五月尽

今朝晴れて草輝ける五月尽
青葉せる山なみはるか小豆島
見上げおる青葉の梢雲流る

風薫る

夏蝶と連れ立ち歩く山路かな
風薫る鉄橋渡り電車来る
青葉へと吹く風聞いて頂に

夏の蝶

戯れる太陽の子よ夏の蝶
谷埋めて風に青羊歯靡きけり
青葉して解体工事進みける

銭葵

はつ夏の夕空西方浄土めく
ぽっかりと青空見える銭葵
夏草の中へうさぎの跳んで消え

街薄暑

ワイシャツで弁当買いに街薄暑
新樹光カーブミラーをいっぱいに
ウインドウ降ろして走る夏めく日

カラー

風いつもそこにありけりカラー咲く
境内にあやめ咲き初むまっすぐに
夏草の刈られし後の香の中を

青蔦

卯の花へ風が通りぬけてゆく
大輪の薔薇咲かせクリーニング店
青蔦に寄せて車を停めにけり

卯の花腐し

卯の花腐し山野の色を深めおり
廃屋の土塀に続く竹落葉
真っ直ぐに伸び行く竹の皮を脱ぐ

青葉

青葉せる梅林を渡る風のあり
森影の濃くなる不如帰鳴けば
幾万の青葉それぞれ風に揺れ

黒揚羽

群れて飛ぶ燕は夏の夕空へ
黒揚羽影より出でて影を連れ
初夏の頂に飛びしものいろいろ