよくあり、スポーツ前後に人参ジュースを飲んでおく
とその頻度が著しく下がる経験から、私にとって夏には欠かせない飲み物のひ
とつである。
 
 わが笹下連合町内会では、毎年夏休みに港南消防署の協力を得て「子供防災
体験イベント」を実施、地域にある3校区の小学生100人余りに防災体験をさせ
る。盛夏の行事なので、熱中症予防対策には気を配り、特に水分補給は欠かせ
ない。
 毎年大きな給水ジャグに氷水をたっぷり準備して小学生が各自持参する水筒
に随時自由に補給できるように配慮する。ペットボトルのナチュラルウォータ
ーをカートンで何箱も買って氷塊とともに給水ジャグに入れて待機させる。
 
 最近はその氷水の評判が芳しくない。子供たちが「美味しくない」「味が無
い」と言うのだ。それを承けて数年前から水に替えて氷を入れた給水ジャグで
麦茶を提供することにした。それでも満足出来ずに公園に設置された自販機で
ペットボトル入りの清涼飲料水を買う小学生が増えた。
 災害時に真っ先に必要になるのが飲料水だ。衛生的で無味無臭の水は命の綱
である。その水が嫌い・・・で済むわけがないのに、親のなかには子供の声し
か聞こえない人が増えた。主催者としては、麦茶がギリギリの妥協点である。
 
 私の経験だが、世界には先進国でさえ水道水がそのまま飲める国は少ない。
日本の水道水は衛生的で申し分ないし、何しろ旨い。なかでも横浜の水道水は
その筆頭である。
 昔、冷房・冷蔵設備が充分でなかった時代、遠洋航路の船が赤道を越えても
タンクの水が変質しないのは横浜と神戸の水だと言われたが、その伝統は今も
健在である。
 
 今の上水道水は、そんな時代の水道とは比べものにならぬ程高度な浄水技術
で処理され、透明で衛生的で異臭が無く美味しくなっている。ただし法律に基
づいて蛇口の残留塩素が規定値以上になるよう調整維持されるから、僅かなカ
ルキ臭は避けることができない。
 特に団地や大規模ビルなどの集合給水設備では、次亜塩素酸ソーダを追加注
入するから、その傾向が顕著である。
 そのまま飲むとカルキ臭を感じることがあるし、残留塩素が有機物と結合す
るとトリハロメタンが発生し、お茶や出し汁の悪臭の原因にもなる。上水道水
は使用直前にイオン交換樹脂の浄水器などで濾過するのが、美味しく飲むコツ
である。
 
 常用飲料水にペットボトル入りの水を購入するのは、車を手放した老人には
大きな負担であるが水道なら蛇口を捻れば出る。
 だから私は、熱中症予防のための水分補給は蛇口浄水器で濾過した横浜の上
水道水を専らとし、定期的に清涼飲料水でミネラル補給をする・・・残り短い
余生を私はこのモットーで行きたいと思っている。
 
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◆ 2           豊かで貧しく、自由で不自由 
 
          ( 千葉県流山市  中楯健二 )
 厚生労働省(厚労省)が最近発表した統計によると、2023年の出生数は約72
万人で前年より5.8%減少した。75歳以上は2千万人を超え、労働人口は約7400
万人と昨年より25万人減った。
 この傾向が続けば、労働人口は縮小し、それをカバーするために外国人労働
者をより多く受け入れざるを得なくなる。実際、海外からの労働者は年々増え
続けている。
 
 厚労省によると、外国人労働者数は約204万人で、前年より約22万人増え、
過去最高を更新した。これを見ると日本はすでに事実上の「移民受け入れ国」
になっている。
 日本人の働き手が減っているわけだから、外国人は「どうも」などと言って
いられない。移民が増えれば人種間の摩擦も増え、社会が不安定になる心配も
あるが、彼らがいなければ、今の生活水準を維持することができないのだから
否応なしの選択だ。
 
 欧州の状況を見ればわかる。昔は単身で日本に来て稼いで帰国するだけだっ
たが、今は家族で日本に定着しているわけだから言葉や子どもの教育、法律、
宗教など様々な問題が生じる。
 人種・人権問題もそれに加わることになる。今後も外国人労働者が増えてい
けば、2030年に420万人、2040年には670万人になるとの予測もある。中国はま
だ移民を受け入れるまでにはなっていないが、韓国はすでに日本と同じような
状況にある。
 
 今後、外国からの移民に頼る国が増えていけば、移民の争奪戦が始まること
も予想される。そんな中、これから日本が目指すべきは、より優秀な人材を、
より良い制度を作って迎え入れることだ。
 「同一賃金同一労働」もその一つだ。仕送り金額が目減りすることになる円
安も是正しなければならない。海外労働者はいま「売り手市場」だから、「受
け入れてあげる」といった態度は許されない。
 
 なによりも「選ばれる国」であるためにはどうしたらいいか、といった視点
が欠かせない。外国人が安心して働ける国にするために、社会の制度と人々の
意識を変えていく取り組みが必要だ。
 そのために、政府も、地方自治体も、受け入れる企業も、いかに知恵を絞る
かだ。結論的に言えば、日本の将来をどう描くかが問われているということに
なる。
 
 海外労働者に頼らざるを得なくなった背景には、労働人口の中核をなすべき
若者世代の生き方に対する考え方の変化がある。今の社会は「豊かで貧しく、
自由で不自由」といった矛盾を抱えている。
 満腹でいて空腹を感じ、群衆の中でより孤独を感じるようなところがある。
多分に心理的な面が影響しているが、そんな社会での暮らしには苦痛が伴う。
とりわけ若者はその対応に戸惑いを感じ、屈折した気持ちに囚われているよう
に見える。
 
 昔からそんなことはあったはずなのに、人間関係が希薄な現代だからこそ、
それが強く感じられるのかもしれない。今は「隣は何をする人ぞ」の世の中だ
から、当然と言えば当然なのかもしれない。
 いずれにせよ、新陳代謝は必要だ。それがなければ、身体の健康も維持でき
ないし、社会も目詰まりして淀んでしまう。働き手が減少し続ければ、年金や
介護サービス、生活保護などの社会保障がどんどん削られることになる。
 
 身寄りのない一人暮らしの老人は生活に困窮し、孤独死も増える。原資を生
み出す力が弱まり、「人の生存を保証する社会システム」が機能しなくなるか
らだ。今の「少子高齢化」はその前触れと言える。
 一方、結婚しない若者も増えている。4人に1人が「一人暮らし」を選んでい
るというから、一つのトレンドになっている。
 
 理由はいろいろあるのだろうが、結婚したい気持ちはあっても、「きっかけ
がない」あるいは「経済的な理由」から今はとりあえず一人でいるといった人
が多いという。
 「一人がいい」という若者の言葉の裏には、選択肢や夢の少ない社会で生き
なければならないことからくる、一種あきらめにも似た気持ちが隠されている
ように思える。
 
 彼らは、父親世代のわれわれを見て「いい時代に生まれてうらやましい」と
思っているかもしれない。実際、私も娘(40代)から「私たちは自分たちの老
後がどうなるかわからないのに、お父さんの世代が年金をもらえるように働い
ているようなものなのよ」と冗談めかして言われることがある。
 実際そうなのだ。だから、80代の親が50代の子どもの生活を支える「8050
(はちまる・ごうまる)」のような問題が起きる。年金暮らしの親のほうが、
それを支える現役の子どもよりも豊かだということから生じる現象だ。
 物事は順繰りがいいはずなのに、経済的に「親子の立場」が逆転するとは、
なんとも悲しい現実と言わなければならない。
 
 生きる上で若者の選択肢が少ないのには理由がある。それは、自民党政権が
代々支持基盤である高齢者層に対する政策に重きを置き、若者世代にはあまり
目を向けてこなかったことがある。
 政府は今になって、「異次元の少子化」対策として子育て支援に力を入れて
いるが、これはあくまで子持ち世帯向けの政策で、独身の若者が結婚したくな
るような、社会的環境の整備や経済的インセンティブが考慮されているとは思
えない。票につながらないと思われているからかもしれない。
 
 そうであれば、自分達に目を向けさせるために若者たちは行動を起こさなけ
ればならない。政治に対して異議申し立てをして、自分たちの生活を豊かにす
る政策に誘導する必要がある。
 だが、若者はそれに気づいていないかのように、政治に無関心だ。どんな選
挙でも若者の投票率は低い。裏金にうつつを抜かす政治家が支配する日本で、
「投票する政治家がいない」などと呑気なことを言っている若者を見ると、後
期高齢者(82歳)の私でさえ歯がゆくなる。
 
 かつて、森喜朗元首相は衆院選の投票日直前に「無党派層は寝ていてくれれ
ばいい」などと発言して批判を浴びたことがあるが、これが本音なのだ。
 投票率が下がれば固定票を持つ自民党が有利になると思っているからだ。だ
から、若者はその逆を行けばいい。若者が選挙で投票するようになれば、10年
で政治は変わる。
 
 10年の間には、参議院の選挙が3回、衆議院選挙も最低2回、合計5回はある。
投票して、政権与党の支持率を引き下げるだけで、自民党は変わらざるを得な
くなる、と私は信じている。
 今は利害が複雑に絡み合った社会である。国家予算の分捕り合戦の一面もあ
る。自分たちのための予算を獲得しようと若者が意識すれば、投票は有効な手
段になる。それによって「聞く耳」を持たない政治家に揺さぶりをかけること
ができる。
 
 「若者よ、眠っている場合ではない、今こそ目を覚ませ!」と檄を飛ばした
くなる。少し熱くなってしまったようなのでここらでやめておくことにする。
 
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ひまわりが咲く季節となりました!

