スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

財務と会計のちがい

2011-09-13 18:10:56 | Weblog
財務会計というのは
財務諸表等の関係情報を
企業外部の利害関係者に報告するための
会計のことを言います。

ではこれを
「財務」と「会計」
の2つに分けた場合に
それぞれの意味は?

と聞かれると
なかなか難しいですね。


財務と会計というのは
何が違うのでしょうか?

答えは・・・

会計(アカウンティング)は「利益」を扱うもので

財務(ファイナンス)は「お金」を扱うものです。

そして
時間軸の違いもあり

会計(アカウンティング)は過去の数字を表わすもので

財務(ファイナンス)は未来の数字を見ていくものです。


つまり
財務(ファイナンス)というのは

「お金に関する意思決定の
 根拠となる考え方を表したもの」

ということです。


私の中では
財務(ファイナンス)は
数学的でちょっと難しいという
先入観があり

具体的に
どういった場面で
どのように使うのかということが
イメージできないでいたのですが

先日
ざっくり分かるファイナンス」という
本を読んでみて

財務(ファイナンス)の考え方、使い方が
少し理解できました。


ファイナンスのうち
特にコーポレートファイナンス(企業財務)には

①投資に関する意思決定
 → お金を何に使うか?(設備に対する投資、新規事業に対する投資)

②調達に関する意思決定
 → お金をどうやって集めるのか?(銀行融資or増資)

③配分に関する意思決定
 → 株主にどれだけ配当するのか?

の3つの役割があります。


その意思決定を
きちんと行うことで

「企業価値の最大化を図る」

のが経営者の役割です。


会社経営において
利益はモチロン大事ですが

会社の存続のカギを握るのは
間違いなく「お金(キャッシュ)」です。

特に利益は
考え方によって
金額が結構変動する
かなり曖昧なものですが

キャッシュは現実です。



設備投資や
新規事業を始める場合

どちらにしても
ある程度のリスクはつきものです。


ファイナンスでは
その投資により

「リスクに見合ったリターンが得られるかどうか?」

を考えます。

例えば
国債に投資をすると
かなり低いリスクで
低いリターンを得ることができます。

その設備投資(新規事業)で
仮に国債と同じリターンしか
得られないのであれば
その投資はすべきではありません。

国債よりもリスクがある分
高いリターンが期待できないと
投資する意味がないわけです。


そして
ファイナンスでは
お金の価値を考える際に時間軸も考慮します。

つまり
今の100万円と
10年後の100万円は
その価値が違ってきます。

なぜなら
今100万円あれば
それを元手に
10年間運用して
100万円よりも増やすことができるからです。

なので利率が2%と仮定すると
10年後の100万円は
現在価値としては約82万円になります。


あと
この本を読んで
企業にとっての
資金調達先である
株主と銀行の考え方の違いが理解できました。

株主は
リスクをある程度覚悟しているため
リスクを冒してでも
企業にどんどん成長することを
望んでいますが

債権者(銀行)は
あらかじめ契約で
もらえる利息が決まっているため

企業が
ハイリスクでハイリターンな投資を
することを嫌います。


つまり
株主と債権者(銀行)は同じように
企業に投資をする立場でも

株主は企業の成長性を重視し
債権者(銀行)は企業の安定性を重視する

わけです。


ファイナンスと言うのは
お金の集め方、お金の使い方
を合理的に考えるための道具なので

ファイナンスを
道具として使いこなせると
お金に関して合理的な判断が
できるようになりますね。