これは１人の男の話である…
彼は去年の東京マラソンを見て、感動し、自分も東京マラソンを１度でいいから走ってみたい！！そして、完走したい！！そう心から思っていた。しかし、彼の仕事では東京マラソンの為の練習する暇も取れないどころか、東京マラソンに参加すること自体が無理であった。それでも彼は東京マラソンを夢見ていた。その年の春、会社でも将来を期待されていた彼は東京マラソンに出たいが為に会社を辞めた。
会社を辞めた彼は昼はガテン系のバイトで汗を流し、他の時間は殆どトレーニングに励んでいた！そして、東京マラソンにエントリーをして、後はそのときを待つだけ。
しかし、彼は抽選の結果…東京マラソンで走ることすら出来なかった。
これは１人の男の話である…
彼の高校時代の夢は、部活の仲間達とインターハイに出場することだった。しかし、その夢は叶わずに終わり、当時の仲間達とはそれ以来熱くなれるものが無かった。そんなとき不意に思い付いたのが、皆での東京マラソン出場だった。その日から、昔の仲間達と東京マラソンを全員で完走することを夢見て、時間が無いながらも猛練習が始まった。そして、東京マラソンにエントリーをして、後はそのときを待つだけ。
しかし、彼は抽選の結果…東京マラソンで走ることすら出来なかった。
抽選で洩れた彼以外の仲間達は皆、当選していたので、彼は皆の為にも、来年こそは皆で当選して完走する為にも、一緒に猛練習に付き合った。そして東京マラソン当日、彼は皆の為に出来ることは全てし、その行為に応えるように仲間達は完走を果たした。そして、その夜は久しぶりに飲み明かしていた。その席で彼は来年こそは！と心の中で思っていたが、仲間の１人が「キツかったけど、楽しかった！でも一生に１度でイイね！」と言うと、他の仲間達もその発言に乗るように「一生に１度で十分！」と言い出した。その瞬間、彼は二度と仲間達と一緒に走ることは出来ないんだと確信した。
これは１人の男の話である…
彼には３年間付き合っている彼女がいて、その彼女が彼との結婚を考えているのは傍から見ても分かるほどだった。彼自身も彼女との結婚を考えていたが、何かきっかけが欲しかった。そんなとき、東京マラソンのＴＶ中継でゴールした男が女に婚姻届を渡し、プロポーズをしているのを見た。それを見た彼は、自分もその方法で…と考え、その日から彼女に内緒で練習をし始めた。そして、東京マラソンにエントリーをして、後はそのときを待つだけ。
しかし、彼は抽選の結果…東京マラソンで走ることすら出来なかった。
それでも彼は諦めずに練習を続け、翌年の東京マラソンにエントリーをした。しかし、また抽選の結果…東京マラソンで走ることすら出来なかった。それでも再び翌年の東京マラソンを目指して、練習をする彼。彼女も30歳前の最後の年というのもあり、彼はこの年こそは絶対に東京マラソンで走り、彼女にプロポーズをしたかった。しかし、２度あることは３度あり…東京マラソンで走ることすら出来なかった。その１週間後、突然、彼女は彼の前から消え、連絡すら着かなくなった。彼女がいなくなってから１年後、偶然彼女との再会を果たす。彼は１年前にいなくなった理由を聞くと、彼女は彼が結婚を考えていないのではないかと思い消えたとのことだった。そして、今はもう婚約者がいるとのことだった。
…と言う話をある男はした後に、再び語り始めた。
上記の３人程の東京マラソンへの思いは俺には無いけれど、これでも一応東京マラソンは夢を見ていた。誰にも言ってはいないけど、３年前から夢を見始めて、俺が目指さなきゃいけない東京マラソンは、既に2010年じゃなくて2011年の東京マラソンになった。こんなに当選するのが厳しいなら、普通に当選するのを待つよりも、芸能人になって少しだけ売れてから、番組の企画で走った方が早いんじゃないか？東京マラソンのスポンサー会社に入社して、スポンサー枠での参加をした方が早いんじゃないか？とも思う。去年のエントリーのときには、アンケートで抽選に洩れた人を優先的に翌年は参加できるようにした方がいいか？みたいなアンケートがあったけれど、それは実践されなかったようだし…。2010年の倍率は8.9倍って、年々倍率が高くなっているじゃないか！このままだと、来年は10倍を超えるんじゃないか？…ということは、10人に１人というよりも10年に１回しか走れないってことか？いっその事、箱根駅伝の往路復路じゃないけれど、翌日に逆ルートで走るようにしてもいいんじゃないか！まあ、参加者は１日目と２日目で同じでも構わないし、１日目と２日目で別の参加者でも構わないし…。それよりも、来年エントリーすべきなのか？エントリーしても結局当選できないなら、最初から夢を見ないで諦めた方が賢いんじゃないか？でも、ダメ基でエントリーした方がいいのか？仮にダメ基でエントリーしたとしても、やっぱりエントリーしたからには夢を見ずにはいられないに決まっているし…
…と、その後２時間ほど語った後にある男は一言叫んだ！
「どーすれば、参加出来るんだ？参加の仕方を教えてくれ！！」
それに付いては、少なくとも俺は知らない。
だから俺からある男に教えることは出来ないですｗｗ
