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2025.5.1.第297号
「生き生きくらぶ」事務局
バラの花が咲く季節となりました!
五月の爽やかな日がくると、バラ園がにぎわいます。近くの神代植物公園のばら
園では、約400種類・5,200株の多彩な春バラが一面に咲き揃います。ヨーロッパ風
大庭園の中心におかれた大理石の噴水のまわりに立つと、赤、白、ピンクなどの色
が一斉に目に飛び込んできます。
最近の話題として「政治課題と展望」を取り上げます。世界、並びに国内で起き
た様々な課題と解決への展望を紹介いたします。
◆ AI、東大理3に「合格」
米中の新型生成AI(人口知能)が国内最難関とされる東京大学理科3類の入試に合
格できる「学力」を身につけたことが日本経済新聞と民間企業、大手予備校の調査
で分かりました。語学力が問われる英語で高得点を稼ぐ一方で、数学で論証ミスを
重ねるという課題も明らかになりました。
米オープンAIの「o1(オーワン)」と中国ディープシークの「R1」の2つの基礎
モデルに2025年度の東大入試問題を解かせました。AIベンチャーのライフプロンプ
ト(東京)が答案を出力させ、大手予備校の河合塾の講師が採点しました。
大学入学共通テストと2次試験を合わせた理系の得点(550点満点)はo1が374点、
R1が369点となり、いずれも3月10日に東大が発表した理科3類の合格最低点(368.7
点)を上回りました。
驚いたのは米オープンAIの「o1(オーワン)」と中国の「DeepSeek(ディープシ
ーク)の性能に大きな差がないことです。米国がAI関連に巨額投資し、中国に対す
る規制強化を進めているに拘わらず、中国が健闘している感じがします。
◆ 米価格高騰、収束遠く
米の価格は1年前まで5キロ当たり、2,100円だったのに、昨年暮れから急騰し、3
月17日現在4,197円となっています。今も米価格は上昇を続けており、5,000円近く
になっています。課題は二つです。
第一の課題は農水省が3月から始めた備蓄米放出が米不足解消に役立っていませ
ん。原因は備蓄米の入札条件が厳しく、入札がJA全農グループに集中しています。
卸売業者数を広げ、中小卸や地域の小売店に米が届くようにすべきです。
第二の課題は品質が国産米に近い、米国米を輸入拡大して米不足を解消すべきで
す。米の輸入はWTOルールにより、義務的に買う政府輸入米と商社などが国に関税を
支払って購入する民間輸入の2種類があります。
政府輸入米は毎年77万トンです。このうち、10万トンが主食用で5kgの価格は約3
千円です。残りの67万トンは値引してせんべいや飼料に販売しています。23年度値
引分は684億円の財政負担となっています。
67万トンを主食に回せば、米不足も解消し、財政負担なしです。本年2月商社兼
松が牛丼チェーンなど外食産業からの需要が高まり、468万トンの民間輸入を打ち
出しました。米5キロで輸入価格3千円に関税1,745円が加わります。
◆ 東大、27年秋、70年ぶり浮沈かけて新学部創設
東京大学は4月4日、5年間一貫の文理融合型学部を創設すると発表しました。新
学部は気候変動など社会システムの変革に取り組みます。学生の定員は100名で、
企業でのインターシップで経験を深め、授業は英語で行う方針です。
背景は東大の競争力低迷です。世界大学ランキングで東大は36位です。欧米大
に及ばないだけでなく、アジアの有力勢にも追い越されています.2023年度政府
が創設した10兆円規模の「国際卓越研究大学」の選考にも落選しました。
東大の具体的な問題点としては、以下の項目が挙げられます。
・東大発のノーベル賞受賞、イノベーションの話題に乏しい
・民間からの「資金調達力」や「起業力」が弱く予算はスタンフォード大の5分の
1、これでは「世界からトップレベルの人材を集める競争」に勝ち目なし
・既存組織の変革に向けたスケール感やスピードが十分ではない
・既存学部の存在感が強く、学際的な学びは容易ではない
第297号の目次
■1 80歳以降をどう生きるか
■2 法の支配、貿易の自由化復活
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◆ 1 80歳以降をどう生きるか
( 東京都小金井市 上田 亨 )
私の身の周りで知り得た事例を紹介します。皆様のご参考になれば、幸甚です。
◇ 「わたしは喜んで歳をとりたい」
これは知人から贈られた本の題名です。著者はドイツのイェルク・ツィンク氏で
牧師であり、神学者です。とても感銘を受けたので紹介します。題名から著者はよ
ほど恵まれた人だろうと考えがちですが、その生い立ちは過酷なものでした。
