竜胆

秋空にあおすじあげは青透かせ
竜胆の青の墓前に静かなり
木犀の香に包まれる里となる

竹林の隅に真白き茸かな

常山木の実

廃屋に金木犀の香の満ちて
萩の花たっぷり咲かせ頂に
雲少し増えたる午後や常山木の実

ビル高き浪花の空の秋高し

秋空

朱を得て雲あきらかに秋の朝
秋空に飛行機雲の幾筋も
お待たせと浅葱斑や秋の昼

菊芋の花護摩堂の下に咲き

澄む秋

優嵐スケッチブック


澄む秋の遠山が持つ雲ひとつ
秋草をいろいろ自転車籠に入れ
電話塔立てる工夫に秋高し

稲稔り雲入れ替わる甲斐の空

曼珠沙華

紅白の曼珠沙華咲く古刹かな
キリマンジャロゆっくり入れて秋の昼
ファインダー見ていて秋の蚊にさされ

彼岸花たったひとりで咲いている

茸狩り

茸狩り成果見せ合う男たち
阿波徳島くっきり見えて秋晴るる
ひっそりと水草紅葉始まりぬ

中秋の海から海へ雲の列

彼岸花

彼岸花平らになりぬ昼の雲
片づけるものは片づけ爽やかに
見下ろせば桜紅葉に丸ポスト

そこに風生まれし気配秋桜

秋分

秋彼岸森は静けさ取り戻し
秋分の雲は北より生まれ来る
香りよき線香たてて秋彼岸

茸生うサイケデリックな色を持ち

秋の森

台風の去って静かな青空に
子を連れて猪駆ける秋の森
鐘楼の甍に触れし秋の雲

秋夜明け空の深さを示しおり

つくつくぼうし

嵐去りつくつくぼうし一度鳴く
濁流のしだいに澄みて台風過
彼岸花刈り残されし田の畦に

はるかなる浅葱斑の秋の旅