寒林 水煙282号(2006年12月) 2008年10月29日 | Weblog オートバイ楽しジャケット夕陽色 大雪や少女の輪唱聴いている 友来るポインセチアの赤を抱き <春日若宮おん祭り> 流鏑馬の少年凛と冬の朝 <興福寺> 冬の陽へ阿修羅の瞳まっすぐに <東大寺戒壇院> 静かなる気迫真冬の四天王 午後三時陽は寒林に輝きぬ
銀杏並木 水煙281号(2006年11月) 2008年10月29日 | Weblog 脱ぎ捨てし輝き銀杏並木冬 冬紅葉うえに真青な空ありて えのころも薄も荻も枯れし野に 冬耕の田に撒かれいし菜屑かな 晴れ渡る空へすらりと後の月 菊並ぶぬくき冬日を浴びながら 初しぐれ熱き海鮮ピザを食ぶ
祭囃子 水煙280号(2006年10月) 2008年10月29日 | Weblog 秋耕の土の匂いの遠くより ポストまで十六夜の月と歩きけり ぽつぽつと残る晩稲に明るき陽 和太鼓のかんからと鳴る秋真昼 ひつじ田を渡りし祭囃子かな 爽やかや水彩絵具薄く溶く 残る虫時を追い越すすべ知らず
秋つばめ 水煙279号(2006年9月) 2008年10月29日 | Weblog 早稲の香のあいだを縫いしサイクリング 田の青を連れて燕の帰りけり 華やかさ少し控えめ秋の薔薇 芋の葉の騒ぐ野分の近ければ 湯に入りて見あぐ青空秋つばめ 杉の木のまだ揺れている野分晴 <柳川にて> 橋ひとつくぐれば揺れる彼岸花
いびつな梨 水煙278号(2006年8月) 2008年10月29日 | Weblog 八月の風にドラムを叩きけり 初物のいびつな梨に刃を入れる 田に再び水音高く終戦日 撫子も供えられたる無縁墓 雷の去れば清かに秋の風 風すでに明るく乾き処暑の昼 折り畳み自転車を出す秋めく日
遠花火 水煙277号(2006年7月) 2008年10月29日 | Weblog 髪切って軽きうなじに夏の風 初蝉や朝の大気の芳しき 開け放つ窓いっぱいの夏の暁 遠花火ききつつ土用鰻かな 雲高く盛夏の町を見下ろせる 朝の川万緑映し静かなる 心地よき風に七月終りけり
草野球 水煙276号(2006年6月) 2008年10月29日 | Weblog 峠越え一面麦の秋の風 中天の月に匂いし栗の花 夏草の中に少年草野球 五月晴れシーツぱりっと洗いあげ 植田はや青々として陽の高き 瞑想す風よくとおる夏座敷 天丼を食ぶ六月の青空に
石楠花 水煙275号(2006年5月) 2008年10月29日 | Weblog 菜の花の黄色が遠き川岸に 朝ごとに垣根の薔薇の開きけり 新緑の雨は明るく野に降れり 幾重にもかさなるひかり若楓 石楠花や谷に明るき陽の満ちて いくたびも青葉の峠越えゆけり 麦の穂のまっすぐ風のさらさらと
畦青む 水煙273号(2006年3月) 2008年10月29日 | Weblog ふきのとう流れはいつも清冽に 春の日やフランチェスコの像に降る 南北の大橋光る春寒し 畦青む縦笛吹いて子ら帰る 白木蓮の花芽かかげて高くあり 頂に立てば囀り足下より 風冷えて彼岸桜の散り初むる
春嵐 水煙272号(2006年2月) 2008年10月29日 | Weblog 湯豆腐を食べに入りけり竹の奥 ふんわりと残る冬菜へ牡丹雪 春嵐あとの夕陽のやわらかき 大根を次々洗う春の川 風日ごと明るき二月の土手に立つ 萌えいずるもののすべてに雨の降る またたきて星それぞれの余寒かな