幼少時に両親と死別しました。高校を卒業後、ドイツ空軍に従軍し、搭乗機が英
軍に撃墜されました。属した部隊400人のうち、生き残ったのは3人だけでした。
戦後、23歳の青年は帰るべきふるさとも人生の目標も失っていました。
その時、全く偶然に出会ったのが「冬の夕べ」と題する詩でした。夕べの鐘が鳴
り、雪が吹きつける中を歩み続けた旅人が戸口を静かにくぐると、そこには暖かい
光に照らし出されたパンとぶどう酒が待っていました。
ツインクはここにキリスト教の福音の姿を見たのです。彼はやがて神学を学び、
牧師となりました。分かりやすくて、誰にも親しく語りかける彼の著作は、ドイツ
だけでなく世界中で読みつがれました。2016年9月に94年の生涯を閉じています。
[著書からの記事抜粋]
・老いを生きるとは人生の4番目の季節を生きることだ。私たちはその季節を一歩
一歩知ってゆく
・昨日いわれた名前を思い出せないからといって それがどうってことはない
たしかにそうだとしても わたしはなお よろこんで歳をとっていきたい
・もう好きなときだけ 机に向かえばよいし おしゃべりいっぱいの会議に出る
必要もない 人からよくみられるのも不要
・つい先頃 山でカエデの老木に出会った 私もその木のように ただそこにいて
生きているだけでよいのだ ようやくそのようにわたしも成長し、自由になった
・私はまだ話すこともできるし、まあまあ健康だ そして何よりうれしいことは
私の妻がそばにいて 毎日の生活を 共にしていることだ
・二人の力が衰えたとしても 愛しあっていることは続く はたしてこれ以上の
ことがあろうか
・また春を迎えて 茂っていくのが思い出される 私はよろこんで歳をとろう
この一日一日を神に感謝して
・人生の秋は 新しい命につながる 神が私たちのうちに始めようとしている
新しい命に すべては向かっているのだ
・歳をとると、感謝の言葉こそが決め手になる 何に感謝するのか と言えば
まず長生きをさせてもらったことだ。友人の多くは戦争の犠牲者になったのに
◇ 家内との小旅行
私は東京都年金受給者協会(東年協)に加入しています。年会費は2,200円と低額
なのに共同保養所利用の特典があります。3月17日、上総一宮海浜保養所に初めて
一泊しました。外房線の快速を利用すると東京駅から90分です。
施設は豪華でした。和室、洋室、娯楽室があり、夫々18畳の広さです。窓からは
眼下に広がる太平洋の大海原と、延々と続く海岸防災林の大パノラマを眺望できま
した。旬の春食材による献立は見た目にも味わいにも華やかさがありました。
東年協の保養所は全国に16カ所あります。利用料金は一人一泊9,500円位と格安
なので隔月、1カ所2泊くらいのペースで小旅行を続けるつもりです。
◇ 老化予防・健康維持
知り合いの医師によると、「老いと闘うこと」と「老いを受け入れること」は、
対立関係にあるのではなく移行するものだそうで、闘える間は闘った方がいい」と
述べています。私の体験を述べます。
80歳までは健康づくり一筋で薬は服用しませんでした。81歳から84歳の間は血圧
降下剤を毎日1錠服用しました。85歳から87歳になると息ぎれ症状がひどくなり、
毎日、血圧降下剤2錠と心不全対策剤1錠を服用しています。
◇ 仲間との交流漸減
高齢者にとって、趣味、娯楽、おしゃべり、飲み会を通じて定期的に交流を深め
ることは「心の健康づくり」に効果があると考えられます。然し、2019年末から広
がったコロナ禍は5年近く続き、交流の機会をつぶしました。
私にとってこの5年間が80代前半に相当しました。毎月開催していた高校の同窓
会、声楽教室、シャンソン会、囲碁会・・・等が中止となりました。囲碁会を昨年
再開すると、5年の間に老化が進み、参加者が激減しました。今では囲碁会とラン
チ会を隔月に開催し、交互に進めています。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
◆ 2 法の支配、貿易の自由化復活
( 東京都小金井市 上田 亨 )
第二次大戦後、米国主導で自由、民主主義、人権、貿易の自由化という新しい国
際秩序が確立し、米国を偉大にしました。トランプ大統領は「米国第一主義」を掲
げ、先人たちが築いたすべてを攻撃し、打ち壊しにかかっています。今、世界が協
力して米国に目を覚まさせる時です。
◇ 米国が築いた戦後経済秩序
1930年代、米国が高関税政策を採り、世界中が猛反発し、米製品の不買運動が起
こりました。対立が先鋭化し、世界恐慌となりました。世界貿易が4年で6割縮小し
第二次世界大戦を引き起こしました。
第二次世界大戦の勝者となった米国は、民主主義国をまとめ、自由貿易システム
をつくりあげました。具体的には、差別のない取引や相互交渉による貿易の自由化