2024-08-01 06:03:05 | エッセイ

             

                       
                       
    □□□□□‐‐‐ikiikiclub mail magazine‐‐‐□□□□□
 
               2024.8.1.第288号
                  「生き生きくらぶ」事務局
 
                ひまわりが咲く季節となりました!
  じりじりと地を灼く、炎暑の季節となりました。暑さにめげず、真っすぐに
立ち、大輪の花を咲かせるひまわりは地上に降りた太陽です。私たちに元気、
明るさ、強さを与えてくれます。
 キク科の一年草です。学名・英名とも「太陽の花」という意味を持ち、ゴッ
ホ、ゴーギャン、モネをはじめとした多くの芸術家の心を魅了してきました。
 
 最近の話題として「政治の地殻変動」を取り上げます。 日本で選挙に勝
つためには、ジバン(知名度)、カンバン(後援組織)、カバン(資金)から成る三
つのバンが必要とされてきました。
 ところが7月の都知事選に立候補した石丸伸二氏は三バンなし(無名、無所  
属、資金なし)で、SNSとデジタル情報の活用で165万票を獲得し、大躍進しまし
た。既成政党によるバラマキや大手メディアの偏向報道にうんざりしている若
者や無党派層が石丸氏の訴えに共鳴し、政治の地殻変動を起こしたのです。
 
◇ 石丸旋風と都知事選の結果
 石丸氏は1982年生まれで、2006年京都大学経済学部卒、三菱UFJ銀行に入行
し、2014年アナリストとして米ニューヨークに赴任しました。米国在任中、
SNSとスマホが選挙活動に大きな役割を果たすことを知らされました。2020年
8月より広島県安芸高田市長を務め、2024年東京都知事選に立候補しました。
 
 石丸氏の政治信条をあげると、以下のようになります。
〇 政治の見える化・分かる化を進めます!
  政治の動きや解説記事をスマホで届け、有権者の関心を政治に向けます。
〇 情報技術を活用して民意を集約します!
 スマホで住民のニーズを収集し、分析して行政サービスの向上に努めます。
〇 政策を合理化・適正化します!
 利権政治・バラマキ政治から脱却し、経済合理性に基づいた政策で全体最適
 化を図ります。
 
 都知事選では告示後、知名度を上げるため、1日10カ所以上で街頭演説をし
ました。「政治を政治屋任せにする時代は終わりました。アカウント登録をす
ればスマホで政治を見ることができ、政治を動かせるのです。さあ、みんなで
政治を動かそう」と変化を訴えました。
 街頭演説などの動画を連日、配信するのでアカウント数は急拡大しました。
最終的なアカウント数は、石丸氏:約29万、蓮舫氏:約1万、小池氏:約3千でし
た。石丸氏への献金総額は2億769万円、献金件数は1万2千件だそうです。
 
・都知事選の開票結果は以下の通りです。
1位 小池氏 292万票  支援は自民、公明、国民、都民ファースト
2位 石丸氏 166万票  支援なし 
3位 蓮舫氏 128万票  支援は立民、共産
 
・今回の投票率は61%です。2020年の投票率は55% でした。向上したのは石丸
 旋風の影響で政治への関心が高まったからだと考えられます。
・投票総数全体の6割弱が無党派です。無党派の投票先は
        小池氏が34%、石丸氏が29%、蓮舫氏が22%でした。
・年代別で見ると10~20代の投票先で最も多かったのは石丸氏です。30~50代
 では石丸氏は小池氏に肉薄。小池氏は70代以上の半数から支持を集めた。
 
◇ 政治屋勢力と改革派勢力
  格言に「政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の時代のことを考える」があ
ります。米国の牧師ジームス・クラーク(1810~1888)の言葉です。この格言に
基づくと、日本の政界は政治屋勢力と改革派勢力に分かれます。
 政治屋勢力の筆頭は自民党安倍政権と民主党政権です。共通しているのは選
挙第一、古い政治スタイル、デジタル化遅れ、成長戦略不在、赤字国債を財源
とするバラマキなどです。
 
 安倍政権は候補者を世襲議員中心に選び、統一教会の選挙支援を受け、パー
ティで裏金をつくり、殆どの選挙で大勝しました。この結果を踏まえ、派閥連
合で党内をがっちり固め、異論や批判に耳を傾けず、古い政治を続けました。
 民主党政権は「政治主導・脱官僚」を唱え、政権に就きましたが、自分たち
に確固たる政策立案能力も執行能力もなく、党内で足の引っ張り合いをし、空
中分解しました。スキャンダル追及に狂奔する抵抗政党に過ぎません。
 
 改革派勢力は菅政権、岸田政権、石丸路線です。共通項は現状打破、デジタ
ル化推進です。菅政権はデジタル庁設置、行政の迅速化に向け、前例主義廃止
と縦割り行政の打破、ムダの排除に取り組みました。
 岸田政権の功績はは経済を成長路線に乗せたこと、派閥の解消、安倍政権か
ら引き継いだ負の遺産の整理です。石丸路線はSNSやスマホを武器に三バンな
し選挙を進め、世襲政治からの脱却、政治の見える化・分かる化、国会議員の
政治屋から政治家への変身を目指しています。
 
◇ 改革勢力の結集に期待
 古い政治の典型が安倍政治です。新しい政治の典型が石丸方式です。古い政
治から新しい政治に変われば、どのような変化が期待できるか列挙します。
[政治家と有権者の関係]・・・・随時最新情報を共有する
  アカウント登録してお互いのスマホをネット接続する
 安倍政治では後援会での意見交換
[国会議員の構成]・・・アナリストやシスムエンジニアなどが中心となる
 スマホ活用の選挙では改革の実務能力が評価の基準となる
 安倍政治では知名度優先で選ぶので世襲議員、スポーツ選手・芸能人が多い
[政策策定]・・・・内外の膨大なデータと最新の経済理論を基に作成
 石丸方式だと議員の多くが改革のプロであり、内容の濃い企画書が作れる
 安倍政治では政治・経済には門外漢で資料作成も官僚頼みとなる
[政治と金]・・・・・・政治資金パーティは不要
 スマホ活用の選挙では金がかかりません。政治資金パーティは不要です。
 従来、選挙には金がかかる、だから政治資金パーティは不可欠としていた。
[国会改革]・・・言論の府に恥じない国会改革が急務だ
 国会議員が勉強不足で、国会が間違った結論を出しました。政治家はインタ
ーネットで学習し、最適な判断をしてほしいと思います。
 
<事例> 赤字国債を財源とする社会保障予算を与野党全会一致で可決
 安倍政権時代、よく見かけた光景です。赤字国債発行はあらたな借金をする
ことであり、財政法第4条で禁じられています。矢野財務次官が「こんな事を
続けていたら、国家財政が崩壊してしまいます」と警告を発しました。
 当時の安倍総理も、国会も、異端の学者の学説を信じ込み、矢野氏の警告を
全く無視していました。岸田政権・植田日銀総裁時代になり、赤字国債発行は
終息しつつありますが、累積した借金の返済は残されています。
 
         第288号の目次
    ■1 楽しかった我が生涯:3 
    ■2  怖いもの見たさ
    ■3  86歳、日々を大切に生きる
 
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◆ 1            楽しかった我が生涯:3                  
 
          (兵庫県宝塚市  竹島 良樹)
 令和6年3月、検査から7か月が経過しました。2月から始めた本の自費出版につい
て書いてみます。私の小説と息子の絵本を各1冊出版する事を決めた事は報告しまし 
た。下手なりに面白いので小説の2冊目にチャレンジしています。
 今度はファンタジー物ではなく戦後を生き抜いた女性の青春がテーマです。(実
は母がモデル)、そして、無事、3月末には120ページを書き終えて、現在、表紙と
挿絵を作ってもらう為に息子に送りました。
 
 印刷は友人でもある出版社の代表者に依頼しますが、先日、打ち合わせの際には
プロフィールと写真を入れてはどうかと言われ、孫との写真を入れることにしまし
た。
 料金は挿絵などを含め、約150ページの本が2冊、絵本が1冊で、それぞれ50冊印
刷する事にしましたが、話をするうちに表紙も豪華にとか、段々費用が増え、当初
50万円の予想が倍以上になりそうです。
 
