強霜

春近き畦道を母子の遠ざかる
強霜に差す陽確かな明るさに
ひと月の手ごたえ残し一月尽

静かなり雪のシャレーにたたずめば

晩冬

晩冬やものみなあっけらかんと空け
水蒸気昇れば冬の雲となる
一月がはや逝く中にシチュー煮る

一人来て冬の波濤を乗りこなす

冬の夜

里芋の舌にとろけし冬の夜
空よりも海の光りて冬深し
寒ければずんずん山を歩きけり

雪のなき都会を眺めスノーマン

寒の内

頂への道を問われし寒の内
護摩焚の準備始まる春近し
寒波去り肩の力を抜いている

とりどりの色のあふれてゲレンデに

寒落暉

針葉樹凍れる池に身を映す
暖かき色を持ちおり寒落暉
今日もまた一輪のみの冬の梅

コルドバのユダヤ人街冬の雨

霜柱

優嵐スケッチブック


寒中の身をゆっくりと伸ばしけり
霜柱ざくざく踏んで心地よき
がっしりと今日はバケツの凍りおり

機上より見下ろす富士の冬景色

寒晴れ

法螺貝の音響きおり寒晴れに
よく晴れて風無き朝のよく冷えて
寒晴れや平野にぽつんと雲の影

大阪城屋根は緑に冬うらら

雪

遠山に降る雪を見て陽の中に
氷張るバケツの歪みそのままに
カーブ切る先の夕空日脚伸ぶ

雪晴れてコネチカットの冬館

北風

北風の今日は戻りし煙突に
竹林は静かに迎え旧正月
湯たんぽが先に入っている布団

雪の日の散歩をしける人と犬

冬木立

春隣る光の中を森歩く
春近き風と光が竹林に
それぞれの影を大地に冬木立

丹頂の何見て一本足で立つ