暖か

★蔓を刈る人のありけり春日和
★東屋に梅を眺めつ笛吹く人
★暖かと言い合いそのまま別れけり

初音

★紅白梅そろい咲きたる谷となる
★雨上がり日の差す谷に初音して
★ドライブウェイ下りつつ停め梅見かな

★燈籠の道まっすぐに本堂へ

春の陽

優嵐ギャラリー


★春めくや初めて求む油彩額
★森に差す陽に三月の近きかな
★春の陽や夕べは雨になる気配

★仰ぎ見る梅の香りに包まれて

伊予柑

★空色の絵具数本買いし春
★納税を済ませ早春の街へ
★伊予柑食ぶ果汁に指を濡らしつつ

春光

★春光やがたんごとんと列車音
★車きれいに洗われて春の陽に
★梅三分咲き真っ黒な犬がゆく

★陽春に耳を澄ましてカトレアよ

紅梅

★ジョギングの人紅梅の坂のぼる
★ある山はその影にあり春の雲
★頂に吹く風確かに春の風

内裏雛

★春の曙遠ざかる救急車の音
★かさこそと二月の森の白腹は
★事故現場供えられたる内裏雛

★春北風にこたえて多宝塔立てり

淡雪

★梅開く遠目に紅く見ゆるほど
★陽の中で見る遠山の春の雪
★淡雪がふわりふわりと針葉樹

★山茶花や余寒のなかへ咲き続き

冴返る

★遠山のくっきりと見え冴返る
★山向こう摂津丹波の冴返る
★傾ける日に梅が枝を差し伸べて

春北風

★春雪を戴く六甲山仰ぐ
★雨あがり春北風鳴らす明けの窓
★街の音消して降り来る春の雪