 病気の方は徐々にではありますが、進んでおり、フィットネスクラブではプール
歩きは水圧で胸が圧迫され、辛くなりだしましたので、ジムでの運動と1日ずつ交
互に入れる事にしました。
 ジムでの1日は約2時間で、マシン歩きが40分、他の筋肉強化マシンを凡そ10種類
使います。後はサウナ、ジャグジー、風呂場、最後にマッサージでトータル3時間
が日課です。
 
 4月2日、妻と日帰り旅行として琵琶湖見学に旅行社のツアーで出掛けました。春
らしい長閑な天気、場所は近江八幡を基点に、貸し切りクルーズ、ロープウェイな
ど市内散策、河岸の千本桜などでした。千本桜はまだまだでしたが、バスの窓外か
ら見える桜で十分楽しめました。懸念された咳などの発作も出ず、無事帰宅した事
を報告します。
 
 不動産業の方を忙しくしました。手持ちマンションの中で一番小さく、築後35年
を経過した物件を売却しました。決済は5月1日で、その代金にプラスして、残って
いる銀行借入金を完済します。
 資金が1000万円強不足するので他の預金から返済するとその分、私が元気な内に
用意しなければならず、少し心配ですが踏み切りました。序に、次の物件を購入す
する事にしました。
 
 場所は川西市、1ルームマンション10戸建てで価格交渉の結果、1億円になります
が、土地値が120坪ほどあり、時価約9000万円の価値となるので購入します。返済
は15年均等払いで当然、完済時には私は存在しませんが決めました。
  以上のように忙しくすることで日にちも進み、今回、見ていただくころには検査
後、約1年が経過します。最近、確信するようになったのは健康に生きると云う事
は頭も体も精一杯使い時間を忘れるぐらいのスケジュールで過ごす事だと思います。
 高齢者、頑張れ。
 
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◆ 2                 怖いもの見たさ 
 
          ( 千葉県流山市  中楯健二 )
 北朝鮮は「コロナ禍」後の国境開放に伴い、海外観光客の受け入れを再開し
た。その手始めとして2月9日に、ロシアからの団体旅行客97人が北朝鮮を訪れ
た。2020年1月以来、約4年振りになるという。
 その日程は、2月9日から12日の3泊4日で、費用は日本円で約11万円である。
ツアーの目玉は2014年に開業した、金正恩総書記肝いりの高級リゾート「馬息
嶺(マシンニョン)スキー場」だという。
 
 面積は1400キロ平方メートル(東京ドーム約300個分)で、初心者コースを
含めて全10コースがある。附属するホテルも、客室120室で屋内プール・レス
トラン・カラオケ・ダンスルームなども完備されているという。
 とはいっても、北朝鮮への観光は、世界一不自由であると言われる。今回の
観光を主催したロシア・ウラジオストクの旅行会社がツアー客に配布した注意
書きをみても、その不自由さがよく分かる。
 
 注意書きはまず、「北朝鮮に持ってきてはいけないもの」として北朝鮮の観
光ガイドブックを挙げる。また、「外国人観光客は移動の自由がありません。
ガイドなしでホテルを離れることは、決してお勧めしません」とある。
 国家安全保衛部(秘密警察)出身の脱北者の話によると、北朝鮮市民は見慣
れない人物が街を歩いているのを見かけた場合、必ず、近くの分駐所(交番)
に報告する義務を負っているという。
 
 「同じアジア系でも、服装や所持品、歩き方で外部の人間かどうかはすぐわ
かる」と彼は話す。今回の観光の旅程をみると、ほぼすべて政治的なモニュメ
ントで占められている。
 金日成主席の70歳の誕生日を記念してつくられた「主体思想塔」、金日成主
席と金正日総書記の銅像が立つ「万寿台の丘」、「米韓の侵略に勝利した」と
いう北朝鮮独自の解釈で朝鮮戦争を振り返る「祖国解放戦争勝利記念館」など
政治宣伝でお腹がいっぱいになる行程になっている。
 
 指導者の銅像を撮るとき、絶対に守らなくてはならない3つの規則があると
いう。それは「銅像の側面ではなく、正面から撮影する」「銅像を背景に写真
を撮るときは必ず両手を横に置く」「銅像の腕や足を切らずに全身を入れて撮
影をする」となっている。
 地下鉄見学を楽しもうとしても、「有事の防空壕代わり」「各車両に掲げら
れた金日成主席と金正日総書記の肖像画」等政治の匂いからは逃れられない。
 
 3泊4日の行程で、純粋な観光は妙香山のトレッキングくらいのため、その土
地の人々の暮らしぶりを知るという旅行の醍醐味は味わえない。食事について
は「基本的にビビンバ、平壌風冷麺、プルコギ、キムチ、イカ・タコなどの伝
統料理となっている」とあるから、これだけは満足できそうである。
 
 ツアーの参加者の一人イリヤ・ボスクレセンスキー氏が1時間あまりの動画
を制作したという。よくそんなことができたものだと驚く。
 北朝鮮では2015年以降、外国音楽や映画に対する規制が厳格化され、韓国の
コンテンツは所持しただけで懲役刑になる。まして、海外の観光客が旅行先を
撮影することなどはもってのほかのはずだ。
 
 金総書記が1月に突然「韓国を同族民族とみなさず、第一の敵対国である」
と宣言したのは、韓流ドラマのビデオが国内に広く流布していることを知って
激怒したからだと言われている。
 実際、韓国に住む脱北者の8割が北朝鮮で韓国ドラマを観ていたと証言して
いる。ボスクレセンスキー氏のビデオはいろいろな事実を明らかにしている。
移動するバスの中でガイドが注意事項を読み上げる音声が流れる。
 
 「軍の検問所は撮影禁止です。軍人や汚れた作業服を着た人も撮影禁止」、
「ホテルを出て散策したい場合は、ガイドと一緒の場合だけに限られます」、
「肖像画が描かれた新聞や雑誌は傷つけたり、ゴミ箱に捨てるのは絶対だめで
す」と注意を促す。
 北朝鮮では読み終わった労働新聞は、当局が回収する。指導者の顔写真がよ
く掲載される1面を破ったり、汚したりするのはご法度なのだ。
 
 バスは平壌を走るが、ほとんど車の姿が見えない。ガイドは「我が国には自
家用車は存在しない」と説明する。北朝鮮では車の運転手は一種のエリート扱
いを受けている。一般市民の姿もほとんどない。
 たまたま小さな子供を散歩させていた年配の女性を見つけた観光団の一人が
チョコレートをあげようとすると、女性たちは走って逃げたという。ボスクレ
センスキー氏は「街並みは美しいが、あまりに人工的で非現実的に見える。演
出に違いない」と語る。
 
 実際、平壌では大通り沿いで、洗濯物を干すことは禁じられているという。
ボスクレセンスキー氏はスキー場のホテル内の理髪店で散髪した。散髪代は10
ドル(約1500円)である。
 壁には、北朝鮮ではよく見かける12種類の髪形の絵がかかっていた。北朝鮮
では男性は短髪が理想とされ、決められたスタイル以外は認められない。染色
も禁じられている。
 
 彼は理髪師にチップを払おうとしたが、受け取ってもらえなかった。部屋の
ベッドメイキングの際、ベッドに1ドル札を置いたが、そのままだった。北朝
鮮はチップどころか、賄賂が日常茶飯事になっている。
 ただ、外国人の訪問者は注目度が高いから、チップを受け取ることが、「い
らぬ誤解」を招く危険な行為だと北朝鮮の人々は知っているのだ。こんな規則
だらけの旅行は何と言ったらいいのだろうか。
 
 慰安旅行・視察旅行とも言えず、さしずめ怖いもの見たさの「肝試し旅行」
というべきなのかもしれない。ボスクレセンスキー氏は北朝鮮を出国する前夜
北朝鮮の当局者から「規則に従わずに撮影したものはすべて削除するように」
という警告を受けたという。
 すべて監視されていたのだ。記録媒体のディスクを分散するなどして対応し
たが、結局空港では検査されなかったというから、幸運というほかない。「怖いもの見た
さ」も命懸けだ。
 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
◆ 3      86歳、日々を大切に生きる
 
         ( 神奈川県横浜市 山尾 正斌 )
 夏至も半夏生も過ぎた今、朝は4時半にはあたりが明るくなる。我が家の南
側の繁みや庭の桜の葉陰で、鶯が頻りに啼く。心地よい目覚めである。家内も
「まるで高原の別荘に居るみたいね」と嬉しそうに言う。
 ところが、ここの鶯はホーホケキョとは啼かない。何度聞いてもホーホケピ
キョと聞こえる。昔、拙著「心の走馬灯」古希編「うぐいすの方言」でも述べ
たが、まさに横浜弁マル出しである。谷渡りと言われる警戒音の最後のひと啼
きも同様である。
 
