すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (17)」

2005-05-27 08:54:29 | 書評
匠の技


「サラリーマン金太郎 (17)」。
新人研修の担当となったのもつかの間、労働組合の委員長に担ぎ出されてしまった金太郎。

しかも、会社はリストラ発動直前というタイミング。経営陣の意向に沿ってリストラ推進側に回るか、(リストラされる)労働者側で彼らの雇用を守るために戦うか。金太郎は、今までにない窮地に立たされます。

しかも、これまでの仲間たちまでも、自分たちの生活を守るために金太郎に味方してくれません。

さて、どうする!

…………リストラ組みで新しい会社を設立。金太郎の「なめられてんだよ! あんたら!!」という気合で、無能であったり、やる気がなくてリストラされたはずの社員が、俄然有能社員に変身。

で、後は、めでたし、めでたし。

この分なら、金太郎の「なめられてんだよ! あんたら!!」という気合で、共産主義社会が樹立できてしまいそうです。


で、今日の名言は、こちら。
明日は人事部長と地方支社回りです
朝 早いですから………
本宮ひろ志「サラリーマン金太郎 (17)」24頁 ヤングジャンプ・コミックス
この言葉は、金太郎のものではありません。彼が研修を担当をしている新人のものです。

金太郎が労働組合の委員長に就任した際に、経営者側から報復措置として、新人研修から金太郎は外されたことがあります。

このとき、新入社員たちは、「金太郎でなくては従えない!」と全員で会社に辞表を出しています。そんな新人たちですが、金太郎がリストラ問題で苦境に陥ると、唐突に豹変。彼からのカラオケの誘いを、引用した言葉であっさり断わります。なんで、そこまで、あっさりと態度を変えられるのか……………。


しかし、考えてみれば、新人全員が一斉に辞表を出して、会社が受理するはずはありません。
また新人たちは、ちゃんと金太郎が会社に大きな貢献をしており、また政財界に太いコネを持ったことを知ってから、金太郎側に回って、辞表を提出しています。
そういう状況を理解しての強訴だったのですから、経営者側と本格的に対立し始めた金太郎を見限ったのも、当然ですね。

新人ながら、巧みなものです。

サラリーマンの鉄則 その十七。
「風を読む」


サラリーマン金太郎 (17)

集英社

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