年惜しむ

あの人やこの人のこと年惜しむ
雨つづく亥年の終相場かな
数え日や時流れまた降り積もる

門松立つ

頂でクリスマスイブの虹に会う
枯木なる楓の枝のなお紅く
山寺に門松立つや日本晴れ

冬至

空透けてからりと冬の雑木山
よみがえるものみな冬至の雨の下
クリスマスカードネットで届きけり

日向ぼこ

目を閉じて腹式呼吸の日向ぼこ
夜回りの遠ざかり行く鐘の音
暖かき陽のほっこりと山眠る

冬の海

金色を沖に集めて冬の海
しぐれ連れ海峡へゆくしぐれ雲　　
十二月陽のさす森の静けさに

裸木

裸木に背をあてれば暖かし
セーターのひっつき虫をつまみ取る
よいお年をと言葉交わして師走かな

湯気立て

かさこそと枯葉踏む音連れてゆく　　
ファンタジー読みつつ賀状準備かな
湯気立ての音のかすかに朝の部屋

枯薄

枯薄かなたに海の光りけり
山際の空の透けたり枯木立
ゆっくりと話さかなに年忘れ

冬木

すっきりと冬木になりて立ちたまう
息白く洗いしものを干す朝
お湯割りを一杯飲んで眠るとす

冬の虹

山降りて露天風呂より冬紅葉
冬の虹西日の中に立ちにけり
境内をひとり歩きすしぐれ傘