 そんな他愛ない話をしているうちに、6時からはNHK-FMで「古楽の楽しみ」
という番組が始まる。ラジオを目覚ましタイマーとしてセットしているので、
自動で鳴り始め、1時間後番組が終ると自動で切れる。
 古典音楽を聞きながら自分でコーヒーをドリップし、モカの芳醇なアローマ
と仄かな酸味渋味を楽しむ。穏やかな一日の始まりである。
 
 梅雨明け以降猛暑の日々が続き、熱中症を警戒してここのところ自粛してい
るが、普段は雨の心配さえ無ければ午前中1~2時間を目安に散歩する。隣接す
る磯子区に森林公園があり、環状二号線の向こうには笹下中央公園もある。小
型カメラを携帯して季節毎の自然の佇まいを記録したりもする。
 公園では自己流のエクササイズもやる。うっすらと汗ばむ程度にストレッチ
風柔軟体操や足腰の筋力維持のメニューを20分ほど続ける。こうした体力や機
能の維持に対策を講じていても近年の足腰の衰えは予想以上で、家を出て暫く、
歩き始めは殊に足取りが何となく頼りない。おそらく歩く軌跡が蛇行しているに
違いない。
 
 他にも定期的に必ず「やる」と自分で決めているルーティンワークが幾つか
ある。
 
 そのひとつが連合町内会の役員としての役割である。連合町内会は現在笹下
地区の12の自治会・町内会が加盟する連合体で、平成17年から19年まで団地の
自治会長を務めた時以来関わってきた。
 自治会長退任後は連合の会計を長年勤め、5年前に高齢を理由に会計を辞退
してからも監事を拝命している。月一度の定例理事会と月例会計監査のほか、
恒例の年中行事、桜まつり・大岡川清掃事業・子供防災体験会・ささげ祭り・
敬老研修旅行・役員研修などの企画に関わり参加もする。
 地方行政との関わりである年2回の「地域意見交換会」にも参加する。人と
の関わり合いや論議は楽しいものである。
 
 団地の子供たちが小学校から下校してくる際、彼らを見守る「下校時の児童
の安全を守るパトロール」にも仲間と月に1~2度参加する。この「子供パトロ
ール」を団地で最初に始めたのが私だ。
 自治会長の1年目、下校途中の女子6年生児童が団地入り口の大階段で男子中
学生につきまとわれる事件があり、先生やPTAが大騒ぎしたことに始まる。自
治会副会長2人と私の3人で都合が付くかぎり階段に立哨したのが嚆矢。
 その後、小学校からの要請で取り組みを拡大し、自治会・シルバークラブ・
ボランティアグループなどに協力を求めてシフトを組み、毎日取り組むことに
して現在に至っている。
 
 スポーツと言えるもので今も続けているのは、ゴルフである。45歳の時、レ
ッスンプロの手ほどきを受けて始めた。酷暑厳冬期をのぞき、昔の会社仲間と
月2回のペースでプレイする。
 一昨年秋、車を手放して以来ゴルフ場への往復には公共交通機関の利用しか
方法が無く、キャディバッグの移動も集荷つき宅配便利用、不便この上ない。
車が無いから日ごろの練習もできない。
 毎回ぶっつけ本番なのに、幸運が重なると、この歳でも仲間のコンペで優勝
させて貰える。味をしめてもう少し頑張って見る気になってはいるが、体力的
に限界に近づいているのを自覚している。
 
 惚け防止のつもりで課しているルーティンワークもある。
 
 散歩や旅行などの際に撮影した自然の姿、主として花の写真を題材にして季
節感を盛り込んだ月毎の卓上カレンダーを作成し、我が家の棚に飾るほか、親
しい友人等にメールや郵便で届けて居る。
 撮り貯めた花の写真の中でその月に相応しいものを取り上げる。「綺麗だ」
と感じた印象を、親しい人と共有したいと思って始めた。第1回目が平成20年
春だったから15年を超えた。喜んで下さる人もあるので、今暫く続けてみよう
と思う。
 
 もうひとつは、随想の執筆である。平成15年頃この生き生きクラブに投稿
したのを契機に以来ほぼ毎月、原稿用紙6~7枚分のエッセイを執筆してきた。
量が纏ったので「心の走馬灯」と題して上梓したものが古希編・喜寿編・傘寿
編・錦寿編の4冊になった。
 会社時代のOB有志で発行している「有言随想」なるエッセイ集にも、誘われ
て投稿するようになり、こちらは年4回の発刊である。生き生きクラブとは別
テーマで、毎回原稿用紙10枚ほどのエッセイを投稿する。
 発刊の都度、編集会議と合評会を開催し、執筆者のうち都合がつく人たちが
大崎にある社友談話室に集まって、投稿内容についての批評や懇談をする。そ
れがハネたあとは居酒屋で話しの続きを肴にして一献傾ける。
 
 80歳の年から、友人に触発されて書道教室に通い始め、月一回3時間ほどの
指導を受けながら毛筆の書にも取り組んでいる。あらかじめ毎月の課題が提示
され、教室の度に、事前に書いたものや当日教室で書いた作品について添削を
受ける。
 通常は楷書・行書・草書・細字など4部門の課題を半紙に書く。ごく稀に条
幅(半切)といって全紙の半分の大サイズの紙に書くこともあるが、我が家は
マンション住まいで床の間や欄間が無い。掛け軸や扁額に装丁しても飾る場所
が無いので、半紙の作品に注力することにしている。
 
 61歳で退職して以来、男性料理教室やその続きの同好会で懐石風家庭料理に
も挑戦してきた。詳細は別項に詳述したのでここでは省略するが、コロナで解
散するまで20年あまり月一度のペースで継続した。
 この経験を活かして今では、週数回は家内が夕食の準備を始める前に1時間
ほど台所に立ち、その日の晩酌のアテを拵えるほか、キンピラ・切り干し・
大根の煮付け・筑前煮など惣菜も作る。自分好みの手作り料理で飲む晩酌は格
段に旨い。
 
 また毎月2回、原則1日と15日には、私が夕食にビーフカレーを作ることを恒
例にしていて、カレーに添える野菜サラダなどの副菜も一緒に供する。カレー
は肉と野菜を圧力鍋でスープ煮にし、数種類のルーやスパイスで調味するから、
家内は「ホテルのカレー並み」だと言ってくれる。その日の夕食は、家内はお
客さんに徹する。
 
 誘ってくれる人がいて一昨年末から、月一度開催される団地シルバークラブ
のカラオケ 同好会にも加わった。家内も今年から加入して、会場は自治会館
と上大岡駅近くのカラオケボックスで交互に開催、総勢12~3人の仲間がそれ
ぞれ好みの曲を歌う。
 仲間は高齢の男女半々、年令的に演歌が圧倒的に多いが今流の新しい曲を歌
う人も居て多彩である。初めのうちは小っ恥ずかしい気持が強かったが、馴れ
てくると声を出すことが快感になって、これからも続ける気になっている。
 
 歳とともに遠出をしたり、体を動かしたりする機会は確実に減ってくる。そ
れを嘆いてみたところで何の解決にもならないから、今できることに専念しよ
うと決めている。今は夫婦ふたりとも健康上の懸念は少ないが、いつまでも
この幸せが続く筈はない。
 巡って来る一日一日を、なるべく他人様に厄介をかけないよう気を配りなが
ら、自分の心地良いやり方で、思う存分好きなように過ごす・・・あと何年こ
んな自立(自律)した生活が送られるか予測はできないが、行ける所まで行こ
うと思う。
 今日一日を、在るとすれば明日という一日を、思い残すことがないよう大切
に過ごしたいものである。
 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 


蓮の花が咲く季節となりました!

