ふしぎな夢 水煙300号(2008年6月) 2008年10月31日 | Weblog 板の間も畳も今朝の素足に触れ 水鏡広がり代田となりゆきぬ 田植機の音高かりし今日の晴れ 上弦の月を浮かべし植田かな 夏蒲団ふしぎな夢を見て目覚む 扇風機組み立て風を組み立てる 若竹に節あることのすがすがし
詩の棲む日々 水煙299号(2008年5月) 2008年10月31日 | Weblog ぐいと出て大地の力竹の子に 新しき詩の棲む日々よ五月来る 谷を向き並んで羊歯の萌えにけり 見上げれば空の眩しさ桐の花 屋内の鏡にさせる新樹光 平らかに枝伸ばしたり若楓 水入れて万緑映す田となりぬ
川の曲がりに 水煙298号(2008年4月) 2008年10月31日 | Weblog 菜の花や川の曲がりに沿いて咲き 囀りがいずこも先にいる山路 雑木山いきいきとあり木の芽時 山吹の黄金色まで坂登る 青柳へさらに朝日のあざやかに 春筍掘られて遺す穴ひとつ サクソフォン若葉の下に吹く人も
残雪の遠嶺 水煙297号(2008年3月) 2008年10月31日 | Weblog 残雪の遠嶺に光あふれおり 梅林に風も夕陽もやわらかき 竹林の明るくそよぎ三月来 藪つばき風強ければ陽をかえし 春分の激しき風雨聞く朝 山桜朝日の中に咲き初めし 夕映えにさくら色して春の富士
播磨灘 水煙296号(2008年2月) 2008年10月31日 | Weblog 春近し夕焼け空へ天守立つ 語り終え春星またたく下に出る 光るものみな早春の風の中 沖晴れて冴え返りたり播磨灘 梅東風のさわさわ森を渡りけり 春きざす木の間を漏れる光にも 城とビル間に浪花の朧月
初凧 水煙295号(2008年1月) 2008年10月31日 | Weblog 風いきいき初凧の糸ぴんとはる 木の影のくっきり寒に入りにけり にぎやかに森に響きし初霰 大霜のやがて明るき鳥の声 上気せし頬に寒風ここちよく 昼の雪ひとを静かにさせるべく 朝霜のきらきら佳き日の始まりぬ
万葉の岬 水煙294号(2007年12月) 2008年10月30日 | Weblog 短日の稜線歩くこと幾度 枯薄かなたに海の光りけり かさこそと枯葉踏む音連れてゆく 金色を沖に集めて冬の海 万葉の岬小春の小舟いく 枯木なる楓の枝のなお紅く 年越しの天に星あり地にわれらあり
落葉の音 水煙293号(2007年11月) 2008年10月30日 | Weblog 山道に落葉を踏めば落葉の音 薄原ふうわり光を波とする 海光る甍も光る冬隣 冬めきてさらに色濃き針葉樹 木枯しのやんで夕焼け鮮やかに 霜の田の輝く近江の空広し <鎌倉句会> 万両や日の昇りくる帰源院
富士高し 水煙292号(2007年10月) 2008年10月30日 | Weblog <東海・中部・甲信越オートバイ行> 空広くなって近づく秋の海 トンネルを抜け天高し富士高し りんご食み蒼空浅間と向かい合う 灯台の蔦紅葉して日本海 旅終えて目覚めし朝の鰯雲 田はすでに鋤き返されし曼珠沙華 快晴のきちきちばった高く跳べ
ケルトの歌 水煙291号(2007年9月) 2008年10月30日 | Weblog 秋茄子がドアの取っ手にかけてある 梨をむく今朝快晴の台所 露草や高き雲間の空の色 十五夜に澄みしケルトの歌を聴く 豊の秋辻に幟の立ちにけり 青鷺を映して静か秋の水 早稲の香の東播磨の野を走る