菊日和

菊日和日差しの中でお弁当
団栗を踏む音山路の静けさに
小菊咲く談笑の声聞こえおり

庭先の通草何かを言いたそう

長月

長月の満月残る朝の空
境内に菊のいろいろ咲き揃う
いまここにいて聞く鵙の高音なり

菊時のお菊神社に詣でけり

菊花展

目覚めれば未だ夜霧の深き街
コスモスと噴水揺らし風過ぎる
高き菊低き菊あり菊花展

廃屋や背高泡立草の群れて

蔦紅葉

法宴の果てて月無き十三夜
蔦紅葉盲導犬の静かに座る
夕焼けの消えゆく先や残る虫

茶の花のうつむきかげん冬近し

十三夜

◆十三夜句会
茶の花の咲くや羽音に包まれて
母連れて法要に行く十三夜
薄紅葉水面に姿映しおり

晩秋のレトロモダンのレストラン

澄む秋

優嵐スケッチブック

澄む秋のインターネットは集合知
晩秋の森に響きし詩吟の稽古
丹波から六甲淡路秋霞

陽を受けて小さく秋の薔薇は咲く

すがる虫

宵の口耳を澄ませばすがる虫
支えられ黄菊のやがて大輪に
親芋をやわらかく煮て夕餉とす

秋晴れや旧官邸の静かに立つ

末の秋

雲ひとつ去り陽の戻る末の秋
団栗を拾い集めし人と会う
銀杏を莚いっぱい陽に干せり

一輪の薔薇の紅さに秋深し

霜降

潤む月やがて霜降の雨に
秋深し熱き茶を飲む窓に雨
うとうととすれば迫りし秋の暮

比翼塚守りし寺の秋うらら

豊年

ひと枝がまず色づきし楓かな
木漏れ日の森に木の実の落ちる音
豊年や農業祭のにぎやかに

コスモスは風に親しき花なりき