2024-07-01 09:33:23 | エッセイ

         

                       
                       
    □□□□□‐‐‐ikiikiclub mail magazine‐‐‐□□□□□
               2024.7.1.第287号
                  「生き生きくらぶ」事務局
 
                 蓮の花が咲く季節となりました!
  蓮の花色は紅、白、黄色などです。お釈迦様が誕生したインドでは「聖者の
花」と言われています。昔から仏教と深く結びつき、大切にされてきました。
泥水の中から美しい花を咲かせる蓮は「清らかさ」の象徴です。
  蓮は夏から秋にかけて公園の池やお寺などで見かける美しい花です。日本人
は古くから蓮の花を観賞し、その美しさに惹かれてきました。蓮は世界的にも
古い植物であり、一億年以上前の蓮の葉の化石が発見されています。
 
 最近の話題として「日本再生の道2」を取り上げます。前回、岸田政権・
植田総裁が長期経済停滞から脱するため、経済路線を我が国独自方式から脱し、
先進国方式に変えたことをお伝えしました。続きを述べます。
 
■  賃金と物価の好循環
 2023年度に企業の協力もあって賃上げが実現しました。賃上げ率は5.3%、物
価上昇率は3.1%でした。過去10年間、達成できなかった「2%物価目標」が達
成できたのです。更に2024年の春闘では賃上げ率は5.6%と上昇しました。
 日銀は、2%の物価安定目標が賃金の上昇を伴う形で達成される見通しが立
ったとして大規模金融緩和の解除を決めました。金利を引き上げることを決め
ました。金利の復活です。これは2007年2月以来およそ17年ぶりのことです。
 
◇ GDP成長達成
 日本のGDPは1995年;522兆円、 2022年;546兆円、 2023年;559兆円です。
1995年から2022年までのGDP成長率は 0.2%/年でした。2023年のGDP成長率は 
2.4%に向上しました。因みに米国の2023年のGDP成長率は2.5%でした。
◇ 財政の健全化
  政府は経済財政運営と改革の基本方針として「国と地方の基礎的財政収支に
ついて2025年度の黒字化を目指す」との目標を明記しました。この結果、1993
年以来ずっと続けてきた赤字国債の発行を中止します。さらに保有残高が581
兆円にものぼる国債の大規模減額の具体策を7月末に発表します。
◇ 金利復活
 金利上昇が鮮明となりました。生活者に身近な普通預金金利は0.001%から
6月、0.02%になりました。デフレ時代、家計は富を失いました。1990年代初
頭に年39兆円あった利子収入は2022年には約9兆円とおよそ8割減りました。
 
◇ 物価の引き下げ
 日銀は今後2年間に賃銀と物価の好循環により、政策金利を1~2%のペース
で引き上げる予定です。政策金利を上げると米国との金利差が縮小し、為替
レートは1ドル=145円近くになり、物価が下がります。更に円高が進めば、
為替レートの適正水準1ドル=100円~110円に近づきます。 
 
■ 日本経済の構造改革
  30年間、続いてきた経済停滞は2023年にやっと離陸に向かいました。まだ、
動きはひ弱です。これを盤石なものとするには日本経済の構造改革が不可欠で
す。対策は日本の先を行く欧米先進国に学べばよいのです。
 
◇ 生産性の向上その1:省力化
 企業のため込んだ内部留保はGDPを上回る555兆円に達しています。内部留保
をデジタル化やAI活用、省力化に向け、積極投資すべきです。殊に人手不足が
深刻な医療福祉、物流、IT、農業、建設、観光は重点投資分野です。
◇ 生産性の向上その2:企業の新陳代謝
 政府は雇用重視で生産性の低い企業にゼロゼロ融資(無利子、無担保)を続け
てきました。金利が復活した現在、融資を生産性の高い企業だけに絞り、企業
の新陳代謝を進めるべきです。そうすれば、国全体の生産性が向上します。
 
◇ 生産性の向上その3:人材育成は専門職型に
 日本の雇用は「先に人を採用し、人に仕事を割り振る」形式の職能型です。
その他の特徴は、社内の評価で価値を決める職能給、終身雇用、年功序列、新
卒一括採用、異動は会社の自由、総合職型の人材の育成です。
 欧米の雇用は「先に仕事があり、必要な人を採用する」職務型です。その他
の特徴は、転職市場など社外の評価で価値を決める職務給、随時離職、実力主
義、通年採用、勝手な異動なし、専門職型人材の育成です。
 ⇒ 労働生産性は欧米型の方が断然高く、日本型は時代遅れです。
 
◇ 生産性の向上その4:男女賃金格差の是正
 賃金の男女平等ランキングから見た主要国の順位は以下の通りです。
 米国:22位、中国:39位、英国:58位、独国:82位、韓国:112位、日本:120位
日本は男性の賃金を100とすると、女性の賃金は79です。野村総研の見解で
は「同一労働同一賃金が浸透する国では格差が広がりにくい」そうです。
 
◇ 外国人の受け入れ拡大
 高齢化・人口減が進んでいます。地方では若者は都会に出ていき、高齢者だ
けが残り、900万戸の空き家と北海道規模の空き地があります。今後20年間で
全国1741の自治体のうち、744の自治体が消滅する見込みです。
 政府はこれまで少子化対策に37兆円を投じてきましたが、出生率は上がらず
人口は減る一方です。活力ある経済を維持するためには、欧米のように移民や
難民・亡命者の受け入れ拡大を進め、人口構造の安定化に努めるべきです。
 外国人受け入れに伴う言葉の壁はなくなりそうです。AIの進歩により、日常
会話であれば、スマホが41言語の同時通訳をしてくれるそうです。
 
 参考事例:人口減を放置しない欧米、放置する日本
・合計特殊出生率   日本:1.20   米国:1.65   ドイツ:1.45 
・2023年移民         日本:15万人  米国:19万人  ドイツ:15万人
・〃難民・亡命者流入 日本:303人   米国:220万人  ドイツ:35万人
・2024年人口増    日本:▲55万人 米国:176万人  ドイツ:3万人  
 
◇ イノベーシヨン推進
 科学技術・イノベーションが国家間の覇権争いをなす中、日本の研究力は国
際的に地位の低下が続いています。政府は10兆円規模の大学ファンドを創設し
その運用益で支援する「国際卓越研究大」1号に東北大を選定しました。
 2024年度にまず100億円程度が助成され、強みである半導体やバイオの研究
力を飛躍させる計画が動き出します。25年後の目標値は留学生数を10倍増、
論文数を3倍増、民間からの資金受けれを11倍増としています。
 
◇ 国内投資拡大
 地政学リスクや円安を背景に生産拠点を国内に移す動きがでています。具体
的には、先端半導体や蓄電池の国内生産強化、電気自動車(EV)、浮体式洋上風
力発電、洋上太陽光発電、生成AIの機能を持つデータセンターへの投資です。
  内外企業10社が日本のデータセンタービジネスに押し寄せています。これは
生成AI(人工知能)の普及を見越し、1000万台のサーバーが同時稼働する巨大産
業の陣取り合戦です。
 日銀の3月調査によると、大企業製造業の設備投資額は前年度比18.5%増と、
バブル期だった1989年以来の高い伸び率を見込んでいます。
 
◇ 貯蓄から投資へ
 政府は物価上昇を上回る所得を実現するため、賃上げだけでなく、金融所得
向上も目指しております。日本では家計の過半が預貯金となっていますが、金
利がゼロに近いので金利所得は殆ど得られていません。
 今年1月に始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)は株式や投資信託で資
産運用し、生み出された配当金や売却益が非課税とする優遇制度です。100円
から資産運用ができ、高利息の米国株式は5600銘柄に及んでいます。
 
 金融庁資料によると、家計の金融資産は2020年までの20年間で、米国が3.3
倍に、英国が2.3倍に拡大したのに対し、日本は1.4倍にとどまっています。
政府は今後5年間で、NISA口座数を1700万から3400万に、年間投資額を28兆円
から56兆円に増やすことを目標にしています。
 
       第287号の目次
    ■1  世相雑感
    ■2 ダブルスタンダード
 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
◆  1           世相雑感 
 
         ( 神奈川県横浜市 山尾 正斌 )
 私事で恐縮ながら、年毎に自分の五感が鈍ってくるのを痛感する。視力が落
ち、外出には眼鏡が無いと覚束ないし、新聞を読むには老眼鏡が要る。補聴器
を必要とするほどではないが、家内からは「何度も呼んだのに返事が無い」と
愚痴られる。
 他人は面と向かって何も言わないが、きっと頭の回転も遅くなったろうし、
認知度も怪しくなったに違いない。そんな「私」というフィルターを通してで
あるが、最近の世相について私見を綴ってみた。
 以下は主としてテレビと新聞を見聞して心を過(よぎ)った所感である。
 
◇ 人口減少  
 最近宅配便の料金がひどく値上がりした。長引く戦乱で資源が不足し、円安
も加わって国内物価全般の値上がりが著しいが、宅配便の値上がりは尋常でな
い。
 高齢で車を手放し、ゴルフのたびにクラブを集荷つきの宅配に頼らざるを得
なくなって痛感している。往復の移送と集荷でこれまで3千円台だったものが
今は5千円を超える。
 
 聞くところによれば、流通運輸業界の働き方改革に伴う2024年問題と言われ
る社会現象らしい。都市部に住む私の近隣では路線バスダイヤにまだ影響はな
いが、報道では郊外や人口過疎地域で路線廃止や本数の間引きで生活に影響が
広がっているとか。運転手が不足しているのだ。
 小売業や外食産業でも人手不足で営業時間を短縮せざるを得ない店が出てい
ると聞く。こうした現象は今後ますます顕著になると予測されている。
 
 厚生労働省の統計に「人口ピラミッド」と言うのがある。横軸左右に男性と
女性の人数を、縦軸に年齢別の人口をとって棒グラフにしたものである。私が
社会人になった時代の人口ピラミッドはまさにピラミッドの形状に見えた。
 最新ではまるでピーマンを俎板の上に立てたような姿、いわゆる「壺型」で
ある。ドイツや欧州各国でも似た形で中国や韓国では日本より若年層の割合が
さらに少ない。
 
