一月尽

日ごと風明るくなりぬ一月尽
飴色の厚き大根に箸沈め
粕汁に皮くじらあり幼き日

寒

落葉樹すっきり空へ日脚伸ぶ
髪切って風の中へと春隣
すこやかに目覚め待ちたる寒の山

霜の朝

電線のきらきら光り霜の朝
稜線のくっきり春の遠からじ
水仙のいつもうつむきかげんなる

初不動

ほつほつと梅はほころぶ初不動
朝の雨あがり枯野を霧立ち昇る
雨あがる冬芽の雫残しつつ

霜の声

玄米茶すする耳元霜の声
寒晴れの頭上に続くガードレール
強霜の朝なれば陽の輝きて

大霜

手をつなぐ少年少女寒の雨
大霜の中より目覚む街の音
砂時計砂さらさらと春隣

寒の雨

山裾を煙らせ寒の雨近し
境内に落葉焚く香の満ちており
静かなる雨音聞きて冬の雨

寒鴉

寒鴉森に翼を休めけり
幼子に誰と問われし寒の晴れ
寒晴れや今日くっきりと播磨の野

寒中

寒中の檜の樹冠光おり
光さす森ゆく冷たき耳連れて
寒ぬくし頂に開くお弁当

青木の実

餅焼いて甘さ軽めの善哉に
さっくりとラスクを食めば冬深し
ほの暗き木の間に光り青木の実