ストーブ

姿よき人参三本選んで買う
集まりの真ん中にいつも蜜柑あり
ストーブをつけパソコンを立ち上げる

実南天揺れ境内に鳥の声

小春

オレンジのジャケット脱いで野辺をゆく
小春日のあいさつ交わす土手の道
暖かきまま十一月の過ぎゆけり

頂に冬の紅葉の鮮やかに

冬霞

夕空を映す池の面鴨の影
六甲も淡路も隠し冬霞
落葉を終えし梅が枝まっすぐに

緋鳥鴨鳴いては湖面をついばみぬ

冬

句会終え冬あたたかき街に出る
別れてのち冬の夕陽を見て帰る
穏かに冬夕波の須磨明石

白菊の白さにありし華やかさ

蟷螂枯る

曇天や南天ばかり鮮やかに
北摂も丹波も見えて冬晴るる
蟷螂の枯れて静かに石の上

冠雪の富士を彩る紅葉かな

手袋

夜勤者の足音木枯しのなかへ
北風つのるほどに山河の明るくて
手袋へ五指すっぽりと山路ゆく

初冬の日差しが好きで野路菊は

侘助

侘助や茶釜に湯気の立っており
手打ち蕎麦食べて時雨の中へ出る
冬入日雲より出でて山に入る

万両や葉陰に紅き実の光る

梅紅葉散る

冬晴れの海銀色に光りおり
梅紅葉散りゆく真昼の風の中
住宅地途切れて冬菊畑かな

冬菊や今日青空の澄み渡り

冬空

六甲の上の冬空真青なり
コーヒーの香り微かに冬の朝
木枯しと森を歩きし楽しさよ

どっしりと森の賢者よ鷲木菟

冬菜

優嵐スケッチブック


まだ陰の中の冬菊鮮やかに
冬菜取る人に朝日の差しにけり
冬晴れやマラソン準備整いし

誰もいぬ冬の境内小菊咲き