 日本はじめ各国は、今後人材不足による製造・サービス・運輸などの分野の
経営が一層深刻になるだろう。そんな中で米国やスウェーデンの人口ピラミッ
ドが「釣り鐘型」で、我が国などより若年層の割合が高いのは、国力の先行き
を示唆しているように見える。
 
◇ 政治と金  
 政治家が金銭に汚いことはかねて言われてきたことだが、近年パーティ券収
入キックバックの申告漏れが世に露見して一層その感が深まった。ステイツマ
ンと英訳できる政治家が絶滅危惧種になり、国民のための「先生」ではなく銭
に生きる「銭生」が増えた。
 この惨状は与野党を問わない。政治に金がかかるのは当然だ。だから「かか
った」と言えば良いのに、何故か「誰から幾ら貰って何に幾ら使った」と公開
するのをためらう。
 
 どうせ「貰った金」だろう。市民には課税対象所得を厳しく詮索するのに、
政治屋は収支をひた隠しにする。我が国を取り巻く安全保障上の懸念は山積し
ているというのに、国会では銭金のことで論議が終始している。日本のステイ
ツマンは絶滅したのだろうか。
 このほど、国内自動車5社で、量産に不可欠な国の型式指定認証申請をする
にあたり、不正が露見して一時生産ラインを停止する事態に至った。政治家が
政治家なら実業家も実業家、「インチキが当たり前」になってしまった日本は
一体何処まで劣化を続けるのだろうか。
 
◇ 紛争  
 「よもの海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ」明治天皇の
御製である。日本国憲法の前文でも「日本国民は恒久の平和を念願し(中略)
平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して」平和維持に専念すると謳ってい
る。戦争放棄を規定した第九条の大前提となる重要な文言である。
 しかし、世の中には他国を武力侵略し、あるいは力による現状変更を求めて
やまない輩が絶えない。プーチンもハマスも同類である。万を超える無垢の人
々が生命財産文化を奪われ、恒久はおろか今の平和を脅かされている。
 
 これが、憲法に謳う「我々が信頼に値する平和を愛する諸国民」の所業なの
か。力で紛争を構える風潮が横行する以上、まともに機能しない国連のもとで
は、ロジックであれ、経済力であれ、武力であれ、自らを護る手段を備えなけ
れば、個人も国家も存在の維持が難しい。
 かつて、ルソン島からスービック米国海軍基地を追い出したフィリッピンが
今日、南シナ海で習近平の脅威に曝されている現状をみれば一目瞭然である。
 
◇ 非礼な外交官  
 駐日中国大使呉江浩は今年五月、台湾の新総統頼清徳の就任式に日本の国会
議員が参加したことに対して記者会見の席上「日本の民衆が火の中に連れ込ま
れることになる」と発言した。
 昨年4月の就任会見でも日本の台湾への対応を指して同様の発言をしている
から、ホンネと見て良い。わが国民の政治活動の自由を規制しようとする不穏
当極まりない好戦的恐喝発言である。
 
 そもそも他国に駐在する全権大使は、派遣先の国の立場を尊重したうえで自
国の代表窓口の役割を果たすべきはずなのに、まるで信託統治国の総統にでも
なったかのような高飛車な物言いである。
 日本国政府は、「抗議」など手ぬるい対応ではなく「アグレマン(外交官待
遇の承認)を取り消すぞ」くらいの脅迫で対抗して然るべきではないか。
 
◇ モノからDXへ  
 最近の電機各社はかつての「モノ作り・モノ売り」を手放してデジタルトラ
ンスフォーメーション(DX)などITサービス事業に業態をシフトする傾向にあ
る。世のなか全般が人手不足や働き方改革などでビジネス環境や需要が変化し
ているからだろう。
 しかし、現役時代の大半を、汗と油にまみれながらモノ作りに励んだ私は
「ホントにそれで良いのか」という大きな違和感を覚える。DXによる業務の効
率化、省力化が需要の主流になっていることを否定するつもりはない。
 
 しかし、日本の品質管理と製品が世界に築いた「made in Japan」の信頼は
一朝一夕で成ったものではない筈だ。文明開化以来営々と積み重ねてきたモ
ノ作りの実績が「安かろう悪かろう」の壁を打ち破り、世界の信頼を勝ち得て
きた過程を忘れてはならない。
 こうしたモノ作りの底力は、一度失われると再構築は絶望的である。経営者
諸氏は、DX分野へ注力すると同時に、伝統にまで育てた「モノ作り」の真価を
もう一度認識し直してほしいものである。
 
 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
◆ 2                 ダブルスタンダード
 
                      ( 千葉県流山市 中楯健二 )
 ロシアがウクライナに侵攻してから2年4か月が経つが、いまだ戦いの終結の
目途は立っていない。一方、パレスチナではイスラエルによるガザへの攻撃が
激しさを増している。
 この二つの戦争に米国は軍事支援の形で関与している。米国は、ロシアのウ
クライナ侵攻を「人道に対する罪」だと糾弾し、ウクライナへの支援に力を入
れてきた。しかし、効果は限定的で、戦いは膠着したままである。
 他方、パレスチナにおける米国のイスラエル寄りの姿勢はとどまるところを
知らない。
 
 最近の出来事を見てもそれはわかる。ガザでの戦闘を巡り、国際刑事裁判所
(ICC)が5月20日、ハマスの幹部とイスラエルのネタニヤフ首相に人道に対す
る犯罪の容疑で逮捕状を請求した。
 それに対して、バイデン米大統領は直ちに「言語道断だ」と非難し、イスラ
エルとハマスは同列だということは全くない。イスラエルの安全に対する脅威
には、常にイスラエルとともに立ち向かう」と述べた。
 
 アメリカはなぜ、そこまで一方的にイスラエルの肩を持つのか不思議に思え
るが、それにはそれなりの理由がある。20世紀に入って、ヨーロッパで迫害さ
れていた多くのユダヤ人がアメリカに移り住んだ。
 アメリカの全人口約3億人に占めるユダヤ系は約500万人に過ぎないが、ユダ
ヤ人は教育熱心なところから、政財界や学会など様々な分野で影響力を持つ有
力者を多く輩出してきた。
 
 さらにアメリカには、政界にイスラエルの利益を反映させるように働きかけ
る大きなユダヤ系のロビー団体がある。それを敵に回すと「大統領選挙には勝
てない」と言われるほどの影響力をもっている。 
 そのため、大統領選挙では民主党も共和党も選挙資金の支援を得るため、ユ
ダヤ系ロビーには気を使わざるを得なくなっている。また、それとは別に影響
力を持っているのが、キリスト教の福音派と言われる人たちだ。
 
 福音派は「ユダヤ人国家イスラエルは神の意志で建国された」としてイスラ
エルへの支援を信仰の柱に据えている。アメリカ全人口の4分の1近くを占める
福音派は、共和党の支持基盤となっている。
 彼らはユダヤ系ロビーとは違う論理で、イスラエルを擁護すべきだと声を上
げている。こうした背景もあって、アメリカは中東戦争以来、イスラエルに巨
額の軍事援助を続けている。
 
 イスラエルの立場や治安を守り、国家として存続できるようにする、という
のが民主党政権・共和党政権を問わず、共通した考え方である。そのため、米
国政府はイスラエルが主張する「自己防衛論」を擁護し、全面的にガザへの攻
撃に与(くみ)している。
 こうした背景を知れば、なぜイスラエルが米国に強い態度に出られるかがわ
かる。逆の見方をすれば、それがイスラエルに対する米国の態度が及び腰に見
える理由になっている。
 
 また、ロシアのウクライナ攻撃を「人道に対する罪」だと非難する一方で、
イスラエルのガザへの無差別攻撃には言葉を濁すという、米国のダブルスタン
ダードの原因にもなっている。
 矛盾をはらみ、ご都合主義のダブルスタンダードは自国の威信に傷をつけ、
己の顔に泥を塗る行為であるが、それに気づきながらも、やらざるを得ないと
ころに米国の弱味がある。
 
 米国はこれまでたびたび、国連の「ガザ停戦決議案」に拒否権を行使して廃
案にしている。イスラエルの意向に引きずられた結果である。なんとも歯がゆ
い。
 今こそ積極的にイスラエルの行動に歯止めをかける行動に出ることこそが米
国の採るべき選択であり、ひいてはイスラエルの国際社会における汚名をそそ
ぐ助けになると、私は確信する次第である。
 
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ネモフィラが咲く5月となりました!

