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龍の末裔 第51話

2007-07-03 | 小説
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それから1週間の間、エイシア軍に大きな動きは見られなかった。
この間、ヴァルド・ライツの精鋭が何もしなかったわけではない。
“龍の頭脳”と呼ばれるほどの科学力を有するこの国は、その科学力を欲する隣国からの圧力を常に受けていた。
その圧力に屈することなく、今日まで独立を保ってきたのもその科学力の所以であった。
三方をそれぞれ山脈、砂漠、海に囲まれており、容易には攻められぬ自然環境と、伝説にすらなっている“ドラグナーズ”の脅威、そして全貌が謎に包まれている軍事力に、隣国は攻めあぐねていた。
また、貿易も特定の国としか行わない“鎖国制度”を採っており、国内には自由に出入りできない。
その貿易ですら、国内では採取できない希少鉱物と引き換えに、日常品としての科学技術を提供するのみになっている。
今では一般化されている活版印刷術や羅針盤などの技術や、蒸気を用いたエンジンなどもヴァルド・ライツで開発されたものだ。
取引のための貿易商人も厳選されており、世界中で最も金のなる木であるヴァルドの内情を漏らすものはいない。
ただ、噂でのみ街の様子が語られている。
馬車が横並びに10台ほども通れるほど広く整備の行き届いた大通りには、4つの車輪を持っている鉄の塊が猛スピードで横行しているらしい。
とか、四角い箱の中に冷めた料理を入れると、火も使わないのに出来立てのように料理が温かくなってでてくるといった嘘か真か、不可思議な機械がたくさんあるという。


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