暁の広場

最近凝っているジオキャッシングの話題や真空管アンプ、料理、独り言のページ

iPhone サバイバル充電考

2013-09-18 16:24:40 | エレクトロニクス

最近のモバイル機器はとても高性能高機能になりましたが消費電力もすごいです。出先で充電は日常の出来事でモバイルバッテリーの持参はかかせません。

AC電源が近くにある環境ならなんら問題ではないのですが長期アウトドアや災害時にはちょっと困る事態に。。。長期に停電を余儀なくされる災害時に充電できるシステムが欲しくなります。それ以前に長期停電なら携帯電話が使えるのかも気になるところですが。。。。。

と思い立ってiPhone4Sの充電法をいくつか試してみました。発電方法以外にiPhoneに充電そのものの問題も露呈。。。。。

まずは発電の基礎実験から

1)ペルチェ素子による熱発電

ペルチェ素子は半導体へ熱を加えることで起電力を生むゼーベック効果(無線従事者国家試験に良く出題される)を利用したもので反対に電流を流すと冷却効果が生まれる面白い素子です。

発電は温度差で生じる為片側をヒートシンクで冷却し温水で温めます。この温度差がなくなると起電力はゼロとなり効率よい発電をする為には暖めるだけでは駄目で冷却装置も必要。

 素子固体の定格では78度まで。。。。60度温水では0.5V程度の発電となりました。素子は秋月電子で入手できます。これで焚き火発電やキャンプストーブで実用発電をするとなると10枚以上のペルチェ素子と温度管理に工夫が必要となります。

ついでに素子に電流を流して冷却効果を実験しました。

セラミックケースに入った素子はあっという間に10度程下がりました。。。しかし放熱面ではすごい発熱があります。これも同様に熱処理をしないと冷却効果が上手くいきません。缶ビールを冷やすためには同様に10枚以上の素子と大電力が必要となります。。。温冷蔵が簡単にできる可能性はありますが効率については少々疑問

2)手回し発電

 手軽な発電方法で実用的かもしれませんがDC5V 0.5Aの手回し発電機では200mA充電を継続するためにはハンドルを2.5回/秒以上回転させなければなりませんでした。これは体力勝負の発電です。。。気軽に電気を使ってるけど電気を作る為にはすごいエネルギーを使っているということが実感できます。。。。

3)ソーラー発電

 今回の発電実験では最も実用の可能性がある方法です。日照に左右はされますが一定の条件下では発電電圧の変化も少なくコスト的にも優れています。充電地などへの充電では特に安定化などしなくてもほったらかしで大丈夫です。使用したソーラーパネルでは最大でも電流は200mAで2本のエネループを充電するのに18時間かかりました。ソーラーパネルはモジュールの直並列が可能なので複数のモジュールを並列にすることで電力容量を増加させる事ができます。

 ペルチェ素子は高価で耐久性に不安があり、手回し発電は実用となると数時間回し続けなければなりません。

 風の力で発電機を回す風力発電も興味あるところです。

 実用化に向けてはソーラーモジュールの電力容量を増加させパネルを折り畳み式が良いようです。

【安定化の問題】

 携帯機器では充電のコントロールを本体側が行うものが多くiPhoneでもシビアな制御が行われています。つまりUSB規格電圧から一定の電圧差があると充電されません。いずれの発電法も電圧は変動しこのままでは充電に適さない為、3端子レギュレーターIC7805で安定化回路を作りました。但しiPhoneでは1A以上の充電電流が流れるので実用とするには大容量化の検討も必要です。USB2規格で500mAでも実際には充電がされるので供給電流能によるといったほうが正しいでしょうか。。。

【iPhoneへの充電の問題】

 いくつかの発電法を試したところで問題にあたりました。iPhoneでは純正充電ケーブルを用いてもDC5Vの供給だけでは充電されません。純正以外のモバイルバッテリーや充電器に見られるiPhone●●適合などと言われる問題です。USBコネクターのVbus(V+)とGNDを接続するだけでは充電モードとなりません。(スリープモードでは僅かながら充電されるという話も聞きます)

 USB端子にある4つのピン Vbus, D-,D+,GNDのD-,D+の電圧を監視しているようでこの電圧つまりD-,D+が抵抗でプルアップされているかGNDにプルダウンされているかによって充電器に接続かPCに接続かを認識し充電モードでは電圧と電流の検出を行ってモード管理を行っているようです。

 少し調べてみるとD+には2.0V D-には2.8Vという記載を見つけました。この電圧を作るために15kΩと10kΩをD端子とV+に接続します。これは確かな情報ではなくたまたま上手くいった数値と理解したほうが良いようです。何故なら純正ケーブル仕様は非公開でサードパーティー品では完全放電から充電しないとか電池の状態で不具合が出るとか良く耳にするからです。

 追試される方は自己責任でお願いします。iPhone壊れても責任もてません!^^

iPhone4Sではこの方法で充電を開始しました。残量0からの充電は試していません。

 

電圧安定化回路と構成図

 入力側には逆流防止のショットキーDIを入れた方がよいかもしれません。回路上のダイオードは3端子IC保護の為のもので省略される事も多いのですがデバイス破壊防止用で逆流防止効果もあるので入れておいたほうが良い。

 7805レギュレーターICでは5Vの定格出力を得る為には内部基準電圧の関係で+2.5V以上の入力が必要です。また巨大なヒートシンクを付けても1A連続は流せませんので実用には他のデバイスの選択が必要です。

 さて次はソーラー発電か風力発電機に接続して充電実験です。