2024-05-01 10:06:25 | エッセイ

    

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               2024.5.1.第285号
                  「生き生きくらぶ」事務局

      ネモフィラが咲く5月となりました!
 さやさやと薫風が頬をなでる5月はなんとなく心が弾む季節です。昨年5月
茨城県の「国営ひたち海浜公園」を訪れました。みはらしの丘一面がネモフィ
ラの花で青く染まり、空と海の青と溶け合う光景はまさに絶景でした。
 北アメリカ原産の一年草で、和名を瑠璃唐草(るりからくさ)といいます。
日の当たる方向や角度で表情を変えるネモフィラの青色がはっきりと見られる
のは、日光が真上から降り注ぐ昼下がりの13時から15時だそうです。

 最近の話題として「日米同盟深化」を取り上げます。岸田首相は11日、米
議会の上下両院合同会議で演説し、「米国が築いてきた世界の自由と民主主義
を守る国際秩序は中国やロシアによる覇権主義により、最大の戦略的な挑戦を
受けているとし、日米が協力して立ち向かおう」と呼びかけました。その骨子
は以下の通りです。

◆ 日米同盟を深め、世界の安定に貢献
<総論> 
・米国が国際秩序を維持するコストを一人負担し続けることがいかに重荷であ
 るか、私は理解している
・日本は自由の存続に向けて共に大きな責任を担い、米国と共にある
・未來に向けて、日本は米国の「グローバルパートナー」であり続ける

<日米を軸に対中統合抑止> 
・中国の軍事動向は最大の戦略的挑戦 ウクライナは明日の東アジアかも
・日本は安全保障戦略を「控えめな防衛」から「自立的な防衛」に大転換する
 防衛費をGDP比2%相当と倍増し、自衛隊は相手国への反撃能力を保有する
・台湾、朝鮮半島の有事に備え、日米が東アジアで即応態勢をつくる
 米軍と自衛隊の指揮統制の連携拡大、防衛装備品の共同生産や維持整備推進
 米軍の大型船や戦闘機を日本で補修、自衛隊巡航ミサイル運用を米軍が支援
・日米が中核となってアジアの同盟システムをネットワーク化
 Quad(日米印豪)、AUKUS(米英豪)、日米韓、日米比

<地域情勢> 
・世界のいかなる場所でも一方的な現状変更に強く反対
  ウクライナ支援  台湾海峡の平和と安定

<経済・科学技術協力> 
 脱中国依存に向け、日米が相互補完する
・脱炭素分野
 浮体式洋上風力発電の開発や水素の供給網づくり
 電池供給網 例、トヨタが米国に車載用蓄電池工場建設中(2兆円)
 重要鉱物の確保 例、コバルトは豪に、ニッケルは比に投資
・半導体の生産能力拡大
 米国や日本に生産拠点を設け、日・米・韓・台からの投資を呼び込む
   半導体の供給網強化に向けた共通基準の作成に協力
・AI
 生成 AIはデータを学習し、文章、音楽、画像等を自動生成し、多言語間の
 翻訳を高速処理する これを可能とするのがAI半導体である 
 例、内外のIT各社は日本国内のデータセンターを拡充し、高性能のAI半導体
 を装備したサーバーを導入する(5兆円)
・量子
 現在のコンピュータの1億倍の性能を有する「量子コンピュータ」に関する研
 究協力を強化する
・核融合
 実証や商業化の取り組み推進  発電技術を巡る戦略パートナー創設
・宇宙
 有人月面探査で協力  日本人2人が月面着陸に参加の予定
 極超音速兵器を探知・追跡する衛星網整備
・バイオ
 新興バイオ技術の開発促進と重要技術の保護
・データ分野
 信頼性のある自由なデータ流通策を具体化

◆ 大成功だった首相の米議会演説
 11日午前、岸田首相は米上下両院合同会議で35分間、笑みをたたえながら英
語でスピーチしました。堂々たるもので感心しました。超党派の議員が総立ち
で賛意を送る「スタンディングオベーション」がおよそ15回起きました。議場
全体で拍手が起きたのは45回を数えました。
 演説終了後も米議員が列をなして首相からサインをもらい、記念撮影をする
光景が続きました。首相は低支持が続く日本国内の雰囲気とは異なる米議会の
反応に笑顔をみせました。

 更に大きな成果は岸田演説を契機に米国がウクライナ支援再開に動いたこと
です。ウクライナ支援に反対していたトランプ前大統領や共和党主脳部も岸田
演説に共鳴する議会の雰囲気を感じ取り、4月半ばに翻意しました。
 その結果を踏まえ、4月20日、米下院本会議は9.4兆円に上るウクライナ緊急
支援を採決し、賛成311票、反対112票の賛成多数で可決しました。これにより
自由と民主主義を守る道が開け、歴史が正しい方向に進むことになりました。

       第285号の目次
    ■1  近況報告
    ■2 海外出張の思い出 イタリア4
    ■3 パソコンを巡る体験談 

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◆ 1            近況報告              

          (千葉県県船橋市  藤井 仁毅)
 日経新聞を購読し始めてから50~60年にはなる。その間に朝日、毎日、産経
などを同時購読したこともあったが日経一紙になってからも30年にはなる。
「経済オンチ」の私が何故にそこまで拘るのか自分でも不思議である。
 現在、月額5,500円の新聞代の割に読む部分は40分の1にもならないのに。こ
こが経済オンチの所以である。ただ単に物臭で成り行きまかせということもあ
る。論調が中庸なことと、文化欄が魅力的で経済紙でありながら芸術分野の取
り扱いが充実していて捨て難い。

 それにしても、近年の私の視力と聴力の衰えが著しく認知症に拍車を掛ける
かのようだ。読み続けていたコラムやエッセイを読み残したり、読んでいても
以前と違って覚えは悪く、切り取っておいた記事なども全く読み返すこともな
いので読まないに等しい状況になっている。
 更に悲しいことには、最近のコラムや記事にはカタカナ語や横書きの外国語
なども多くて正しく読み解けないこともある。インターネットやパソコンので
きない私などはもう原稿などは書くべきではないと思えてきた。

 好奇心に富み、様々なことに興味のあった頃に比べれば、今は淡白になった
とでも言うのだろうか気持ちが動かない。その半面、死亡欄の死因や年齢が気
になってきた。
 80歳までは死ぬことに実感は無かった。末期高齢者ともいえる85歳を境に、
私の場合認知力の低下に伴って何となく体調にも変調を来たしてきた。

 若い頃から腰痛はあったが姿勢の悪い歯科医の職業病くらいに思っていた。
ここに来て脊柱管狭窄症と診断され、いずれ手術だろうと覚悟していた。その
後、仙骨の骨折に第五腰椎の圧迫骨折と老人性の疾患が続いた。

 寿命を考えれば、無理もないが幽界入りも絵空事ではなくなってきた。ここ
数年のうちに亡くなったレジェンドの方々をうろ覚えだけど挙げてみよう。
 エリザべス女王、森英恵、江沢民、トニー・ベネット(歌手、霧のサンフラ
ンシスコ)以上いずれも96歳で、健康で天寿を全うされた。このほか、
坂本龍一(72歳)、アントニオ猪木(79歳)、ムツゴロウ(87歳)、森誠一(90歳)、
野見山暁治(102歳・画家)がいる。

 さらに、親しかった同業の同級生が4名、先輩が3名、昨年逝ってしまった。
90歳まではゴルフでもしていたいと思っていたが、そんな悠長なことは言って
おれない。
 あと4~5年の生涯を考えてみると一体何ができるだろうか。何をすべきだ
ろうか。本腰を入れて考えなくてはならない。新聞くらいはちゃんと読んで!

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◆  2       海外出張の思い出 イタリア4 

         ( 神奈川県横浜市 山尾 正斌 )
 食事に関する思い出も多い。イタリアと言えばまずパスタに触れねばならな
い。その当時、私はスパゲッティ、マカロニ、ペンネくらいしか知らなかった
が、本場だけあって現地の人でも咄嗟には言えぬほど種類も多い。
 それらが日本のJAS規格のような法規で原料・製法・形状などが細かく決め
られていると聞いた。調理方法もそれぞれ多彩だ。

 意外だったのは、日本ではどの店にも必ずあるスパゲッティ・ナポリタンも
ミートソースも、ミラノではメニューに載ってもいないことである。総じてト
マトとオリーブ油をベースにしたものが多い。
 海鮮を和えたものも結構好まれるようだ。欧米では烏賊や蛸は敬遠されると
聞いていたが、烏賊墨を使って真っ黒に見えるものもあって洵に多彩である。

 そんな中で、私が一番気に入ったのはスパゲッティ・アッレ・ボンゴーレと
スパゲッティ・アッラ・カルボナーラだった。前者はアサリを和えたもの、後
者は卵・チーズ・パンチェッタ(イタリアの生ベーコン)などを和えたもので
ある。
 メニューの表示は同じでも、店によって和え方も味も違うのがまた楽しく、
何軒もの店を食べ歩いた。

 そのパスタ、この国ではコース料理のスープに相当することを、ミラノに来
て初めて知った。日本流に、スパゲッティだけを注文したり、特にコンソメス
ープとスパゲッティを一緒に頼んだ時などは、日本では昼食メニューとして普
通のものだと思うのだが、ミラノのレストランでは不思議そうな表情のボー
イに何度も問い直された。
 面食らったのが料理の付け合わせである。メニューの肉料理を注文すると、
頼んだカツやステーキがそれだけ皿にポンと乗って出てくる。日本と違って、
人参・ポテト・葉物野菜・トマトなどの付け合わせが添えてないのだ。
 止むなくサラダを追加注文すると、サラダだけでお腹一杯になるほど山盛り
出てくる。馴れるまでは注文に苦労した。

