昼過ぎから夕方へ移り変わる頃、家族で昼寝をした。
雨上がり。なんにも予定が無い午後。曇り空と今し方まで降っていた雨の所為でいつもよりひんやりした空気。時折部屋の中を吹き抜けていく風。
ベッドにごろん、と横になる。
ほんとは寝茣蓙を出してその上に寝転びたいところであるが、そうする為の特等席にはすでに先客(「だー」)が寝息をたてていたので。あと、寝茣蓙なんていう情緒溢れるモノは我が家にはない。せいぜいタオル地のシーツがいいところだ。
横になって目を閉じる。
眠気なんてなかったはずなのに、次第に目を開けるよりも閉じている方が自然な感じに、瞼同志がくっつく。
油蝉の声に混じって、ひときわ澄んだ、高い鳴き声が一つ、耳に届いた。
蜩の声。
吹き抜ける風が、さらに涼しくなったように感じた。
昼寝なんかしたくない、とゴネていたこじこじが言う。
「あれ、何?」
「ヒグラシ。ヒグラシっていう蝉」
「綺麗な声やなー」
「なんかちょっと涼しなったやろ?」
「うん。ええ気持ちー」
それからすぐ、くらいに眠りに落ちたと思う。
30分ほどして目が覚めたが、体は横になったまま目だけを開けた。
いつの間にか蝉時雨は止んでいて、かわりにかすかな空気音が一定周期で繰り返されている。
こじこじの寝息。
その邪魔をしないようにそうっと起き出して台所に立つ。
…ああ、なんて贅沢な一時なんだ!
米をとぎつつ、一人悦に入る夏の日の夕方でありました。
雨上がり。なんにも予定が無い午後。曇り空と今し方まで降っていた雨の所為でいつもよりひんやりした空気。時折部屋の中を吹き抜けていく風。
ベッドにごろん、と横になる。
ほんとは寝茣蓙を出してその上に寝転びたいところであるが、そうする為の特等席にはすでに先客(「だー」)が寝息をたてていたので。あと、寝茣蓙なんていう情緒溢れるモノは我が家にはない。せいぜいタオル地のシーツがいいところだ。
横になって目を閉じる。
眠気なんてなかったはずなのに、次第に目を開けるよりも閉じている方が自然な感じに、瞼同志がくっつく。
油蝉の声に混じって、ひときわ澄んだ、高い鳴き声が一つ、耳に届いた。
蜩の声。
吹き抜ける風が、さらに涼しくなったように感じた。
昼寝なんかしたくない、とゴネていたこじこじが言う。
「あれ、何?」
「ヒグラシ。ヒグラシっていう蝉」
「綺麗な声やなー」
「なんかちょっと涼しなったやろ?」
「うん。ええ気持ちー」
それからすぐ、くらいに眠りに落ちたと思う。
30分ほどして目が覚めたが、体は横になったまま目だけを開けた。
いつの間にか蝉時雨は止んでいて、かわりにかすかな空気音が一定周期で繰り返されている。
こじこじの寝息。
その邪魔をしないようにそうっと起き出して台所に立つ。
…ああ、なんて贅沢な一時なんだ!
米をとぎつつ、一人悦に入る夏の日の夕方でありました。