、関税の上限を定めた拘束関税の厳守、国内産業保護などの原則、特定産品の輸入
急増に対する緊急措置発動では公平な裁定を求めました。
すべては予測可能で透明性が高く、自由な貿易体制を確立していくためでした。
その後、貿易自由化交渉を重ね、関税貿易一般協定(GATT)を経て、世界貿易機関
(WTO)が出来上がり、ダイナミックで開かれた世界経済が生み出されます。
1970年代、敗戦国の日独の躍進もあって米貿易赤字が拡大し、負担に耐えられな
くなった米ニクソン政権はドルの固定相場制を放棄しました。貿易摩擦も激しくな
りましたが、米主導の自由貿易システムを守る姿勢は堅持されました。
1990年代初頭にソ連邦が崩壊し、東西冷戦は終結し、市場主義経済圏が広がり、
グローバル化が加速しました。中国など新興国が急成長する一方、日米の製造業は
コスト競争力が下がり、厳しい調整を迫られました。
その過程で米国はIT革命の波に乗って巨大テック企業を生み、シェールオイル開
発でエネルギー輸出国に転じました。いまだに米国は世界一の経済大国であり、グ
ローバル経済の勝者です。
◇トランプ関税の挫折
モノの貿易赤字や製造業を重視するトランプ氏は中国に負けつつあると感じ、高
い関税をかけることで、雇用と生産拠点を米国内に取り戻せば、米国の復活はある
と考えました。
トランプ氏が1月の就任演説で約束した「常識の革命」に世界は振り回されてい
ます。「解放の日」と呼んだ4月2日には輸入品に一律で10%の基本関税を課し、4月
9日には高率の「相互関税」を追加しました。
市場は即座に反応し、株式やドルだけでなく、米国債まで売られるトリプル安の
「米国売り」となりました。さすがに、トランプ氏も金融市場の動揺を恐れ、相互
関税発動後、13時間余りで一部の国・地域について90日間延期する方針を表明しま
した。
この間に、米国は75カ国とトランプ関税見直し協議を進めることになり、トップ
バッターは日本になりました。
日米関税交渉のテーマの第一は貿易不均衡是正を挙げています。「日本車は米国
で沢山売れるのに米国車は日本で売れないのは何故か」、非関税障壁があるのでは
ないか。ユーザーの声は以下の通りです。
米国車が日本で売れない理由:・車体が大きすぎて狭い道や車庫に入れられない
・左ハンドル ・燃費が悪い ・ディーラー網と整備体制が不十分 ・ダサい
米国車のシェアは4.4%です。
^米国で米国人が日本車に群がる理由:・信頼性と耐久性に優れている
・乗り心地が良い ・デザインが素敵 日本車のシェアは48%です。
相互関税を高さ順に並べると、中国:125%、カンボジア:49%、ベトナム:46%、イ
ンドネシアと台湾:32%、インド:26%、日本:24%、EU:20%、英国:10%となっていま
す。
これに対し、中国、EU、カナダは報復関税で対処しています。殊に、中国は持
久戦に余力を持ち、米国の自壊を待ち、一歩も引きません。生活必需品を中国に
依存する米国は高関税で困るのは米国市民です。中国をこれを見越しています。
相互関税の算出方法があまりにばかげています。相互関税額は易相手国ごとの
貿易赤字額をその相手国からの輸入額で割ったものに比例させただけです。算出
に当たり、貿易相手国の関税や非関税障壁に関する分析も全くされていません。
そこには「公正な世界なら全ての貿易相手国との貿易収支は均衡するはずだ」と
いう暗黙の前提かあります。それはどう考えても狂気の沙汰です。だが、この考え
方が今や世界最強の大国の貿易政策のよりどころとなってしまっています。
あろうことか米国は世界自由貿易という陰謀のあわれな犠牲者で、外国に「ぼ
ったくり」をされているというのです。トランプ氏の狙いは高い関税をかけること
で、雇用と生産拠点を米国内に取り戻せると思っているようです。
トランプ氏は、米国をこの1世紀見られなかった保護主義色の強い国に変えまし
た。そして先人たちが築いたダイナミックで開かれた世界自由貿易体制を打ち壊し
ました。これは正に世界に対する戦争行為です。
彼は今や長年なりたかった独裁者になるすべを身につけ、米共和制と米国が築き上
げてきた世界秩序を総攻撃しています。米国の自由と繁栄を支える柱となってきた法
の支配、立法府の役割、裁判所の役割、科学への依拠、大学の独立性に加え、リベラ
ルな国際秩序を破壊しています。
今回の混乱で経済が低迷するのは必至で、26年の米中間選挙で共和党は多分完敗す
るでしょう。米国の諸制度を担っている人々は今は腰抜けに見えるが、気骨を見せて
トランプ氏に抵抗し始めるかもしれません。何より次期大統領選の公正さを維持でき
きる可能性があります。
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