白南風

白南風に森さわさわと葉を鳴らし
梅雨晴れて木陰動かす風のあり
睡蓮の静かな水面へ歩み寄る

麦茶

麦茶飲み再びコートへ出て行きぬ
蝿一匹メール設定変える間に
読みかけの本枕辺に昼寝かな

あじさい

降り続く雨あじさいの色を濃く　
新しきシーツからりと梅雨の背に
くちなし咲く一冊の書を友におくる

若竹

若竹に節あることのすがすがし
街路樹のうえに城あり夏至の雨
週末は梅雨ごもりしてパソコンと

半ズボン

半ズボン誰に気兼ねもなき自由
花くちなし咲き匂う夜となりにけり
満月を隠して厚き梅雨の雲

明急ぐ

明急ぐ神童八歳の交響曲
水底より立ち現れし梅雨の月
ナイターのテニスのあとの髪洗う

五月雨

渾身の灯蛾の五体投地かな
五月雨に眠り朝日に目覚めけり
花栗の匂いし後の横たわる

梅雨曇り

梅雨曇りカラヤンの行進曲を聴く
青鷺のしんと立ちたる用水路
週末の食べ物あふれる冷蔵庫

短夜

短夜やノートパソコン開けしまま
晴れて今日六月の風かぐわしき
新鮮な雲の白さよ夏の天

南薫

山川も草木も眩し梅雨の晴れ
ならされて夏の花待つ花壇かな
南薫にふわりと飛びし巣立ち雛