 席に座ったイタリア人達はメニューを眺めながら注文を決めるまでに驚くほ
ど時間をかける。給仕もテーブルの側(そば)に立ってお客の注文が決まるの
を辛抱強く待ち、時にはいろいろ説明やアドバイスをしている。
 メニューを見てあれこれ組み合わせを思案し、オーダーを決めるまでの過程
を客達は楽しんでいるようにみえる。
 それに、仲間同士でレストランに入っても、「俺ナポリタンにする」「私も
ナポリタンでいい」「僕も・・・」などと、仲間と注文を揃える風潮は全く無
い。一人ひとりが細かい所まで自分の好みをキッチリと主張する。

 オーダーが決まっても、それから最初の皿が出てくるまでにたっぷり20分、
時には30分近くかかる。独りの時は手持ち無沙汰で仕方がない。私はしびれを
切らして「オーダーを忘れていないか?」と給仕に尋ねたことが何度もある。
 そのせいだろう、イタリア人同士のテーブルはどこも喧(かまびす)しい。
まるで言葉の機関銃を撃ち合っているように会話が飛び交い、大きな身振り手
振りも加わって如何にも楽しそうだ。
 食事が出てくるまでの間、ワインを味わいながらお喋りを心から楽しんでい
る様子だ。日本だって食卓は賑やかだが、イタリア人のお喋り好きに比べれば
足下にも及ばない。

 外食の値段も日本と大違いだ。ミラノの人は近頃肉も魚も値上がりしたとボ
ヤいていたが外食代は総じて日本のほぼ半額である。
 ワインはピンからキリまであって特にボトルを頼むと出張旅費では賄えない
ほど高価でも、総じてワインもビールも日本より割安なのは酒税の違いだろう
か。ともあれ私としては外食代の負担が軽いのは大助かりであった。

 前にも書いたが、ミラノの夏は湿度が低い。私が滞在した2週間、一度も雨
が降らなかった。気温は日本の夏と変わらないのに、体感する暑さは日本より
ずっと楽である。
 その代わりやたら喉が渇くから飲料水のリッター瓶が手放せない。市販の飲
料水にはガス(炭酸)入りとガス無しの二種類があり、ガス入りの方が廉(や
す)い。

 イタリアは火山が多いせいで、湧き水もガス入りが普通だと言う。組成を見
ると1リットルあたり pH7.29、Na44.2g、K4.2mg、Ca203.6mg、Mg59.9mgなど
と13項目ほどの詳細な記載がある。
 現在、日本で市販されているペットボトル入りのナチュラルミネラルウォー
ターにはこれほど詳細な記載は無いが、一例をあげるとpH7.8、K0.1mg、
Ca0.5mg、Mg0.18mg(1リットルあたり)の表示がある。

 これに比べるとミラノの水は相当硬度が高い。試みにホテルが提供するガス
無しの水を取り寄せてみたらpH7.65、Na5.42mg、K1.2mg、Ca28.8mg、Mg6.85mg
などとなっている。ガス入りに比較すれば幾らか柔らかいが、日本の水に比較すれば
遙かに固い。味わいはガス無しの水の方が私の好みに合うので、多少値は張る
が滞在中はガス無しの水を好んで飲んだ。

 空気が乾燥している影響は、喉が渇くだけではなかった。ボールペンや万年
筆で文字を書こうとすると最初の数文字は掠(かす)れてしまい、もう一度な
ぞらなければならない。いわゆる初筆性能が悪化するのだ。紙の裏側や枠外に
「の」の字を連続して書いてインクが滑らかに出てくるのを待たねばならなか
った。
 また日本では冬の乾燥時期にときどき経験することだが、ミラノでは真夏な
のに静電気で驚かされることが度々あった。ホテルの自分の部屋のドアノブに
触れようとしたとたん、指にバシッと衝撃を受けて飛び上がるほどビックリさ
せられるのだ。絨毯の敷かれた階段や廊下を歩いてきたのだから当然なのだが
日本の夏ではあり得ないことであった。

 「所変われば品変わる」と言う。イタリアでは面食らうお国柄を屡々(しば
しば)経験し、その都度「恐れ入谷の鬼子母神」とはコレダ!と感じたもので
ある。

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◆ 3        パソコンを巡る体験談

         ( 東京都小金井市  上田 亨 )
 パソコンは私たちの日常生活の中に溶け込み、有用な文明の利器となっている。
利用して失敗した事例もあれば、成功した事例もある。以下に私の体験事例を紹介
する。皆様の参考になれば、幸甚である。

◆ 事例1:知らぬ間にセキュリティ向上対策が進んでいた
 私はこの20年来、ホームページを発行し、毎月更新している。内容は二つだ。
一つはメールマガジンの文章情報に説明用の画像を添付したもの。もう一つは知人
が経営するシャンソンのお店の開演予定表と店内を紹介する画像からなるものだ。
 ホームページは私がまず自分のパソコン上で編集・作成する。世間に公表するた
め、「さくらインターネット社」のサーバーに http://ikiikiclub.sakura.ne.jp 
というホームページ名を付けて登録する。

  ユーザーは自分のパソコンや携帯の検索画面にこのホームページ名を入力すれば
ホームページが表示されて閲覧できる。ところが今年の1月にユーザーから「ホーム
ページが全く表示されなくなった。なんとかしてほしい」との声が届いた。

 インターネットで原因を調査した結果、以下のことが分かった。
・「http://・・ 」名のホームページはサーバーとユーザーのパソコン間をデータ
  のまま通信するので第三者による情報の盗聴や改ざんが発生し、リスク大
・「https://・・」名のホームページはサーバーとユーザーのパソコン間をデータ
  を暗号化して通信するので盗聴や改ざんがなくなり、セキュリティが向上する  

 今回の問題は今年の1月からセキュリティ保護のない「http://・・」名のホーム
ページは非表示とし、セキュリティ保護のある「https://・・」名のホームページ
しか選択・表示しなくなったということである。
 こうした状況を踏まえ、さくらインターネット社のサーバーに登録する際、暗号
化通信方式を選択し、ホームページ名は https://ikiikiclub.sakura.ne.jp とす
ることで画面表示も可能となり、問題解決をはかることができた。

◆ 事例2:なりすまし詐欺から辛くも逃れる
 2月初め、メールで東京電力エナジーパートナー株式会社(TEPCO)名で、未払い
の電気料金を早急にお支払いくださいとの督促が入った。請求画面を見ると3000円
ほどなので、オンライン支払画面でカード情報を入力し、支払いを済ませた。
 4時間後に帰宅した家内にこの旨を伝えると三つ不審な点があり、詐欺ではないか
と言い出した。一つ目は我が家の電気代はそんなに少額ではない、二つ目は請求書
は郵送で受け取っている、三つ目は支払いは自動で引き落としている、と。

 まずはカード会社に電話して大金が引き出されてないか、確認したところ、それ
はなかった。然し、カード情報は盗まれているので今後引き出される可能性がある
ので現状のカード番号は破棄し、新しいカード番号を発行してもらった。
 新しいカード番号を入手後、関係先10か所に事情説明書と新しいカード情報を連
絡し、変更手続きをお願いし、一件落着した。

 今回の件は東京電力エナジーパートナー株式会社「TEPCO」を名乗った典型的な
「なりすまし詐欺」だと思うが被害がでなくてよかった。警察庁によると去年1年
間の「なりすまし詐欺」の被害額は全国で455億円余りにのぼっているという。

◆ パソコンの買い替えは中古より新品が得
 10年前に10万円で購入し、使っていたパソコンが3月初めに壊れ、新品バソコン
を20万円で購入した。買い替えは中古と新品のどちらがよいか、調べるため、項目
を挙げて評価をしてみた。良い方に〇を、良くない方に×をつけた。

<中古パソコン> ・・・デスクトップパソコン
 〇画面は大きい(25cm * 42cm)   ×持ち運び不便
 〇購入価格 10万円        ×メモリ増設不可能
 ×初期画面表示 10分~15分   ×エクセルで行ずらしに1分 (しばしば)
 ×Windows 10                    ×Outlook 2019

<新品パソコン> ・・・ノートパソコン
 ×画面は小さい(25cm * 34cm)   〇持ち運びに便利
 ×購入価格 20万円       〇メモリ増設可能
 〇初期画面表示 5秒        〇エクセルで行ずらしは瞬間
 〇Windows 11                    〇Outlook 2021

  上記の中古パソコンと新品パソコンの比較結果からわかることは、「新品」の方
が圧倒的に使い勝手が良いということである。私は今まで「買い替えは中古パソコ
ン」と考えていたが完全に間違っていた。

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