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呪われた天才画家?

2006-04-10 | 不思議な事件簿
絵というものには不思議な力が宿るものです。
以前紹介した「泣く少年の絵」にも、火事を呼び寄せる力がありました。
今回ご紹介するのは「モデルが死んでしまう絵」のお話・・・
天才画家の絵にはモデルの魂を吸い取る力があったのです・・・

1930年ごろ、ハンガリーの画家ハンス・キーノーはその腕を高く評価されていた将来有望な若者でした。
ある日、ハンスはその腕前を見た富豪に、妻の肖像画を描いてほしいと頼まれたのです。
報酬も高額で、ハンスはこの依頼を受けました。

ハンスの腕はすばらしく、本物そっくりな肖像画が出来上がるところでした。
しかし、完成直前にモデルとなった富豪の妻は心臓麻痺で死んでしまいます。
せっかく絵を描きあげたのにモデルが亡くなってしまい、ハンスはショックを受けましたが、しょうがなかったと考えました。

その後、ハンスにまた肖像画の依頼が入りました。
今度の依頼人は銀行の頭取です。
頭取はぜひハンスに自分を描いて欲しいと言いました。
そこで、ハンスはこの頭取の肖像画を描いたのです。
完成した作品はすばらしく、頭取も喜んで絵を受け取りました。
ところが、頭取はその数日後に原因不明の病気で死んでしまいました。
ハンスは嫌な予感がしましたが、たまたま偶然が重なっただけだと自分に言い聞かせたのです。

次に彼が依頼を受けたのは医者からでした。
なんでも、自分の娘を描いてほしいということです。
2度の経験から一度は断ったハンスですが、医者の娘ということもあり、なにかあったら父が助けるだろうと考え、依頼を受けることにしました。
しかしというか、やはりというか、肖像画が完成した数日後にモデルの娘は亡くなってしまいました。

3度も同じことが続き、さすがに気味が悪くなったハンスは肖像画の仕事を断るようになりました。
そんなある日、ハンスは美しい娘と恋に落ちたのです。
結婚の約束を取り付けたハンスに娘は言いました。
「結婚の記念に私を描いてくれないかしら?」
以前のこともあり、すっかり肖像画を描くことに怯えていたハンスでしたが、娘の要望に押し切られ、肖像画を描くことになりました。
仕事ではないわけだし大丈夫だろうと考えたのです。

完成した肖像画を娘に手渡すと、娘は大変喜びました。
けれど、その幸せそうな彼女がハンスが見た最後の姿でした。
絵を渡して数日後、彼女はまたしても原因不明の病でこの世を去りました。

自分の描いた肖像画で愛する人を死なせてしまったと思い込んだハンスは心に誓います。

「もう、肖像画は描かないようにしよう・・・」

それから数年間、彼は肖像画の依頼を全て断り、ひっそりと暮らしていました。
あるとき、彼のアパートを訪ねた友人はハンスが死んでいるのを見つけました。
「つい数日前まで元気だったのに・・・」
あまりのことに呆然とした友人はハンスの遺体のそばに恐ろしいものを発見しました。
それは、ハンス自身の肖像画でした。
鏡を見ながら描いた自画像には、完成した日、つまり発見日の前日の日付が残されていました。
ハンスは自らも絵の呪いによって命を落としたのです。

ハンスの絵は素晴らしく、まるで生きているようだといわれていました。
もしかしたら、生きている当人の生命をキャンバスに写していたのかも知れませんねぇ・・・


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