久しぶりに電車を乗り過ごしてしまった。
気がついたら、反対の路線を快走していた。
戻る気にはなれなかったので、そのまま乗って、勝手知ったる駅からバスで帰ることにした。
駅に着くとバス停が混んでいる。
並んでいると、バスが来て、皆乗り始めた。こんなに人が乗る路線じゃないのになと違和感を感じ、行先を確認すると、再開発された住宅地に向かう路線だった。
私の乗る路線は、格下げされて、駅から1番離れた場所にバス停が移されていた。
バスに乗ると、誰もいない。
いつも職場に向かうバスは、運転手がこれでもかといろいろアナウンスするが、この路線の運転手は、一言も話さない。
話す必要がないのだ。
手摺に掴まれとか、急発進することがあるとか、両替しろとか、言う必要がない。
客は2人。ちゃんと座っているし、年寄りや子供はいないから、細々何も言わない。
発車すると、止まらない。乗る人がいないからだ。
やっと止まったと思ったら、誰も乗らないので早く着いたための時間調整だった。
こんな帰宅時間で、客が2人。経営は大丈夫かと思ったら、運賃がすごい。
随分高くなったな~。
以前通勤していた時は、気にもならなかったのに、小銭が足りるか心配になるくらいだ。
相変わらず交通系ICカードは使えない。
最寄りが近づいたので、ボタンを押す。
降りる時、これまで一言も話さなかった運転手が、ありがとうございました、と言ってくれた。
こういう感じは、今はなかなかないかもしれない。