夕焼け

仰ぎ見る空いっぱいの夕焼けを
山の端にあかりきらきら遠花火
涼風や呼吸を深く座りおり

夏の暁

鳴き交わす野鳥つぎつぎ夏の暁
待ちかねて蝉の鳴くなり夏の朝
すぐカラリ夏日に干せる洗濯物

朝ぐもり

朝ぐもり去れば吹き初む風のあり
風通る座敷におれば蝉涼し
湯上りの風を楽しむ夏夕べ

暑き夜

目を細め大暑の光を見ておりぬ
日向水昼餉の皿を洗いけり
暑き夜のタンスにつける足のうら

蝙蝠

蝙蝠の訪れに目覚む深夜かな
青嵐白紙のノートを繰っていく
朝ぐもり播州平野を密閉す

バルコニー

情熱は乱れ咲く日ののうぜん花
青鷺の翼大きく夕陽受け
缶ビール並べ夕べのバルコニー

夏料理

田も暮れて彼方にともる灯の涼し
ジョッキあげ運転手のみウーロン茶
夏料理古き映画の話など

炎昼

寝返りの数を数える熱帯夜
炎昼のボンネットみな陽炎たつ
たっぷりと麦茶のグラス汗をかく

梅雨明け

風鈴の音どこからか旧街道
梅雨明けの空に燕と飛行機と
青空に雲の輝き梅雨明ける

遠雷

目を閉じて遠雷を聞く昼下がり
夏の朝少女の号令流れくる
青葉山志を高く持ち