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雑感や書評など

稲盛和夫「稲盛和夫の実学」

2005-10-24 08:06:59 | 書評
ネズミの知恵では獅子の心を………


映画の選択も適当ですが、本も、また然り。

今日は、稲盛和夫「稲盛和夫の実学」について。


稲盛和夫は、京セラの創立者で、今はKDDIの最高顧問という錚々たる経歴の持ち主。

その著者が、これまで実践してきた経営と信念について語っています。

さすが創業者らしく、その経営哲学の成立は現場の問題から発しており、そのことについても言及されているので、無味乾燥として理屈ではなく、血肉の通った方法として学ぶことができます。

と言っても、製造業を基本として話は展開しますので、その点が気になる方もいるかも。


が、著者の主張を突き詰めると、シンプルなものです。その真髄は、どの仕事にも通じるのでは?
 投機的利益の追求は射幸心をあおるようなゲーム的性格を強く含むためか、不幸にして多くの人々をひきつける。何ら創造的な活動ではない投機が、たちまちのうちに人を夢中にさせる魔力を持つのである。しかし、その魔力に負けて社員を不幸にさせることがないよう、経営者はあくまで自分の原理原則を堅持し、何が正しいのか、会社の使命とは何かというところから行動をする必要がある。
稲盛和夫「稲盛和夫の実学」91頁 日経ビジネス人文庫
ようは、「本業を真面目に」。

他にも、「売り上げは増大を目指し、経費は削減を」「人として、恥ずべきことはするべきではない」てなことが主張の骨子となります。

まぁ、当たり前と言えば当たり前のこと。
言われるまでもないのですが、…………まぁ、そうは言っても、ねぇ~。


ちょこちょこっと「自慢話だなぁ」と思えるよう箇所もないでもないですが、まぁ、京セラを今の規模にした人物。
著者としては普通の話をしているつもりなのかもしれませんが、小粒なこっちにしてみると自慢話に聞こえてしまうのは、仕方ないこと。


とにかく、ビジネスの基本に立ち返る必要がある方には、うってつけなのでは?


稲盛和夫の実学―経営と会計

日本経済新聞社

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