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竜の末裔 第80話

2008-12-07 | 小説
降り注ぐ鉄球の一つがオーディンの佇む城壁近くに命中した。
「ぅおおお!?」
声にならない叫びが聞こえる。
「オーディン殿!?」
分断された城壁には落ちまいと必死にしがみついたオーディンがいた。
「エイシアの豚どもめ!覚えておれよ!」
叫びながら何とか這い上がる。
どうやら無事らしい。悪運の強い爺である。


エイシア兵がその身を犠牲にして封鎖した街道は、城壁とセントラル・レアを結ぶ主要道路だ。
トルバシェットの攻撃により街道が崩壊した今、マルクや騎馬での移動は事実上不可能になった。
エイシアの進行を城門でなんとしても食い止めたかったヴァルド・ライツとしてはドラグナーズの半数と騎馬隊、歩兵隊の4分の1を結集させていた。
必然、セントラル・レアをはじめ各地の守りは手薄になっている。
今、そこを衝かれたらひとたまりも無い・・・。

ヒルデブランに焦りが生じた。精鋭部隊である陸軍を囮とし、南の海からの強襲。と同時にヴァルドの本隊と別働隊の分断を余儀なくされた。
これもまた、あの軍師の仕業なのか・・・。

「さて、面白くなってきましたよ。
ここまでは私の予想通りです。
進退窮まったヴァルドはどうするか・・・。
私が知りたいのはそこですから。」
砂漠の中では冷たい雨の中、氷のレヴィは静かに微笑んでいた。


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