炎天

優嵐スケッチブック


よき風の吹きたる今宵月涼し
朝の空入道雲のはや立ちて
炎天の永遠にある青さかな

共に咲く喜びありて百日草
影を成すグラジオラスのプロフィール

盛夏

明けてくる空へ一斉今朝の蝉
昼までに用事を済ます盛夏かな
門先のビニールプールへ幼き子

ペチュニアをたっぷり咲かせ集会所
白鹿之子百合の白さや庭涼し

揚花火

半円が山の彼方に揚花火
暑きゆえ熱き麦茶を飲みにけり
窓閉めて灯り点して冷奴

咲きのぼり鞘抜き放つグラジオラス
人影の途絶えし真昼花魁草

夏旺ん

釘打つ音木を切る音や夏旺ん
涼しさを呼びたし部屋を整頓す
風通る部屋に終日蝉の声

濃き緑に映え夾竹桃の白
ダリア咲く今日も明日も晴れし日に

朝ぐもり

半月が赤く染まりし熱帯夜
人よりも鳥は早起き朝ぐもり
炎昼や雲は高さを競いおり

清楚なりグラジオラス白し
鬼百合の背負いし空の浅葱色

夏の宵

湯上りの風を楽しむ夏の宵
洗濯の香り流れて夏の朝
ブランコで夏の空へと飛び出しぬ

日日草日々の励みの楽しさに
向日葵にどんと大きな空がある

蜩初めて鳴く

夕刻の峠蜩初めて鳴く
油蝉空の明けるを待ちかねて
蝉しぐれ回廊駆ける自転車で

萱草に黄色き花もありにけり
午後三時時計草は今何時

夏霧

夏霧の中を朝日が昇りゆく
日傘さし親子過ぎゆく巡礼碑
通り雨去れば再び蝉しぐれ

庭の隅カンナひときわ高く咲く
帰り来て白粉花に迎えられ

月涼し

夕空はペールトーンに月涼し
ティータイム水色（すいしょく）淡きはと麦茶
夏草を掻き分け花にたどりつく

明日咲く蕾したがえ木槿かな
太陽が好きで丈夫よ百日草

大暑

夕風は土用あいへと変りおり
音のみの聞こえて遠き花火かな
心地よき風吹き渡る大暑かな

ミニひまわり小さく凛々しく咲きにけり
鬼百合や停車場の上に揺れ